香港で美味しい燒臘を食べよう

宿泊先の九龍と業務地区の湾仔を往復するだけの香港生活も1週間に差し掛かろうとしていた頃、余りにも湾仔から離れない私の生活に呆れた台湾の友人が「香港で訪れるべき店リスト」を作成してくれました。

好きで来ている観光客とは異なり、自分の意思で訪れた訳でもない私には特に行きたいところや見たいものはありません。

幼少期に一度訪れた事がある為に初訪問でもなく、ましてや外出を控えるように警告を受けるほど大気汚染が深刻な状態で、スモッグで景色もろくに見えないのでは散歩に出かける気も湧きません。



私らしからぬ引き篭もり生活に異常を感じて友人が作ってくれたのが、先述の訪れるべき店リストという訳です。正直、どこで何を見るべきなのか、考えもしなかったので大変助かりました。

リストの最初に含まれていたのは、Wellington Street にある Yung Kee (鏞記)というレストランです。台湾人の彼女によると「香港で最も有名なレストランよ」との事。

訪れてみると、確かにただの一レストランではなく、香港文化の一部を形成しているような威厳と雰囲気があります。

残念ながら私は粤菜に詳しくないので、彼女に勧められた通りに À la carte のメニュー roasted dish (燒臘) に含まれる barbecued pork を注文しました。

一緒に来ていた連れの二人はセットメニューを選択したので、幸運にも味見と称して signature charcoal roasted goose も一緒に頂く機会にも恵まれました。



豚肉の方は外側が甘塩っぱいソースで味付けされており、繊細でとても上品に仕上げられておりながら、内側は豚肉本来の味がよく活かされています。

その味わいは、中華料理はこれほど控えめなに、素材の良さを引き立てる事もあるのかと感心したほどです。

ガチョウの方は反対に肉の奥から滲み出てくる旨味がジューシーで濃厚です。深い味の層が幾つも重なりながら調和しているのは本当に見事です。

どちらかと言うと、こちらの方が万人向けかもしれませんが、細い骨が含まれているので食べるときは注意が必要となります。



訪れるべき店リストの2つ目は Hennessy Road にある Honolulu Coffee Shop です。

ここのミルクティーとエッグタルトが中国語圏では非常に有名で、香港に訪れたら誰もが一度は行くらしいです。

「さすが女の子だね」と茶化すと「本当に有名なのよ(原文ママ)」と日本語で返してくるぐらい憤慨した様子。

どうやら Wikipedia にも記事があるぐらいの有名店のようです。


こちらもとても美味しいお店には間違いありませんでしたが、香港のこの喫茶店にしかない特別な点が見出せませんでした。

湾仔に位置していて美味しい紅茶が飲める事に価値があるのは間違いありませんが。

リストによると他にも Jaffe Road にある Macau Restaurant のアイスレモンティーと pineapple bun (菠蘿油) 、檸七こと lemon seven up (詳細は不明) などのたくさんの名物が香港にはあるようです。

何れ、時間があるときに訪れてみようと思います。

クレジットカードが使えない?香港ドルは多めに持つべし

ランニングしようとウェアやシューズを用意したのに、大気汚染が予想以上に酷くて目論見が外れたのは前述の通りですが、大誤算はまだまだ始まったばかりです。

同じ中国語圏の台北や台中、国際都市として同列に評価されているニューヨークシティやベルリン、そして (もちろん) 東京での滞在経験から推測して、香港での滞在に現地通貨はそれほど必要ではないと考えていました。

Krone という独自通貨を保持し続けているデンマークにおいてさえ Euro が使える場面が多々あるのだから、名高い国際金融都市であり、中国本土も含めて世界中から多くの訪問者が訪れる事で成立している香港において、現地通貨が必要となる場面などそれほどないだろうと。

そのため支払いはクレジットカードを中心に用いる事に決め、クレジットカードが使えない場面では OCTOPUS というプリペイドカードを使用するつもりでいました。



ところが現地を訪れてみると、クレジットカードが使えるレストランや商店は一部に限られており、使えるという表示のあるレストランにおいても多くは一定の支払額以上に達した場合のみとなっている事が判明しました。

