レンズ交換式のカメラを購入したら、取り敢えず着けておけば安心のレンズ保護フィルター。
私はフィルターが好きで、レンズ本体よりも多くのフィルターを有しています。
風景撮影に通行人を写り込ませない用途に使える ND フィルター、反射光などの不要な光を除去するのに便利な PL フィルターなど、フィルターの交換だけで写真表現の幅が大きく広がります。
また1日に10時間近くも歩き続ける登山などでは、保護フィルターがレンズキャップの替わりに便利に使えることもあります。
長時間の移動途中の撮影において、片手が塞がっていたりすると、いちいちレンズキャップを付けたり、外したりしていられなくなります。
そんな時はレンズ保護フィルターを着けっぱなしにしておくと、泥はねや花粉、土埃などからレンズを保護してくれます。
新しいレンズを購入したら、開封して最初にすべきことは保護フィルターを装着することといった具合に、フィルターを着けることは当たり前だと考えてきました。
ところが、先日購入した新しいレンズにはフィルターを着けていません。
このレンズはフードがねじ込み式であり、レンズ本体とレンズフードの間にフィルターを挟むとフィルターも一緒に動いてしまいます。
フードの先にフィルターを着けると、今度は装着が良すぎて取り外しが容易ではありません。
結局、フィルターの使い勝手が悪すぎて、このレンズにフィルターを着けることはやめようと考えるようになってしまいました。
そうして、しばらくの間、フィルターなしでの運用が続きます。
新しいレンズの透明感と解像度に惚れ惚れしていたところで、あるとき、ふと考えました。
どうして、ほかの手持ちのレンズとこんなに違うのだろうと。
もともと解像感が特色のレンズなのですが、もしかしたらフィルターを使用していない影響もあるのではないかと思い当たりました。
あらためて考えてみると、今までフィルターなしでレンズを運用したことはありません。
高級コンパクトカメラだって普通はレンズフィルターなんて着けないのに、常時、フィルターを装着しておく必要があるのかどうかが疑問に思えてきました。
そこで全てのフィルターを外して1ヶ月ほど、今までどおりにカメラを使用してみました。
結論から述べると、チリや(あの忌々しい)黃沙がレンズに付着するので、頻繁にブロワーで掃除しなくてはならなくなりました。撥水・防汚コーティングには宣伝通りの効果があるみたいです。
何かしらの事情がない限りは、フィルターを装着したまま運用したほうが良いのではないかと、装着しないまま運用していて痛感しました。
事情というのは、もちろん、画質への影響です。
せっかく高解像度で高コントラストなレンズに高いお金を支払っているのに、フィルターを装着することで特色が失われてしまったら、何のために良いレンズを購入しているのか分かりません。
フィルターを装着することで出力に影響が出るのか、実際に何度か試してみました。
本当は新聞紙などを使うと良いらしいのですけど、もらいに行くのが面倒だったので、その辺りにあった本棚で代用しました。
細かな文字とかで比較できれば何でも良いのではないかと。私はこういう性格で興味が長続きしないのですよ。
比較に使用したのは SONY α7 RIII に MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical (通称あぽたん) です。
このレンズは条件が良いところで、きちんと撮影すると文字に使われているインクの質感まで写せます。今回は面倒なので(略)
ISOとシャッタースピードと絞り値は固定で (室内が暗いので) フラッシュを強制発光しています。
こんな手抜きの比較でフィルター装着の有無による画質への影響が分かるのかと最初は思っていたのですが、意外にもしっかりと影響が出ていて自分でも驚きました。
出力された RAW ファイルのカラーヒストグラムが明確に違います(左側だけに寄っているのは別問題として)。
フィルターなし
レンズ保護フィルター装着
PLフィルター装着
少し暗かったので露光 (exposure) だけを 1EV 上げて、ほかの設定をいじらないままの状態で細部を切り取ってみました。
フィルターなし
レンズ保護フィルター装着
PLフィルター装着
違うと言えば違うのですけれども、これぐらいだったら影響を気にしなくても良いのではないかなと個人的には思えます。
晴天時の屋外で比較すると似ているようで異なる結果が得られますので、気になられた方はご自身で試されてみることをお勧めします。撮影条件とファイル番号を付箋にメモして置くと簡単です。
画質については、人によって許容できたり、できなかったりする微妙なところだと思われますが、ひとつだけ、逆光に関してはフィルターを装着すると目に見えて弱くなります。
そればかりは仕方がないので、一時的にフィルターを外すなりして、運用面で対応していくしかありません。
フィルターの画質への影響は「ほぼ無い」と言われているとは言え、「まったく無い」わけではないことは何度か条件(撮影場所や時刻や被写体)を変えて自分で試してみて実感しました。
それを許容できるかどうかは個々人によって異なりますので、最終的にはご自身で比較されてみることが一番だと思います。
自分で比較していて、これは自分が納得できるかどうかが全てなので、個々の比較結果を誰かに伝えても仕方がないなと心から思いました。
フィルターを着けずに持ち歩いていると、外出する度にブロワーと掃除機でチリを取っても、また直ぐに汚れるので着けっぱなしで運用するのも一つの正解だと思います。











