ハンドルに抵抗を感じたらヘッドセットを疑え

最近ではほとんどブログに露出する機会のなかったクロモリバイクの Raleigh CRN ですが、実のところ、とある問題を昨年末から抱えておりました。

ローラー台の上で使用するにあたっては何の支障もないのですが、ハンドルを左右に切ろうとすると不自然な抵抗を感じさせます。

固着して動かなくなっている訳ではないので、ハンドルを操作できない訳ではないのですが、無理に動かそうとすると異音を発します。

擬音で言うとガシャ、人によってはギシっと聞こえるかもしれません。




さらにウェットペーパータオルで掃除を行うと、時折、ヘッドセットの周辺から茶色の染みがビッシリとこびり付きます。

おそらくヘッドセット内に錆が生じている事は容易に想像できますが、前回までの記事の通り、しばし出張で海外に赴任していたので、そのままの状態で2ヶ月ほど放置せざるを得ませんでした。

帰国後、久し振りにハンドルを左右に握ってみると、固着していたのか、今までよりも抵抗と異音が大きくなっていました。

ローラー台専用として使用する分にはこのままでも差し支えないとは言え、スチール製のフレームやフォークに錆びが伝染しても嫌なので、行き着けの修理専門店に相談に行きます。

その際に用意していたのがこちら。



FSA の Intellaset ST NO.28-41SC という部品です。

ハンドルの挙動から予め問題の原因が推測できていたので、該当する部品の新品を先に取り寄せて持参します。

もし該当部品の損耗が激しかった場合に、部品ごとまるまる新品に交換してしまおうという訳です。

バイクを購入したショップで面倒を見てもらえるのであれば、こうした手間は不要かもしれませんが、私の場合はバイクを購入した店舗が500km以上も離れた大阪にあり、まったく当てにできないので仕方がありません。

購入した当時は東山丸太町に住んでいたので、何の苦労もなかったのですが・・・



修理専門店にてフォークを抜き、専用工具で圧入されたヘッドセットを外してもらうと、これが面白いぐらいに錆びついてボロボロになっていました。

屋外保管の悲惨な自転車を見慣れた修理のプロをもってしても、この状態は意外だったらしく「こんなに錆びるものなんですね」と感心されます。



水が入りやすい構造など原因は考えられる原因は複数ありますが、ここまで悲惨な結果になるのは、入り込む水分が主に3本ローラー由来の塩分豊富な汗である為でしょう。

原因も結果も何となく予想がついていたので、持ち主としては苦笑いするしかありません。

結論を述べると、部品は持参して正解、Raleigh CRN に適合する部品として Intellaset ST NO.28-41SC も正解、フォークやフレームへの錆の転移も見られずに事なきを得ました。

工賃は私の場合は4000円で、部品の交換作業であっさりと修理が完了したので、とても助かりました。

ただ一つ残念だったのは、錆が出てベトついた古い部品の清掃と再利用だけは諦める結果に終わった事です。

これも安い部品なので無理に再利用する必要性はないかもしれませんが。

ドイツ語を話せずにドイツに来ると不便

30年近く生きてきてヨーロッパで警察官のお世話になったのも前回が初めてですが、ドイツにいてドイツ語が話せないというのも新鮮な経験です。

今までに気にした事がなかったので気がつきませんでしたが、ドイツでドイツ語を話せないと得られる情報が限定されて極めて不便です。

英語併記の少ないフランスと比較して、ドイツでは英語併記がより一般的なため空港や地下鉄や観光名所では英語の看板がある事も珍しくはありません。

しかし、郵送で荷物を送ろうとしたり、安くて古いホテルに泊まろうとしたり、鉄道が遅れたり事故があったりした場合は、英語だけではどうしようもありません。




ミュンヘンのような外国人の多い大都市でスーツケースを持っていると毎日のように英語で話しかけられるため、ドイツでは英語が通じるものだと今まで思い込んでいましたが、ドイツ語が話せない日本人と一緒に数日を過ごして見ると英語が苦手なドイツ人も一定数存在する事が分かります。

