2年連続!サザンセト・ロングライド 2016 に東京から参加 (1)

昨年のサザンセト・ロングライド 2015 に引き続き、周防大島の美しい海岸線を堪能すべく今年もロングライドに参加しました。

このロングライドこそ、私が初めて参加したサイクリングイベントであり、手信号の出し方からヒルクライムまでのあらゆる技能の向上を決意させたロードバイク生活の原点であり、自身の成長を確認する場でもあります。

昨年と比較して 2016 ではコースが一部短縮されセンチュリーライド (160km) ではなくなった事、またそれにより獲得標高が約600mほど抑え気味になった事に特徴があります。

偶然ですが当日の天気も穏やかで、日中は25℃近くまで気温が上がった事から昨年と比較してとても走りやすい大会となりました。昨年は晩秋を思わせる冷え込み具合でスタート前は寒さで悴む程でしたので、万全の防寒対策を用意していただけに拍子抜けする事になりました。この暖かさからドリンクボトル2本体制で臨みましたが、後述のようにその心配も杞憂に終わりました。

様々な条件 (と幸運) が重なって完走の敷居が低くなった2016年は、より純粋にライドを楽しめる良いイベントになったというのが参加後の感想です。

昨年は東京から1泊2日での参加 (大会終了後、飛行機で当日帰還) は想像もできませんでしたが、今年のコースで天候に恵まれるという条件付きであれば、走り慣れた人であれば十分に検討可能とまで思われました。




当日受付

前日の余興もほどほどにホテルに切り上げた私は、10月2日当日の午前3時にみかんさんの運転する車に拾われます。

初参加であった昨年は余裕を見て大会前日にスタート地点のある柳井市内に宿泊しましたが、既に勝手を知っている今年は集合時間前に車で乗り付ければ十分という判断です。開場直後の4時30分に駐車場に到着し、まだ薄暗い中を車のヘッドライトを頼りに自転車を組み立てます。

5時を過ぎて当日受付が始まると同時に会場に移動し、ゼッケンとステッカーを頂いて集合場所に自転車を並べます。

ここに並んだ順にスタート地点に移動し、6時15分の出走開始から15人づつ30秒置きにスタートを切ります。

私たちのグループは先頭から遅れて5分後の6時20分ちょうどに出発しました。

むくのパーク・24km地点まで

第1エイドステーションの むくのパーク までの24kmは昨年と全く同じルートです。スタート直後に信号での右折がある事と大島大橋の入り口では一時停止して橋上は歩道を走る事が注意点となります。

去年はこの区間を走りきっただけで十分に走った気分になりました。それが今年は気が付けば第一エイドステーションに到着していました。走行時間は約50分弱。

スタート直後でまだまだ人数が多いので、手信号と声掛けに意識を集中して常に前後左右の走者と路面の障害物を見回していた結果、いつの間にか大島大橋の手前に来ていました。

1列に並んで橋を越えると今度は車に意識を向けながら、少しづつ自分の走り慣れたペースになるように速度を上げていきます。徐々にペースに近づいてきた頃にエイドステーションの入り口が見えました。

いつもは補給場所が存在しないという事情から60kmに1度ぐらいを目安にしているので、ウォーミングアップ中の突然の休憩に若干の戸惑いが生じます。

西日本一と噂に聞くエイドステーションの充実ぶりは今年も素晴らしいです

なぎさパーク・54.3kmまで

第2エイドステーションの なぎさパーク までの約20kmも昨年と同じルートです。

注意点は車の交通量がやや多い事です。2015年のコースでは前半の平坦区間といった趣でしたが、平坦区間がコース全体の多くの割合を占めるようになった2016年では海風が強烈な区間といったところでしょうか。

私は心拍計もパワーメータも持っていないので時速30km/hを維持し続ける事を目安に向かい風の中をひたすら走ります。

第1エイドステーションに到着する頃には良い具合に参加者がバラついて道路が空いていたのですが、みかんさん達がエイドステーションで潤沢に時間を使っている間に後発スタート組も次々に合流して、先程よりも明らかに道が混雑しています。




昨年は幸いにして走力の近い他の参加者と協調して強風に立ち向かう事ができたのですが、今年は向かい風が強くなる毎に前を走る走者のペースが乱高下して危険なので、早々に先頭に飛び出して止む無く集団を引く立場を買って出ます。

しかし、その集団も登り坂で崩れて、以降は私一人の単独走となります。

このまま次のエイドまで独りかなと思い始めた頃、みかんさんとそのチームメンバーのトレインの追い上げにあっさりと抜かれて、彼らに遅れてエイドステーション入りを果たします。最初から本気出して



