日本製の高性能ロードタイヤ IRC ASPITE PRO

数値化できないものについて論じることは好きではないので、あまりタイヤやフレームについて語る機会は多くありません。

しかし、久しぶりに「これは」と思える良いタイヤに巡り会えました。

私はタイヤに思い入れはないので、新しいブランドを試すことが比較的多い方です。良く変形する MAVIC Yksion Pro UST 、乗り心地の硬い Continental Gator Skin など、いろいろ試した結果、高速での安定性とコーナーでの安心感が最高の Continental GRAND PRIX 4000 S II が最も使用頻度の高いタイヤになりました。

このタイヤは地面に粘着するような乗り心地が気持ち悪いのですが、35km/h 超の速度での安定感が非常に高く、よく転がって、止まれて、コーナーでも安心して曲がれるという優秀なタイヤです。

走行ルート上にダウンヒルが含まれる時は、これ以外のタイヤは使いたくないと感じるほどです。


Continental GRAND PRIX 4000 S II

そこに今回、導入してみたのは IRC ASPITE PRO という日本製のタイヤです。これがまた良いタイヤで、周囲に使っている人がいないことが勿体なく感じられたので、取り上げてみました。

はじめに述べておきますと、このタイヤの要求する空気圧は非常に高いのですが、そこまでの高圧は不要だろうと判断して 90 psi 前後で運用しています。

この空気圧は他のタイヤでも同じです。

その日の気温と走行場所の標高によって微妙に調整しています。


前輪 700 × 24c 後輪 700 × 26c 空気圧 90psi という条件において使用してみた、このタイヤは軽くて加速がよく、路面の振動をよく吸収し、滑るように回ると感じられました。

とくに 30km/h を超えるぐらいの速度になると、最初はスリップするのではないかと不安に感じられました。ところが、コーナリングで横滑りすることもないですし、制動距離も他のタイヤに劣ることはありませんでした。

バイク越しに伝わる接地面の触感と実際のグリップ性能に差があるようです。コンパウンドが違うのでしょうか。このタイヤに慣れてしまうと、ほかのタイヤを使用した際にグリップを過信してしまって危ないかもしれません。

そして特筆すべきは、その乗り心地の良さです。路面が綺麗なところでは、とくに顕著に質の高さを感じられます。真円度の高い良いホイールに感じる突き上げの少なさにクッション性を合わせたようです。

より空気圧を上げると、今度は硬くて加速の良いタイヤになります。加速と言えば質量ですが、もしやと思って計測してみると実際に軽量なことが分かります。

ロングライドや悪路やヒルクライム (とくに登りしかないヒルクライムレース) などには良い選択肢になると思われます。試してみた限りでは競合よりもサイドカットに強そうですし、軽量な割に擦り減りも少ないので意外と耐久性でも健闘しています。

もちろん、雨天においても安心して使用できます。雨が多い日本のメーカーが製造していることもあってか、海外メーカーのタイヤよりも濡れた路面に強い気がしています。

トレッド面が水を弾きますし、濡れているときにもあまりゴミを拾いません。

高速になるレースやダウンヒルのコーナリングを考えると、どうしても Continental GRAND PRIX 4000 S II の安心感には代えがたいものがありますが、用途によっては最適なタイヤになりうる性能があります。


IRC ASPITE PRO【アスピーテ プロ】 2本セット (700×24C)

ニップルを交換すると振れ取りがうまく行くこともある

まとめて発注したスポークとニップルを使用して、新しくホイールを組んだり、傷んできたホイールのスポークを順次交換しています。

1ホイールあたり約30本あるスポークを連日のごとく締めたり、緩めたりしていると、次第にコツが掴めてくると言うか、どういう時にどうすれば良いのかという事が少しづつ明らかになってきます。

