荒川をさかのぼってセイコーマートのアイスを食べよう

久しぶりに日本の道路を走っていると様々なことに気がつきます。

ジャカルタやハノイの無秩序なバイクの大行列と比較しても、東京の道路環境はさらに劣悪な、危険極まりない無法地帯でしかありませんけど、最低な道路環境を別にすれば、日本はサイクリストにとって理想的な国の一つです。

走行中に強盗に遭遇することを考えなくて良いですし、薬物中毒者が少ないので公衆トイレが開放されていますし、険しい山道にも自販機や売店があるので遭難の危険性も少なく、悪の共産党によって不当逮捕されることもなく、暑くなっても 35℃ ぐらいにしかならないので日中の時間を存分に活用することができます※。

そして何よりも、どこに行ってもコンビニがあり、早朝から深夜まで冷たい飲み物や暖かい食べ物が手に入ります。




とくに私はセイコーマートが好きで (納税地と戸籍上は一応) 東京都民でありながらセコマ会員にまでなっています。

セイコーマートは言わずとしれた北海道のコンビニなのですが、埼玉県にも約10店舗、茨城県には数十の店舗があり、やきそば弁当からガラナまで地域限定商品を数多く取り扱っています。

それに加えて、北海道産のアイスの取り扱いが非常に充実している点が魅力です。

とくに意味もなく茨城県 (北浦や石岡) を訪れているときは、誰もいない道路とセイコーマートを目指していると言っても過言ではありません。

そのセコマアイスの中でも私が一番好きなのは、北海道産赤肉メロンと牛乳を使った『北海道メロンアイスクリーム』です。これは実は公式の通販サイトでも購入できます。

ちなみに『北海道メロンソフトクリーム』『北海道メロンアイスバー』『メロンバニラパフェ』と5種類ぐらいバリエーションがあり、それぞれ微妙に味が違います (一度に2つ以上を食べると違いが良く分かります) 。

どれも美味しいのですけれど、個人的にはカップ売りされている『北海道メロンアイスクリーム』が一番好きです。

通販では購入できない種類のアイスクリームは店舗での購入となりますが、首都圏にお住まいであれば、荒川の河川敷を自転車で遡行していくと比較的簡単に店舗の近くまで辿り着けます。

