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ヤビツ峠に二度負けた

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ヤビツ峠は神奈川県道70号線上にあります。

俗称では南の秦野市から峠に至る11kmの道程を表ヤビツ、北の宮ヶ瀬湖から至る8kmを裏ヤビツと呼びます。

前回、機材故障でサドルに座れなくなった影響で、無理な体勢で立ち漕ぎし続けて足を攣り、500m進む毎に自転車を降りてストレッチしながら、涙目で70分かけて登ったのは表ヤビツの方です。

こちら側は、峠に至るまで延々と上り坂が続く事で有名です。

もう一方の裏ヤビツの方は、景色が良いという評判を良く耳にします。

新宿から宮ヶ瀬湖まで自走で来た私は、当然、裏ヤビツと呼ばれる南下ルートを辿ります。

前評判では、ところどころ道が荒れていると聞いていましたが、想像していたよりも普通の道で気になるという程ではありませんでした。

とは言え、アスファルトがひび割れているところもありますし、対向車と擦れ違いができない狭い区間も多々あります。

その上、道の幅に対して、車両の通行量が非常に多いです。

雰囲気は明るい和田峠と言いたくなる程、山深く素晴らしいところなのですが、二輪、四輪ともに都内の一車線の山道では考えられない程、対向車と擦れ違います。

どんなに明るい日中でも、ここでは前照灯は必須です。


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また、今までに登ってきたどの峠よりも道と渓流との距離が近く、川底まで見透せる透き通った水の流れを十分に堪能する事ができます。

新緑の美しさも相まって、裏ヤビツに入って1kmも行かないうちから「ロードバイクに乗っていて本当に良かった」と心から思えるほど、美しい光景が続きます。

道は若干、上っているかなと感じるぐらいで、まだまだヒルクライムといった趣はありません。


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上りが始まるのは、少し進んで塩水橋という小さな橋を挟んだヘアピンカーブの辺りからです。

ここから徐々に上っている事を体感できるぐらいに勾配が上がってきます。

同時に登山家や乗用車などの交通量も増えてくるので、擦れ違いの為に一時停止しなくてはならない場面も出てきます。

ちょうど公衆トイレの手前で、右側通行しながら横一列に広がる登山客(歩行者)の集団と対向車に進路を完全に塞がれて、止む無く一時停止しました。

事前情報も何もなしに初めて訪れたので、「これだけ登山客が増えてきたので峠はもう目の前だろう」と確信して進むと、残り1.6kmの看板表記で愕然としました。

ヒルクライムの1kmは恐ろしく長いものです。

あのキツい和田峠でも、永遠に続くかのように見えて、実は僅か3kmの長さしかありません。

後から知った事ですが、この辺りが最も勾配がきついので、何も知らずに「頂上までこれが続くのか…」と少しばかり絶望的な気持ちになりました。




とは言え、進まなければ何ともならないので、無心にクランクを回していくと、勾配はどんどん落ちて行き、慣性で自転車が進む間に足を休める余裕ができるほど傾斜も緩くなります。

先の急坂に比べると、何てことはない九十九折を淡々と抜けていくと、切り通し越しにたくさんの人影が目に飛び込んできます。

正直、最初に見た際には、我が目を疑いました。

え、もしかして、ここが峠 (゚○゚)!

先に見た坂の印象が強すぎた為、「さっきから、ほとんど標高が上がっていないのに最高地点に着くはずがない!」という思いが浮かんできて、何とも煮え切らない気持ちになります。


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そんな個人的な感傷とは裏腹に、見覚えのある光景に、バスでやってきたハイカーや反対側から登ってきた自転車乗りたちが満足気な表情で腰を下ろします。

