奥多摩には夏の魅力がいっぱい

東京都内において自転車を最も楽しめる場所が奥多摩ですが、移動速度と視点を変えて徒歩で巡っても楽しいものです。

徒歩でしか辿り着けない隠れた名所も数え切れないほどあり、乗っていること自体が楽しいはずの自転車を置いて、歩き出したくなることも度々あります。

そうした名所が特に多いのが奥多摩でも北部にあたる氷川・青梅方面です。

氷川とは奥多摩町の中心地区で、JRの奥多摩駅 (かつての氷川駅) のあるところです。檜原村や青梅市西部などを含めた広域地名の奥多摩との混同を避ける目的で区別して呼称します。

わざわざ区別する理由は奥多摩の地形と交通網にあります。

標高1,000m近い尾根が東西に伸びる奥多摩では南北の移動に困難を伴いがちです。

東側に位置する東京都心部に接続する交通網が発達しているという事情もあり、氷川や小河内 (奥多摩湖) であれば青梅、檜原であれば武蔵五日市や日の出といった具合に東西移動を前提として訪問を考える事が基本になります。




東西移動を前提とした場合に、自転車での走りやすさ (舗装状態の良さや交通量の少なさ) 、景観や周辺環境の良さ、御飯の美味しさを全て満足させるのは檜原・武蔵五日市方面、圧倒的な利便性とアクセスの良さを誇るのは高尾・八王子方面なので、自然とそちらの方に足が向いてしまいます。

実際、氷川・青梅方面は交通量が多く、危ない運転をする車も少なくなく、舗装状態も悪いところが散見され、トンネルも多いので、道路として見た場合には全く好きではありません。

しかし、ひとたび道路を離れれば、都心から大勢の人を引き寄せるだけの雄大で風光明媚な景色が広がっています。

風景の美しさでは奥多摩随一と言っても良いかもしれません。



圧倒的な大きさで非日常感を感じさせるのは小河内ダムですが、そこから下流にある多摩川の上流も水の透明度や渓谷美が楽しめる魅力の多い土地です。

JR鳩ノ巣駅から至近の距離にあり、川原に降りようとしない限りにおいては気軽に登山の醍醐味 (絶景) を楽しむ事ができます。

さらに下流に向かえばカヤッキング、上流に向かえば登山が楽しめるので、新しい趣味に目覚めそうです。



訪問にあたっての注意点は登山と変わるところはありません。

ツキノワグマの生息地で奥多摩駅前どころか青梅でも目撃例があります。

急峻な山が多く落石や滑落には細心の注意が求められます。装備もなしに不用意に沢に近づくのは非常に危険です (いつ増水するかも分かりません) 。

また気温や直射日光から常に熱中症の危険を伴いますので、常に水分と糖分を補給ができるようにしっかりと事前準備を怠らない事が必要となります。

入念な準備と安全に対する心掛けは要求されますが、首都圏の他のどこにもない荘厳な雰囲気を持つ山々や渓谷は一見の価値があります。

東京の自然という趣を持つ高尾の森、人里の身近にある山林を感じられる檜原や秋川の森と比較しても、奥行きや迫力を全身で感じる事ができる点が異なります。

そして、その魅力を最も楽しめる季節は夏だと私は考えます。

日原の鍾乳洞も、氷川の清流も、古里の渓谷も暑い夏だからこそ、その涼しさが際立ちます。

台湾第三の都市・臺中盆地でヒルクライム尽くし

私が台湾を訪れている理由は武嶺 (Wuling) にあります。

武嶺とは台湾における国道最高地点、標高3,275mにして、Maxxis Taroko International Hill Climb や Taiwan King of Mountain (KOM) Challenge と言ったヒルクライムレースのゴール地点でもあります。

台北行きの航空券と休みを確保したのは、そのヒルクライム大会に出場するために他なりません。

しかし、台湾東部を襲った5月28日の豪雨により会場となる臺8線 (中橫公路/Central Cross-Island Highway) 、開催地と台北とを結ぶ臺9線 (蘇花公路/Suhua Highway) の両方にて土砂崩れが発生。大会は開催時期未定の延期となってしまいました。

現地のニュース記事を継続して読み続けていると、その後も開催地の花蓮懸で地震が発生したり、復旧作業が難航していたりと言った報道がなされており、現在でも東海岸 (特に山間部) に訪れるには時期尚早と判断せざるを得ません。




ところで、当初の目的地の武嶺ですが、その実態は台湾中央山脈 (合歡山) 上に位置する峠です。

峠の東側に下りれば豪雨被害に遭った花蓮懸へと至りますが、西側に下りれば台湾第三の都市・臺中に辿り着きます。

私は臺中に不思議な縁があり、今までに自分の意志で行こうと思ったことは一度もありませんでしたが、向こうから呼ばれて訪れた事なら飽きるほどあります。

土地勘もあり、現時点で交通規制も行われていない事から、入り口の臺中だけでも見に行ってみるかと言う思惑で立ち寄ってみる事にしました。

西側から武嶺を目指す場合、通例では臺中から約50kmほど中央山脈寄りにある埔里鎮 (Puli) を起点にするらしいのですが、復旧作業の妨害を避けたい事、飛行機輪行用の大荷物を抱えてのバス移動も容易ではない事から今回は訪問を見送ります。

