春疾風の箱根

箱根が好きな人は小田原から箱根湯本、宮ノ下、小涌谷、元箱根に連なる温泉郷を「表」と呼び、すすきが広がり、美術館が林立する仙石原を「裏箱根」と呼ぶそうです。

聞いたところでは、前者ではマラソンや大文字焼きなどのイベントが行われ、メディアに取り上げられる機会も多いとか。

しかし、これ、自転車では正反対ですよね。

箱根と言えば、眼下に一望できる相模湾、そびえ立つ富士山、海から空へと続くかのような高原道路。それらを抱える仙石原、足柄峠、長尾峠、箱根峠、椿ラインこそが「表」で、華がない国道1号は「裏」です。

そして自転車乗りには知られていない激坂、絶景スポットが大涌谷であり、行かなくていいところが旧東海道と乙女峠です。




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新緑の箱根

平日の箱根は良さは筆舌に尽くしがたい。

箱根と言えば関東を代表する渋滞スポット。東京、名古屋、大阪を結ぶ東西の大動脈の一番の難所にして、関東有数の温泉郷、さらに富士箱根伊豆の国立公園にして日本最大級の観光名所でもあります。

その盛況ぶりは渋滞時の通行速度や駐車場に至るまでの待ち時間の目安が県道沿いに掲載され、箱根独自の混雑予想ウェブサイトが立ち上がるほどのものです。

しかし、それらはすべて休日の話。

平日の箱根に聞こえるのは野鳥のさえずりと緑を揺らす微風の音ばかりです。




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白銀の長野

緊急事態宣言解除後の4月初旬。連日つづいた陽気から一転して気温が急低下したある日のこと。無性に山に登りたくなった私は長野にいました。

駅前の電光掲示板が示す外気温は4℃。天気予報では市内は -1℃ 白馬は -3℃ 軽井沢に至っては -6℃ という季節が逆戻りしたような数字が表示され、連日の雪崩注意報は撤回されて路面凍結注意報がにわかに聞こえ出します。

低温のほうが空気が澄むので悪いことばかりではないものの、さすがにこの気温と標高では路面凍結が心配です。行くかどうか少しばかり逡巡した結果、保守的に国道沿いを選べば大丈夫であろうという見込みで出立することを決めました。

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