E-Mount ユーザーがサブ機に NIKON の一眼レフを購入した理由

自転車用途に画角が足りない気がしたので Nikon D5600 を新たに購入しました。

欲しかったのは乗鞍岳や瀬戸内海を広く写せる超広角レンズです。

詳細はこちら:万能な機材は存在しない – 新しい撮影機材の妄想

上記の記事にも書いたことですが、E-Mount は自転車用途で使い倒しても構わない安価な広角レンズが不足気味です。

高画質な広角レンズを求めるなら SONY SEL1224G F4 もしくは ZEISS Batis 2.8/18 という選択肢はあります。

これらは素晴らしいレンズであり、それはそれで欲しいものの、自転車用途で気軽に遊び倒す目的で使用するには、画質も体積も質量も価格も少しばかり過剰です。

とは言えマウントアダプタを利用して他マウントのレンズを利用するには、バッテリー容量と重さが課題になります。

将来的には安価で高画質な広角レンズも発売されるかもしれませんが、発売まで待ち続けてもその間に逃した撮影機会と時間は二度と戻っては来ません。

お金などは幾らでも取り戻すことができますが、失われた時間や機会は二度と取り戻すことができないのです。

悩んでいる時間すら惜しいので、新たに Nikon D5600 を導入しました。

Nikon D5600 10.0-20.0 mm ƒ/8.0 20.0 mm 1/100 ISO 100

なぜ D5600 なのか、なぜ Nikon なのかを簡単に述べると次の3点のようになります。

  • 軽いから
  • 安いから
  • UFRaw でカメラのトーンカーブが使えるから




D5600 は軽い

一眼レフ機の中でも最軽量のボディの一つです。

スペック勝負のために最軽量を目指す必要性はありませんが、なるべく軽量な方が持ち運びやすくて助かります。

E-Mount ユーザーの視点で見ると操作系も分かりやすく直感的に使えます。何よりも電源スイッチが右側のレリーズボタン付近にある点が素晴らしいです。

しかしレンズマウントの方向が反対向きなのには慣れる気がしません。

レンズが安い

Nikon の一眼レフが使いたかったというよりも Nikon AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR のような安価で軽量な ( APS-Cの ) 広角ズームレンズが欲しかったことが選択の一番の動機です。


中古レンズも豊富にありますので、日焼け止めクリームや汗の滴る台湾の夏山、標高2,000mを超える高山、砂塵の舞う海岸など、高価な E-Mount レンズを持ち出したくない過酷な環境で積極的に使い倒したくなります。

UFRaw でカメラそのもののトーンカーブが使える

UFRaw とは GIMP のプラグインです。RAW画像の編集に用います。

GIMP は無料という点ばかりが強調されますが、私が考える最大の長所は Linux 上でも動作することです。

学生時とは異なり Arch で自作のデスクトップ環境を構築したり、 /etc の中身を自身で編集したりする気力はもはや持ち合わせていませんが、いざとなったらGPUコンピューティングマシンという強力なコンピュータ上で編集が行えるというのは他にはない利点です。

