RAW現像を始めるにあたって必要ないろいろ

RAW 現像を使いこなせると、黒く潰れた写真を眼で見たままの色に近づけたり、被写体の魅力を引き立てたりすることができるようになります。

せっかく写真に残すのであれば、二度と訪れることのない瞬間を最大限に美しく写し出そうと、撮影データは常に JPEG + RAW の形式で出力することを心掛けてきました。

しかし、データを残すことには腐心してきたものの、肝心の RAW 現像を使いこなして撮影した画像の質を向上させるということを私はほぼ (ブログ公開分に限定すれば最近まで一切) してきませんでした。

RAW現像を始めるにあたって、本当に必要な道具の一部を持ち合わせていなかったのです。

JPEG形式では編集を施しても直ぐに限界が訪れます

RAW現像を始める前提として、まずは撮影したデータをRAW形式で保存できるカメラが必要となります。

デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラ、SONY の RX100 シリーズや RICOH の GR DIGITAL などの高級機であれば、ほぼ全ての機種が該当します。

これらの該当機種において、データの記録形式を RAW に設定にしておけば、RAW 形式の画像を得ることができます。

ただし RAW 形式の画像は PC 上での編集を経てから利用することを前提としていますので、実際には JPEG + RAW の2つの形式でデータを残した方が実用的です。

そうなると書き込み速度の速い、大容量の記録媒体が必要になります。



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記録において必要なのはここまでで、私の場合は既に所有していたので大きな問題にはなりませんでした。

もちろん、撮影目的によっては、三脚やフラッシュライトなども必要となってきます。




次に編集作業において必要な道具ですが、最も肝心な RAW 現像ソフトウェアはカメラメーカー (Canon, FUJIFILM, Nikon, OLYMPUS, Panasonic, RICOH, SIGMA, SONY等) が自社のウェブサイトで配布していたり、無料のソフトウェアが複数ありますので、種類さえ選ばなければ実は容易に準備できます。

機材の面でもそうですが、使って見て不満があったり、機能的な面での不足を感じてから、有料の市販ソフトを検討してみるので良いのではないかと私は思います。

現像ソフトウェアの方は直ぐにでもお試し頂けるのですが、ここで問題となるのはハードウェアの方です。

RAW 現像という作業はコンピュータにとっては負荷の大きな作業なので、現像を行うPCにはそれなりの処理スペックが求められます。

私がほぼ RAW 現像に手を出さなかった理由もここにありまして、携帯性を重視していた4年落ちの MacBook Air ではメモリが不足しており、満足に現像ソフトを動かすことができませんでした。

これは大学院生当時、毎週、新幹線に乗って京都と東京を往復する生活を送っていたせいで、ローカル環境を物理的にもデータ的にも軽量化して、できる処理の全てをリモートのサーバークラスタで行っていたことの名残です。

仕方がないので、この期に古いマシンを処分して、メモリを16GBまで増設した新機種を新たに購入しました。

私の場合、渡航先や飛行機の中で編集を行うための携帯性、BSD互換環境、そして今までに使用して来た環境設定が必要なので MacBook Pro を選んでいますが、より快適な編集環境を構築するのであれば、デスクトップに Windows OS の組み合わせの方が本来は良いです (費用対効果や対応ソフトウェアの種類数から) 。

自宅にずっと居続けられるのであれば、デスクトップの Windows 上で Linux の仮想マシンを構築して1箇所で何でもやってしまう事でしょう。

RAW 現像には、撮影データを残す記録媒体、処理するコンピュータのスペックが必要なことと同様、RAW画像データや編集データを保存も重要です。

私の業務上の経験から言ってハードディスクは必ず壊れるものなので、バックアップは絶対に用意しておいてください。

どれだけ良い撮影技術と編集技術を持っていたとしてもデータが失われれば全てが失われてしまいます。



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最後に重要ですが、必ずしも必要ではないものとして高解像度のモニタがあります。

あると便利です。画像編集どころか他のあらゆる作業に重宝するものですが、無ければどうしようもないということもありません。

私の経験上、最低限、これだけの道具を揃えられれば、憂いなく RAW 現像を始められます。

JPEG 画像

SONY Image Data Converter にて現像後の RAW 画像

JPEG形式の画像で表現できる雨や夜景に我慢できなくなって始めた RAW 現像ですが、じっくりと時間を掛けて徐々に技能を上達させていこうと思います。

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現像ソフトを買う前に読むべき『RAW現像の教科書』

カメラや写真に関心をもって調べていると「RAWで撮影」「RAW現像」といった表現を耳にする事があります。

何となく凄そうには思えるものの、敷居が高く感じられてしまい、自身では触れてみた事のない人も多いのではないでしょうか。

最近の一眼レフやコンデジが写し出すJPEG形式の画像も十分にきれいなので、その必要性も直感的に把握できないかもしれません。

まさにそんな人に向けて書かれた最初の入門書が『RAW現像の教科書 (以下、本書)』です。



RAW現像の教科書


本書は「RAW画像とは何か?」に始まり、その画像データとしての特徴、それを編集する現像ソフト、できる事とできない事について導入部で簡潔な説明を行い、第1章から第5章まで具体的な目的設定に応じた編集過程と注意点について解説します。

