自走で行く奥多摩・秋川街道で檜原へ

千代田区や港区といった東京の中心部に住んでいると自転車で気軽に走れる場所が近所にない事が悩みとなります。

約100mから200m置きに信号停止があり、交差点の度に左折車が渋滞を起こして道路を塞ぎ、路上駐車は日常茶飯事、自転車通行帯にまでバスが割り込んできて、気を抜いたら歩行者が飛び出してくる始末です。

最寄りの山や峠は距離にすると約60kmから70kmほどなので、それだけでは大して離れていないように見えますが、上述のように道路の質が著しく低いので実際にはそれ以上に心理的な距離感と負担を感じます。

「走力を上げれば問題ない」という意見を耳にする事もありますが、心理的な距離感の原因は信号停止の多さと渋滞の酷さなので、自身の巡航速度が上がったところで問題が解決する訳ではありません。

1時間走ったら平均15分は強制停止させられる程に頻繁に信号に足止めされる東京の市街地では、個々人の走力や走行時の風向きよりも道路の混雑具合の方が巡航速度に寄与する割合が高いです。

むしろ唐突な車の割り込みや歩行者の飛び出しの多さを考えると速度を上げるのは、危険になるだけの可能性が高いので、急いでも良いことはありません。




現実的な妥協策として多くの人が輪行を行なっています。

鉄道を利用する事により、危険で不快で走りづらい市街地を回避し、空気が美味しく、サイクリストを歓迎してくれる奥多摩や丹沢の山の麓まで移動できます。

もう一つの妥協策は多摩川などのサイクリングロードを経由して、山の手前から一般道に合流する事で市街地を迂回する方法です。

上の地図で奥多摩や丹沢の玄関として表示されている『拝島駅』や『高尾駅』に程近いところを流れる多摩川や浅川の河川敷にはサイクリングロードが設置されており、断続的に東京湾の羽田空港まで続いています。

このサイクリングロードも歩行者が多く、常に安全に気をつけて徐行する必要はありますが、道幅が狭小で危険な場所の多い多摩地区を迂回できる事から一考の余地はあります。

しかし、これらの妥協策を講じても (八王子の和田峠はともかく) 奥多摩や檜原方面にはさっぱり行かなくなってしまいました。

都民の森や払沢の滝、神戸岩に小河内ダムに秋川渓谷といった名所に恵まれた奥多摩地区に魅力がない訳ではありません。

単純に行きづらいのです。

甲州街道が整備されている八王子方面は走りやすいのですが、輪行先の駅やサイクリングロードを出でて檜原や奥多摩にまで至る道のり (睦橋通り) は悪い意味で東京らしく、地方都市郊外にある国道沿いのような外観からは想像もできないほど信号停止が多くて疲れます ※。

交通量と信号停止の多い睦橋通りを避けて、ストレスなく奥多摩へとアクセスするルートとして新たに検討してみたのが秋川街道です。

地元の人にとっては今更という気分でしょうが、秋川街道とは八王子と武蔵五日市の2点間を結ぶ都道32号線を指します。

地図上で見た限りでは、途中にトンネル (新小峰トンネル) があるので自転車で通れるかどうか不安だったのですが、実際に走行してみると走りやすい素晴らしい道でした。

秋川街道の良い点は3つあります。

  1. 八王子市街地を除いては一貫して交通量が少ない
  2. 浅川サイクリングロードや京王・JR八王子駅からアクセスしやすい ※※
  3. 適度に飲食店がある

行き方は甲州街道を『本郷横丁』交差点で右折するか、浅川サイクリングロードを萩原橋で抜ける事です。初見では見過ごして何気なく通り過ぎてしまいますが、一度覚えてしまえば簡単です。



秋川街道に入り『萩原橋』から『楢原町』までの約3kmほどは市街地の信号停止が続き、バスがいればバス停停車の度に道路が詰まりますが、そこを越えると交通量が極端に減ります。

ただし飲食店も極端に減ってしまうので、補給が必要なのであれば、早めに寄り道しておいた方が無難です。

楢原町から先は登り基調で、約9km先の武蔵五日市駅前まではコンビニや飲食店は、ほとんどありません。

楢原町から7kmほど進むと危惧されていた『新小峰トンネル』に辿り着きますが、自転車通行可能で片側だけとはいえ歩道もありますので、訪れてみると何てことはありませんでした。


トンネルを抜けると下り基調となり、秋川の河川のすぐ近くを通って武蔵五日市駅前へと抜けます。

二子玉川駅からサイクリングロードを利用する事を考えると武蔵五日市までの走行距離は、二子橋、多摩川サイクリングロード右岸、多摩川原橋、多摩サイクリングロード左岸、府中四谷橋、浅川サイクリングロード、萩原橋を経て約47kmです。

サイクリングロードを繋いで車との接触を避けながら武蔵五日市まで到達する事が可能となります。

走行距離自体は長めになってしまいますが、サイクリングロードの空いている早朝の時間帯を狙って行けば、最もストレスなく奥多摩にアクセスできるルートの一つとして採用の余地はありそうだと感じました。


※ 奥多摩に向かう経路には他に青梅街道・国道411号線がありますが、休日の渋滞で有名な場所であり、路面の荒れたトンネルもたくさんある上に、奥多摩から山梨県に通じる唯一の舗装路として車両が集中する為、睦橋通り以上に走りにくいと言わざるを得ません。

※※ 『武蔵五日市駅』や『奥多摩駅』まで輪行してしまっても良いのですが、この2駅はJRの路線 (終端の目的地はともかく、東京都心側に位置する出発地点の駅が輪行に不向きな構造をしている事が多い) であり、単線ゆえに運行本数が少なく、また休日は登山客で混雑するなどの理由から実はあまり輪行には適していません。

拝島駅の場合、行き帰り共に輪行に便利な始発駅 (西武新宿駅・拝島駅) を使えるため輪行が容易という利点があります。

京王八王子駅の場合は始発駅 (京王線新宿駅・京王八王子駅) が使える事に加えて、乗り換えが一切ない、運行本数が多い、乗車時間が短い、運賃が割安 (360円)、休日の下りは空いている (登山客は高尾山口方面に流れる為) 等、豊富な利点があります。

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