南房総へ東京駅から1,000円で行ける楽園を求めて

多くの自転車乗りが絶賛して止まない房総半島。

交通量が少ない。厳冬期でも路面凍結の心配がない。見どころがたくさん。

その素晴らしさを讃える言説は一度ならず耳にしていたのですが、今の今まで一度も訪れたことはありませんでした。

私の住んでいる四谷麹町あたりから見て東京都心を挟んで反対側に位置していること、大きな河川がいくつも流れていて交通が不便なこと、そして千葉県であることが大きな心理的な抵抗になっていたのかもしれません。

私は自転車に乗っていて日本で2回だけ死に掛けたことがあるのですが、その場所こそ千葉県の松戸市、そしてその隣の葛飾区なのです。

理由は単純で、道幅の狭いところをたくさんの大型車両が走っているからです。

それからというもの、どうしても千葉県と聞くと狭い国道 (河川を渡るために通らざるを得ない) を幅いっぱいに使って走るダンプカー、トレーラー、高速バスなどをイメージするようになってしまいました。




そんな思いを払拭する期待も込めて、今回は意を決して外房の勝浦を目指すことに決めました。

なぜ勝浦なのか。

上述のような理由もあって房総半島について何も知らなかったので、地図で見たときに東京から最も離れて見えた勝浦が自然と目的地に定まりました。

東京から遠ざかれば、それだけ交通量も少なくなるだろうと期待したのです。

初めての南房総でも、あらかじめ地図を見てルートを引いてというのは性に合わないので、千葉市内の蘇我駅を起点とし道路標識の青看板を頼りに勝浦を目指します。

起点にすべき駅も分からなかったので、東京からの終着駅である蘇我にしました。東京駅から蘇我駅なら片道運賃756円にして所要時間は約45分。これで快適な自転車生活を得られるのであれば御の字です。

ところが蘇我駅に到着してみると予想外に市街地が大きく人が多いことに驚かされました。

終着駅とは言え、千葉県庁や千葉駅から見て船橋や東京と反対側に位置しているにも関わらずの栄えぶりで、さすがに政令市なだけあるなと変に感動しました。

それだけに交通量も多いのですが、千葉市内は路肩が広いので走りにくいと言うことはありません。

しかし、千葉市を抜けて市原市に入ると国道でも道幅が狭いところがあり、そういうところに限って交通量も多いので「危ないなあ」と嫌な記憶が蘇ります。

信号は少ないものの、横断歩道などもなく、車は引っ切りなしに通り続けるので、反対車線側にあるコンビニに寄ろうものなら、数分間は待ち続けないと横断もできない酷いありさまです。

道中で見かけた緊急車両も、混雑した片側一車線では一般車両を追い抜くこともできずに、延々とサイレンを鳴らしながら車列の中を走り続けていました。

それでも進路をふさぐ路上駐車や危険運転のタクシー、赤信号を無視して停止中に追突してくる自転車がいないので、東京都内よりはずっと良い環境だと言い切れます。

あくまで東京都内との比較で、時間とお金を費やして輪行するのであれば… ここに来るのを20回ほど我慢してでも、1回しまなみ海道に行く方が絶対に良いと思えてしまうのが悲しいところ。

次回があるのであれば、少なくとも蘇我駅を起点にして市原市内を経路に含めるのは辞めようと思いました。

一般道を走るのであれば、木更津や勝浦まで輪行して、そこから更に南側を目指した方が良さそうです (そうなると10回我慢すれば、しまなみ海道に行ける料金になってしまいますが) 。

蘇我から勝浦までの一般道は、どこまで行っても大して交通量が減らない割に、道幅の狭いところが増えてくるからです。

トンネルが存在しない、コンビニやファミレスが比較的等間隔にあり補給に困らない、小湊・いすみ鉄道が国道と並走しており、もしもの時にも安心といった良い点もあるものの、狭い道を引っ切りなしに車が通るので、千葉市内にいる時よりも遥かにストレスを感じます。

和牛ハンバーグ美味しい (大多喜町)

勝浦から御宿の海岸沿いは隧道や切り通しも豊富

勝浦に到着してからはどうすべきか考えていなかったのですが、道中ずっと強い南風が吹いており、ハンドルを取られそうになったので、そこから北上して御宿、上総一宮、茂原経由で千葉市内に戻ります。

景色の面では市原から勝浦までは特筆すべきものは見つけられませんでしたが、勝浦から御宿までの海岸線は瀬戸内海を彷彿とさせます。

東京近郊で手軽にしまなみ海道気分を味わいたいときに良さそうです。

本当は開放感にあふれた広い海岸線や外洋ならではの水の透明度を期待していたのですが、残念ながら海を臨める地点はそれほど多くなかったので余り意識することはありませんでした。

