大雪のあと

関東の平野部でも10cmの降雪を記録した22日の大雪。

徒歩通勤の私も新雪を踏みしめ、コートに付着した粉雪を払い落としながら、30分掛けて吹雪の中を歩いたことは記憶に新しいところです。

冷涼な気候には慣れているので、雪道の歩き方ぐらいは知っているつもりでいましたが、いざ実践してみると雪中に埋もれた地中埋込型照明のガラスを踏んでは滑り、雪に埋れて見えない段差に嵌ったり、足を取られたりする始末です。

普通に歩いているだけでも傘を持つ手が霜焼けで痒くなり、次第に指先の感覚もなくなってきて、凍傷に陥る危険性を感じました。




市街地、平野、もっと言えば温暖な東京だからと言って、3時間で10cmも積雪するような異常気象のさなかでは、登山時と同様の注意と危機管理が求められることを身をもって実感します。

そんなものを平日の業務中から求められたくはないものですが。

その大雪も除雪が行き届いた東京都心では、私の出立時には既に過去の話になっていました。
翌日の8℃前後の気温も手伝って融雪も進んでいたので、確かに目に見えて困るほどの雪は残っていません。

私も過ぎ去った過去の話だと無意識的に思い込んでいたのかもしれません。

だから上空から見下ろして、荒川河畔から埼玉方面にかけて白く覆われているのを見た時には、少しばかり驚きました。

平野部でも北に向かうほど、広く一面 (おそらく農地) が雪に覆われているのを確認できました。

残雪はあるだろうなとは思っていましたが、また同時に気温が上がって、大気中の湿度も下がった際に融けてなくなっていることを期待してもいました。

考えても見れば市街地は、除雪している人がいるお陰で融雪が進んでいるわけで、これだけ積雪してしまえば、反射で赤外線加熱も進まずに融け残っている方が自然です。

雪とは厄介なものだなというのを思い知らされます。

Samsonite JANIK SPINNER 50/18 を新調

私が以前から使用しているスーツケースは、Mandarina Duck の Cabin Trolley です。

現在は会社そのものが買収されて、同じモデルを探してみても見つけられなくなってしまいましたが、私がかつて住んでいた国では良く目にする普及品のブランドでした。

ところが、日本には代理店が存在しないのか、改めて探してみると店頭では見かけません。街中でも使用している人は他に誰もいません。

このトロリーバッグが不調で、先日の香港出張から車輪がガタつき始め、転がすたびに異音がするようになってしまいました。スーツケースやキャリーバッグを幾つも壊してきた経験が、そろそろ修理に出すべきだという警告を発します。

しかし、前述のようにこのバッグやブランドを日本国内で見たことがないので、修理しようにも持ち込み先がありません。

それならば、自分で部品を換装しようとも思いましたが、調度よいものが見つかりません \(^o^)/

そんな理由もあり、出張先の海外で故障する前にキャリーラゲッジを新たに購入することに決めました。

この手のカバンを購入するときに私が決めているのは次の4点です。




  1. キャビンラゲッジである
  2. ソフトである
  3. キャスターが4輪である
  4. 生地が丈夫である

これらの点さえ守っていれば、後はどれを購入しても使い勝手で困ることはないので、具体的な素材や体積、質量を見て目的にあったものを購入します。


キャビンラゲッジである


スーツケースには大まかに (a) 預け手荷物 と (b) 機内持ち込み手荷物 の2種類の大きさがあります。

キャビンラゲッジ (cabin luggage) とは (b) 機内持ち込み手荷物 のことです。

飛行機に搭乗する際、機内に持ち込める大きさに収まるものを指します。

手荷物受け取り (baggege claim) の手間や待ち時間を省略することができるほか、ノートパソコンや書籍などの大型の荷物を運搬する目的に使えます。

現役の学生時代には常時パソコンを2台入れて持ち運んだものです (学会発表時などに故障すると取り返しがつかない為) 。

今回、購入した JANIK SPINNER 50/18 は、搭乗者100名以上の飛行機に機内持ち込みできるギリギリのサイズで容量は 42L とかなり大き目です。

台湾やベトナムあたりの短期出張であれば、これ一つに出張荷物を全てまとめられそうです。


ソフトである


私はスーツケースに関してはソフト派です。

預け手荷物、機内持ち込み手荷物に限らず、ハードシェルのスーツケースは使用しません。

ソフト・スーツケースには軽量で荷物の出し入れをしやすいというメリットがあります。

もちろんハードシェルの方が頑丈なのですが、同僚のフランス人が預け荷物のハードシェルケースに鍵を掛けていたところ、パリの空港でスーツケースを没収され、爆破処理されたことから、私にとって頑丈さは優先事項ではなくなりました。

