安物サドルバッグには何が足りていないのか

スポーツ自転車に装着して使用するサドルバッグは消耗品です。

サドルという自転車のなかでも高い位置に設置されることもあり、走行中は左右に振られ続けるほか、紫外線や真夏の高温にも晒されます。

雨雪で路面が濡れているなかを走行すると跳ねた泥を直接かぶります。

結果として、何年か使っていると徐々にベルトが傷んできたり、生地が痩せてきたりします。

つまりは定期的に交換することが正しい運用法です。

それならば、最初から使い捨て前提の安物サドルバッグは選択肢になりうるのでしょうか。

用意してみたのは、実売価格 € 2.80 のノーブランド品です。

ドイツや台湾の老舗メーカーのブランド品と比較すると価格はおよそ5分の1。

これだけ安価だと練習用のスペアバイクや通勤自転車の一台ごとにサドルバッグを用意しても良いかもしれません。

汚れてきたり、見た目が見窄らしくなってきたら、躊躇なく新しいものに交換できます。

素材はナイロン製 公称サイズは 21 x 10 x 9 cm

ハンドポンプに、タイヤレバーに、15mm ラチェットスパナに加えて、余るほどの量の TPU チューブが収納できる大きさです。

それでいて質量は同サイズのブランド品よりも 15 – 25g 程度も軽量です。

それだけ耐久性に難があるということかもしれませんが、パフォーマンスを追求するなら積極的に選択する理由になり得るかもしれません。

一見すると、非常に良さそうに見えますが、シートポストに巻きつけるベルクロバンドの長さがおかしいです。

どんなパイプ径のシートポストにも合わないんじゃないかといった具合に見当違いの長さです。

ということは、開発者はおそらく実車で運用テストをしていないのではないかと考えられます。

この点、deuter や TOPEAK といったブランド品は、エアロシートポストでも、MTB のドロッパーシートポストにも合う絶妙な長さをしています。

それでいてベルトが切れてもバッグがただちに落下しない構造になっているんですよね。

こちらは固着力自体に問題はありませんけれども、このベルクロベルトの薄さと裁縫だと長期間の運用でそのうち破損しそうな気がします。

割り切って2年毎に買い換えるか、交換してしまえばいいかもしれませんが、このベルトの巻具合はあまり気持ちよくないですね。

さらに問題なのはサドルレールに引っ掛けるほうのベルトです。

こちらは裁縫が良くないので、長さ調整のためにベルトを引くと樹脂製バックルの嵌合に負けて糸が切れます。まじかよ・・・

値段相応といえば、そう言えなくもないのが評価が難しいところです。

重大な事故が生じる前に、いっそベルト類は信頼性の高いものに交換してしまうのも一考の余地があります。

ケースの方は販売価格を考慮すると非常によくできています。

何の問題もないと言いたかったところですが、残念ながら1,000km 程度の試用中にファスナーが開いて、金属製の CO2 ボンベが落下してしまうことが2回ありました。

この辺りはバッグの荷重制限があきらかになっていないこと、バッグの個体差があることから、再現性については何とも言えないところです。

使えるか使えないかで言えば、間違いなく普通に使えます。しかし内容物がこぼれ落ちたことがあるのも事実なので、同じことが起こらないことを保証できるわけでもありません。

その点、きちんとしたメーカー品は違います。

5年以上も使用して一度も内容物を落下させたことがありません。

自宅の鍵などの貴重品や精密機械である電動ポンプなどを収納するのには適しているとは言い難いところです。

価格から推察できる通り、とくに防滴性も謳っていないですし。

むしろ、防水性能がないことを逆手に取って、内側にビニールバッグなどを入れておくのも一つの手です。

落下しているのが二酸化炭素ボンベという小さくて重たいものなので、一つにまとめて体積を増やしておけば予防も可能です。

まとめるとベルトに難があるものの、最初から補修する前提で割り切って使用する分には十分な機能を備えていると判断して良さそうです。

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