カーボンチューブラーホイールの使い心地について語ろうと思う

私が所有しているホイールは現在4組ほどありますが、その中で唯一つ採用回数が極端に低いホイールがあります。

The 46 AERO Tubular と名付けられた REYNOLDS のカーボンホイールです。

昨年6月に購入して軽くインプレして以来、なんとブログ上では全く出番がありません。

走行会などで出番があるので記事にしていないだけで 500km 以上は使われているのですが、それでも走行距離は述べ 1,000km にも届いていません。

そもそもの購入目的がカーボンホイールを自身で手組みする際のベンチマークにしたいというものだったので、走らなくても構わないと言えば構わないホイールではあります。

しかし、せっかくの高性能ホイールを所有していながらも、敢えて使わないことには、それなりの理由があります。




流行らないチューブラータイヤ

実際に自身で使ってみて、個人的にはカーボンチューブラーホイールも有りではないかなと思っています。

The 46 AERO に関して述べれば、走行性能の面では文句のつけようもありません。

軽くて加速が良いのでヒルクライムでもレースでも使えます。それでいてワイドリムに対応した太めのタイヤのお陰で乗り心地も悪くありません。ディープなのに横風も気になりません。どこで使っても楽しい不思議なホイールです。

ところが、このワイドリムに対応した太めのチューブラータイヤ (700 x 25c) は在庫が極端に少ないのか、実店舗でも通販でも時期を逃すと購入が難しくなります。

クリンチャータイヤであればセール時にまとめて購入して、手持ちのストック数に応じて買い足していけば良いのですが、700 x 25c のチューブラータイヤは見つけた時にまとめて予備タイヤを購入しておかなければ、その年にはもう安心して乗れなくなってしまいます。

チューブラータイヤは細いタイヤを使用していた頃に流行していた旧い規格です。

当時から主流であった 19c / 20c / 22c の何れかのタイヤであればまだしも、最近の流行であるワイドリムに対応しているものは絶対数そのものが少ないのです。

そして今後も数が増えていくことは余り期待できません。

現在のデファクトスタンダードはクリンチャータイヤであり、メーカーが積極的に開発投資を行なっているのはチューブレスタイヤだからです。

設計が旧いが故に構造が複雑で製造工程が煩雑、その為に価格も高く、タイヤ換装の手間も大きいチューブラータイヤは単純に流行らないのです。

消耗品の在庫も少ないREYNOLDS

タイヤも特殊であれば、ブレーキパッドも特殊です。

一般的なカーボンホイールであれば、お好みに応じてブラックプリンスやコルクなど使用すれば良いところなのですが、REYNOLDSのホイールは特殊な耐熱加工処理を施している事からブレーキシューも純正品を用いるように指定しています。

このブレーキシューも在庫が常時ある訳ではないので、見つけた時に購入してストックしておかなければなりません。

なぜか日本のアマゾンには在庫があるみたいですが…


レイノルズ Cryo Blue Pads 4個入 シマノ用

走行面でのデメリットは少ない

カーボンホイールの使用にあたりブレーキ関係を気にされる方が多いと思いますが、今までに使用中に不安になった事は数える程しかありません。

私が走るのは基本的に奥多摩の山間部なので、気温30℃に迫る真夏の間に都民の森 (檜原街道) の20kmも続く下り坂や最高斜度22%と言われる今川峠の急坂で使用しましたが、止まれなくなったりリムが溶けるほど発熱したりという事は経験していません。

ただしブレーキングには気を遣い、常時、引き続けたりする事は避けて熱が籠らない使い方を意識しています。

結局のところ、使用頻度が低いのはカーボンという素材よりも、使用している消耗品が特殊で入手性があまり良くない事の方が要因として大きいです。

しかし、入手性の良くない太めのチューブラータイヤも、メーカー純正のブレーキパッドも軽さと性能という絶対的な優位性を持っている為に、レースでは確かな需要があります。

流行らないから価格も割高で取扱いも面倒ですが、機械式時計のように趣味性の極致として楽しむと覚悟を決めた人には最高の走行性能を約束してくれます。

そんな尖った部分も含めて、個人的にはカーボンチューブラーホイールも有りではないかなと思っています。

ロードバイクのホイールを自分で組んでみる

私の認識ではロードバイクのホイールは消耗品です。タイヤチューブやチェーンと比較すると長持ちで個性が強いという特徴がありますが、使用に伴い徐々に劣化して、やがて修理や交換が必要となる事には違いはありません。

