三浦半島では東京湾の水も透き通る


三浦半島は東京から南の方角に60kmから70kmほど離れた位置にあります。

神奈川県の横須賀市、三浦市、葉山町、逗子市などに相当しますが、過密で単調な景色の続く関東平野の南端にありながら、ここだけ別世界のように非日常感あふれる光景が広がっています。

海峡に断崖絶壁、無人島に白い砂浜に透き通った青い海に米軍基地と何でもありです。

四国や瀬戸内海の島の光景と偽っても誰も疑わないような漁村の風景と美しい海岸が東京のすぐ近くにあると言うだけでも感激ですが、都市部の人口密集地帯でありながらバイクラックの設置が多く、サイクリストの受け入れ態勢が整っている事には驚愕するばかりです。

横須賀市・うみかぜ公園

横須賀市・観音崎灯台

横須賀市・観音崎公園

三浦市・城ヶ島大橋

鎌倉市・由比ヶ浜


私は東京から自走で訪れましたが、三浦半島は鉄道網が発達しているので輪行でのアクセスも容易です。

横浜という大都市の近隣で居住人口が多い事に加えて、東京湾の防衛上の観点から重点的に交通網が整備されてきた経緯によるものでしょう。

三浦市の南端を除いては好きな地点から出発できると同時に、天候の悪化や機材トラブルの際には最寄駅から即座に撤収できると言う利点にもなります。

名物は三崎のマグロやシラス、横須賀では基地や米軍に因んだカレーやハンバーガー、逗子や葉山、鎌倉などの著名な観光地に出れば、有名店には事欠きません。




注意点としては、とにかく自動車が多過ぎるの一言に尽きます。

半島の急峻な地形ゆえにトンネルが多かったり、時折、斜度10%に迫る坂が現れるなどアップダウンがそれなりに (一周のみなら獲得標高1,000mぐらい) ある等の気をつけるべき点は多々ありますが、最大の問題の前には些細な事に過ぎません。

限られた狭い道路に居住者と観光客の自家用車が集中しますので、道中では終始バイクや車の真後ろを気を遣いながら走行する事に徹する事になります。




私が訪れた日は風速が11m/sに迫り、強風波浪注意報が出されるくらい南風が強かったのですが、それでも海岸線以外では排ガスの臭いが衣類に纏わり付くほど車が多く空気が悪いものでした。

その臭いたるや、東京の副都心、それも国道沿いに住んでいる私からしても気分が悪くなる程の強さです (そして海岸線に逃げれば、強風に乗った砂つぶがアイウェアの隙間を縫って吹き付けてきます)。

ただし改善策もない訳ではなく、観光客の自家用車やバスが動き出す時間帯を避けて、輪行で早朝から乗り入れてしまったり、冬の閑散期を狙って訪れれば不快感や危険性を大幅に低下させる事ができます。

上述の通り、三浦半島は東京近郊とは思えない程の非日常感と絶景に溢れていますが、その多くが駐車困難な海岸沿いに突如として現れますので、自転車で訪れる価値は大いにあります。

車では気づかずに通り過ぎてしまう地点にこそ、本当に美しい絶景が広がっていると言う土地柄と考えて間違いありません。

しまなみ海道一望!高見山ヒルクライム

しまなみ海道のヒルクライムスポットとして名高いのは亀老山ですが、新幹線輪行で尾道側から出発するローディーにはアクセスがやや困難という問題があります。

亀老山の位置する大島は、しまなみ海道でも最も南側、四国のすぐ隣という立地です。しまなみ海道は景色と道は最高ですが、街灯や照明は期待できないので基本的には日中の明るい時間帯しか走る事ができません。

しかし、東京から新幹線で向かう場合、どうしても尾道からの出発は午前11時前後となってしまいます。1日でしまなみ海道を往復する事を諦めて今治付近に一泊する事を検討しない限り、経路に含めるには (日照) 時間的な制約から厳しいものがあるのです。




週末の一泊二日のうちに海道を往復して、なおかつ、無理なく東京に帰還できる手頃な 激坂 絶景スポットはないものかと地図上の等高線を眺めていると本州の対岸にある向島に高見山という目標が見つかります。

向島町立花の海岸沿いの交差点から始まり、距離3.0km 平均斜度9.0% という危険な臭いがするスペックが目に飛び込んできます。

地元の食堂の方の話では、晴れていれば四国まで一望できる程の展望の良い場所のようです。しかし、自転車乗りには余り知られていないのか、検索してもあまり情報が見つかりません。

どうせならば、あまり訪れる人のいない向島の東側を回ってアクセスしようという事で、尾道からフェリーで向島に到着して早々にしまなみ海道ルートを外れて東海岸を目指します。

潮風の心地よい海岸沿いを走り続けて南端まで来ると交差点が見えてきます。ここが高見山の入り口です。

しまなみ海道ルートの西海岸回りには県道376号と377号の交差する青看板があるのですが、東回りから来ると何の目印もないので容易に見落とします。

因島大橋が見えてしまうところまで進むと行き過ぎです。

交差点を曲がって376号線に入ると、いきなり酷い上り坂が始まります。

ガーミン計測で斜度11.3%と表示されますが、昨日、しまなみ海道を往復したばっかりで疲れているので、今回は脚さえ着かなければ何でもいいやと脱力しながら緩々と登ります。

この坂を越えて「高見山」という案内看板に従って交差点を曲がってからが本当の高見山です。交差点直後から既に9%、10%の上り坂が続きます。ヘアピンカーブを越えて次のカーブを曲がると下りがあります。この下りの後が非常に辛く、ひたすら登り続ける狭い道が続きます。

