北山公園という不思議な坂

日本最大の関東平野と八溝山地の境界線上に位置する笠間。市街地のある盆地から周囲を見渡せば緑の山々を間近に拝めます。

一見すると選り取り見取りですが、実際には山道の入り口を見分けるのが大変で、土地勘がないと何処に向かえば良いのか分からなくなります。

山は近くに見えているのに行き方がわからない。或いは自分のいる方角からは道が通じていないなどということも少なくありません。

そこで宿泊しているホテルのフロントにて「最も行きやすい山」への行き方を訪ねてみました。

そうして知ったのが JR 宍戸駅、あるいは友部駅の北側にある北山公園です。




名前からして普通の運動公園に見えますが、標高差を活かしたローラー滑り台や太平洋まで見渡せる展望台があるなど、丘陵地帯をそのまま公園として保全している様子です。

宍戸駅前を通過すると直ぐに入り口の坂が見えてくるのには驚かされます。

しかも坂の斜度は 10% を容易に上回っています。

慌ててギアを落として登り切ると、しばし雰囲気の良い林道が続き、世にも珍しい射撃場が見えてきます。

それも営業中らしく時折パンッという発砲音が辺りに鳴り響きます。

そのさらに奥には大きな池も控えています。

これだけであれば、多摩丘陵や相模台地によくある坂と大差はありません。

しかし、北山公園の面白いところは、池の先から本格的な山道の様相を呈するところです。

なんとヘアピンカーブまで備えたワインディングに変貌します。


ただし標高はわずか 100m 足らずなので、本格的な山道の様相を呈した瞬間に呆気なく峠を越えて下り坂が始まります。

あくまでも公園であり本格的な山道ではないということでしょうか。

ヒルクライム目的で遠方から訪れるには物足りない気がするところですが、セグメントが置かれているので地元の人には良い練習場所になっていることが伺えます。

周辺の雰囲気は抜群に良いので紅葉時に撮影目的で訪れる方が楽しめそうな印象です。

山に分類するには長さと高さと執拗さが足りず、坂と呼ぶには景色の移り変わりが激しすぎる北山公園は、どちらにも分類し難い何とも不思議な場所でした。

笠間の道祖神峠ヒルクライム

日本最大の関東平野を実感できる茨城県。東京から常磐道を北上して利根川を超えると視界を遮るもののない広大な平地に圧倒されます。

見渡す限りの平地の向こうに薄っすらと見える筑波山。その筑波山の更に向こう側に位置する愛宕・難台・吾国連山の峠が道祖神峠です。

筑波山の風返し峠から県道42号線 (その名も笠間つくば線) を笠間方面に道なりに進むと到達します。

その道祖神峠を今回は筑波・石岡側からではなく、反対の笠間側から登ってみました。

実際に走ってみて実感した笠間側の魅力は練習コース、または入門者の力試しとして適当な長さと斜度になっていることです。

距離はおよそ 3.5 km にして平均斜度は 7% 程度です。

周囲の山頂の標高は 500m を超えますが、鞍点である峠の標高は約 300m 程度なのでヒルクライムコースとして長すぎるということはありません。

最大斜度は GARMIN 計測で 13.6 % あるものの、前半は 2% から 5% までの緩めの勾配が続きます。

峠に近づくに連れて斜度が増していくタイプのコースなので後半は急勾配が連続します。

交通標識にも 9.5% や 11% の注意表記が見られるように決して甘くはありません。

この峠を超えられる実力を身につければ、他の大多数の坂は乗り越えられると言い切って良い程度の激坂が短い区間に詰まっています。

しかし、急勾配区間は長くは続かないので、グッと我慢してペダルを回し続ければ峠が見えてきます。

このバランスと緩急のついた斜度の展開が絶妙なのです。

もう少し短ければ達成感が薄く、もう少し長ければ本気の山登りになってしまいます。




短所として山と山の合間を進むので展望は望めません。

また日中は車の通りもあります。

登り切っても林道の入り口が見えるだけで自動販売機などは見当たりません。



幸いにして舗装状態は悪くはなく、携帯電話の電波圏内ですので (奥多摩や山梨のヒルクライムスポットの多くと比較して) 万が一の際の対処はしやすい方です。

補給地点は約 10km 離れた笠間の市街地を最後にほとんど存在しませんので、飲料と補給食の用意を整えられてから来られた方が無難です。

北麓の笠間は笠間稲荷神社の門前町にして、陶磁器の産地にして、日本一の石切山脈を誇る御影石の産出地らしく、市街地の方に行くと見慣れないものがたくさんあります。

国道50号線などの一部の道を除いて、基本的に道幅が広くて走りやすいところが多いので、そうした名所をライドに組み合わせてみるのも面白いかもしれません。

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