そこで気になるのがホイールの寿命や維持費です。

特に私のように毎日バイクに乗れないと体調がおかしくなるライダーは走行距離も年間10,000kmを超えていたりしますので、購入してからさほど時間を置かずに製品寿命を迎えてしまう事もない訳ではありません。

私が普段履き用途に手組ホイールを使用するようになった理由も消耗品の入手性の良さや維持費の安さに魅力を感じての事ですが、故障する度に500km離れた馴染みのショップに送付していたのでは修理の度に無用な時間がかかってしまいます。

ハブの分解はともかくスポークの張り替えぐらいは自身でもできるようにならないだろうかと、これまでに何度か分解と組み上げを繰り返してきました。

ホイール組みの練習の素材となっているのは、完成車付属ホイールの調査時に分解したAR-713の前輪をそのまま使用しています。

前輪なので左右のテンション差などを気にする必要がなく、スポークの編み方に集中する事ができます。

そして元々が組み上がっていたホイールの部品なので、スポークの長さが正確という利点があります。何度も分解してホイールを組み上げていくうちに気づいた事なのですが、ホイールを組むにあたって正しい長さのスポークを使用する事は極めて重要と言えます。

2クロス、3クロスと複雑な編み方を丸暗記しなくても、スポークの長さが正しく、きちんと精度が出ていれば固定されるべきスポークホールの位置をスポークが教えてくれます。

これは実際に自分で組んでみないと分からない事でした。

その中で意味を為す言葉が「*個先の穴から出ているスポーク同士が交わる」というおまじないです。

スポーク長と交差するスポーク同士の位置さえ押さえていれば、少なくともそれっぽい形には組めます。

組み始めるまではスポークの構造を全て把握していなければ組めないという先入観がありましたので、慣れで組めてしまう事には自分でも驚きの気持ちしかありません。



順序として正しいかは不明ですが、私の場合はいつもハブにスポークを全て通してしまったら左右のどちらか一方を先にリムに通してしまいます。


各スポークの行く先は前述の通り、スポークの長さとおまじないが教えてくれますので、交差させるべきところでしっかりと交差させる事さえ忘れなければ、この時点では特に難しい事はありません。

苦労するのはむしろニップルの扱いです。

私の場合は何度やってもリムの中にニップルが入り込んで行方不明になります。

通し始めのうちはスポークを可能な限りリムに押し込んでネジを回していけば良いのですが、スポークをリムに固定するほど自由度が減ってニップルを通しづらくなります。

スポークを全て通し終わるとグニャグニャの柔らかいホイールができあがります。

柔らか過ぎて体重を掛けたら潰れそうに思えますが、ニップル回しを使ってスポークのテンションを上げて行くとホイールの形になります。


ここまで組み上げておいて...なのですが、実は私はローラー台の上でもこのホイールに乗った事がありません。

過去にハブを分解してベアリングボールを抜いてしまっているので、きちんと回らないのです(笑)

今までは練習で良かったのですが、最も使用頻度の高いホイールが壊れてしまったからにはきちんと組み上げて直した後に、ローラー台上で試走してやらなければなりません。

練習も滞っているので早急に直さねば...

というわけで本番

OpenProリム / FH-9000ハブ 重量計測

ほぼ1年間のライドとローラー台トレーニングによりスポーク切れを起こしてしまった手組ホイールですが、この機会に分解して組み直すことに決めました。

切れたスポークを差し替えて再度テンションを調整してやれば問題なく使い続けることも可能なのですが、オフセットリムを使用して左右のスポークテンション差を是正してやると使い心地はどう変わるのかに興味があるので自分で試してみる事にします。

せっかく分解するからには、今まで不明だった各部品の重量も測定してしまいます。




このホイールの出自ですが私がお世話になっている大阪が本店のショップに依頼して組んで頂いたものです。

自身で購入した部品の持ち込みではなくショップ発注だったので、実は各部位の重量計測を自分で行ったことがありませんでした。

そうした理由から私も知らなかった各部品の重量ですが、まずは再利用が決まっているハブから計測します。

この部品だけでも推定値よりも 5g も軽かったのですね。

続いて、前輪に採用予定のリムです。

こちらは推定値より 1g 重い値が出ました。私の記憶が正しければ、前記事に採用した数値はカタログ値なので精度が良いと言い切って良さそうです。



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