また同時にスーツケースに鍵やベルトをすることもなくなりました。

その反面、安全確認のための荷物検査の機会が増え (特に米国内において) それに伴って開閉や荷物の出し入れも繰り返し行うようになったので、より利便性の方を重視するようになりました。

JANIK SPINNER 50/18 は荷物の出し入れに特化しているモデルで、立ったままの姿勢でも荷物を出し入れできるのが非常に便利です。


キャスターが4輪である


経験上、スーツケースで最も頻繁に故障する部位がキャスターです。

車輪が進行方向に割れる、車輪が外れるといった故障が多く、軸が折れるところはあまり目にしたことがありません。

Mandarina Duck は比較的頑丈な2輪と言うこともあり (今のところはまだ) 故障していませんが、車輪の寿命がスーツケースの寿命になりそうで危機感を感じさせます。

前述のように故障した場合にほぼ修理できなくなるほかにも、運搬時には持ち手からスーツケース本体までの距離が長くなるので、狭くて人の多い東京では使いづらさを感じます。

そこで今回は、より小回りの効く4輪のスーツケースと言う条件で検討しました。


生地が丈夫である


最後の条件は生地の丈夫さです。

上記の3つの条件を満たすスーツケースであれば、他にも選択肢はいくつか有ったのですが、実物を触ってみると生地が薄くて心配になったというのが正直な感想です。

キャスターの車輪が頻繁に壊れるのとは対照的に、預け手荷物でも薄い生地のスーツケースだからといって破れたことはありませんが、丈夫なナイロンの鞄でも継続使用していると徐々に減耗してくるので、内容物 (ラップトップその他の機器) の重量や価値を考慮して、なるべく丈夫なものを選びました。

実際の使用感は、少し大きくて重ためですが、間違いのない選択だと思います。

価格を考慮しても十分に満足できます。



[サムソナイト] スーツケース Janik ジャニック スピナー50 機内持込可 機内持込可 保証付 42.0L 50cm 2.8kg AW7*09001 09 ブラック


ULTEGRA と DURA-ACE

ULTEGRA と DURA-ACE に体感できるような差はあるのか。

私は ULTEGRA (6800系) と DURA-ACE (9100系) で組まれたバイクをそれぞれ1台づつ所持しているので、ごく偶にこんな質問を受けます。

結論から述べると全くの別物と言えるほどの差があります。

同じタイヤ・ホイール・スプロケット (同一種どころか全く同じ個体) を履かせても、持ち上げた時の軽さから操作性まで大きな違いが現れることを随分前から感じていました。

それにも関わらず、今日まで記事にして来なかったのは2つの理由があります。

1つは私の個人的な感想を事実と混同する人がいるらしいこと。

確認できていないので断定はしませんが、このサイト自体、ある意味で苦手な日本語の練習目的に書いているので、内容の主体もある時点での私の感想となります。

ランキングには参加しないのも、更新通知もしないのも、仕事や専門分野に関する話題には触れないのも、最近は特定機材の使用感を書かないように意識しているのもそれが理由です。

今回も敢えて重量などの記載は避けます。




もう1つは DURA-ACE 組みのバイクで自宅近くを走ることに抵抗があるからです。

私の住居は東京の千代田区と新宿区の境界近くにあるのですが、この辺りは道路環境が劣悪で早朝6時前や正月三ヶ日を除いては、まともに自転車で走れたものではありません。

溢れかえる路上駐車の影から大きな荷物を抱えた運転手が出てくるのは日常茶飯事。

歩行者が車道に飛び出してきたかと思えば、方向指示器も出さずに車線変更してきたタクシーが眼前で急停止することもあり、頻繁に遭遇する赤信号に止まれば、信号無視の自転車に追突される危険を常に感じます。

