SRAM ディスクブレーキ・パッドの寿命

ロードバイクを定期メンテナンスに預けた際、整備士の方に指摘を受けました。

ブレーキパッドがすり減っているので、ただちに交換しなくてはならないと。予想外の一言に思わず耳を疑いました。

なにしろ前回のブレーキパッド交換以後の走行距離はわずか 1,899.5km です。

直接的に路面に接するタイヤでさえ 3,000km が交換の目安になるのに、使い始めてから 2,000km も経っていないブレーキパッドが駄目になることがあるのかと。

使用しているのは価格が売りのサードパーティ製ではなく、SRAM 純正オーガニックパッド (QUIET) です。

それから少し冷静になって考えてみました。私の練習コースでは 1km あたりの獲得標高が 16.49m です。

20km 走行したときの獲得標高はおよそ 330m となっています。これを走行距離 1,899.5km に当てはめると、概算の獲得標高は 31,322m となります。

それだけ獲得標高があるということは、登った分と同じだけダウンヒルにブレーキを酷使していることになります。累積で 30,000m も下っていれば、ブレーキパッドが 1,900km 弱の距離で寿命を迎えるのも妥当かもしれません。

例として大垂水峠で考えてみます。

八王子市の圏央道 高尾山 IC から相模原市の津久井警察署 千木良駐在所までの区間が距離 8.7km 獲得標高 229m です。


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この区間の 1km あたりの獲得標高は 26.32m なので、両地点を 595 回往復したぐらいで似たような摩耗具合になるはずです。

つまり同じようなブレーキの使い方をした場合、大垂水峠なら 1,200 回程度を越えたぐらい、あるいは 600 回往復したあたりでブレーキパッドの交換を推奨されることになります。

ここで一つ注意しておかなければならないのは、この結果は前後ともに SRAM Paceline 140mm ローターを使用した場合であって、ロードバイクにおいて一般的な 160mm ローターを使用した場合はパッドの寿命が変わってくる可能性が高いです。

160mm ローターのほうが制動力が強いのでパッドの寿命が短くなる可能性が考えられますが、もしかしたらブレーキング時間が短くなることでパッドの寿命が伸びる可能性も無いとも言い切れません。

もう一つの要因が片効きです。

SRAM の場合、パッドの厚みは平均 3.93mm あります。このうちバックプレートの厚みが平均 2.03mm です。

交換時期は明確に指定されていて、バックプレート込みで厚さ 3.0mm 以下となっています。
https://support.sram.com/hc/en-us/articles/5927458875931-When-should-my-SRAM-brake-pads-be-replaced

フロントブレーキパッドを清掃してから、計測してみると片方は 3.18mm とまだ余裕があります。

もう一方が厚みが少ない部分で 3.00mm と確かに交換時期に達しています。

どうしてこういうことになるかと言うと、油圧ディスクブレーキの左右のピストンの押し出し量が異なるためです。

センター出しをしっかりと行っているように見えても、左右どちらかに微妙にずれていると長く使っている間に少しづつ削れ方に差が出てきます。

同様にリアブレーキパッドを見てみると、こちらは厚みが少ないところでそれぞれ 3.08mm と 3.03mm になっていました。

厚みを指標とするなら、そろそろ交換を考えてもいい時期です。

パッド全体でみるとリアのほうがすり減っていますが、パッドが片効きしていたのでフロントのほうが先に寿命が尽きています。

リアのほうがすり減っているのは意識してリアブレーキでスピードコントロールを行っているためです。

私の行きつけの練習コースは平均斜度 9.9% 距離 3.1km のダウンヒルを含みます。

ヘアピンコーナーでの180度回転が3回ほど連続するため、コーナー進入前にリアブレーキを使って減速する機会が多いので、こういう削れ方をします。

平地メインで走行されている場合は、通常はフロントブレーキのパッドのほうが先に摩耗するはずです。

いずれにせよ、ブレーキパッドの位置調整を怠るとパッドの寿命が縮むので、定期的に確認したほうが良さそうです。

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