万能な機材は存在しない – 新しい撮影機材の妄想

写真機材に関して、私は SONY の E-Mount 系の中だけで生きています。

カメラは全てミラーレス機であり、レンズもそれに対応した単焦点レンズのみを所持しています。ズームレンズやコンデジ、一眼レフは持っていません。

自分でも「特殊な運用をしている」という自覚があります。

もちろん、不便な面はあります。

画角が足りないことなど日常茶飯事ですし、旅行時も交換用のレンズで鞄のスペースが埋まります。

前者に関してはレンズを交換しても間に合わないことすらあります。

例えば、このような具合に。

その代わりにレンズもカメラそのもの (ボディ) も構成部品が少なく、構造が単純というメリットがあります。

言い換えると、構造的に壊れにくい上に修理がしやすく、小型化や軽量化が容易です。さらに画質が良いという素敵な贈り物まで付いてきます。

私は自転車でカメラを持ち歩くことを趣味としているので、撮影時に便利なことよりも小型で頑丈であることにより大きな価値を感じます。

小型で画質も良い E-Mount ミラーレス機は自転車との相性は最高と思う一方で、バッテリーの持続時間の短さ、電源ボタンを押してからの起動時間、高価なレンズ、防塵・防滴性能が要求される使用環境には常に頭を悩ませます。

自転車の走行はカメラにとって過酷な環境です。

携行時には汗水が付着しますし、直射日光でも機材は傷みます。標高差が大きなところを走れば、温度差も激しくなります。

雨に降られることもあれば、落車転倒に伴う落下の可能性も排除できません。それらを抜きにしても、振動は常に付きまといます。

E-Mount のコンパクトなシステム自体は適していたとしても、高価な E-Mount レンズを積極的に使いたくなる環境ではありません。

フルサイズの E-Mount レンズを1本購入するための資金で、一眼レフなら新たに入門機とレンズキットを購入することさえ可能です。

こうなるとミラーレス機の弱点を解消できる安価な一眼レフ機も補助機 (サブ) として魅力的です。

私はその昔に D90 からミラーレス機 (NEX-5N) に移行したのですが、今更になって一眼レフ機に再び興味を持ち始めています。




アウトドア志向な PENTAX なら防塵・防滴仕様

最初に気になったのは防塵・防滴機能に定評のある PENTAX です。

レンズラインナップが少ないと言われることもありますが、APS-C フォーマットに限定してみると他のメーカーも大差はないと個人的には感じます。



PENTAX 標準ズームレンズ 防滴構造 DA18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR Kマウント APS-Cサイズ 21977


カメラボディはエントリーモデルからファインダーの視野率が高く、防塵・防滴仕様です。性能と価格を比較するとお買い得感に溢れています。

遅いと言われるオートフォーカスも、試写を繰り返してみると実用には問題なさそうなことが分かります。

悩みどころなのは、どのモデルも自転車用途には少し重たい点と、多くの広角レンズには肝心の防滴機能が付いていない点です。

防滴の標準ズームレンズ (18-135mm) 1本で運用するには、とても使いやすそうに思われるものの、私の仕様用途には画角が噛み合っていないので、残念ながら持て余す未来が見えます。

風景写真では望遠側は換算 75mm もあれば十分である反面、広角側は可能であれば換算 20mm ぐらいの広さが欲しくなるものだからです。

携帯性と拡張性ならNikon

防塵・防滴性は取り敢えず置いておくとして、自転車で持ち運びやすい大きさと重さを考えると Nikon が魅力的に見えます。

それも大きくて威圧感のあるフルサイズではなく、小型で軽量な APS-C モデルが気になります。



Nikon デジタル一眼レフカメラ D5600 ボディー ブラック D5600BK


既に何度も実機を触って試写を行いましたが、その度にダイアルの使いやすさやオートフォーカスの速さに驚かされます。

ボディサイズも小さいので、小型の標準レンズとの組み合わせでは、ミラーレス機と同じように日常的に使用できそうです。

しかもミラーレス機と比較して、組み合わせることのできる安価なレンズの選択肢が豊富にあります。

このレンズなど、ミラーレス機が基準になっていると価格がおかしい (安過ぎる) と驚愕するほどです。



SIGMA 標準ズームレンズ 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM ニコン用 APS-C専用 583552


使えるレンズの種類そのものが多い上に、自転車用途で使い潰しても構わないような安価な中古在庫が豊富にあることも地味に重要な利点です。

フルサイズを使いたくなるCanon

安価で写りの良いレンズの選択肢を重視するなら、おそらく Canon に敵うメーカーは存在しません。

ただし Canon の場合は高価で画質の良いレンズほど防塵・防滴機能を備えていたり、使用者の評判が凄く良かったりするので、調べれば調べるほどフルサイズで検討したくなります。