荒川の河口にある葛西臨海公園から 50km ぐらい遡ったところにある川越線の踏切 (さいたま市西区) 近くまで行くと、いくつか店舗があります。

そこまで行くのが大変という場合には、土浦まで輪行して『りんりんロード』を散策したり、筑波山観光のついでに車で寄ってみるのが良いかもしれません。

もちろん、北海道旅行の楽しみの一つとして覚えておくのも良いかと思います。

しかし、コンビニに行きたいがために神保町から王子まで行って、そこから更に河川敷を 30km ほど走る人は、私以外に誰かいるのでしょうかね。

もしおられたら、一緒にアイスでも食べて帰りましょう。


※ ついでに述べると地図アプリやSNSも検閲や制限を受けずに使用できますし、野生動物に遭遇する度に狂犬病、蚊を見かける度にマラリアを警戒しなくても良いです。

冬の鹿行サイクリング

鹿行とは

一言で述べると、茨城県の霞ヶ浦と太平洋の間にある地域のことです。

読み方は六甲と同じです。

この地域の良さは

  • 車が少ない
  • 運転手が優しい
  • 舗装が綺麗
  • 冬場でも積雪や路面凍結は稀

といった良好な道路環境にあります。

もちろん北関東の他地域と同様に風は強く、気温も暖かくはありません。

自転車乗りが好んで訪れる高山の峠道もなく、雄大な太平洋を除けば現実離れした絶景もありません。

そのため、あまり訪問している人もいないのか、情報も少ないのですが、端的に言って凄く良いところです。

具体的には大洗、百里飛行場、霞ヶ浦、鹿島神宮の4地点に囲まれる範囲と考えて頂けると分かりやすいです。

自転車で何度か訪れてみたところ、大洗や鹿島神宮は門前町の良い雰囲気を残しているのですが、観光地だけに交通量は少なくありません。

とくに神栖と鹿嶋の市街地はロードサイド店舗が数多く並び、多摩ニュータウンと見紛うばかりの市街地が広がっています。

他にも国道124号線や県道18号線のように部分的に交通量が多い道路も存在します。

しかし、それ以外の地域はほぼ全てが快走路と言っても過言ではないほど、自転車で走っていて気持ちの良いところばかりです。




北浦

どこに行っても気持ち良く走れる鹿行地域の中でも特に静かで快適な場所が北浦です。

北浦右岸の湖畔沿い (行方市) では、冬場は文字どおり水鳥しか目に入りません。

※ 他の季節の事情は分かりません

路面の舗装状態も良好で途切れずに続くので、車止めでブツ切りにされたサイクリングロードのようにストレスを感じることはありません。

ただし自転車道や遊歩道ではないので、時折、釣り人の車と遭遇することはあります。

車と遭遇することはあっても、この辺りの運転手は驚くほど優しいので、ほとんどの方が追い抜き時に大きく距離をとって下さいます。



空の駅そらら

百里飛行場に併設されている空の駅。

この地域の貴重な補給ポイントであり、名産品の販売所でもあります。

バイクラック完備でロードバイクでも駐輪に苦労しません。

施設内には複数の食事処があり、食べ物の量と種類にも事欠きません。

なんとビュッフェ形式で食べ放題のレストランに乳製品の直売所まであります。

さらに周辺はイチゴやメロンの産地らしく、農産品の直売所に行けば地元で採れたての果物まで味わえます。


涸沼

北浦や霞ヶ浦とは異なる独立した沼です。

野鳥の撮影スポットと化しているらしく、一部の公園は高性能カメラの展示会のような状況になっていますが、冬場の道路の交通量はそれほどでもありません。

※ 繰り返しますが他の季節の事情は分かりません

北側にはサイクリングロードが整備されていて、太平洋岸の大洗まで繋がっています。

太平洋のある東側の舗装状況は良好ですが、上流に当たる西側の涸沼川サイクリングロードは荒れ気味です。

北浦に比べると人も車も多いので、敢えて目的地にはしづらいのですが、広浦港あたりの雰囲気はとても良いので訪れてみる価値があります。

私のように瀬戸内海の島や港の空気が好きな人は、寄ってみると意外に満足できるかもしれません。


大洗

自転車旅の起点の一つで、北海道へと向かうフェリー航路があります (いつか使うことがあるのだろうか) 。

鹿島神宮を除けば、これまでの中で最も人と車の往来があります。

しかし、道幅の広い道路と涸沼のサイクリングロードがあるので、困ることはありません。

私は基本的に魚介類を口にできない体質なので何とも言えないのですが、海産物が好きな人にとっては魅力的な土地であるようです。

まとめ

ヒルクライムを楽しめる高い山や非現実的な絶景はありませんが、積雪や路面凍結の不安が少なく、道路環境も良い鹿行地域は冬場でも楽しく走れる貴重な場所だと感じました。

北関東だけに気温は低く、遮るものもない平地ゆえに陸と海の両方から強風が吹き、コンビニなどの休憩地点が限られるなどの注意点も確かにありますが、あらかじめ把握した上で (強風の日を避けるなど) 対策を怠らなければ冬でも十分に自転車趣味を楽しめます。

何よりも

成田空港からのアクセス良好なので、帰国後、その足でライドに出掛ける際の目的地として最適

という他にはない強みもあります。

車の後部座席に自転車を積んだまま駐車場に止めておけば、帰国即ライドが実現できます。

あとがき

峠道は雪と氷に閉ざされ、河川敷には霜が降り、平野部には強風の吹き付ける厳冬期の関東平野。

その過密さと貧弱な道路網により、もとより自転車 (を含む車両交通全般) には不適な土地だけに、ただでさえ希少な山間地を通行できなくなると、普通に安全に走れる場所など文字通り無くなってしまいます。

温暖な気候と静かな環境を求めて、私も一度、房総半島の南部を訪れてみましたが、そこでも人や車が多いことには変わりはなく、根本的な解決には至りませんでした。

私自身が心から楽しめなかったという事由もありますが、それよりも現地に住んでいる人の視点で考えてみれば、既に交通量が飽和している狭い道路に他所からの観光客が押し掛けるなど、迷惑以外の何者でもありません。

望まれないところに出かけて行っても、自らの首を締める結果に陥るのは某尾根の幹線道路やカタカナ表記の峠を見るまでも無く明らかです (どちらも東京近郊であるのも偶然ではないでしょう) 。