さすがに Central (中環) の高級レストランや有名ブランド店では問題なく使用できますが、中環や湾仔の高層ビルに入居しているレストランであっても支払いは香港ドルで現金のみの場合もあります。

こうなると通常以上に財布の紐が堅くなりますが、香港の食べ物は安くて量が多い上に美味しい事が非常に多いので、予算を絞っても食事の満足度は高いままです。



食事そのものに関する不満は 基本的に中国産の素材しかない事を除いては ほぼありませんが、支払い方法が1都市内でしか使用できない現地通貨に限定される事については不満しかありません。

しかし、一部の人にとって更に問題となる事が、香港での支払いには付いて回ります。

驚愕すべき事に、そして出張で来ている方にとって困る事に、香港での精算ではレシートや領収書が基本的にもらえません。

イタリアとは正反対の慣習に最初は何が起きているのか理解できませんでしたが、発効して欲しいと頼んでももらえない事が結構な頻度で生じるので、発効してもらえたら運が良いぐらいの気持ちで臨んだ方が気が楽です。



クレジットカードは基本的に使わないので支払い記録は残らず、現金でやり取りでもレシートが残らないので、どうやって収支の記録を取っているのか不思議で仕方がありませんが、香港での生活とはこういうものらしいと理解するようになりました。

日を追う毎に香港の事を全く知らない事を思い知らされます。

続く

香港生活は大誤算の連続

数日前から出張で香港を訪れています。主権移行の直前、まだ英国領だった頃に一度だけ香港を訪れた事のある私にとっては、今回が二度目の訪問です。

もっとも前回に訪れた際には10歳にも満たない年齢であった為、バスタブに溜まった水が茶色く濁っていた事ぐらいしか記憶にありません。

それほどに現地の知識の乏しい私が台北やジャカルタ、ニューヨークシティでの滞在経験(ともっと言うと中央ヨーロッパの在住経験)だけを頼りに何の下調べもせずに香港を訪れたら大変な事になったというのが今回の趣旨でございます。




最初の誤算は到着前から始まります。

1日に20kmはロードバイクに乗らないと夜中のうちに眠れなくて体調を崩す私にとって運動は必須です。

しかし、出張の大荷物に加えて10kgのクロモリバイクを運ぶ訳にもいかないので、冬用のスウェットパンツと長袖のランニングウェアを用意してランニングを行うことで代用する事に決めました。

こうした私の目論見は到着前から脆くも崩れ去る事になります。



澄み渡る青空の下に広がる錦江湾を眺めてから約4時間、香港に近づくに連れて徐々に眼下が霞んで見えにくくなってきます。

さらに時は進み、香港島を越えて九龍半島に入る辺りでは、完全に霧に覆われて視界が著しく悪くなります。

現地の事情に詳しくない私は、当初、この日の天候は霧ぐらいに思っていましたが、事情を知ると実はそうでもない様子です。

携帯電話の位置情報をONにしてインターネットに接続すると、大気の汚染状況が極めて深刻であるという警告メッセージが表示されています。

ドイツや日本にいた際には一度も表示されたことがなかったので、こんなメッセージ機能が備わっていた事にも驚きましたが、外海に面した香港に大気汚染の印象が全くなかったので現地に来るまで、ここまで空気の質が悪い事を微塵も知りませんでした。

私が香港に来ている事を知った台湾人の友人は、私が何も言っていないうちから「マスクは持っているの?」と尋ね「持っていないなら屈臣氏 (Watsons) で買って」と言ってきたので、どうやら中国語話者の中では常識のようでした。

彼女に教えてもらった http://aqicn.org/city/hongkong/ では、当時の香港の Air Quality Index は170を超えており、当然のように全域が Unhealthy の赤色に染まっていました (同時期の千代田区内の同指数は5-21)。

これではランニングどころではありません。

これから (特に冬場に) 香港を訪れる人はマスクを予めマスクを持参していったほうが無難かもしれません。

もし忘れても、薬局で口罩 (コウ-ズッアウと発音するそうです)と言えば現地調達する事ができます。
続く

Contact Us