Brompton 専用スーツケースを買った話

どこか出かけた先で、気軽に自転車に乗りたいという欲求を手軽に充足させてくれるブロンプトン。

持っていて良かったと思う瞬間の一つが出張です。

それなりに大きさはあるものの、どうにか荷物と言い張れる絶妙なサイズ感と、分解・組み立ての容易さは、旅行のお供として非常に優秀です。

というのは建前で、正直なところ、日常生活では折りたたみ性能が活躍する場面は限られています。盗難対策と収納、この二点にほぼ専念していると過言ではありません。ほぼ盗まれないための選択です。

それでも「出張に持っていったら面白いのでは」と前々から思っていたので、先日ブロンプトン専用のスーツケースを購入してみました。

選んだのは誰もが知るブランド品ではなく、中華の越境ECサイトで購入できる中国製です。

誰も取り扱っていない中華のほうが、レビューのしがいがあり、閲覧者もそれを望んでいるというわけでもないんですが、スーツケースなんてものは作業者に放り投げられていずれ壊れる運命にあるわけです。

高級品を選ぶ必然性のないアイテムなんですね。

どうせ行き先もほとんどの場合が中国なのですから、中国製で何の問題もありませんね。

最後に Digital Services Act の適用です。これを綺麗事を抜きに率直に説明すると、法律の穴をついて好き勝手やっている中国の越境ECサイトに法の網をかける施策です。

これをやられると、安くて使い潰せるスーツケースはそのうち買えなくなりそうです。

とくにブロンプトン用なんて特殊なものは、ますます入手困難になりそうです。

買えるうちに買っておこうと思ったわけですね。

価格は送料別で米国ドルで $350 ほど。

ブランド品ほどではないですが、少量生産の専用品なので高価と言えば高価です。

素材はポリエチレン製で、一般的なスーツケースよりやや硬め。ただし、強く押せば凹む程度の柔軟性はあります。ボディ自体の強度には特段の不安は感じません。工作精度もしっかりと出ています。

これ単体で質量は約 12kg になります。

つまり、ブロンプトン本体と合わせると、それだけで預け入れ荷物の重量上限に達します。ほかの荷物を入れる余裕はほぼないと考えて差し支えありません。

ただし、それはあくまで重さの話であって、フレーム周囲には最低限のクリアランスが確保されており、ウェアや空気入れなどの小物を同梱できる余地もあります。

自前の緩衝材を追加したところです。もっとも、必要ないかもしれませんが。

サイズ感は専用品だけあって、車体はぴたりと収まります。

こうして改めて見ると、荷物としては完全に特大サイズです。外形寸法は非常に大きく、一般的なスーツケースと比較すると横幅が顕著に広い。

ブロンプトン本体の寸法がそのまま反映されており、これ以上小さくできる余地はありません。

幸いにして極端に細長い形状ではないため、列車の収納スペースや空港の手荷物カートには収ます。ただし、日本の新幹線に載せられるかは少々怪しいところです。

試したことはありませんが、たぶん無理なんじゃないかな。

飛行機に載せる際には、サイズ・重量・形状のいずれを取っても、通常の預け入れ荷物として扱うことは可能と思われます。

しかし、実運用ではスポーツ用品として預けるほうが合理的でしょう。

ベルトコンベアによる投げ込みリスクを低減できるほか、高額なスポーツ用品となれば荷扱いが比較的丁寧になることが期待できます。

使い始めた当初は、概ね想像通り。可もなく不可もなく、という印象ですね。

ところが、香港に持っていったり、神戸に持っていったりしているうちに異変が・・・

転がし時の直進性が失われてない?

と思ったそばからキャスターが破断しだしたぞ?!

スーツケースっていうのは壊れるものなんですよ。先にもそう書いたばかりです。

それでも、これまで多数のスーツケースを破損してきましたが、2回の使用で致命的な故障が発生した例は初めてです。ちょっとこのキャスターは貧弱ですね。

筐体はまだまだ使えそうなだけになんとも惜しいところ。こういうところで中国製クオリティを発揮しなくていいです。

中華ECに交換部品の発送を依頼したところ、返ってきたのは「本体回収・全額返金」という対応でした。

この前まで中国にいたので、これならそのまま置いてくれば良かった、ではなくて、交換部品さえくれればそれでいいと言っても、顧客担当は返金処理を進めてしまいました。

すると今度は、販売店舗側から「交換部品を送るので返品をキャンセルしてほしい」という連絡が来る始末。

ご存知の通り、中華ECはウェブサイトやアプリなどのプラットフォームを運営しているだけで、実際の商品の販売自体は中国国内の加盟店が行っています。

そのため、運営側には交換部品対応の在庫やフローが用意されておらず、部品不良=即返金という処理が実行されるようです(中の人がそう言ってました)。

一方で販売店側には、返金処理による損失とペナルティが発生するため、返品は避けたい思惑があります。

事情は理解できるものの、返品処理を進めたのはプラットフォーム側であり、一度、実行されてしまうと顧客側からは中断する権限がないんですよね。

そして本体が回収されて既に手元にない段階になってから連絡してきて、あとから部品だけ送られてもどうしようもありません。

いろいろモヤるところがあり、改善できるポイントが思い浮かばなくもないのですが、あれな国ではあれな国の事情があって論理的に物事が進みませんので、そういうものだと割り切って現実を直視するしかありません。

購入3週間、2回のフライトで故障する品質に問題がないわけではないので、販売店にも落ち度があると認めて諦めてもらうしかありません。

取り扱い方の問題?いや、航空会社は2回とも中国国航 / Lufthansa なので、やっぱり中国の問題です。

いろいろ闇が垣間見える話でしたが、モノ自体はキャスターを交換して使い続けても良いかなと思える程度には良いものでした。壊れましたが。

ブロンプトンは守れましたがキャスターは守れませんでしたね。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *