ライド時にホイールが壊れたらどうなるのか

先日、訪れた高見山に似た峠として一年ぶりに和田峠に行きたくなりました。

和田峠は八王子の西端にある峠の一つで、距離 3.5km 平均斜度 10% となかなかのスペックを持ちながら東京都心方面からのアクセスが良いという魅力があります。

新宿を起点とすると早朝6時ごろに家を出れば、午前中にライドを終えて帰宅する事も可能という事で心理的にもアプローチしやすい峠です。

そうした理由から近所を散策するような軽い気持ちで、ローラー台から久し振りに Raleigh CRN を下ろして出かける事に決めます。

ほぼ毎日、ローラー台の上で乗っているとは言え、ここ最近の外出はもう一台のカーボンバイクが多かったので 100km 超のライドに持ち出すのは数ヵ月ぶりです。




路上に持ち出し、バイクに跨って踏み出すと、すぐに意外なほどに力が逃げている事に気がつきます。

最近、乗り続けていたカーボンバイク FELT F7 はレース仕様の硬いフレームなので、フレームの性格の違いかと最初は特に気にしませんでした。

斜度 2% の坂を下ったり、5% の坂を上がったりしていると違和感はより強くなってきましたが、クランクやホイールを確認してみても特に異常は認められません。

スポークを握ってテンションを確認してみても張り詰めたままなので、ホイールやコンポーネントではなくフレーム側の劣化や寿命を疑います。

そのまま走り続けて 45km ほどが経過したあたりから、今度はクランクに抵抗を感じるようになります。

注意して意識を払ってみると抵抗は周期的に生じる事が確認できます。

周期的に生じるのであれば回転してるホイールに間違いないだろうという事で、後輪を持ち上げてクランクを回してみるとホイールが著しく反フリー側に振れて、左側のブレーキシューにリムが接触しています。

これは不味いと思いながらも、早朝の河川敷では選べる対処も限られているので、ニップルレンチで後輪全体のスポークテンションを緩めて簡易な振れ取りを施します。

このまま持ち堪えてくれれば良かったのですが、再度、走り出してから間も無く後輪から微細な金属音が聞こえるようになります。

とうとうスポークが破断してしまいました。金属音の正体は折れたスポークが他のスポークに接触する時の音です。



壊れるにしても素直にハブ側で首が飛んでくれれば良かったのですが、ニップル側で破断してしまったのでスポークを引き抜こうにも抜く事ができません。

このままでは移動することもできないので、押し歩きの邪魔をしないように適当な位置に巻きつけます。

ホイールに張られている時には、あんなにも硬かったスポークが指先で簡単に曲げられるほど脆く、柔らかくなっているのを直に感じるのには少しばかり寂しいものがありました。


完組ホイールであれば、この時点で帰宅困難や廃棄などの恐ろしい言葉が思い浮かびますが、手組みホイールはスポーク本数が多いので1本が折れたからと言って、必ずしも直ぐに走行不能に直結する訳ではありません。

とは言え、まともに走行できなくなっている事は否定できませんので、早急に修理が必要となる事に変わりはありません。

今回の反省として

  • クランクに踏み込んだ力が逃げている感覚があったら外見上は異常がなくても要注意
  • 段差の衝撃などを与えていないのに急にホイールが振れるようになったら既に異常が生じている
  • 使用する予定はなくてもニップルレンチや輪行袋は携帯しておいた方が無難

という教訓をよく噛みしてまとめとしたいと思います。

続く

しまなみ海道一望!高見山ヒルクライム

しまなみ海道のヒルクライムスポットとして名高いのは亀老山ですが、新幹線輪行で尾道側から出発するローディーにはアクセスがやや困難という問題があります。

亀老山の位置する大島は、しまなみ海道でも最も南側、四国のすぐ隣という立地です。しまなみ海道は景色と道は最高ですが、街灯や照明は期待できないので基本的には日中の明るい時間帯しか走る事ができません。

しかし、東京から新幹線で向かう場合、どうしても尾道からの出発は午前11時前後となってしまいます。1日でしまなみ海道を往復する事を諦めて今治付近に一泊する事を検討しない限り、経路に含めるには (日照) 時間的な制約から厳しいものがあるのです。




週末の一泊二日のうちに海道を往復して、なおかつ、無理なく東京に帰還できる手頃な 激坂 絶景スポットはないものかと地図上の等高線を眺めていると本州の対岸にある向島に高見山という目標が見つかります。

向島町立花の海岸沿いの交差点から始まり、距離3.0km 平均斜度9.0% という危険な臭いがするスペックが目に飛び込んできます。

地元の食堂の方の話では、晴れていれば四国まで一望できる程の展望の良い場所のようです。しかし、自転車乗りには余り知られていないのか、検索してもあまり情報が見つかりません。

どうせならば、あまり訪れる人のいない向島の東側を回ってアクセスしようという事で、尾道からフェリーで向島に到着して早々にしまなみ海道ルートを外れて東海岸を目指します。

潮風の心地よい海岸沿いを走り続けて南端まで来ると交差点が見えてきます。ここが高見山の入り口です。

しまなみ海道ルートの西海岸回りには県道376号と377号の交差する青看板があるのですが、東回りから来ると何の目印もないので容易に見落とします。

因島大橋が見えてしまうところまで進むと行き過ぎです。

交差点を曲がって376号線に入ると、いきなり酷い上り坂が始まります。

ガーミン計測で斜度11.3%と表示されますが、昨日、しまなみ海道を往復したばっかりで疲れているので、今回は脚さえ着かなければ何でもいいやと脱力しながら緩々と登ります。