実際に訪れるのは臺中都心と新社區、南投縣の國姓鄉に囲まれた臺中の裏山です。幾重にも連なった標高450m付近の山塊に、縦横無尽に舗装路が張り巡らされています。

その舗装路をMTBやロードバイクが引っ切りなしに通過していくので、私も地元のサイクリストに混じって一通りの峠を巡ります。

臺中の中央駅から山道の入り口までは直線距離で10kmもありませんが、人家も疎らで補給地点はほぼ皆無です。

この辺りは大きな縣市道でも最大で12%前後の斜度があります。名前もついていない小さな道においては、平然と斜度18%ぐらいの坂が現れます。

自転車もよく通りますが、舗装された登山道ぐらいの認識を持って臨まないと危険です。

切り立った崖のようなところが多く、そう言うところほどガードレールがありません。その代わりに展望は抜群に良いのが悩ましいですね (夜景の名所だそうです)。

大都市のすぐ近くにあり、主要な道路もいくつも通っているので簡単に通過できそうに見えますが、一つ一つの峠がヤビツ峠ぐらいの走行距離と標高を持っていますので、普通に走っていると総獲得標高は瞬く間に2,000mを超過します。

日陰はあったりなかったりな上に、基本的に亜熱帯気候で日本よりも気温が高いので、熱中症には細心の注意が必要です。



峠を越えて行政区が臺中市から南投縣に替わると景色は最高になります。

埔里鎮に向かうにはここから更に標高400mと650mの2つの峠を越えて24kmほど山側まで進む事になります。武嶺からは約144km離れています。

訪れてみたいところではありますが、今回はどう考えても巡り合わせが良くないので、1日も早い臺8線の復興を祈りつつ臺中へと折り返します。

阿里山観光の拠点・嘉義

嘉義市内に宿泊しながらも、連日、阿里山にばかり訪れている私が述べても説得力のない話ですが、嘉義そのものも見どころに溢れた魅力的な土地です。

戦前の日本の面影を色濃く残す阿里山森林鐵路に嘉義神社 (嘉義公園)、アジアの織物や茶文化、仏教芸術などを専門に展示研究する國立故宮博物院・南院、嘉義の名物や特産品が楽しめる事で (台湾全土でも) 有名な文化路夜市に北回帰線のモニュメントなど、ここでしか見れないものが豊富にあります。

名物の火雉肉飯も甘辛い出汁の効いたタレと七面鳥の組み合わせが絶妙です

ガイドブックなど他所でも書かれているので詳細には触れませんが、嘉義そのものを目的として観光に訪れても満足できそうな事は想像に難くありません。




嘉義を始めとする台湾南部や中部の諸都市は桃園捷運機場線 (Taoyuan Airport MRT/機場線、以下MRT) の開通により身近なものになりました。

かつて (と言っても今年の3月以前) は桃園の国際空港から高速バスで約1時間かけて臺北車站 (台北中央駅) まで北上しないと、どこにも行けないものでした。

MRTの開通により空港と高鐵桃園站 (THSR Taoyuan Station) が接続された事で、高鐵 (Taiwan High Speed Rail/俗に言う台湾新幹線) 経由で空港からそのまま南下して中部や南部を目指すことができるようになりました。

桃園から嘉義を目指す場合もMRTと高鐵を使用するのが最も簡単です。

両者ともに専用の荷物置き場がありますので、輪行も特に大きな問題にはなりません。

ただし、高鐵嘉義站から嘉義市内までは専用のバス路線で移動する事になりますので、人数が多い場合は桃園から台北を経由して、在来線の急行列車を利用した方が安全かもしれません。

私の訪れた際は、高鐵の桃園から新竹までの区間において座れない乗客が数人出たぐらいで混雑もなかったので、MRTでも高鐵でもバスでも輪行を断られる事はありませんでした。

嘉義は大きな都市なので着替えの服やUSBメモリなどを現地調達する事は可能です。

しかし、専門店の数や品揃えは台北や台中には及ばないので、入手困難なもので持参可能なものはなるべく持参を検討した方が得策です。

例えばローパスフィルタを清掃するための無水エタノールは、あるところにはあるのかもしれませんが、私は見つける事ができませんでした。それどころか、ブロワやレンズペンですら探すのに苦労しました。

ロードバイクやマウンテンバイク関連の部品であれば、華里林森西路 (嘉義駅東口) と垂楊路にGIANT Store (捷安特) がありますので、滞在中に必要となるチェーンルブや予備のタイヤ等はそちらで入手する事も可能です。

阿里山の大雨の中でリア変速機を破損させた時にお世話になりました。その際には「日本から阿里山に登りに来た」と自己紹介したところ、店長さんに気に入られて夕食を御馳走になりました。

南国の例に漏れず、比較的遅い時間帯まで店舗が営業している事が多いので、ショッピングには時間的な余裕が持てる事が多いです。


換言すると昼間が暑すぎるという事でもあるのですが、少しばかり陽が暮れてからの方が涼しくて歩きやすくもあります。

昼間の鮮やかな青空と山の緑に覆われる都市も、夕暮れから夜になると仄かに赤く妖しく輝き始めます。

フォトジェニックで楽しいのは昼間なら郊外、夜なら街中です。

この夏祭りのような南国特有の雰囲気は最高なので、阿里山や玉山に登る機会がありましたら、ぜひ訪れてみてください。