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11 min read Updated Sep 22, 2026

甲州街道自転車散歩 新宿 - 藤野 - 八王子 105km

夏も終わりに近づく、ある日、早朝に目が覚めました。 午前中の予定は無し。麹町に 11 時までに戻ってこれる範囲内であれば、どこに出かけていても問題はありません。 この好機を活かせることに思いを巡らせ、ふと過去に登っていた峠道を再訪してみるかという気分になりました。 東京の過密に嫌気が差してからというもの、あれだけ通っていた奥多摩からもすっかりと足が遠のいてしまい、最後に訪れたのはいつだか思い出せないほどです。 今の状態で訪れてみたら、どう思うのだろうという好奇心、これこそ東京にいる今しかできないことだという気持ちから、自然と身体が動きます。 出発地点は久しぶりの新宿三丁目交差点。時刻は午前4時です。 出発時の気温は 26℃ 湿度 96% 風向きは南東 2m/s とやや向かい風です。 北海道から戻ってきたばかりということもあり、道路の狭さと周囲の車の運転速度の遅さは目に付くものの、年単位で避けていたことが不思議なぐらい普通に走行できます。 さすがに午前4時台なので、土曜日でもない限り、違法駐車のタクシーに路肩を埋め尽くされる心配も少ないです。 それよりも案内表示に出てくる初台や大原、八王子の表記に癒やされます。見慣れた地名の安心感が堪りません。