後述するように DURA-ACE は加速が良く、無意識にスピードに乗れるので、常時、急停止のことばかり考えないといけない場所では使う気になれません。

交通量が少ない場所に行こうにも「最寄り」のヤビツ峠は片道 73km 、都民の森は 78km 、筑波山や箱根は 90km といった具合に距離が離れており、しかも、その間を全て過密な市街地が埋め尽くしているので、どんなに速く走れる人でも片道最低 2.5 時間、往復で 5 時間は信号停止と渋滞の中で我慢し続けなければ、快走路の入り口まで辿り着く事すら叶いません。

そのため、一向に走行距離が伸びず、購入後4ヶ月にして未だに 600km を超えません。

せめて 1,500km は乗ってから書きたかったのですが、乗らない間に時間が経ち過ぎて、私自身が内容を忘れそうなので、この辺りで文字として残しておこうと思います。


小さなレバーと軽くて回るクランク

ULTEGRA と DURA-ACE との具体的な相違点として、おそらく誰もが認識できるのが STI レバーとクランクでしょう。

前者は握った瞬間から違いが分かります。

小さくて軽いのでハンドル自体も軽量となり、ヒルクライムでの操作性やロングライドでの疲労感が大きく変わってきます。

レバーを握ったり、ハンドルを持って前輪だけを吊り上げた際の重さにも違いが現れますが、一度に150km以上を走ったり、2,000m 以上も登ったりすると、より大きな違いを感じられます。

STIレバーと比較するとクランクの差は、少し走り込まないと意識することが難しく感じられます。

DURA-ACE のクランクは踏み出した際に「あれ、少し軽いかな?」と感じる程度なのですが、その後に ULTEGRA のクランクを踏んでみるとその重さと抵抗に驚きます。

DURA-ACE のそれを追い風とすると、ULTEGRA では微弱な向かい風の中を進んでいるかのように、僅かにもたつく感触があります。

ヒルクライム時にはさらに顕著な差があり、DURA-ACE であれば斜度 10% 程度まではシッティングで無理なく進めるのに対して、ULTEGRA では脚の体重を載せてダンシングで踏み込んでやらないと失速してしまう感覚を覚えます。

DURA-ACE を知らなければ ULTEGRA で満足できると良く言われているのは、こう言うことなのかなと個人的に納得できてしまいました。

とは言え、ULTEGRA の方が使いやすいので、誰もが DURA-ACE にする必要性もないと私は思っていますが。


使いやすい ULTEGRA・よく目立つ DURA-ACE

早朝4時台、5時台に東京都心を走っているロードバイクの多くは DURA-ACE を搭載しています。

2番目に頻繁に見かけるグループセットが 105 であるか SRAM RED であるかは分かりませんが、1番目は DURA-ACE で確定と言えるほど圧倒的多数派を占めています。

ただし、これは極めて特殊な事例であって、他の時間帯に他の場所を走れば、DURA-ACE で固められたバイクが如何に少数派であるかを嫌でも意識することになります。

お手洗いに行くとき、飲み物や補給食を補充しに行くとき、牧場に立ち寄ってアイスを食べるとき、イベント参加時のスタート直前など、自転車から降りて離れる必要がある場合には、とても神経を使います。

独特の意匠と長い文字列から DURA-ACE のグループセットは常に目立つので、盗難対策にも気を遣いますし、ファンライドでは他の自転車との価格差があり過ぎて気まずくなることもあります。

良くも悪くも、速く走ることに特化した高価なレース機材です。

それに対して ULTEGRA は、より多くの目的に使えて、何に使っても良好な性能を示す万能機材の印象があります。

普及価格帯で数も多いので、どこに行っても、どんな場面でも (真剣なレースにおいても) 悪目立ちすることはありません。

自転車を降りて離れる機会の多いロングライドや自転車旅、破損の可能性が高まる輪行、遠征など、上記の DURA-ACE との性能差を考慮しても、気軽に使える ULTEGRA を敢えて選びたい場面も少なからずあります。

走ること自体は DURA-ACE の方が楽しくても、峠から山頂までの (徒歩) 登山や食事などを含めたライド全体を考えると ULTEGRA の方が気兼ねなくできることの選択肢が広がり、結果として満足度が高まる可能性があるという訳です。


