阿里山観光の拠点・嘉義

嘉義市内に宿泊しながらも、連日、阿里山にばかり訪れている私が述べても説得力のない話ですが、嘉義そのものも見どころに溢れた魅力的な土地です。

戦前の日本の面影を色濃く残す阿里山森林鐵路に嘉義神社 (嘉義公園)、アジアの織物や茶文化、仏教芸術などを専門に展示研究する國立故宮博物院・南院、嘉義の名物や特産品が楽しめる事で (台湾全土でも) 有名な文化路夜市に北回帰線のモニュメントなど、ここでしか見れないものが豊富にあります。

名物の火雉肉飯も甘辛い出汁の効いたタレと七面鳥の組み合わせが絶妙です

ガイドブックなど他所でも書かれているので詳細には触れませんが、嘉義そのものを目的として観光に訪れても満足できそうな事は想像に難くありません。




嘉義を始めとする台湾南部や中部の諸都市は桃園捷運機場線 (Taoyuan Airport MRT/機場線、以下MRT) の開通により身近なものになりました。

かつて (と言っても今年の3月以前) は桃園の国際空港から高速バスで約1時間かけて臺北車站 (台北中央駅) まで北上しないと、どこにも行けないものでした。

MRTの開通により空港と高鐵桃園站 (THSR Taoyuan Station) が接続された事で、高鐵 (Taiwan High Speed Rail/俗に言う台湾新幹線) 経由で空港からそのまま南下して中部や南部を目指すことができるようになりました。

桃園から嘉義を目指す場合もMRTと高鐵を使用するのが最も簡単です。

両者ともに専用の荷物置き場がありますので、輪行も特に大きな問題にはなりません。

ただし、高鐵嘉義站から嘉義市内までは専用のバス路線で移動する事になりますので、人数が多い場合は桃園から台北を経由して、在来線の急行列車を利用した方が安全かもしれません。

私の訪れた際は、高鐵の桃園から新竹までの区間において座れない乗客が数人出たぐらいで混雑もなかったので、MRTでも高鐵でもバスでも輪行を断られる事はありませんでした。

嘉義は大きな都市なので着替えの服やUSBメモリなどを現地調達する事は可能です。

しかし、専門店の数や品揃えは台北や台中には及ばないので、入手困難なもので持参可能なものはなるべく持参を検討した方が得策です。

例えばローパスフィルタを清掃するための無水エタノールは、あるところにはあるのかもしれませんが、私は見つける事ができませんでした。それどころか、ブロワやレンズペンですら探すのに苦労しました。

ロードバイクやマウンテンバイク関連の部品であれば、華里林森西路 (嘉義駅東口) と垂楊路にGIANT Store (捷安特) がありますので、滞在中に必要となるチェーンルブや予備のタイヤ等はそちらで入手する事も可能です。

阿里山の大雨の中でリア変速機を破損させた時にお世話になりました。その際には「日本から阿里山に登りに来た」と自己紹介したところ、店長さんに気に入られて夕食を御馳走になりました。

南国の例に漏れず、比較的遅い時間帯まで店舗が営業している事が多いので、ショッピングには時間的な余裕が持てる事が多いです。


換言すると昼間が暑すぎるという事でもあるのですが、少しばかり陽が暮れてからの方が涼しくて歩きやすくもあります。

昼間の鮮やかな青空と山の緑に覆われる都市も、夕暮れから夜になると仄かに赤く妖しく輝き始めます。

フォトジェニックで楽しいのは昼間なら郊外、夜なら街中です。

この夏祭りのような南国特有の雰囲気は最高なので、阿里山や玉山に登る機会がありましたら、ぜひ訪れてみてください。

飛行機輪行に大活躍!Amazonベーシック ポータブル機器用キャリングケース

輪行に飛行機を使いこなせるようになると行動範囲が一気に広がります。

高速鉄道やバスよりも圧倒的に移動時間は短く、料金も割安、航空会社のマイレージクラブ会員であれば、出張で溜まったマイルを航空券に変えて実質的に無料で遠方まで輪行する事も可能です。

しかしながら便利な飛行機輪行にも面倒な点は多々あります。

自転車のタイヤの空気は搭乗前に抜いて置かなければなりませんし、CO2インフレータのボンベは持ち込み本数の制限を受けます。

工具や液体物を手荷物として機内に持ち込みする事はできません。

反対にリチウムイオン電池を搭載した電子機器は、預けずに手荷物として携帯しなければなりません。

通常の出張でも億劫に感じるものですが、輪行の場合にはパソコンやシェーバーやタブレット等の他にも、LEDライトやサイクルコンピュータ、電動変速機などの電子機器が幾つも加わります。

高性能で高価格なものであるほど、リチウムイオン電池内蔵の充電式だったりする傾向にあるので厄介なものです。

そんな電子機器類をまとめて収納し、手荷物検査を短時間で切り抜けるのに大活躍するのが、Amazonベーシック ポータブル機器用キャリングケースです。
ノートパソコンのアダプタや携帯電話を収納する事を想定していますので、本体の体積も収納力もかなりのものです。