情報量としては、私でも1日で全ての章を読み切れるぐらいの分量ですが、自分で編集過程を再現して習得するには数週間から数ヶ月ほどの時間が必要という印象を受けました。

一見すると内容が少なそうに感じるかもしれません。しかし、RAW現像ソフトごとの相違点やヒストグラムの読み方、トーンカーブの使い方など、実践的で役立つ情報が豊富に掲載されており、これだけでも有用性が高いです。

また本書の特徴として特定のソフトウェアに依存していないので、RAW現像の普遍的な考え方を学び、自分の目的に適したRAW現像ソフトを選ぶという視点を持つ事ができるようになります。




実際に私は本書を読むまで Adobe Photoshop Lightroom 以外のソフトウェアがある事も、それらにどのような違いがあるのかも知りませんでした。

2017年現在、日本語の関連書籍の多くがこのソフトウェアの使用を前提としていますが、どうしてそうなっているのか (カメラやレンズメーカーを問わず使用できる・ユーザー数が多い等)、自分にとって積極的に選ぶメリットはあるのかなどを検討するための一助となります。



Adobe Photoshop Lightroom 6(写真現像ソフト)|ダウンロード版|Windows版


特定のソフトウェアに依存していない分、本書にはソフトウェアの細かな操作方法などは書かれていません。

加えて露出補正やシャッタースピード、ピント範囲などのカメラ側の設定は、ほぼ省略されていますので、不明瞭な点がある場合には 写真の腕がメキメキ上がる露出決定50の掟 (玄光社MOOK 50の掟シリーズ) などの他の書籍で知識を得てから読むと間違いがありません。

「撮影時に (カメラ側で) できることはすべて実行して」と書かれているように、最後の仕上げとして意図した通りに画像を補正してあげるのがRAW現像だという事が本書を読むと良く分かりますので、しっかりとした撮影を行う事が重要なのはRAW現像でも変わるところはありません。

何となく凄そうだけど、何をしているのか不明瞭だったRAW現像で何が実現でき、何の作業をして、どのように写真が変化するのかを把握する事できる本書は、RAW現像に興味がある人、これから挑戦しようと考えている人にこそお勧めです。

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飛行機輪行に大活躍!Amazonベーシック ポータブル機器用キャリングケース

輪行に飛行機を使いこなせるようになると行動範囲が一気に広がります。

高速鉄道やバスよりも圧倒的に移動時間は短く、料金も割安、航空会社のマイレージクラブ会員であれば、出張で溜まったマイルを航空券に変えて実質的に無料で遠方まで輪行する事も可能です。

しかしながら便利な飛行機輪行にも面倒な点は多々あります。

自転車のタイヤの空気は搭乗前に抜いて置かなければなりませんし、CO2インフレータのボンベは持ち込み本数の制限を受けます。

工具や液体物を手荷物として機内に持ち込みする事はできません。

反対にリチウムイオン電池を搭載した電子機器は、預けずに手荷物として携帯しなければなりません。

通常の出張でも億劫に感じるものですが、輪行の場合にはパソコンやシェーバーやタブレット等の他にも、LEDライトやサイクルコンピュータ、電動変速機などの電子機器が幾つも加わります。

高性能で高価格なものであるほど、リチウムイオン電池内蔵の充電式だったりする傾向にあるので厄介なものです。

そんな電子機器類をまとめて収納し、手荷物検査を短時間で切り抜けるのに大活躍するのが、Amazonベーシック ポータブル機器用キャリングケースです。
ノートパソコンのアダプタや携帯電話を収納する事を想定していますので、本体の体積も収納力もかなりのものです。


上の図で大きさが分かりにくい場合は下を参考にしてください。

飛行機輪行において自転車本体から外さねばならないLEDライトやGPS端末、アクションカムなどは、スマートフォンなどと共に一箇所にまとめてしまえという訳で、このケース内に収納します。




実際に入れてみました。

左側にあるのはSONY CP-R10S (10,000mAh) CAT EYE VOLT800の先代モデル、GARMIN Oregon 600、そしてHAKUBA レンズペンです。
右側にはGARMIN Edge520SONY アクションカム HDR-AS200V、その電池とSONY NP-FW50 (Eマウント・ミラーレスカメラのバッテリー)、単3電池2本にKindle Paperwhite Wi-Fiです。


これに更にAndroidスマートフォンも加えて、ジッパーを閉じる事ができます。

体積的に収納する事ができないのはシェーバーとノートパソコン本体ぐらいです。

内容物の保護の観点でも、外側はハードシェルで裁縫もしっかりとしている為、鞄から何度も出し入れしても不安がありません。

と言いますのは (一度でも飛行機に乗られた事のある方はご存知でしょうが) リチウムイオン電池内蔵の電子機器類は、手荷物検査の際に鞄から取り出して検査官に確認させなければならないからです。

内容物を個別携帯するのは検査前 (後) の準備に多大な時間を要するほか、忘れ物の原因にもなります。

鞄から取り出してジッパーを開いて置くだけで済むキャリングケースは、普段の持ち運び以上に手荷物検査でこそ本当の効力を発揮します。

ただでさえ荷物が増えて面倒になりがちな飛行機輪行では、キャリングケース一つ分でも労力を削減する工夫が地味に効いてくるものなのです。