SONY RX0 II は撮影の認識を変える画期的なカメラ

かねてよりコンセプトを絶賛しながらも、結局、購入に至らなかった RX0。

文字通りの手のひらサイズに大型 1 インチセンサーを搭載し、防水性と防塵性と耐衝撃性を備えて、山でも海でも水中でも手軽に高画質な撮影を行える画期的なカメラでした。

ただし性能や携帯性と引き換えにレンズ焦点距離は固定で、撮影距離はテーブルフォトにも向かないほど長く、レンズを絞って明るさを調整することもできない等の不便な点もありました。

個人的には焦点距離ごとにバリエーションを揃えて、24mm 35mm 50mm と好きなものを選べるように商品展開をしてほしかったというのが本音です。

残念ながら RX0 の 35mm 画角版は実現していませんが、バージョンアップによって利便性が大きく向上したこと、絞り値固定などのネガティブな部分が気にならなくなったことなどから DSC-RX0-MK2 こと RX0 II を購入しました。


SONY デジタルカメラ Cyber-shot DSC-RX0

RX0との差異
先代の RX0 と後継機 RX0 II との差異は、撮影距離の短さ、手ブレ補正の有無、可動式の液晶モニタ、本体のみでの4K動画撮影、そして何よりも画像処理エンジン BIONZ X にあります。

操作性をやや犠牲にしてまで小型軽量化を突き詰めた RX0 だからこそ、高速で確実なオートフォーカスが使いやすさを大きく左右します。RX0 II はこの点が非常に優秀なため、実質的にオートフォーカス(AF-S)にフォーカスの選択肢が限られているにもかかわらず、使用中に不便を感じる機会はほとんどありません。

ポケットから取り出して電源ボタンを押した直後から、被写体によっては顔画像認識が働きます。それから僅か5秒以内に自動的に瞳 AF に切り替わることも珍しくありません。

これにチルト式液晶モニタを組み合わせると「自撮り」においては他のカメラの出番がなくなります。じつは RX0 II の購入動機の一つがこの自撮りです。




私個人はカメラの操作に慣れた人に撮ってもらうことが一番だと考えているのですが、私の彼女は見知らぬ他人に写真や動画を撮られることが苦手で、撮影者が友人であっても決して被写体にはなってくれません。

ところが自撮りならば自ら進んでカメラを取り出してくれます。こうなると中望遠の明るい単焦点レンズよりも活躍の場面が多くなるわけです。

自撮りという視点で考えると撮影距離が約 50cm から約 20cm に短縮されたことも見逃せません。この一点により自然風景だけでなく、自撮りにも料理撮影にも作業記録にも実用的に使えるようになりました。

「寄れる」ということ
最近では自転車のライド記録だけでなく、センサや電子部品を使用した工作の作業過程や稼働状態などを動画撮影したいという欲求の高まりも合わさって使用頻度がさらに高まっています。

こうした動画撮影は私が長らくアクションカムを流用してきたところです。しかし、説明目的の動画では超広角の画角は大抵不要であるばかりか、かえって不便な面も大きいので、自撮りから物撮りまで対応できる小型の 4K カメラには毎日のように出番が回ってきます。

画質と操作性
用途と利用頻度の話題はこれくらいにして、ここからは実際の画像出力を見ていきたいと思います。後述する理由もあって RAW イメージ編集は行っておりません。

シャッタースピードは最長で 1/4 秒。そこから 1/5 1/6 1/8 1/10 1/13 1/15 1/20 と段階的に調整することが可能です。なお画角は 24mm 相当。F値は 1/4 から変更できません。

操作性は Sony ILCE αシリーズと似通っているようで再生ボタンやファンクションキーなどに独特の癖があり、設定変更に数秒の手間を要しますので、夜景や水中などのように特殊な場合を除いてはプログラムオートで撮影することが多いです。

DSC08184
ƒ/4.0 7.9mm 1/50 sec ISO 160

DSC08287
ƒ/4.0 7.9 mm 1/50 sec ISO 320

DSC01049
ƒ/4.0 7.9mm 1/4 sec ISO 1250

DSC08234
ƒ/4.0 7.9 mm 1/50 sec ISO 5000

有効画素数 1530万 (総画素数 2100万) とは言え、さすがに1インチセンサを搭載しているだけあってダイナミックレンジや解像度を見ても、日中の画質は同じ SONY の DSC-RX100 シリーズと区別がつかないこともあります。

ちなみに RX100 III も半年間ほど使用してきましたが、いい意味で互いの短所を補い合っているので併用も可能です。

RX0 は起動が速く、防水、防塵で衝撃にも(カメラとしては)強い一方で細かな設定には難がありますし、画角や絞り値に至っては変更ができません。

RX100 (とくにRX100 M3 – M5A) は明るいズームレンズを搭載しており、思い通りの細かい設定や EVF の使用が可能である反面、精密機械としての取り扱いには気を遣います。また起動や設定に時間がかかるため、さくっとスナップ撮影するような使い方にはあまり適していないと感じました。

両者ともに電子水準器を搭載しており、3分割グリッド線も表示可能であるなど、記録だけではなく本格的な作品作りにも使用できるポテンシャルを秘めている点は同様です。

革新性と短所
RX100 を使い込んだ後に RX0 II に触れると、その設計の妙に驚かされます。

35mm フルサイズ基準で考えれば F/4.0 という明るさはズームレンズの開放以外ではそれほど積極的に用いられている印象はあまりないですが、1インチセンサのカメラにおいては被写界深度と暗所での ISO 感度のバランスがよく、晴天時の屋外から水中まで幅広く対応できます。

それに加えて、防水性と耐衝撃性と物理ボタンを備えていることから、運動中に首から下げたり、手に巻きつけたり、ポケットに入れたりしながら携帯でき、汗で濡れた手でも操作が可能です。

抜群の携帯性能を誇る RX100 ですら持ち出せない場面にも対応できる可搬性、Tessar 型レンズと最新の画像処理エンジンゆえの速写性、雨や水や泥のなかでも気にせずに使用できる信頼性を併せ持った RX0 II は他のカメラでは撮れない場面を写すことが可能です。

RX0 II が素晴らしいカメラであることに間違いはありませんが、もちろん改善点がまったく無いわけではありません。

数カ月の試用で感じる不便な点にはピント面の見えづらさ、機能しているのか不明なピーキング、マニュアル撮影時の設定の煩雑さなどがあげられます。

個人的には LINUX の主な RAW 現像ソフト にカメラがサポートされていない (2019年12月現在) ので、ホワイトバランスなどの各変数を自分で調整しないと編集できない点も困りものです。

また静止画のみであれば1日もたせるのに十分なバッテリも動画撮影を行うと勢い良く減っていきますので、予備の充電池を用意しておかなければ少しばかり不安を覚えます。

そして最後に、使えば使うほど画角の異なる RX0 シリーズを複数もちたくなりますので、焦点距離(換算) 35mm や 50mm の RX0 の開発も検討していただけたらと思います。

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