Shimano – Ultegra R8000 11スピードグループセット


あまり違いを感じない変速機

冒頭に全くの別物と記載しましたが、ULTEGRA 6800 と DURA-ACE 9100 との間で個人的にあまり違いを感じない部位も、もちろん存在します。

両者の相違点として良く引き合いに出される変速機です。

両者ともに機械式なので整備状況に依存するという面も否定できませんが、比較のために ULTEGRA は技術力に定評のある某ショップに調整を依頼したもの (ワイヤー代金を含めて整備費用 20,000円) 、

DURA-ACE は CANYON のメカニックが出荷時に調整したものを用意したので、どちらもプロが整備したものが前提です。

きちんと整備されていれば、どちらも変速したいタイミングで遅滞なく変速が決まります。

当然ながらチェーン落ちの不安など微塵もありません。

こういうこともあって、技術料としての整備費用は高価とは思いませんし、それを再現する電動変速機も (技能費と比較して見れば) 安価過ぎるぐらいに安価だと書いたのですが、ここでは割愛します。

重量には差があるので軽量化の観点から DURA-ACE を導入すると言う意見に対しては異論ありませんが、変速性能としては ULTEGRA との比較で考えるよりも調整をしっかりと行うことを考えた方が効果が大きい気がします。


個人的に比較できないブレーキ

過去に何度か書いた記憶があるので、繰り返しになるかもしれませんが、私はあまりブレーキを使わずに早め早めに速度を落とす性格です。

車の運転でもブレーキを使わずに、割り込まれない範囲で可能な限り車間距離を維持します。

ブレーキは速度調整に用いることが多いので、違いがあるのかどうか良く分からないのが本音です。

船なしの TIAGRA ブレーキシューは制動力不足で身の危険を感じたので、早々にブレーキキャリパーごと廃棄・交換しましたが、幸いにして ULTEGRA で急停止できずに危ない思いをしたことはありません。

ダウンヒルにしても、どちらかと言うと落石によるサイドカット、グレーチングによるスリップ、対向車の車線はみ出しなどで危険を感じることが多いです。

累積の獲得標高にして少なくとも 30,000m ぐらいは ULTEGRA でダウンヒルを経験しているはずですが、舗装された公道で ULTEGRA の制動力に不安を感じるところなど、もちろん、一つとしてありませんでした。

命に関わる最も大切な部品なので、どこか一つだけでも DURA-ACE のパーツを入れるとしたら、間違いなくここなのですが。


耐久性の神話

DURA-ACE に関連する話題のうち ULTEGRA との比較と同様に良く耳にするのが、その耐久性についての話題です。

軽量で剛性が高い、にも関わらず、耐久性も高く長持ちする。

根拠も示されずに語られる説話ですが、そんな都合の良いものなんて存在するのかなと私自身は思っています。

先に述べたように私の周辺で見かける人は、圧倒的に DURA-ACE 使用者が多いので、当然ながら一番故障した姿を見ているのも DURA-ACE です。

特にクランク (主に9000系以前) に関しては、最も頻繁に破断したところを目撃します。

もちろん絶対数が多いので目撃数も自然と多くなること、DURA-ACE を使ってる人はそもそも走行距離が極端に多い傾向があり継続使用による減耗が進んでいることなどを考慮して見なければなりません。

それでも走行する度に力が掛かり続けるものなので、継続使用していれば、いつかは故障することもあります。

購入すればそれっきりではなく、定期的に整備と部品交換を行わなければならないもの (70km/h超の速度で用いられることもあるので特に整備は念入りに) と捉えた方が良いと思われます。


まとめ

走行性能を見ていくと別物と言って良いほど異なる両者ですが、DURA-ACE はパフォーマンスの追求に特化している面があるので、ULTEGRA の方が使いやすいと思うことも私には結構な頻度であります。

レース用途では ULTEGRA は重すぎるという意見も、両者を何度も乗り比べていると実感として良く理解できますし、正直、同意せざるを得ません。

機材スポーツにおいて機材が果たす役割は少なくありません。

しかし、その性能が常に必要かと問われれば、多くの人にとっては常時必要なわけでもないのではないかと私は思います。

ここぞと言うときに真価を発揮するのも、ただ走っていて楽しいのも DURA-ACE なので、私は両方を持つことにしましたが。

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