Deutsches Museumの特設自転車展が面白い

Deutsches Museum と呼ばれるミュンヘンの博物館が、自転車誕生200年を記念して特設展示を催しています (2018年7月まで) 。

Deutsches Museum という通称からは何の博物館であるかの情報は得られませんが、正式名称は DM von Meisterwerken der Naturwissenschaft und Technik であって、つまりは自然科学と工学の偉業を対象とするドイツの博物館と言う意味です。

扱う対象は自然科学と技術、工学に関する全ての分野。

数学、物理、化学などの「基礎科学」から薬学、天体宇宙、生命科学と多岐に渡り、それに関連する測量、計算技術、またレンズや計測器などの機器から成果物であるプラネタリム、フライトシミュレータまでバランス良くまとめられています。

具体的な展示物を述べると、初期の航空機や発電機、アナログ計算機やアマチュア無線機、GARMIN eTrex や Super Nintendo といった身近な電子機器、実物の鉱山を模した坑道、岩塩、金属、大型の加工機械にまで及びます。

展示物の内容から、小さな子どもよりも知識と教養を持った大人の方が楽しめる場所と言っても良いかもしれません。

例によって、ところどころ英語の対訳がなくなって、おもしろい事を書いてあってもドイツ語のみであったりするので、その意味でも知識と教養を持った大人向けです。

個人的には地図作成に用いられる測量器や計算式、通信機器などが特に楽しめた点でした。




その科学技術博物館が、現在、自転車を対象に特設展示を催しています。

ただし、前述の展示内容を備えた本館ではなく、自動車や機関車など乗り物ばかりが集められた別館 Verkehrszentrum がその会場となります。

場所も川の中州になる本館から地理的に離れた Bavaria Park の隣にあり、本館の入場チケット (€ 11,-) を持って行っても別館には入れてもらえないので注意が必要です。

Verkehrszentrum は本館とは別の博物館という扱いで、別途チケット (€ 6,-) が求められます。

本館の方で尋ねた際は「全館で共通だ」と職員が言っていましたが、行ってみると実際には違ったというヨーロッパでは良くあることです。

対応する職員が異なれば、また違う反応が返ってくるかもしれませんが、それも日常茶飯事なので、いずれにせよ気にしてはいけません。

こちらは本館です

Verkehrszentrum には本館に見られるような詳細な原理の説明や体験施設はありませんが、50年前の無塗装ステンレス製 Porsche 911S や Trabant が解説もなしに無造作に常設展示されていたりします。

良くみると「分かる人には分かる」凄さを秘めた大人向けの博物館であることには変わりありません。

Porsche 911S は説明不要として、Trabant というのはドイツ (だけであるかどうかは私には分かりませんが) では東ドイツ、すなわち旧共産圏の象徴のような車です。

私も年齢的に冷戦は体験していないのですが、少なくとも統一後は、特にベルリンを含む東部では、そう扱われている姿を良く目にしてきました。

そして肝心の特設展ですが、約1世紀前のロードバイク実車、初期レースの資料、トライアスロン用途の競技自転車、最新の E-Bike に Lightweight のホイール、歴代のチェーンリング (1900年製のものから2017年製の DURA-ACE まで) 、新旧のサイクリングウェアと充実の内容でした。

フラッシュライトを使用しなければ写真も撮り放題で、前からでも横からでも好きな角度から思う存分に眺めている事ができます。

100年前のクランクはどうなっていたのか、ブレーキはどのように進化してきたのか、ハブやクランクの中身はどうなっているのか、革サドルを数十年使うとどうなのか、ホイールのスポーク組は昔から余り進化していないのだなと、実物を直近で眺めているうちに数時間が過ぎました。
このように素晴らしい展示内容ですが、少しばかり行きづらいことが難点です。

ミュンヘンは割と頻繁に訪れている私でも、そのうち行けばいいかと思いながらも、全体を見て回るのに十分な時間を取れないという理由で先送りしたりを繰り返していたぐらいです。

特設展示と Verkehrszentrum だけであれば、最低2時間ぐらいあれば全ての展示品を見て回ることは可能だと思われます。

本館はそれ自体で1日が潰せるほどの展示内容なので、Verkehrszentrum だけを訪れる際には Hauptbahnhof を挟んで反対側にある BMW Museum / Welt あたりと組み合わせて回るとちょうど良いかもしれません。

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