Canon 広角ズームレンズ EF16-35mm F2.8 L III USM


もちろんフルサイズ用の高級レンズは Canon でも E-Mount レンズと同様に高価になります。

悪天候に強くなり、バッテリーの持続時間は長くなるとは言え、取扱いについては大きく変わるところはありません。

むしろ大きさと重さから携帯性を損なったり、海外において自身で汚れた撮像素子を清掃できる単純で頑健な構造を失うなどのトレードオフもあります。

それならば、いっそ手持ちのフルサイズ E-Mount に足りていない広角レンズを買い足した方が幸せになれるような気もしてきます。



ソニー SONY ズームレンズ Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS Eマウント35mmフルサイズ対応 SEL1635Z


自転車用途にはフルサイズほどの画質は不要ですが、広角レンズを広角そのままの画角として使えるボディはフルサイズ以外にありません。

そして、そのフルサイズ機で私が撮りたいのは、風景ではなく親しい友人です。もっと言うとフランスやドイツの女の子です。

オンライン上に載せないだけで実は私は人物撮影の方が好きなのです。モデル撮影などに興味がないのは、単純に知らない人を撮っても面白くないからです。

画角が足りない中にあっても標準の単焦点の手持ちばかりがやたら充実しているのは、結局、それが最も用途に適していて使いやすいからに他なりません。

全てを一台でこなせる完璧な機材は存在しませんが、目的に適したものを選択すれば十分に満足することはできます。

一番良いのは全ての機材を購入して、目的毎に適した機材を使い分けることです。

しかし、使わないものを持ちすぎていても管理しきれませんので、差し当たっては使用頻度の少ない機材から処分して、自転車か旅行、或いはそのどちらにも使える広角ズームレンズを模索していく所存です。

この新製品なんか良いよなぁ…

結局、購入しました



Nikon 広角ズームレンズ AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR ニコンDXフォーマット専用


ロングライド時のカメラの運搬に HAKUBA プラスシェル メッセンジャーS

自転車でのカメラの運搬方法として、私は長らくカメラ本体を剥き出しのままストラップで吊るす運搬方法を採用してきました。

この運搬法は速写性が高く、走行中の振動に伴う故障の可能性を軽減でき、持ち運び荷物の点数を減らす事で遺失を予防できるなどの長所があります。

その反面、落下による故障の可能性が高く、汗や日焼け止めクリームや直射日光による本体の損耗やレンズの汚染に弱く、雨の影響を直に受けるという短所も目立ちます。

防塵防滴仕様でないミラーレスカメラを豪雨の中で使用した場合、勝手に電源が ON になったり、レンズに結露が生じたり、ローパスフィルタに汚れが付着したりすることがありますので、普段から汗水に晒されているカメラのダイアルやシャッターユニットの内側がどうなっているのかは、想像することさえも憚られます。




そんな事を今さら気にするようになったという訳ではありませんが、画角の異なるレンズ2本を持ち運べるという利点が気になったこともあり、HAKUBA カメラバッグ プラスシェル シティ03 メッセンジャー 1.6L S グレー SP-CT03-MBSGY という小さなメッセンジャーバッグを購入して 500km ほど試用してみました。



自転車で使用する目的において小型で軽量であることは持ち物の必須条件です。

このバッグは荷物を収納したサコッシュとほぼ同じ大きさに、内装のしきりと4つのポケットがあります。つまり、ミラーレスなどの小型なカメラであれば、ボディとレンズ2本、小型の三脚、レンズペン、ブロワ、予備の電池などを相互に干渉させずに収納することが可能です。

質量は公称で185gですが、肩紐の幅が実測で25mmと幅広で運搬しやすいので、使っていてバッグ自体の重さが気になることはありません。

バッグ本体の大きさに対して肩紐の幅が広いというのは重要な特徴で、このお陰で肩から吊り下げて走行した際にバッグの位置が安定します。

私は SONY 純正品を含めて似たような大きさのポーチやバッグを複数所有しているのですが、紐が細かったり、吊り下げて走行した際に安定しなかったりと、これほど自転車用途に適したものは他に見当がつきません。

加えて重要なのが、吊り下げていて音鳴りしない構造になっていることです。

バッグの使用において私が個人的に最も許せないのは音鳴りで、樹脂製の部品が擦れ合う際に発する不快な音を聞いただけで、そのバッグを投げ捨てたくなります。

最低限のクッション機能もあり、AMEDAS アメダスのような防水スプレーを予め吹き掛けておけば、剥き出しで持ち運ぶよりも遥かに安全にカメラを運搬することができます。

速写性は剥き出しのままよりは落ちるものの、リュックに背負うよりも遥かに良いです。私の使用環境においては、東京の中心部にある自宅を起点にして、半径60kmから70kmほどの市街地区間では撮影機会はほぼ皆無なので、この区間で特に大活躍します。