上の図で大きさが分かりにくい場合は下を参考にしてください。

飛行機輪行において自転車本体から外さねばならないLEDライトやGPS端末、アクションカムなどは、スマートフォンなどと共に一箇所にまとめてしまえという訳で、このケース内に収納します。




実際に入れてみました。

左側にあるのはSONY CP-R10S (10,000mAh) CAT EYE VOLT800の先代モデル、GARMIN Oregon 600、そしてHAKUBA レンズペンです。
右側にはGARMIN Edge520SONY アクションカム HDR-AS200V、その電池とSONY NP-FW50 (Eマウント・ミラーレスカメラのバッテリー)、単3電池2本にKindle Paperwhite Wi-Fiです。


これに更にAndroidスマートフォンも加えて、ジッパーを閉じる事ができます。

体積的に収納する事ができないのはシェーバーとノートパソコン本体ぐらいです。

内容物の保護の観点でも、外側はハードシェルで裁縫もしっかりとしている為、鞄から何度も出し入れしても不安がありません。

と言いますのは (一度でも飛行機に乗られた事のある方はご存知でしょうが) リチウムイオン電池内蔵の電子機器類は、手荷物検査の際に鞄から取り出して検査官に確認させなければならないからです。

内容物を個別携帯するのは検査前 (後) の準備に多大な時間を要するほか、忘れ物の原因にもなります。

鞄から取り出してジッパーを開いて置くだけで済むキャリングケースは、普段の持ち運び以上に手荷物検査でこそ本当の効力を発揮します。

ただでさえ荷物が増えて面倒になりがちな飛行機輪行では、キャリングケース一つ分でも労力を削減する工夫が地味に効いてくるものなのです。

阿里山と雲海・夕立・雨の峠道

2017年9月の落石事故を重く受け止め、太魯閣渓谷と山道の危険性について記述しました (2017年9月17日追記)。


桜と高原茶、神木、五奇にも数えられる旭日、夕焼け、森林、鉄道など、阿里山の魅力を形容する語彙は多々あります。

その中でも最も幻想的であり、同時に悩ましくもある存在は雲海ではないでしょうか。

標高2,000m超の峠や山におけるヒルクライムでは、登坂中に雲の中に突入することも決して珍しくはありません。しかし、雲霧が名物と化している阿里山においては、霧の天候は年間244日、雨天は209日、平均降水量は4,000mm [1] と高頻度で雲に山が覆われます。

阿里山公路と大華公路のそれぞれを通って、阿里山に連続して2回訪れた私も、その両方で濃霧と激しい夕立に遭遇して楽しくも大変な体験をしました。

濃霧は視界を遮り、雨は道路と側溝との境界や路面状況を覆い隠し、土砂災害を招き、ブレーキの制動力や体温の低下を招きます。

決して甘く見てはいけません。それと同様に雨から逃げようとして慌てて降りてもいけません。

雨の山道は本当に危険なものだからです。



たかが霧ぐらいと侮っていると、進むごとに濃度が上がり、僅か10m先すら見えなくなります。スピードに乗った下り坂では特に危険です。

その雲霧の先には往々にして雨が待ち構えており、湧水が豊富な場所では落石や土砂災害の危険性もあります。

侮らず、慌てず、天候が回復するまで安全なところに退避しましょう。




ガラス戸を1枚隔てて、天国と地獄が隣り合う光景を楽しむぐらいの余裕が必要です。



運良く建造物の屋根に辿り着けない場合には、生い茂った樹木の陰で霧や雨を凌ぎます。

体温低下や自動車との接触事故を回避し、前照灯や車幅灯の電池を温存する事が目的です。

南洋植物の遮蔽性は高いので、1時間ぐらいの雨なら全く濡れずに済む事もあります。

ただし、枝や果実、石などの落下物や転倒の危険性は常にありますので、ヘルメットだけは外してはいけません。


阿里山のような標高の高い連山の場合、平地とは異なり、一帯全てが雨や霧に覆われる事は稀です。

雲が掛かるのは一部の地域のみなので、激しい雨が降っているところに自ら突入する事を避け、焦らずに遣り過す冷静さを保つ事が肝要となります。

直ぐにでもその場から離れたくなる気持ちは分かりますが、ポケットを引っ繰り返しても悪夢は終わりません。

焦らずに落ち着いて状況に対処する事が求められます。

自らを救うのは迷信や他力本願、根拠のない強がりではなく、自分自身の経験と観察、そしてLEDの人工光だけです。

雨避けを辞めるタイミングと進むべき方角は、通りがかった車に付着した水滴、風向き、光量、虫の雑音などが教えてくれます。

一難去って澄み渡った空と山道の組み合わせは本当に美しいものです。

それを見る為にも焦って降って事故に遭ってはいけません。

高山の雨は遣り過し、待機中は体温低下を避け、降坂は落下物に気をつけながら道路の中心寄りを走ります。

止まない雨も晴れない霧はありません。

安全になってからゆっくり降ればいいのです。




引用