この坂を越えて「高見山」という案内看板に従って交差点を曲がってからが本当の高見山です。交差点直後から既に9%、10%の上り坂が続きます。ヘアピンカーブを越えて次のカーブを曲がると下りがあります。この下りの後が非常に辛く、ひたすら登り続ける狭い道が続きます。

展望は徐々に良くなっていきますが斜度がきつく13%や15%という数字が平気で出て来るようになります。さらに路面もところどころ荒れているので、気をつけていないとハンドルを取られそうになります。

時折、残り1km、450mといった距離を表示する看板が出てきますが、「あと少し」というよりも「まだ続くのかよ」という感想しか出てこないぐらい長く感じる上りが連続します。



体感では山梨県の今川峠や八王子の和田峠よりもずっとキツい峠を登りきると展望施設が見えてきます。ここからは尾道市街はもちろん、四国や福山方面まで見渡せるので、登りきった満足度としては十分です。

しかし展望台と御手洗しかないので飲み物の補給は期待できません。私はボトルを忘れて飲料の補給ができなかったので、大変、辛い思いをする事になりました。



ここからは先ほど省略した向島の東海岸の様子を少し。しまなみ海道ではないので、経路を示す路上の青線は引かれていません。

北岸の方は市街化されておりコンビニもありますが、自動車の交通量が多く不快です。

東端から南下する海岸沿いでは車も一気に少なくなります。自転車は元より殆どいません。時折、不意に浜辺の方から飛び出して来る釣り人にだけ注意が必要です。



予定では向島を一周した後、因島東岸の因島水軍スカイラインと奥山ダムを巡ってから東京に帰還するはずでしたが、私が寝坊したためにタイムアップとなりました。

しまなみ縦走 2017 参加記録

去年も参加した しまなみ縦走に今年も参加してきました。イベントの趣旨やコース、エイドステーションは去年と変わりませんが、開催期間は去年の3月12日、13日と比較して約2週間ほど遅れた25日、26日となっていることが2017の特徴です。

昨年に参加した際の記憶では風が強くて寒い事が最大の悩みだったので、開催時期が遅れることにより気温が上がる事は喜ばしい限りです。その影響で25日、26日ともに事前予報の降水確率は40%から50%となってしまいましたが、私の参加するイベントは呆れられるほどいつも晴れることで有名なので、今回も「どうせ晴れるだろう」と気にせずホテルを予約します。

このブログでも過去に何度か書いている事ですが、私が参加した過去のレースやロングライドイベントではどんなに降水確率が高くても、結局、雨天になる事は皆無というぐらい天候に愛されているので今回も微塵も心配しておりません。




しまなみ海道2回目となる今回の縦走の目的は新しい魅力を発見する事です。71kmの最短コースは半日で往復できる事は分かっているので、出発地点の尾道側にホテルを取り、今治に行ってピストンで帰ってくる事を目指します。途中で雨が降ってくる事は考えません。

東京駅から始発の東海道新幹線のぞみ1号に乗り、尾道の西隣にある三原のホテルに荷物を置いてジャージ姿に着替えたら準備は完了です。

国道2号線で尾道を目指し、尾道からしまなみ街道に入ってからは縦走のルート通りに今治のサイクリングターミナル・サンライズ糸山へとまっすぐに向かいます。

「しまなみ海道の新しい魅力を発見する」という目的から昼食は、地元で有名な向島の立花食堂さんと決めていたのですが、残念ながら人気過ぎて行列ができていたので因島まで移動してエイドステーション・因島フラワーセンター側のアンパッソさんでスパゲッティを頂きます。

率直に言ってクリーミーなソースがとても美味しかったので、他のメニューも試してみたくなります。昼食をとった後は向かい風の中をひたすら走り続けて生口島を越え、愛媛県に入ります。

去年も堪能した瀬戸田のジェラートを食べるために一時休憩しても良かったのですが、ガーミン計測で3℃の気温の中を時速30km/h近くで移動するのは寒いので仕方がありません。

もちろん伯方の塩アイスクリームは今回もお預けです。

吹き付ける強い風の中を大島に降り立った時には既に14時を回っていました。

予定ではここで亀老山という絶景ヒルクラポイントを訪れて、しまなみ海道を一望する写真を撮るはずなのですが、この後、四国から折り返して本州まで帰らなければならない我々には時間的に厳しいという事で泣く泣く断念します。

しまなみ街道は景色と道は最高でも、街灯はほとんどありませんので日中の明るい時間でなければ安全に走る事は難しいのです。


大島を真っ直ぐに走り抜け、異様に長い来島海峡大橋を越えて今治のサンライズ糸山に到着した頃には、時刻は15時03分となっていました。

ここから折り返して約4時間かかると見ると日没までに尾道まで辿り着けるかは微妙なものがあります。

不安が半分、諦めが半分という心境でクランクを回します。

心持ちとは裏腹に愛媛県を過ぎて広島県に入っても日没は訪れません。時刻は16時47分。

これ以上、遅くなってしまうと夕食を摂れるお店が悉く営業終了してしまうので、生口島・瀬戸田の味処わか葉さんに立ち寄ります。

わか葉さんでは天麩羅が頂けます。去年も訪れなかった事が悔やまれるぐらい、あっさりとしながら上品な味に「久しぶりに天麩羅を味わっている」という不思議な感動を覚えます。

夕食をとって生口島を後にするといよいよ日没が近づき、辺り一面が暗闇に包まれます。予想していた事とは言え、実際に視界が悪い夜間にアップダウンを繰り返すのは危ないですね。

側溝に落ちそうになったり、下り坂に現れるグレーチングに恐怖しながら因島と向島を越えると時刻は18時36分を指していました。

春分点を過ぎたとは言え、この時期の日本では既に夜間となる時刻です。


さながら香港の夜景のような尾道の景色に見とれた後、ホテルのある三原へと向かいます。

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