走る気力が湧かない日々

12月に入って1週間が経とうとしていますが、自転車はおろか徒歩でも外出する気が全く起きず、今月に入ってから一度たりとも走りに出かけていません。

なんと冬季の日課としている毎朝のランニングにも参加できず、徐々に焦りと危機感を覚え始めています。

実は先週は自宅のある東京を離れて出張で新潟県を訪れていたのですが、そこでの生活には常に身近に雄大な雪景色がありました。

関東では高速道路を数時間も走らないと決して拝めないような素晴らしい光景に苦労も無く出会えてしまうのです。




それと同時に毎日、否応なしに自動車で数十分間も道路を走らなければなりませんでした。

私は車の運転は余り好きではないのですが、毎日の運転を通して、道路を走る事もそれほど好きではないと気が付きました。

私が好きなのは思う存分に身体を動かす事であって、狭くて危険な道路上で他の通行車両に気を配る事に楽しさは見出せませんでした。

ある意味、自動車で道路を走り過ぎたのかもしれません。

その後に戻ってきた東京では人混みと、歩行者と路上駐車、駐輪の無法地帯ぶりに本当に嫌気がさしてしまいました。

冬季は路面が凍結してしまう雪国と比較して、乾燥して快晴の多い東京の方が恵まれているとは良く聞く話ですし、私も以前はそう思っていました。

しかし、高緯度の北海道や高地を除けば、雪国でも本当に走れなくなるのは12月中旬以降と聞くと、普通に安全に走れるのは正月の3日間しかない東京よりも環境は良いのではないかという考えがどうしても思い浮かんでしまいます。

日本海沿岸ほどの豪雪地帯ではありませんが、私も冬の平均気温が氷点下になるようなところに住んでいたので、雪の厄介さ、凍結する水道管、素手で触ると皮膚に貼りつくドアノブなどの苦い思い出は多々あり、日常生活面での雪国の大変さは良く分かります。

決して侮っている訳ではないのですが、ランニング場所を探す事にすら苦労する東京の生活とは何なのかと考えさせられるぐらいには魅力的に見えました。

あとは仕事さえあれば… というところなのですが、そう何もかもを両立はできないので、運動と割り切ってローラー台を専門にするか折り合いの付け方を改めて考えなければなりません。

大都市でも快適に走るために覚えておきたい「黄金の時間」

English Bay in the evening 2

美術や写真の世界に “Golden Hour” という言葉があります※。

一日のうち、人や物や景色が特に美しく見える、日昇後と日没前の数十分の間を指してこう呼びます。

視覚芸術分野にいる表現者たちは光にとても繊細であり、天候や時間帯による人や物の見え方の違いを詳細に把握しています。

私のような自転車趣味の者が彼らから学べることがあるとしたら、それは道路環境も時間帯ごとの変化が大きく、「黄金の時間」を選べば何処に出かけても快適に走ることができるという事実ではないでしょうか。

快適に走るためには信号や前走車の影響を受けない、人気の疎らな道を選べば良いのは誰しもが知るところです。

しかし、多くの都市部に住む人にとっては、日中は混雑していない道路に辿りつくこと自体が困難となります。

そんな混雑の酷い市街地は輪行で回避してしまったり、趣味に打ち込める場所に住居を移してしまうのも有効な解決策ですが、より手軽に実践できるものとして人気の疎らな時間帯を走るという方法もあります。

冒頭に述べた「黄金の時間」です。




「黄金の時間」を具体的に述べると、夏季なら午前4時30分から6時00分までの90分ほどが該当します。

どのような天候においても路面状況を確認できるほどの明るさがあり、車の通行や路上駐車が少なく、通勤ラッシュが始まる前に帰宅できるのは、この時間をおいて他にありません。

それよりも早い時間帯はただでさえ視界が悪いところに、泥酔者とタクシーが傍若無人に振る舞い、路上駐車が増え、さらに道路の夜間工事のために車線数も減るなど、日中よりも危険性が大きく高まります。

それよりも遅い時間帯になると急激に車の通行が増えてきます。

快適で危険性の少ない早朝の90分の間に、休日であれば如何に市街地を抜けて郊外や山間部まで辿り着けるか、平日であれば如何に密度の高い練習を行うことができるかが、その後に続く一日の質を決定します。

偶然にも自転車にとって最高に快適な時間帯は、一日のうちでも人や物が特に美しく見える「黄金の時間」とも重なるため、幻想的な夜明けの空と早朝の澄んだ空気を楽しめるというご褒美まで頂けます。

早朝に走る習慣のない人には驚きの主張かもしれませんが、道路が快適で、景色も美しく、空気も美味しい「黄金の時間」は覚えておいて決して損はありません。

なお、冬季は日の出が遅くなる影響により夜明けの時刻と通勤ラッシュの開始時間が重なるので、自転車は諦めてランニングに専念しています。

関連: 冬場の朝練のジレンマ


※ 日本語における「マジカルアワー」との相違については話題が複雑になるので言及を避けます。確かに “golden hour” に類似する言葉として “magical hour” という言葉もあります。

