絶景ツーリング、絶景ドライブ、絶景ロードなど『絶景』という単語と高頻度で共起するビーナスライン。
話にはよく聞くのですが、どこにあるのか曖昧なままで、知らない人には全くイメージが湧いてきません。
それもそのはずで、ビーナスラインとは単一の道路ではなく、長野県内にある白樺湖、車山、霧ヶ峰、三峰山、そして美ヶ原まで続く複数の高原道路を繋げたものだからです。
ビーナスラインとしての全長は 70km を超え、異なる複数の道路がそれぞれに名所を抱えています。
中央道の諏訪や松本、上信越道の上田や北佐久郡、そしてその中間に位置する小県郡といった広大な範囲が沿線一帯に含まれます。
外堀通りと言えば赤坂見附や四ツ谷駅前を通る都道405号線、乗鞍エコーラインと言えば三本滝を通って畳平に至る長野県道84号線といった具合に、一本の線として認識しようとすると具体的な光景が思い浮かばないわけです。
前知識が乏しいことに加えて、目的地でもなかったことから下調べもせずに訪れたのですが、その道はとても険しく過酷なものでした。
私のそもそもの目的地は乗鞍岳であり、出発地点は甲州街道の起点となる東京の新宿です。
両者を結ぶ経路上に名山があり、少し遠回りすれば目的地にも問題なく辿り着けるという理由から、興味本位で足を踏み入れた訳です。
訪れて見たところ、過酷な大弛峠よりも更に長くて、斜度のきついアップダウンの連続が待ち受けていました。
補給地点の少ない点に加えて、交通量の多さが過酷さを極めます。
しかし、ビーナスラインの一部である県道460号線は、それだけなのでまだ良かったとも言えます。
諏訪盆地からビーナスラインに至るまでの国道142号 (中山道) は舗装状態も悪く、道幅も狭いところがあり、車一台が通れる程度の幅の狭いトンネルがあったりと、斜度が厳しい以外にも二度と通りたくない要素に満ちていました。
肝心の絶景はと言えば、三峰山付近の県道460号線 (ビーナスライン) は樹木に視界を覆われて今ひとつでした。
少し道路を離れて周辺を徒歩で散策したり、展望台を訪れたりすれば、素晴らしい展望が臨めるのかもしれませんが、道路上の展望はそれほど良くはありません。
三峰山からアップダウンを経て到着した美ヶ原は、霧に覆われていて何があるのかも判然としないほどに視界が悪い状況でした。
山頂の方角は雲と霧に覆われていて極度の視界不良でしたが、上田市やその向こうの四阿山や白根山の方角では辛うじて雲海のようなものが見えました。
白根山と言えば、国道日本最高地点として名高い渋峠で知られる山です。
雲海が拝める点といい、周辺の標高の高い山を背景に抱えている点といい、標高が 2,000m 程度である点といい、台湾の阿里山に良く似ている気がします。
後から調べて見たところ、美ヶ原も阿里山と同様に高頻度で霧に覆われているようです。
現実にはそこまで考えている余裕はなく、冬の荒川のごとく風が強くて寒かったので、さっさと下山しています。
結局、美ヶ原には何があるのか、実際に訪れて見ても良く分かりませんでした。