先日、ブログ記事を書くために京王線の路線図を調べていたとき、おもしろいものを見つけました。
住宅情報サイトが実施した私鉄路線の「代表的な駅」についてのアンケートなのですが、私が予想していた回答とアンケート結果があまりにも掛け離れていたのです。
2017年 京王線沿線に住む人が選んだ、代表的だと思う駅は? | 住まいのお役立ち情報【LIFULL HOME’S】
https://www.homes.co.jp/cont/town/town_00173/
アンケート結果はリンク先をご覧いただくとして、私が考えていた京王線を代表する駅は「高尾山口」です。
また、2位以降には「多摩センター」や「聖蹟桜ヶ丘」が並ぶことを疑いもしませんでした。
私のように普段は電車に乗らないものからすると、京王線に乗る機会があるのは(1)高尾山に行くとき、(2)多摩センターのサンリオピューロランドに行くとき、そして(3)京王八王子を起点に奥多摩や丹沢、奥秩父の山間地に出かけるときの3つです。
実際には京王八王子から奥多摩方面に向かうことが圧倒的に多いのですが
聖蹟桜ヶ丘は少し特殊で、京王電鉄の本社が立地しており、また京王資本の商業施設が林立する「京王の企業城下町」みたいな雰囲気のある街です。
ある意味で東急が開発した渋谷や阪急の梅田に似ています。
もし設問が「東急を代表する駅」であったとしたら、渋谷が不動の一位でも何の違和感もありませんが、京王線の始発駅のある新宿は鉄道敷設前から勝手に発展していた場所なので「京王線で行く場所」という印象は全くありません。
むしろ新宿まで歩いていって、そこから京王線に乗ります。
しかし、アンケート結果は私の想像とは正反対になっています。
私から見ると2位から4位までと、7位から10位までは何の印象も抱かない駅です。もし仮に、これらの駅が廃止されたり、改名されることがあったとしても、私はその変化に気が付かないと思います。
これがアンケートの回答者である「沿線に住む人」との認識の差異なのでしょう。
ここで少し思い出したのですが、私は学生時には京阪電車の神宮丸太町駅から徒歩10分ぐらいのところに住んでいました。
いわば、京阪沿線住民です。
普段の通学は徒歩だったので、電車に乗るのは新幹線や飛行機に乗るために東福寺で乗り換えするときだけだったのですが、沿線住民として京橋や淀屋橋などは意識にありました。
その沿線住民の目線で京阪電車の「代表的だと思う駅」を選ぶと「三条」を挙げると思います。
運行上の終点である「出町柳」や「淀屋橋」、繁華街かつ主要観光地の「祇園四条」を差し置いて三条というのは不可思議に思われるかも知れませんが、何度も乗っていると運行上の扱いや駅設備から重要視されている駅の見当がつきます。
京王線の代表駅のランキングに挙げられている(私からすると特に印象に残らない)駅も、毎日、利用されている沿線住民の方から見ると重要なポイントになる駅なのかも知れません。
京阪沿線住民だったときのことを思い出しても、そういえば、私も京都や宇治を観光した覚えがありませんので、高尾山口が代表駅に選ばれないのも不思議なことではないと思えてきました。
京阪でも伏見稲荷の最寄り駅には、通勤仕様の速達列車は止まりません。
かと言って、全国有数の参拝者数を抱える伏見稲荷へのアクセス需要が少なくないのは、あらためて述べるまでもないと思われます。
ロマンスカーが小田急の顔であっても、小田急の代表駅が小田原や箱根湯本(こちらは正確にはグループ企業の箱根登山鉄道の駅)に確定するわけではないことと意味合いは似ているかもしれません。
個人的には小田急線の代表駅は「本厚木」もしくは「町田」だと思いますけれども、こちらも沿線住民の視点ではおそらく「代々木上原」や「下北沢」が選ばれることが容易に想像できます。
大都市の通勤路線では都心側の乗換駅のほうが利用客が多いので、沿線内ではそちらの方が注目を集めることは自然です。
一方で沿線以外からは(私鉄の乗換駅とは言え)郊外の住宅地にわざわざ向かう用事はありませんので、鉄道路線の終点にある観光地や空港、あるいは沿線の主要都市などに目が向きます。
結果として同じものでも、人によって全く異なる印象を抱くことにつながっているのでしょう。