最初に断っておきますと、私は自転車店の店員や開発者ではないのでホイールに関する詳細な知識は持っていません。

大阪の実店舗で完成車やホイールを購入後、遠方 (東京) に転居して見てくれる人がいなくなったので、自分で整備方法を学習、訓練して習得したに過ぎません。

その為、問題が生じた際には先ずは自分の技能を疑い、次に使用している道具 (の精度) を疑い、最後に部品 (の精度) を疑うという過程を繰り返している訳です。

しかし、さすがに一度に100本以上もスポークとニップルを弄っていると、技能や道具ではなく部品の方に問題があるのではないかと思える場面に出くわす事もあります。




振れ取りの途中でニップルを絞めてスポークのテンションを上げて行くと、どういう訳かある時点からニップルを締めてもテンションを上げられなくなってしまう事があります。

まるでニップルが空転しているような感覚がレンチを通して手に伝わってきます。

あるいは予想外にニップルが強く締まり過ぎてしまい、回そうとしても回らなくなることもあります。

こういう場合に力を掛けて無理やりニップルを締めると角をなめて破損させてしまう危険性があります。

少し勿体ないですが、こういう場面で他のニップルに交換すると簡単に振れ取りができるようになる事もあるので、駄目そうな場合は早々に交換してしまった方が良いかもしれません。

スポークを製造しているのは各メーカーですが、適当な長さに切断してネジ切り加工までしている訳ではありませんので、どうしても相性もありますし、ニップル側の不具合も存在しない訳ではありません。

もちろん私自身の技能に問題がない訳ではありませんが、こうした現象に対する寄与度は余り高くないので、そこだけに注目しても生産的とは言えません。

振れ取り中に縦振れが生じた場合には、一度、全てのスポークのテンションを緩めて振れを取ってから締め直すなど、ホイール組みには経験則に基づく知識がいくつもあります。

全て言語化されていれば調べやすいのですが、残念ながら余り情報がないので気が付いた時にメモして実践で確かめることを今後も続けていきます。

Mavic Open PRO と DT 350S で前輪をラジアル組み


ローラー台や街乗りに用いるホイールが欲しくなったので新しく組みました。

と言ってもリムは再利用品なので、新規に用意したのはハブとスポーク、ニップルの3セットのみです。

リムに使用するのは Mavic Open PRO の 28H で、以前は後輪に使用していました。

これに組み合わせるハブは DT SWISS 350 のリムブレーキ仕様です。最近ではディスクブレーキ仕様もあるらしいですね。

スポークはメンテナンス性を考慮して DT Competition 2.0/1.8 mm を選択します。

他のスポークでも良いのですが、私の場合は他のホイールにも同じスポークを使用しているので、種類を統一しておくと同じニップルを使い回せて便利という訳です。

Mavic Open PRO の ERD は 602mm と言われているので、これに DT 350 のピッチサークルとフランジ距離を合わせると2クロスの場合のスポーク長は 289.8mm ぐらいになるはずです。




そこで 290mm のスポークを発注して組み始めたのですが、組んでいる途中から何故か長さが足りずに厳しい場面に遭遇。

片側だけなら何とかスポークを張れなくもないのですが、そうするともう一方の側ではスポークがニップルまで届きません。

仕方がないので一度完全に分解してから、改めてラジアル組で組み直すことにしました。
そもそもこの計算が合っているのかどうか分かりませんが、ラジアル組なら同じ計算で 282.7mm あれば十分なはずなので、実際に少しスポークが余ります。

ラジアル組みをするとスポークが動く度にフランジの穴が広がって、いつかハブフランジが千切れるのではないかと不安になりますが、F6R みたいな競技用ホイールのテンションで張っても大丈夫なら、きっと大丈夫なのだろうとみなします。

向こうは 20H でこちらは 28H なので、もしかしたら強度的に不味いかもしれませんが、安価な実用ハブでそれも前輪なので定期的に様子を見ながらダメ元で使ってみます。

競技用品ではなく実用品なのでニップルは真鍮一択です。

安価な完組みでも良いところをわざわざ手組みにしているのは、トラブルへの強さを重要視しているからなので、外出先で交換することを考えたら真鍮の方が都合が良いと思い至りました。

そう考えると組み方も3クロスの方が適切かもしれませんが、組み上げる労力が大きいので個人的には直ぐに組める2クロスの方が好みです。

私は山道ではダンシングを多用するので、体感で振動が大きくなるラジアル組は余り好きではなく、自分では積極的には組みません。

今回も使用してみて気に入らなかったら、もう一度、スポークを再発注して組み直します。