時制や動詞の語順、関係詞などに細かな違いはあれこそすれ、ドイツ語話者にとって構文の似通った英語は簡単だと信じて疑っていなかったのですが、どうやら地下鉄の中やホテルの受付で英語で話し掛けてくる人々は一部の例外で、多数派はそれほど英語が得意でもないという印象を受けました。

話し掛けられても「助けはいらない」とドイツ語で返答してしまうので、知る由もなかった訳ですね。

同類と見られているからなのか、時折、反対に他の旅行者から英語で道を聞かれたり、助けを求められる事もあります。こうした旅行者は現地のドイツ人やギリシャ人、トルコ人と外見や発音では区別できない事もありますが、必ずしもドイツ語が話せる訳ではありません。

何にせよ「英語でだけで何とかなる範囲」を注意して見ていると驚くほど限定的で、あまり多くは望めませんので不便な思いをするという結論に至ります。

続く

海外でパスポートを盗まれた時は戸籍謄本が必要

人生で最も楽しい時間を過ごしていた先週末から一転して、今週は月曜日から大忙しです。このブログでは趣味と私生活の範疇しか扱いませんので忘れがちになりますが、そもそも出張として遥々ヨーロッパにまで来ているので、忙しくない訳がないのです。

そうした理由からただでさえ更新が滞っている最中に、日本から視察に訪れた取引先の一人がスーツケースの盗難に会うという事件が発生しました。




担当者が電話で話を聞いたところ、どうやらスーツケースが無くなったようなのですが、言葉が不自由なために最新の状況が掴めず、埒が明かないのでドイツ語も英語も日本語もできる私が指名されたとだけ伝えられて対応を代わります。

自分は同時通訳ではなくエンジニアなのに…と不本意な思いを抱きながら現場に向かったところで初めて盗難だと判明します。曰く、少し目を離した隙に誰かが引っ張っていってしまったとの事。こうした場合は盗難なので、待っていてもまず解決しません。

最寄りの警察官滞在書の場所を私が調べて、少し強引にでも被害者を連れて行きます。警察官の前で事情を話させると、警察官も「確かにそれは盗難に違いない」と書類の作成に取り掛かります。

この書類の項目には盗難品のリストが含まれていたので、被害者にスーツケースの中身を列挙させると財布やパソコン、携帯電話に加えて、パスポートも含まれていることが判明します。これは非常に不味いので、まず最初に警察官にパスポートが盗難にあったので携帯できていない旨を伝えます。

次にクレジットカード会社と電話会社の海外紛失・盗難サポート (国内向けのフリーダイヤルは大抵つながりません) に私の携帯電話を使ってサービスを停止してもらうように指示をしてから、直ぐに日本大使館に連絡するように促しました。日本大使館は日本国の組織なので、もちろん日本語が通じます。



日本大使館に電話した結果、2つの事が明らかになりました。1つは大使館は担当国の全領域を担当している訳ではなく地域によっては最寄りの総領事館に対応してもらう必要がある事。もう1つは新たなパスポートの発行には戸籍謄本の原本が必要となり、それがないとパスポートの再発行が行えないとの事。

他人事ながら恐ろしい事を聞いて、思わず今後は戸籍謄本も携帯しようかという気分になりました。

結局、数時間後に盗難品とよく似たスーツケースが発見され、その中からパスポートが発見されたので事なきを得ましたが、財布の中身すべてとパソコン、携帯電話等の貴重品のほとんどが抜き出されていました。

オーストリアに住んでいた私の常識からすると盗まれるのも理解できません (大学のキャンパス内にも物乞いが入ってくるのに目を離して盗まれない訳がない気が…) が、貴重品を一箇所に集中させるのも、現金を大量に持ち歩く気持ちも分かりません。香港でも書いた事ですが、基本的にクレジットカードで全て済ませて、カード払いのできない少額の場合のみ現金を使います。

それを改めて言わなければならない状況が悲しくて溜息が出ます。