ドイツ語が通じずに地味にパニックに陥った話

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気温20℃超えの香港から戻ってきたばかりですが、今度は気温が氷点下のスイスに来ています。実は私にとってスイスを訪れるのは今回が初めて。微妙に言葉が通じたり通じなかったり、物価が恐ろしく高かったり、訪問以前に想像していたよりもより一層、良く分からない国だとの思いを強くしました。




ここでも何度か書いた事ですが、私はかつてオーストリアに住んでいたので、スイスは言わば同じドイツ語文化圏に属する隣国です。アルプスの山岳地形とエーデルヴァイスのモチーフを共有しながら、それでも近くて遠い国という印象を常に持っていました。

国境管理が厳格で、独自の通貨を維持し続け、ドイツ語圏でありながらスイス・ドイツ語 (Schwizerdütsch) という独自言語を話す云々と言った具合に、とにかく容易には近づけない印象を勝手に抱いていました。

そのため入国VISAが必要なのではないか (2017年現在、180日間の期間内で合計90日までの滞在なら不要) 等、出発前から過度に緊張しながら準備を行いました。この緊張はスイス航空の旅客機に搭乗した瞬間に解放される事になりましたが、しかし、それこそが大きな罠である事をその時の私は知る由もありません。


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搭乗を歓迎してくれるキャプテンの機内放送は完璧なドイツ語です。スイス・ドイツ語なんてラジオ番組を聞こうとして諦めたぐらいの私でも苦もなく理解できる流暢な Hochdeutsch です。

次いで配られた機内食案内も上から英語、ドイツ語 (スイス・ドイツ語ではない)、日本語 (出発地が東京なので) の3言語です。どれも似たような内容でありながら、言語毎に微妙に意味が異なる気がしますが、歓迎の意図が伝われば良いぐらいの厳密性で翻訳を行なっているのでしょうか。

公用語のフランス語とイタリア語は何処に行ったのだろう (英語が不要なのでは…) と色々と考えさせられる事の多い表記ですが、目的地がドイツ語圏の Zurich だからと無理やり納得する事に決めました。



こうしてスイス=ドイツ語で話せば良い地域という分類が私の中で出来上がったところで、フライトアテンダントに水をもらおうとしたところ、全く理解されません。

あ、あれ、一年間もドイツ語を話さないうちに発音が英語化しておかしくなったのか????と頭の中にはてなマークが浮かびますが、気まずいので英語でその場を切り抜けます。

一周して再び会話する機会が訪れた際、もう一度と違う単語を試みますが、やはり理解されません。水 (karbonisiertes Wasser) だけであればともかく、ワイン (roten Wein) も牛肉 (Rindfleisch) も通じないとなると、これはもうドイツ語自体を諦めた方が良さそうな気がしてきます。

英語というのは北アメリカで話すものであって、ドイツ語話者の端くれがヨーロッパで英語を話したら負けという堪え難い気持ちを抑えながら、渋々、英語を話します (Great BritainやIrelandやGibraltarには行ったことがありません) 。


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美しい日本の山々を眼下に仰ぎ、外気温が-71℃を指している事に笑ったり、オーディオブックを聴きながら寝たりしながら、13時間かけてスイスに到着します。

空から見下ろすと予想外に平坦で驚きますが、機内誌の地図をよくよく確認してみると急峻な山岳地帯が続いているのは南部のアルプスのみで、ZurichやGenevaといった大都市は全て北部の湖や河川沿いに位置しています。

四方を山に囲まれて攻めづらく防衛に適していて云々といった言説が如何にデタラメで真実と掛け離れているのかが見て取れます。



到着時の現地の天気は予想通りの曇り、気温は-2℃と東京とそれほど変わらずです。搭乗機を後にして意を決して入国審査に臨むと、またもや事前のイメージを裏切って、ヨーロッパのパスポート(おそらくシェンゲン域内)とそれ以外で窓口が別れています。つまり、出入国管理に関しては、スイスはスイス単体ではなく、ヨーロッパと歩調を合わせている訳ですね。つくづくイメージが当てになりません。

順番を待って恐る恐る入国審査官に話しかけると、意外にも (!?) ドイツ語が通じます。相手も予想外だったようで、この事で何処に言って何をするのか逐一聞かれる羽目になりましたが、それでも事前に抱いていた印象と比較するとあっさりと入国できてしまって私が驚きます。


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ここに至って、ようやく出発前の緊張が溶けましたが、初めて訪れたスイスは500mlの炭酸飲料が700円もする恐ろしい場所でした。

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