ここでも車が途切れずに通過するので、反対車線側に渡って海を見るだけで一苦労だったという事情もあります。

あまり海を意識せずに走り続けているうちに上総一ノ宮駅前に到着してしまいました。

勝浦に到着する前に、市原や大多喜を走行している際にも感じたことですが、この辺りの地形やロードサイド店の並ぶ様子が島根県に似ていて、海よりも山の方ばかりに意識が向いていました。

そのまま走っているうちに偶然たどり着いたのが一之宮・玉前神社です。

私が積極的に行こうとする神社は厳島神社ぐらいなので、普段なら素通りしているところですが、不思議と立ち寄りたくなる気分になったのでライドの締めとして参拝してきました。

こうして房総半島を横断し、大まかな位置関係と現地の様子を把握しつつ1日の終わりを迎えます。

半島地形ながら驚くほど高低差が少なかったので身体的な負担は少なく、それとは対照的に道が狭く、交通量が多いことから精神的には物凄く疲れた1日でした。

経験を経て言えることは山中の細い林道を目指すならともかく、海岸沿いを走る目的で訪れるには車が多過ぎて向いていないかもしれないという感想です。

私のように土地勘がないところを標識だよりに県道や国道を進むよりも、あらかじめ綿密にルートを決めて車と出遭わないように気をつけないと満喫するのは難しいと感じました。

GARMIN ForeAthlete 230J を購入してから毎日がとても充実

東京の人混み、路上駐車、信号停止に嫌気が差して鬱々と過ごす日々に危機感を覚え、ランニングウォッチとして GARMIN ForAthlete 230J を購入しました。

私にとってランニングはロードバイクの延長、あるいは早朝の視界の悪い冬場や出張時のトレーニングという位置付けです。

そのため、これまでは自転車用の GARMIN Edge520 を握り締めながら走っていたのですが、毎回、走り出してから後悔していました。

握り締めたまま走っていると掌が痒くなったり、10km から 15km (時間にして1時間から1時間30分ほど) 継続して走り続けていると、僅かな重さでも徐々に負担になってきます。

かと言って、走行距離・経路・時間を記録として残せないのは、つまらないものです。

ストレスなく走行ログを取るためだけに新しくGPS端末を買い直すべきなのだろうか。これが私にとっての最初の関門でした。

購入後に継続使用しているからこそ言えることですが、購入前には「どうせすぐに使わなくなるだろう」と本気で無駄になることを心配していました。




ランニングウォッチの選び方は?

いざ購入を決めたところに、立ちはだかる第二の関門はランニングウォッチの多様性です。

多種多様な機種から自分に適したものを選択しなければいけません。

率直に述べると、とても面倒くさいです。

これは参入メーカー数が多く、そのそれぞれが用途別に豊富なランニングウォッチを提供しているためです。

ただの歩数計だけでなく、睡眠管理なども含めたライフログ、登山にも使われることを想定したGPSマップ表示機能など、他の機能を複合していることが普通です。

その価格や機能のばらつき具合は、自転車用サイクルコンピュータとは比較になりません。

心拍計はあっても位置情報測定機能はないもの、GPSナビ機能まで搭載しているもの、防水のスマートウォッチ、あるいはサイクルコンピュータと同等の機能を有し、自転車用のスピード・ケイデンスセンサーと接続できるものまでバリエーションに事欠きません。

その中で私が重視したのは、軽量性、視認性、GPS機能の3点です。

と言うのも、私の場合は既に光学式心拍計として MIO Alpha 2 を所有しており、普段のトレーニングで心拍の測定を行う機会があまりない事を経験的に知っているからです。

どの程度の負荷で心拍数がどれくらいになるのかは体感的に分かっているので、毎朝のジョギングの度に計測することもないかと感じています。

同様にライフログや登山地図表示もランニングウォッチには求めません。

それよりも軽くて、見やすくて、走行記録が過不足なく取れる端末であることが重要です。

その条件で探して辿り着いたのが GARMIN ForeAthlete 35JGARMIN ForAthlete 230J という2つの端末です。

前者の方が機能的にシンプルで光学式心拍計を搭載している反面、後者の方が液晶文字盤が大きく多機能です。

前者がライフログやランニングに特化している一方、後者には最大酸素摂取量 (VO2Max) 推定や予想タイムなどレースを意識した機能が付きます。

加えてANT+ケイデンス・スピード加速度センサーと連携させて、サイクルコンピュータ的に使うことも可能です。

これに更に光学式心拍計を搭載した GARMIN ForeAthlete 235J というモデルもあり、真剣にトレーニングを行うのであればチェストベルトよりもこちらの方が良いのではないかという気さえしてきます。

しかし、先に述べた通り、私は心拍計を必要としていないので、機械的に単純な GARMIN ForAthlete 230J を選択しました。

また最終的に選択こそしませんでしたが、EPSON WristableGPS J-50K も同様に多機能で、Strava に走行記録を同期でき、安価な上に質感も高く極めて魅力的でした。

私は既に自転車用途に GARMIN を導入して (専用アプリの設定やデータの蓄積をして) いたので購入には至りませんでしたが、もしこれから何もない状態で始めるのであれば、こちらを購入していた可能性も大いにあります。

ランニングウォッチの使用感は?