前者は日昇「後」と日没「前」を表す文脈で用いられている事が多いのに対して、後者は日昇「前」と日没「後」を指す用例をよく目にします。ただし両者を同じ意味で用いる人もいますし、”golden hour” と “blue hour” を総称して “magical hour” と呼ぶ人もいます。

本文では日昇後と日没前の意味で用いられる用例が多いことを理由に “golden hour” を前述の意味で採用します。

ÖGON はいいぞ – ロードバイクやランニング用の財布を本気で考える

毎週末に自転車で100kmから200kmほど走り回っていると、スポーツ用途の携行品にも気を遣うようになります。

自転車での走行距離200kmを走行時間に換算すると約8時間から10時間に相当します。

その時間中、ずっと肌身離さず持ち運ぶ事になるのが携行品です。

特に金銭や貴重品を内包する財布は、時間中の飲食や宿泊、緊急時の対応などに密接に関わるほか、使用頻度も高いため、財布の使い心地がライドの質を決める と言っても過言ではないぐらいに重要です。




偉そうなことを言ってますが、私も長らく100円ショップのビニルケースを使用してきました。

ビニルケースは防滴性が高く、数年間も継続的に使用しても破れないほど丈夫で、内容物の確認も簡単です。

小銭入れとして便利なので、複数購入して頻繁に訪れる国の通貨ごとに分けて使用しています。


このビニルケースは、しかし、本当に財布に入れて保護したい貴重品 – つまり健康保険証や運転免許証などの身分証明書、クレジットカード、銀行のキャッシュカードなど – には全く適していません。

折り曲げに弱い上、カードや小銭が擦れ合うのを防止する事に構造的に不向きであるためです。

絶対に無くしたり、汚損したりできないカードと比較して、小銭などは優先度の低いものです。ポケットやツールケースに入れても差し支えありませんし、持ちきれなければ募金箱の中に置いてきても困ることはありません。

反対に身分証明書などのカードは、常に必要とされる可能性があるにも関わらず、基本的に1枚しか取得することができません。

ここが難しいところでして、休日のアウトドアやスポーツ用の財布やケースに入れっぱなしにしてしまえば平日に忘れる可能性があり、粗雑に扱えば紛失や汚損により使用不能に陥り、なおかつ、持ち運ばない訳にもいきません。

私の場合は、これらのカードを交通系のパスケースに収納して、休日も平日も同じように携帯する (自転車に乗る際はパスケースごとビニルケースに収納) という妥協をしていました。

ÖGON Stockholm に出会ったのは、まさにそんな時です。

台北へと向かう飛行機の機内販売カタログで見かけた際には思わず痺れました。



[OGON / オゴン] フランス製 アルミ 防水 カードホルダー (ブラック)


堅牢で小型軽量で防滴性があり、それでいて落としたら気がつくぐらいの大きさと重さを兼ね備えているもの。

デザインもシンプルで使用する場所を選ばないので、平日のオフィスに持って行っても違和感はありません。

その場でお買い上げして帰国後から毎朝のようにライドやランニングに持ち出しています。

WATER PROOF を謳っているぐらいですので、身体から滲む汗や小雨程度なら問題なく使用できます。

加えて紙幣の中では大きめな日本円の高額紙幣でも折り畳めば問題なく収納可能です。

携行品の点数で言えば、ビニルケースとパスケースの組み合わせよりも持ち物が減っているにも関わらず、防水性はかえって向上しています。

その要となる開閉部や密封装置 (内装) 、ヒンジなどは樹脂製です。

この中におまけとして、地味に役立つスキミング防止機能が付属します。

カードや紙幣の収納枚数は7枚しかありませんが、ライドなどで持ち出すのは基本的に健康保険証と決済用カードまたは紙幣、行きつけのショップの会員証ぐらいなので全く問題ありません。

遠方への輪行でも、これに加わるのは運転免許証と航空会社のマイレージカード程度です。

内容物が少なければ、開閉時に飛び出してくることも極めて稀です。

スポーツ用途の財布としての弱点は、貴重品を集中させてしまうので、紛失時のリカバリが難しくなることです。

そして、それとは全く反対の弱点として、自宅や自動車の鍵、パスポートなど、カードや紙幣以外のものは収納できないことが挙げられます。

紛失にさえ気をつければ (本体そのものも、開閉時の内容物も) ロードバイクもランニングも快適にしてくれる ÖGON はスポーツ用品でこそないものの、これまでのところ、スポーツ用途として採用してきた財布の中で最高の機能性と快適性を提供してくれています。