時刻は午前4時50分。ようやく夜が明け、始発電車が動き出す時間です。 にもかかわらず、多摩川の河川敷はこの時間から驚くほど通行者がたくさんいます。まだ、ギリギリ5時になってもいないというのにランナーがたくさん、自転車乗りが少数、歩行者がそれなりにいて、人の流れが途切れません。 朝焼けの空が美しかったので、立ち止まって撮影していたら、ジョギングしてきたお婆ちゃんに話しかけれました。 これだけ人通りが多いところで話しかけられるのは初めてだったので、何かと思って少しばかり緊張。どうも写真が好きで、私が持っていたカメラが気になったようでした。終始、笑顔の途切れないノリの良いお婆ちゃんでした。 ときおり撮影のために河川敷に立ち入りながら、その隣を並行する一般道を走り続けているうちに聖蹟桜ヶ丘に到着しました。 本日の最初の目的地です。 多摩市にある関戸の「いろは坂」というのを登ってみたかったのです。 どこにあるのかは知っていましたが、じつはロードバイクで登ったことは一度もありません。 ここを登っても卸売市場に出るだけで、尾根幹線も微妙に遠いので経路に組み込みにくいのです。 あらためて訪れてみると、駅前からの距離が 500m ほどしかないことに驚きます。中心市街地のすぐ隣です。そのわりにヘアピンカーブの連続する立派な坂なので、地形としてもユニークです。 距離は 800m 程度と短いながら平均斜度は 6.8% もあります。 早朝の5時台には通行する車もおらず、バスも来ないので、街中であっても静かで快適でした。 登りきったあとには、さらなる目的地を目指して西進を続けます。 この先の多摩市と八王子市の間に百草園と呼ばれる勾配のおかしい坂があります。 3年ぐらい前に訪れて「こんな坂のぼれるか」と思ったわけですが、あれから更にいろいろな山道を経験して「今ならどう思うのだろう」という興味が湧きました。 ところが百草園の目の前の川崎街道を走行しながら、入り口を見落とすという失態をやらかして多摩モノレールの駅まで来てしまいました。 自分のポンコツっぷりをすっかり失念していました。 ここで引き返せば百草園には行けるでしょうけれども、11時までに麹町に戻らないといけないことを考えると、その先には進めなくなるので泣く泣く断念。 そう言えば、この辺りには高幡不動という平安時代から続くと言われる古刹もありました。 少し寄り道して、歩を進めると、ようやく八王子に到着です。ここで再び甲州街道と合流します。 八王子の千人町から高尾駅にかけては銀杏並木が美しいので、私は甲州街道ではこの区間が最も好きです。 次点は半蔵門で、その後はとくに思いつかないのですが… そんなことを思いながら走行しているうちに、本日3番目の目的地である和田峠の入り口を見失いました。 しかし、雰囲気がよかったので高尾山口駅を越えて、そのまま大垂水峠に突入します。 高尾山口は訪れる度にお洒落になっていて、あたらしく珈琲店などもできていましたが、大垂水峠は相変わらずです。 斜度は緩くもなく厳しくもなく、標高は低く、展望はまったく開けず、ほんとうに通り抜けることだけに特化した実用性重視の単調な峠道です。 周辺が国定公園なのであまり開発できない事情もあるのでしょうか。 それでも登りきると富士山がよく見える場所がいくつかあります。 そして、この辺りまで来ると河川の水の透明度が高くなって、魚影が見えるようになります。 この自然環境と都心からの近さが魅力なのか、いつ訪れても登山者が絶えない場所という印象通り、今日も数多くの登山者と遭遇します。 さきほど八王子で見落とした和田峠に反対側から向かうため、ここらで西進を止めて藤野から北側に回り込みます。 そのまま、進めば鶴峠から奥多摩湖、甲武トンネルから都民の森に行けるところですが、時間もないので和田峠を経由して八王子に戻ります。 前回、和田峠を訪れたのは2年前だったか、3年前だったか、もはや記憶にすら残っていません。 ここに来る度に「八王子よりも藤野側のほうが厳しい」とつねづね思っていた通り、「裏和田」と呼ばれる藤野側は半端なく辛い峠道でした。 和田峠の枕詞にもなっている「平均斜度 10%」の八王子側は 3.5km の距離を休みなしに登り続けることで有名ですが、その反対にある藤野側は距離 6km のやや長い峠道です。 ただ距離が長いだけではなく、時折、出てくる急勾配を平坦区間で薄めて平均斜度 8% に均したと言ったほうが適当な坂です。 いまのところ、十勝岳の 14% & 13% の勾配標識につづき、登り勾配 13% & 12% の警戒標識が連続している坂をほかに見たことがありません。 実際に登ってみると、勾配のキツさと8月の残暑で目眩がしてくるほどでした。 山道ばかりを走って、少しぐらいは登れるようになったかと思いきや、成長を感じる暇もなくインナーローにギアを落とし、暑さと脱水症状に苦しみながら何とか峠を越えました。 楽しんでいる余裕など一切ありませんでしたが、ここに通い続けたからこそ、どんな山道にも臆さない度胸と体力と技能が身についたのだという気がして、少しばかり嬉しい気持ちになります。 あとは見知った峠道をくだって帰るだけです。 くだるだけと言っても、和田峠の八王子側は道幅が狭く、林道で薄暗く、曲がりくねった斜度 10% の急勾配が 3.5km も延々と続くので緊張の連続です。 朝も9時過ぎということもあって、登山者も自転車乗りも多かったので、最後の最後まで本当に大変でした。今では「よくこんなところを走っていたな」と感心してしまうほどです。 そういう意味では、たしかに和田峠に走り慣れておけば、どんな山道にでも対応できるのは間違ってはいませんでした。 緊張感と握力が途切れたところで、不足していた水分とカロリーを補い、京王八王子駅から輪行で帰ります。 本線の始発駅のなかで、もっとも空いていて使いやすいので、私は京王の3駅のなかで京王八王子が一番好きです。 橋本はJRとの乗り換え客、高尾山口は登山客で混雑するので、普通の終着駅の八王子のほうが余裕があります。 全通時のように京王八王子から山手線を越えて新宿追分、いっそ四谷見附まで来てくれると、うちから山が近くなって最高なのですが西新宿でも大いにありがたいことです。 「そもそも自宅にいることがほとんど無いだろ」という声が聞こえてきます。 特急電車に乗り込んだら 30 分ほどで新宿に到着しました。 午前中だけでも、それなりに遠出できるものです。

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