ランニングウォッチを購入してまず驚いた点は、画面構成が複雑で多機能な事です。

同じ GARMIN でも Edge520 であれば、電源を入れてボタンを2回クリックすれば直ぐにライドの計測に入れます。

ところが ForAthlete 230J では、まずランニングの計測画面を表示するために、いくつかの画面遷移を行わなければなりません。

これはおそらくスマートフォンと同期してメールやSNSのメッセージ通知を受け取っているためです。

実際に能動的に使用するよりも SNS 通知やメールなどを受信して勝手に振動している機会の方が多いです。

走行中は立ち止まって着信の確認などはしないので、誰かから通知があったことを手元で確認できるのは割と便利です。

そしてメールや電話だけでなく、TwitterやFacebookメッセンジャーの着信にも反応します。本文の一部も読めるので携帯電話の画面を見る機会を減らせます。



肝心の軽量性と視認性の面では、導入以前と比較して大幅に改善されました。

見たいときに距離や時間を確認できるのは精神的に楽ですし、走るたびに手の快適さに感動を覚えます。
やっぱりサイコンは手で握りながら走るものではありません。

走ることそのものに集中できるようになって以前よりもずっと楽しくなりました。

凍える真冬の寒さ対策

東京都心でも外気温が0℃に近くになるこの時期、河川敷には霜が降り、山間部に雲が掛かれば積雪のおそれがあります。

そこまで行かなくとも屋外に出て走り出せば、体感温度はみるみる下がり氷点下を容易に下回るものです。

厚手のビブショーツをはき、冬物のジャージを着ても身体が温まる前に凍えてしまいます。

山間部まで片道 70km から 100km の市街地が拡がる東京の場合、午前5時以前に出発して夜明けと共に標高が上がるようなライドも珍しくなく、1日を通しての気温が -5℃ から 5℃ の範囲に収まることも少なくありません。

真冬のライドといっても、一時的に ( 標高の高い峠などにおいて ) 氷点下になるぐらいであれば大きな問題はありません。

しかし、12時間以上も連続で外気温が 0℃ を指しているような環境の中を走るには、いくら冬物とは言えジャージだけの装備では厳しいものがあります。

この寒さへの対策をどうしているのかを自転車趣味の先輩たちに教えて頂きました。




その中でも「なるほど!」と思えたのは、インナーに着る MIZUNO ブレスサーモ です。

肌から発散する水分を吸収して発熱する素材を使用しているらしいのですが、氷点下で何度も使用してみた印象では「発熱する」と言うよりも「冷たくならない」と述べた方がしっくり来る肌触りの良いインナーでした。

発汗性の良くないインナーを来ていると、ジャージの内にこもった水分が冷えて徐々に体力を奪うものですが、こちらは汗もこもらず、冷たくもならず、10時間以上も着ていても軽いままなので、ダンシングで激しく動いていても気になりません。


MIZUNO ブレスサーモ

身体の中心に近い上半身を見直したら、その次は足下の見直しです。

今までの私はシューズカバーも使わずに雪山にも行っていたのですが、長時間のライドになると厳しいので防風機能付きのカバーを導入しました。

使用してみたところ信号停止などの際には爪先が暖かく感じるものの、1日を通して気温が低く、風が強かったりすると、足の甲あたりが霜焼けで痒くなるのは避けられません。

ただ血液の循環が良くなるのか、長時間 (6時間 / 120km 以上) では使用していない時よりも疲れにくくなる事を感じます。


PEARL IZUMI 7911 サイクルシューズカバー ウィンドブレーク ロード

そこで、さらに靴下にも MIZUNO ブレスサーモ パイルソックス を導入したところ、体感温度が0℃を下回るような早朝でも爪先から凍えることがなくなりました。

ただし、靴下としてはかなり厚めなので、合わせるシューズの大きさには注意が必要です。

スキーやスノーボードウェアほどではありませんが、それなりに厚みがあります。

とくにサイクリング用途に特化した靴下は薄くて軽量なものが多いので、そちらに合わせた大きさの (ビンディング) シューズでは少し窮屈かもしれません。

私は夏用のシューズと、それより1サイズ大きめの冬用のビンディングシューズを使い分けて対応しています。

これらの防寒対策を取った上でウィンドブレーカーを持ち出します。

約2年ぐらい以前から持っていたのですが、携帯性を重視した薄地素材な為か、寒い時に着ても暖かくならないので着る機会は多くはありませんでした。

これは私が使い方を間違えていて、寒い時や (ダウンヒルなどの) 風が強い時に着るものではなく、防寒対策をしっかりと行った上で着ると効果が期待できるものの様です。

着ていない時には大きな違いには見えなかった防寒装備ですが、一つ一つが合理的な機能を有しており、距離を走るほどに重要に思えてきます。

走行距離も文字通りに桁違いに長い先輩方を見るに、まだまだ勉強したりないなと気づかされます。