時刻は午前8時30分。雨も危惧された天候はこれから快晴に向かいます。

続く

雨のち晴れ – 霜降山の挑戦

先週末に英彦山でのヒルクライムついでに立ち寄った山口県に今週もまたやってきました。私のロードバイク生活の原点であるサザンセト・ロングライドに再び参加するためです。

前回の輪行時にロードバイクやビンディングシューズは持ち帰らずに置いてきたので、今回の手荷物は着替えの衣類とパソコンだけと軽量そのものです。預け入れ荷物がないと待ち時間もなく快適ですね。

サザンセト・ロングライドに参加するだけであれば岩国空港の方が便利ですが、預けていた自転車と出発時間の関係で同じ山口県の山口宇部空港に着陸します。

前回は雨が降り続いていた東京と北九州の青空が対照的でしたが、今回は反対に晴れた東京を発った後に着陸前から雨雲の歓迎を受けます。

日曜のロングライドに重なるように近づく台風に不穏なものを感じながら山口宇部空港へと降り立ちます。

あっさりとした豚骨風味の宇部ラーメン

昨年は事情を知らずに前日からライド開催地の柳井入りをしましたが、今年は当日の未明に会場に到着して出走手続きを行えば良い事を知っているので、ホテルを取るのが難しい柳井を避けて小郡 (新山口) に宿泊します。

今回の渡航目的はライドですが、それだけでは勿体ないので前日にホテル近くの霜降山を登ります。霜降山は宇部市の北方にある標高約250mのヒルクライムスポットで、地元のロードバイク乗りには「ちょうど良い練習場所」として知られているそうです。

時間に余裕を持たせているので輪行を行えば角島や千畳敷などの名所を訪れる事も不可能ではないのですが、先に述べた台風の影響もあってか天候が安定しないので近場となりました。

明け方、朝6時過ぎまでは小雨がパラついていましたが、7時過ぎになると土砂降りに変わり、9時を過ぎた頃には一転して雨が止みました。

雨雲レーダーを見る限り今後は降雨の心配はなさそうなので、サイクルジャージに着替えてホテルを後にし一週間ほど置いたままにしておいたロードバイクとビンディングシューズを回収します。

その足のまま霜降山方面へと向かいますが、朝から辺りが薄暗くなるほど雨雲も厚くなり、やがて小雨が振り出します。

降り出した小雨は勢いを増して局地的な土砂降りと形容した方が適切なほど激しい雨となります。

困ったことには宇部市街地からも新山口駅前からも10kmは離れていた地点にいた私には、この雨にできる対処は一切なく中国自動車道の高架の下に避難することの他にできることがありません。

雨雲レーダーには全く反応がありませんが強い雨がしばし降り続けました。

それから30分ほどして漸く雨が上がると雲間から青空が現れます。

ここで引き返すか続行するか逡巡しましたが、自転車を持って山口県を訪れられる機会が限られている事から簡易清掃を施してライドを続行する事を決断しました。

グローブの裏面を使ってホイールのブレーキ面を丹念に拭き取り、チェーンにこびり付いた砂を払って自転車に跨ります。

しかし霜降山の入り口に達した時には辺りは再び薄暗くなっていました。

今にも降りだしそうな曇天の下、ゲートを左折していよいよ登山道に入ります。

獲得標高 210m 平均斜度 5.7% という見かけ上のスペックに似合わず、霜降山の登山道は序盤から急斜面が続きます。

それもそのはずで霜降山は勾配の緩い区間と 22m の下りを含む2コブ山であるため、コース全体での斜度の平均値は実際の登り坂よりも低めに表れます。

午前中に降り続いた雨の影響もあり急斜面でダンシングすると後輪がスリップしてホイールが空転します。

勾配は特に短いストレートできつくなり、それらを繋ぐカーブで若干緩む傾向があり急勾配でシッティングを続けなければならないのが辛くなってきます。

路面は荒れてはいませんが栗や落ち葉などの障害物が多く気を抜いていると落車しそうです。

得意のペース配分で乗り切れないので、濡れた路面に足を取られないよう気を付けながら気合と我慢でクランクを回して頂上まで向かいます。

力押しで登りきったタイムは11分06秒。

雨上がりでさえなければクロモリの Raleigh CRN フレームに DT RR21-Dicut ホイールの組み合わせでも100秒ぐらいは縮められそうな感触がありましたが仕方ありません。

登り切ると駐車場と公衆トイレがあり、樹木の合間からは宇部市街を一望できます。

晴れていたら綺麗なのでしょうけど、登頂と同時に雨が降り出している状況では展望は全く期待できません。

本番である明日のロングライドに無事に参加できるよう早々に切り上げ、ホテルに戻って自転車の分解清掃と点検を行います。

秋吉台の壁 – 遅れてきた夏休み

前日からの雨天予報に加えて当日の朝になっても降水確率は60%を下回りません。

しかしホテルの窓から見える宇部市街地の景色は午前6時前から既に明るく、数時間後には灰色の雲を割って青空が拝める予感がします。

今日の夕方には東京へと帰りますが飛行機が飛ぶ迄にはまだまだ時間があります。

時間とロードバイクがあって雨が降っていないならすることは一つです。

せっかく山口県まで来ているのですから「最大斜度28%」のキャッチフレーズで有名な「秋吉台ナイト壁クライム」のコースを体験しない手はありません。




日本最大のカルスト台地は山口県のほぼ中心部に位置しており、私が宿泊している宇部市からは約40kmほど距離があります。

東京での40km (新宿から八王子) は心理的に遠いところですが、広くて空いている道が続き、信号もほとんどない山口県の40kmは半日もあれば十分に行き帰りできるところです。

部屋着からサイクルジャージに着替え、ホテルのクロークに貴重品を預け終えたら、みかんさんと合流して一路秋吉台を目指します。時間は午前9時30分。天気はところどころに青空が見えるまでに回復してきました。

途中に広がる景色の美しさと道路の走りやすさ (路上駐車や渋滞がないどころか車が余り来ない) に感嘆しながら90分足らずで秋吉台に到着します。

若干のアップダウンはありましたが今の私ならアウターギアで速度を落とさずに難なく乗り越えられるので特に困難はありません。何処に行くにも登り坂がある山口県の地形に驚愕していた1年前と比較すると大きな成長を感じます。

時間も限られているので、秋芳洞の駐車場 (秋吉台の麓) でドリンクを補給して目当ての「秋吉台の壁」にそのまま臨みます。秋芳洞から秋吉台に至る道は2つありますが傾斜がきつくて車がほとんど通らない方が「壁」であり、もう一方が一般的なルートだそうです。

もちろん選ぶのは前者です。平地から上の方を向いた道に突入すると斜度が絶え間なく上がり続けます。右側に曲がりくねっていて遠くからは見えませんでしたが、休む間を一切与えない無慈悲な坂が登りきるまで延々と続いています。


このクラスの坂の多くは人気も疎らな林道が多いので傾斜のきついところは大きく回ったり蛇行する事もできますが、ここは車がほとんど通らないとは言え片側1車線の普通の道路である事が攻略難易度を上げています。

普通に車が通る道である以上、ふらつきや蛇行などはできません。白線の直ぐ傍を維持しながら確実に淡々と登っていきます。幸い百草園のように急勾配に前輪が浮くような事はありません。「斜度28%」と聞いてある程度の覚悟はしていたのですが、一向にその瞬間が訪れないままに登りきって交差点に達してしまいました。

思いの外の短さと噂の割には「まとも」な道であったことに拍子抜けしましたが、それでも平均斜度18%の坂はある程度の訓練を経た上でなければ登れません。

ヒルクライムとは必要とされるスキルが少し異なりますが十分に楽しめる名所である事は確かでした。

インパクトと落車の危険性で言えば百草園の方が甚だしい気がしますが、どちらも「激坂」として十分に通用するスペックを持っている事は間違いありません。

登り終えたら交差点まで引き返し、今度は展望台方面に登ります。

展望台付近には峠の売店と小さな食堂があり、名物の夏みかんソフトクリームが味わえます。せっかくなのでソフトクリームだけでなく夏みかんジュースと秋吉台高原牛肉うどんも頂いて昼ごはんとしました。



牛丼のような味付けの牛肉と麺類の組み合わせは山口県に良くあるようで、食べながら川棚温泉の瓦そばを思い出しました。

食後は「壁」ではなく、秋芳洞から秋吉台に至るもう一方の道を経て宇部を目指します。

こちら側から見える景色は最高で、遠くまで見通せる開けた草原はさながら標高2000m超の高原の様です。

先ほど「壁」の方が傾斜がきついと書きましたが、こちら側でも時折7%から9%の下り注意の看板が出てきますので景色に見とれてばかりもいられません。




非日常的な美しい風景に後ろ髪を引かれながら刻々と迫る飛行機の離陸時間を意識します。

下り基調とは言え、それなりに距離がありますので意識を切り替えて走りに専念することが肝要です。途中で道を間違えて登らなくても良い涼木峠を越えたり、帰りの獲得標高が497m (行きは「壁」も含めて483m) に達したりと些細なアクシデントがありましたが2時間30分ほどで宇部に到着する事ができました。

到着後は洗顔シートで全身を拭き、化粧室でジャージから普段着に着替えて、無事に東京への飛行機へと乗り込みます。

どこにも行かずに仕事をしていた盆休み代わりの私の休日(前半)は、こうして終了しました。

ありがとう、みかんさん。さようなら、山口県。

また今週末まで。

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