まあ、良いです。今日の目標は折り返して、表から登り直すこと。

裏側から登るとあっさりと峠に至ることは、この際、不問にしましょう。

とは言うものの、走行時間は既に4時間38分。獲得標高 1,224m を得て、走行距離は 91.89km にまで達しています。

さすがに補給食の羊羹とカロリーメイトで飢えを凌ぐばかりでは体が持たないので、秦野側に下山してファミレスのモーニングメニューで朝食を摂りました。

早朝の疲労がじわじわと効いてきたのか、或いは高く昇った太陽がもたらす容赦ない熱気の影響か、朝食後は自覚できるほどに体調が悪化します。

気温が上がるに連れて、頭が締め付けられるように痛む。目がかすむ。身体が熱い。

照り付ける日射しとアスファルトから昇る熱気に、石見で感じた真夏日の息苦しさが、嫌でも記憶に蘇ります。

直射日光の当たる住宅地をどうにか抜けて山林の日陰にもぐりこめればと、名古木のコンビニでスポーツドリンクを1リットルと冷却用の水を購入。

若干、手遅れである事を予感しながらも、これ以上、気温が上がらないうちにと再び峠を目指します。

しかし、急な勾配が仇となり、思うように先へと進めません。ここは表ヤビツ。登り始めから峠まで一貫して上り坂です。

日射しと外気で頭が熱い。

体は危険信号を出しながらも、意識はしっかりとしていたので、登りきった後で無事に帰宅できるかを無意識に考え始めます。

橋本まで戻れば、京王線で市ヶ谷まで帰れる。いや、この外気温では相模原まで辿り着くのは厳しい。とすると、町田か本厚木か。

峠を超えた先に控えているのは宮ヶ瀬湖であり、輪行で帰るにしても、そこから更に別の峠を越えなければなりません。

早朝4時に「晴れのち曇り」の天気予報を見て、安心して家を出てきた私にとって、雲一つない快晴とこの暑さは予期せぬ事態であり、計画の変更を余儀なくさせるに足ると言えます。

クランクを回しながらの葛藤と脳内での帰還ルート探索が続きます。

やがて、どう考えても、退路は本厚木駅から小田急線で新宿まで輪行するルートしかないと悟った時、私は登坂を止めて秦野駅に向けてUターンする事を決めました。

峠を超え、宮ヶ瀬湖を通り過ぎた末に辿り着く本厚木駅も、Uターンすれば難なく到着する秦野駅も、同じ小田急線の駅である事に変わりはありません。

ヤビツ峠を経由すると、小田急線から大きく離れて遠回りした末に、また同じ方角に戻って来る事になるだけです。

こうして私は再びヤビツ峠に敗れました。

いつか再挑戦した際には、トラブル無しで時間を計測してみたいものですが、獲得標高に対して余りにも遠い(市街地が途切れず信号ストップが多い)ので、もう来たくもないという気持ちも強いです。

裏ヤビツ峠へと至る宮ヶ瀬湖はサイクリスト天国だった

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尾根幹線を経て、相模原で道に迷って、気がつくと宮ヶ瀬湖に到着していました。

地図で見た際は相模原(橋本駅)から随分と離れている気がしましたが、自転車で走ってみると、思っていたよりも遥かに近く感じたのが不思議です。

市街地から山間部までの距離が近く、富士へと続く山道から長閑な里山へと、目紛しく景色が移り変わるからかもしれません。




宮ヶ瀬湖に近づくに連れて、自転車ラックを用意している店舗を徐々に見かけるようになります。

その光景はしまなみ海道を彷彿とさせます。

市街地に近いだけに交通量は多いのですが、自転車乗りの数も非常に多く、湖を横断する橋や有名な峠などの見所に溢れています。


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高い山に囲まれているだけに奥多摩湖ほどの開放感はありませんが、観光地の非日常的な明るい雰囲気に溢れています。

何よりも周囲に牧馬峠や服部牧場といった魅力的なスポットが散在しており、様々なルートに組み合わせられるのが良いです。

奥多摩はまた違った訴求力があり、季節を変えて何度も来てみたくなりますね。


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湖の西側から東側に抜けると、半原越で有名な半原の文字が見えました。

実はその近くのオギノパンという、揚げパンで有名なお店で朝食を摂りたかったのですが、朝7時で開店していないだろうという事で、今回は諦めて先を目指します。

今日のライドの目的地は、もちろん尾根幹線などではありませんが、宮ヶ瀬湖でもありません。

3ヶ月前に惨敗したあいつにもう一度…

わざわざ早朝4時に家を出てきたのは他でもなく、前日に目が覚めて寝付けなかった ヤビツ峠に自走で行きたかったからなのです。


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宮ヶ瀬湖はヤビツ峠とも地続きなのです。

裏ヤビツについてはまた次回