撮影しないのにカメラを持ち運ぶことは、自転車走行の質を落とすという意味でも、カメラ本体に対して不要なダメージを与えるという意味でもデメリットしかありません。

そう考えたことがバッグでの運搬を検討し始めた最初の要因ですが、突発的な降雨に遭遇しても走り続けなければならないロングライドの場合においても、或いはフラッシュライトや焦点距離の異なるレンズなどの機材を持ち運びたい場合などにおいても有用なのではないかと使用していて強く感じました。

自転車用途に今さら SEL30M35 マクロレンズを購入

ロードバイク乗車時の撮影用途に SONY のミラーレスカメラ用レンズを新たに買い足しました。

SEL30M35 というマクロレンズです。

2011年の発売から既に数年が経過しており、評価も定まっているので、性能面について敢えて特筆すべきことはありません。


ソニー SONY 単焦点レンズ E 30mm F3.5 Macro ソニー Eマウント用 APS-C専用 SEL30M35

購入動機は200km超の自転車ライドに持ち出せる安価な標準レンズが欲しかったからです。

SEL30 の型番から類推できるように SEL30M35 は APS-C で約45mmの焦点距離を持ち、ほぼ標準レンズと同じような使い方をすることができます。

わざわざ今さらと記した理由は、このレンズは APS-C サイズの撮像素子を有する NEX-5T で使用することができますが、レンズ発売から数年後に登場した SONY α7 ILCE-7M2 のようなフルサイズEマウント機では (クロップなしに) 使うことができないからです。



安価で軽量で写りの良い APC-S の単焦点レンズと言えば、私がいつもライドに持ち出している SIGMA Art 19mm F2.8 DN と重なるところがあります。

まさにその姉妹レンズである SIGMA Art 30mm F2.8 DN と SEL30M35 とで、どちらを購入するかで迷いました。



SIGMA 単焦点広角レンズ Art 19mm F2.8 DN ブラック ソニーEマウント用 ミラーレスカメラ専用 929749


SIGMA 単焦点標準レンズ Art 30mm F2.8 DN ブラック ソニーEマウント用 ミラーレスカメラ専用 929701


SIGMA Art 30mm F2.8 DN と SONY SEL30M35 とでは見かけ上の焦点距離はどちらも同じですが、後者は設計が少し特殊なので絞り解放時の明るさが違います。

両者とも安価で軽量なので実売価格や質量の差は気にするほどのものではありません。

SIGMA Art レンズはメーカー純正ではありませんが、姉妹レンズの 19mm を1年以上も使用して2,000枚以上も撮影していますので、不安に思うところは一切ありません。

SEL30M35 はマクロレンズという特徴があるものの、自転車ライドにおいて接写する機会と言えば、訪れたレストランの食事や道端で見かけた高山植物ぐらいのものです。無ければ無いなりに、どうにかできます。

思えば、こうした諸々の事情と最初に (フルサイズ用途に) Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA を購入したことが APS-C (つまりロードバイク用のカメラ) での標準レンズ離れを引き起こした原因なのかもしれません。




悩んでいるところに「こちらはマクロレンズなので描写性能は凄く良いですよ」というメーカー派遣 (?) の販売応援スタッフの声が聞こえます。

その一声から、マクロや引き伸ばしレンズのような複写目的に設計されたレンズは解像度が抜群に良いのだっけと曖昧で不確かな記憶を思い出し、SEL30M35 の購入を決めました。


使用用途は専ら風景用です。

近所で試験撮影してみたところ、購入前に遅いと聞いていたオートフォーカスは、晴天時の風景撮影では全く気になりません。

重かったり、かさ張ったりすることもなく、持ち運びにも良いサイズ感です。フルサイズに換算するとほぼ標準の画角になる焦点距離とは言え、実際は30mmの単焦点という携帯性が生きてくるところです。

手振れ補正はありませんので、偏光フィルタをつけて暗いところで撮影するには頑張らないといけません。元より明るいレンズではありませんので、こんなものでしょう。

ほぼ期待した通りの性能を発揮してくれる中において、唯一、気になったところはシビアなピント合わせです。

いくらピーキング機能を駆使しても、こればかりは電子ビューファインダが無ければ、屋外での確実なピント合わせは不可能ではないかと思えるほどにピントが合いません。

マクロレンズの特徴を活かした接写では特に顕著です。

冒頭の方にある撮影例では、撮影枚数を増やしてピントの合っているものを採用するという力技を駆使していますが、もう少しスマートに解決したいものですね。

撮影直後に Wi-Fi 転送機能を利用してスマートフォンに画像転送し、スマートフォンの大きな画面を使って出力を確認するか、外付けの EVF 機材を新たに導入するぐらいしか、今のところ解決策が思い浮かびません。

数年待っていればファインダ付きの後継機が中古市場にも増えてくるので、それを待つのが現実的でしょうか。