展望は徐々に良くなっていきますが斜度がきつく13%や15%という数字が平気で出て来るようになります。さらに路面もところどころ荒れているので、気をつけていないとハンドルを取られそうになります。

時折、残り1km、450mといった距離を表示する看板が出てきますが、「あと少し」というよりも「まだ続くのかよ」という感想しか出てこないぐらい長く感じる上りが連続します。



体感では山梨県の今川峠や八王子の和田峠よりもずっとキツい峠を登りきると展望施設が見えてきます。ここからは尾道市街はもちろん、四国や福山方面まで見渡せるので、登りきった満足度としては十分です。

しかし展望台と御手洗しかないので飲み物の補給は期待できません。私はボトルを忘れて飲料の補給ができなかったので、大変、辛い思いをする事になりました。



ここからは先ほど省略した向島の東海岸の様子を少し。しまなみ海道ではないので、経路を示す路上の青線は引かれていません。

北岸の方は市街化されておりコンビニもありますが、自動車の交通量が多く不快です。

東端から南下する海岸沿いでは車も一気に少なくなります。自転車は元より殆どいません。時折、不意に浜辺の方から飛び出して来る釣り人にだけ注意が必要です。



予定では向島を一周した後、因島東岸の因島水軍スカイラインと奥山ダムを巡ってから東京に帰還するはずでしたが、私が寝坊したためにタイムアップとなりました。

しまなみ縦走 2017 参加記録

去年も参加した しまなみ縦走に今年も参加してきました。イベントの趣旨やコース、エイドステーションは去年と変わりませんが、開催期間は去年の3月12日、13日と比較して約2週間ほど遅れた25日、26日となっていることが2017の特徴です。

昨年に参加した際の記憶では風が強くて寒い事が最大の悩みだったので、開催時期が遅れることにより気温が上がる事は喜ばしい限りです。その影響で25日、26日ともに事前予報の降水確率は40%から50%となってしまいましたが、私の参加するイベントは呆れられるほどいつも晴れることで有名なので、今回も「どうせ晴れるだろう」と気にせずホテルを予約します。

このブログでも過去に何度か書いている事ですが、私が参加した過去のレースやロングライドイベントではどんなに降水確率が高くても、結局、雨天になる事は皆無というぐらい天候に愛されているので今回も微塵も心配しておりません。




しまなみ海道2回目となる今回の縦走の目的は新しい魅力を発見する事です。71kmの最短コースは半日で往復できる事は分かっているので、出発地点の尾道側にホテルを取り、今治に行ってピストンで帰ってくる事を目指します。途中で雨が降ってくる事は考えません。

東京駅から始発の東海道新幹線のぞみ1号に乗り、尾道の西隣にある三原のホテルに荷物を置いてジャージ姿に着替えたら準備は完了です。

国道2号線で尾道を目指し、尾道からしまなみ街道に入ってからは縦走のルート通りに今治のサイクリングターミナル・サンライズ糸山へとまっすぐに向かいます。

「しまなみ海道の新しい魅力を発見する」という目的から昼食は、地元で有名な向島の立花食堂さんと決めていたのですが、残念ながら人気過ぎて行列ができていたので因島まで移動してエイドステーション・因島フラワーセンター側のアンパッソさんでスパゲッティを頂きます。

率直に言ってクリーミーなソースがとても美味しかったので、他のメニューも試してみたくなります。昼食をとった後は向かい風の中をひたすら走り続けて生口島を越え、愛媛県に入ります。

去年も堪能した瀬戸田のジェラートを食べるために一時休憩しても良かったのですが、ガーミン計測で3℃の気温の中を時速30km/h近くで移動するのは寒いので仕方がありません。

もちろん伯方の塩アイスクリームは今回もお預けです。

吹き付ける強い風の中を大島に降り立った時には既に14時を回っていました。

予定ではここで亀老山という絶景ヒルクラポイントを訪れて、しまなみ海道を一望する写真を撮るはずなのですが、この後、四国から折り返して本州まで帰らなければならない我々には時間的に厳しいという事で泣く泣く断念します。

しまなみ街道は景色と道は最高でも、街灯はほとんどありませんので日中の明るい時間でなければ安全に走る事は難しいのです。


大島を真っ直ぐに走り抜け、異様に長い来島海峡大橋を越えて今治のサンライズ糸山に到着した頃には、時刻は15時03分となっていました。

ここから折り返して約4時間かかると見ると日没までに尾道まで辿り着けるかは微妙なものがあります。

不安が半分、諦めが半分という心境でクランクを回します。

心持ちとは裏腹に愛媛県を過ぎて広島県に入っても日没は訪れません。時刻は16時47分。

これ以上、遅くなってしまうと夕食を摂れるお店が悉く営業終了してしまうので、生口島・瀬戸田の味処わか葉さんに立ち寄ります。

わか葉さんでは天麩羅が頂けます。去年も訪れなかった事が悔やまれるぐらい、あっさりとしながら上品な味に「久しぶりに天麩羅を味わっている」という不思議な感動を覚えます。

夕食をとって生口島を後にするといよいよ日没が近づき、辺り一面が暗闇に包まれます。予想していた事とは言え、実際に視界が悪い夜間にアップダウンを繰り返すのは危ないですね。

側溝に落ちそうになったり、下り坂に現れるグレーチングに恐怖しながら因島と向島を越えると時刻は18時36分を指していました。

春分点を過ぎたとは言え、この時期の日本では既に夜間となる時刻です。


さながら香港の夜景のような尾道の景色に見とれた後、ホテルのある三原へと向かいます。

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