その編集ソフトと相性が良いのが Nikon ならば選んでおいて間違いはないかと選択の一助となりました。

Nikon D5600 10.0-20.0 mm ƒ/8.0 11.5 mm 1/200 ISO 100

重さはともかくとしても一眼レフは大きい

機材は使いこなさなければ評価できませんので、実際に自転車で持ち出して自宅の周辺で試写してみました。

すると重さ自体は全く気にならないものの、大きさが APS-C のミラーレス機とは大きく異なることが難点だと気がつきました。

肩からストラップでぶら下げていると振り向きざまにぶつけたり、ロードバイクのトップチューブに当たったりするので、取扱いには細心の注意が要求されます。


それだけミラーレス機が小さくて便利だったのだなと再確認しました。

それでも立ち止まってファインダーを覗いた瞬間に、一眼レフとはなんと便利なのだろうと驚嘆するので、使いどころが重要ということでしょう。

炎天下の光の中でも安定してピントを合わせることができ、オートフォーカスも素早く決まる一眼レフは自転車用途でも決してミラーレス機に劣っているわけではありません。

毎回、持ち出すには機能や大きさが過剰な面はありますが、ここぞという場面では大活躍してくれる頼りになる存在です。

ああ、早く乗鞍岳に行きたい…

北山公園という不思議な坂

日本最大の関東平野と八溝山地の境界線上に位置する笠間。市街地のある盆地から周囲を見渡せば緑の山々を間近に拝めます。

一見すると選り取り見取りですが、実際には山道の入り口を見分けるのが大変で、土地勘がないと何処に向かえば良いのか分からなくなります。

山は近くに見えているのに行き方がわからない。或いは自分のいる方角からは道が通じていないなどということも少なくありません。

そこで宿泊しているホテルのフロントにて「最も行きやすい山」への行き方を訪ねてみました。

そうして知ったのが JR 宍戸駅、あるいは友部駅の北側にある北山公園です。




名前からして普通の運動公園に見えますが、標高差を活かしたローラー滑り台や太平洋まで見渡せる展望台があるなど、丘陵地帯をそのまま公園として保全している様子です。

宍戸駅前を通過すると直ぐに入り口の坂が見えてくるのには驚かされます。

しかも坂の斜度は 10% を容易に上回っています。

慌ててギアを落として登り切ると、しばし雰囲気の良い林道が続き、世にも珍しい射撃場が見えてきます。

それも営業中らしく時折パンッという発砲音が辺りに鳴り響きます。

そのさらに奥には大きな池も控えています。

これだけであれば、多摩丘陵や相模台地によくある坂と大差はありません。

しかし、北山公園の面白いところは、池の先から本格的な山道の様相を呈するところです。

なんとヘアピンカーブまで備えたワインディングに変貌します。


ただし標高はわずか 100m 足らずなので、本格的な山道の様相を呈した瞬間に呆気なく峠を越えて下り坂が始まります。

あくまでも公園であり本格的な山道ではないということでしょうか。

ヒルクライム目的で遠方から訪れるには物足りない気がするところですが、セグメントが置かれているので地元の人には良い練習場所になっていることが伺えます。

周辺の雰囲気は抜群に良いので紅葉時に撮影目的で訪れる方が楽しめそうな印象です。

山に分類するには長さと高さと執拗さが足りず、坂と呼ぶには景色の移り変わりが激しすぎる北山公園は、どちらにも分類し難い何とも不思議な場所でした。

CANYON に学ぶ自転車の梱包と飛行機輪行

CANYON の自転車を購入するとライン川下りの名所として知られる “ドイツの角” のすぐ近くから、ダンボール箱に梱包された自転車が自宅まで届けられます。

なんだか送り元の住所に既視感があるような、ここ通り掛かったことあるんじゃないかな…

という気がしてくるのは置いておくとして、箱の中身の方に目を向けると空輸されることを前提とした梱包の工夫が随所に見てとれます。

繊細なカーボン素材のフレームやホイールの輪行では、タオルやホイールバッグなどを緩衝材にして厳重に梱包したくなるものですが、CANYON の対処方法を観察していると「箱の中で自転車が動かなければいい」という簡潔な方針に従っているようです。

これぐらいで大丈夫なのだろうかと思われるかもしれません。

そう思われる方が自然です。

実際に私が運送会社から自転車を受け取った時点で、外箱には穴が空いていたり、凹んでいたりと輸送距離を感じさせる損傷が見らました。

外箱に直に干渉しているホイールなどを見ると不安に思われますが、確認したところ破損などは見られません。

自転車本体を内部でしっかりと固定する緩衝材と外箱を補強する「突っ張り棒」の役目を果たすダンボールの補強材を組み合わせることで、衝撃や圧迫から自転車が守られているのです。

外箱が大きく変形しやすいことを考えても補強材の役割は重要です。

これがあることで飛行機の貨物室などにある他の荷物に自転車が押し潰されることを予防できます。




この便利な外箱を飛行機輪行に再利用したいところなのですが、残念ながら多くの国際線旅客機では預け荷物の規定サイズを超過するために再利用は難しそうです。

外箱の寸法が大きくなる理由は、後輪を装着したままの状態で自転車を収納するためです。

自転車の保護を考えるなら良い方法ではありますが、日本の輪行環境だと採用は難しいものがあります。

反対に積極的に再利用する価値があるのは、自転車を固定する緩衝材とマジックテープの方です。

こちらは外してしまうと区別ができなくなってしまいますので、予めサインペンで緩衝材に固定位置をメモしておくと確実です。

他にもチェーンの位置は内側のインナーローに落として変速機を保護する、タイヤの空気圧は適度に抜いてホイールの緩衝材として使う、大きな工具は内包しないなど、見れば見るほど飛行機輪行のお手本のような工夫が随所に見られます。

それだけ経験と実績のある CANYON の梱包を見るに、結局、輪行では

  1. 自転車部品どうしが擦れ合わないようにしっかりと固定する
  2. 他の荷物に押しつぶされないように自転車を守る
  3. ( そしてライド時と同じように ) 落下や転倒などの衝撃に晒さない

という3点だけを守れれば十分ということなのでしょう。