歓迎はされなくても少なくとも邪魔者扱いはされず、安全に走れて、しかも、東京からのアクセスも悪くないところ (鹿行のほかには檜原や宮ヶ瀬、都留など) に、良好な関係を築けるようになるために少しでもお金を落とせれば良いなと個人的には思います。

複雑な筑波山を単純に登る

名前は知っていても具体的にどこを登れば良いのか分からない。

私にとって筑波山とは、そんな山の代名詞でした。

不動峠に風返し峠、つくば道に十三塚、湯袋峠に上曽峠といった具合に筑波山には舗装された峠道がいくつも存在します。

それも単純な一本道の上に連続する訳ではなく、複数の経路が存在し、それらが互いに交差したり分岐したりしながら筑波山の峠道を形成しています。

不動峠は高架と立体交差する三叉路ですし、風返し峠は峠でありながらも五差路の交差点でもあるという異色の存在です。

これらの峠と峠道がどこにあり、位置関係がどうなっているのかが小さな疑問であり、一般的にはどの経路でどこを登っているのかが大きな疑問です。

そうした疑問を解消する前段階として、私の場合、まず筑波そのものの土地勘がなく、どうやって訪れれば良いのかも曖昧です。

私は筑波研究学園都市には縁があり、筑波大学の研究室に招待された事があったりと所謂「つくば」には何度も訪れた事があるのですが、そこから約20km離れた「筑波」については何も知りません。

そこで今回は最も単純な経路である県道42号線を経て、つくば市街から柿岡まで訪れてみました。

つくばの東大通りを一直線に北上し、突き当たりにある中菅間の交差点を右折するだけという迷いようのない経路です。






この経路では県道42号線を西側から登ることになり、つくば道との合流、梅林、筑波山神社を経て風返し峠へと至ります。

つくばの広くて直線的な道路もあって平坦な市街地は快適そのものです。

しかし、筑波山の登りが始まる地点では道幅が狭く、舗装が荒れており、車の交通量が多すぎるので、ヒルクライム目的に訪れるのに全く適していないことを先に述べておきます。

私は知らずに訪れましたが、風返し峠まで到着した時点で、こちら側から来た自転車よりも不動峠側から来られている自転車の方が5倍以上も多いというぐらい差がありました。

おそらく他の経路の方が安全に楽しく登れるのだと推察されます。

県道42号線の西側は常磐道やつくば駅から筑波山に訪れるための主要経路となっているため、ただでさえ自家用車が多い上に、大型の路線バスまでが頻繁に通行します。

それでいながら路肩はほぼ存在しないぐらいに道幅が狭く、筑波山神社までは側溝が続きます。

登り始めから神社の入り口までの距離はおよそ 2km にして平均斜度は 7.4% ほどの平凡な坂なので、交通量を考えると敢えてこちら側から登る必要性は感じられません。

駐車場が集中する筑波山神社とケーブルカー宮脇駅を越えると車の通行はやや減り、バスは見掛けなくなります。二輪車通行禁止の標識は立っていますが、普通に走っているのを見掛けます。

ここから斜度は 10% を超える頻度が上がり、林道から本格的な山道の雰囲気に変わります。

しかし、少しばかり減るとは言え、奥多摩や都留などの他の山道と比較して車の通行が多過ぎるのは変わりませんし、展望も一向に開けません。

山の周辺全てが平地なので元より周辺人口や交通量が多い土地である事は容易に想像できます。

それに加えて品川や相模と言った県外の自家用車も少なくない割合で通行しているので、紅葉の休日は訪問を避けるなど、混雑回避の工夫をした方が良さそうです。

一方で風返し峠からつつじヶ丘までの間には、なかなか個性的で楽しい光景が広がっています。

立体交差する風返橋に、正月には本当に富士山が見えそうな富士見橋、舗装路最高地点のつつじヶ丘にはロープウェイ乗り場とレストランがあります。

ここまで来ると休日はロードバイクの方が車よりも通行頻度が高いかもしれません。

どこの経路も傾斜が厳しいので「気軽に」という表現は似合わないかもしれませんが、実際に筑波山に訪れてみると距離的にも標高的にも気負うことなく訪れられる存在という印象を強く感じました。

どことなく大阪・奈良の府県境に位置する生駒山地を連想させます。

そう言えば、あちらも十三峠ですね。

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