3年連続!サザンセト・ロングライド 2017 に東京から参加

2015 年から継続して毎年参加しているサザンセト・ロングライドに今年も参加してきました。

約 1,000km ほど離れた東京から3年も連続して訪れているのは、瀬戸内海の美しい光景と豊富な補給食、そして何よりロングライドそのもののイベント性に大きな魅力を感じている為です。

そこに敢えて理由を付け加えるなら、サザンセトそのものの立地の良さが挙げられます。

瀬戸内海と言えばフェリーという具合に、行けるところまで自転車で走り、海に突き当たったらフェリーで対岸まで移動することで、風光明媚な景色の移り変わりと閑静な道路を思う存分に楽しめる土地です。

サザンセトに含まれる柳井や周防大島、上関も例外ではなく、直接的にフェリーで繋がる松山の三津浜から石鎚山は至近距離、しまなみ海道や UFO ラインも2日あれば十分に巡れる範囲です。

反対側に目を向けて徳山から竹田津に渡れば、国東半島や九州まで旅程に含めることも不可能ではありません。

もちろん山口宇部空港を起点に秋吉台や角島や千畳敷を回っても十分に満足できますし、ロングライドでは訪れない周防大島を見て回るという楽しみ方もできます。

あまり滞在時間に余裕がない場合には岩国の錦帯橋に安芸の宮島、広島市内といった具合に隙がありません。

ロングライドの開催される 10 月初旬の山陽地方は暑すぎず、寒すぎずの絶妙な時期なので、サザンセト・ロングライドとの組み合わせで安芸灘、伊予灘、周防灘を巡ることになるのは謂わば自然の成り行きです。

そんなサザンセト・ロングライドですが残念ながら今年は曇天で、瀬戸内の海の青さと透明感はそれほど楽しめませんでした。

日差しで暑くならないので走りやすくはありましたが、午前中は基本的に向かい風だったので快走とまではいきません。



私個人も前日に笛吹峠や片添ケ浜を巡ったり、室積半島や光の山間部を訪れた影響から、飛ばす気にもならないほどに出発前から脱力状態です。

まあ、Nikon D5600 なんて大きな一眼レフをぶら下げているので、とても本気でなんて走れません。

Aグループのほぼ最後尾について午前 6:30 を過ぎたあたりから出発します。




ほどなく第一エイドステーションに辿り着き、知り合いと顔を合わせて、しばし談笑します。

走っているよりも話している時間の方が長く感じるぐらいの時を過ごして、第二エイドステーションへと向かいます。

出発地点から A グループの最後尾に近かったので、第一エイドを出発した時点で B グループのゼッケンの方が周囲に多いぐらいになりました。

A グループと B グループの区分は自己申告とは言え、エイドステーションやゴールの混雑や追い抜きを減らすために分けていることを考えると、ゆっくりしすぎるのも問題かと少し速度をあげて走ります。


第二エイドを過ぎたところからオレンジロードの上り坂が始まります。

週末の峠越えが日常となった今となっては、ただの坂なので減速せずにそのままアウターで突入します。

ところが昨日の疲労のせいか、入り口付近で右脚を攣ってしまいました。

これは恥ずかしいとインナーにギアを落として、左脚でクランク回しながら右脚を伸ばすという間抜けな姿勢で坂を登ります。

登りきったところで審判の方に感心されましたが、昨日も反対側から島をほぼ一周したなんてことは秘密にしておきました。

オレンジロードを抜けた先にあるのは第三エイドの橘ウィンドパークです。この辺りで雲間から太陽が見え隠れしたのですが、結局、雲が晴れることはありませんでした。

そのまま周防大島を出でて室津半島に向かいます。

第四エイドの伊保庄マリンパークの手前で再び脚を攣り、ロングライド後半の山場となる室津半島を越えます。

距離こそ短いものの、最大斜度は 13% もありますので、トルクでクランクを回せない攣った脚では辛いものがあります。

半島を越えた先にある最後のエイドステーションこと道の駅・上関海峡では、夏みかんアイスクリームがまさかの売り切れ。

今年はおはぎのボランティアの方と話せなかったのも少しばかり心残りです。

しかし、その一方で上関から平生にかけての間では、この3年間でかつてなかったほどの絶大な応援を受けました。

その様子は町をあげての応援と形容したくなるほどの歓迎ぶりで、脚を攣って脱力しながら写真撮影ばかりしていることが申し訳なく感じられます。

応援に気力をもらって最後の20kmは少しばかり速度を上げます。

田布施と柳井の市街地を抜けてウェルネスパークの坂を駆け上がり、13:50 前には完走状を受け取りました。

こうして走り終えてみると、改めて柳井も周防大島も上関も平生も田布施も素晴らしいところだということに気がつきます。

スタッフの皆さんも地元の方も本当にありがとうございました。

またそのうちお世話になります。

追伸:
晴れの日の周防大島では、こんな光景が楽しめます

ロードバイクで行く周防大島の絶景道路

サザンセト・ロングライド 2017 に託けて山口県は周防大島に訪れています。

ロングライド自体も楽しみではあるのですが、私の場合、既に今年で3年連続での参加となりますので、楽しみの大部分は山口県、広島県、福岡県あたりの友人や知人と顔を合わせて話すことにあります。

ロングライドはレースではなくファンライドなので、走行経路は展望の良さや勾配のきつさではなく、自転車での走りやすさや安全性の観点から決められています。

それでも初参加であれば十分に美しい景色を楽しめるところが周防大島の魅力なのですが、同じ経路を何度も走っていると経路から少しばかり外れたところにも興味が湧いてきます。

例えば、エイドステーションにもなっている橘ウィンドパークから見上げる笛吹峠。ハワイに例えられる片添ケ浜海岸。四国まで見渡せる沖家室島。

興味は尽きないながらも、ロングライド中に抜け出して事故でも起こしては迷惑になってしまいます。
そこでイベント前日に先回りして経路には含まれていない山をひたすら自主的に登ります。




最初に向かう先は屋代ダムです。

言われなければ、ここが瀬戸内海の島であることを忘れそうになるほど、雄大な山並みが待ち受けているので驚きます。

向かう先が山梨県を連想させる笛吹峠ということもあり、まるで甲府盆地にいるかのような錯覚を起こします。

屋代ダムを越え、オレンジロードとの分岐を右に曲がり、小さなトンネルを抜けるとやがて笛吹峠が見えてきます。

ここまで展望は開けませんが、峠を越えてからの景色は素晴らしいです。

なお眺めは良いのですが、距離が長くて勾配のきついトンネルが3つもあるので、訪れる際には屋代ダムや大島郵便局のある西側から上り、橘ウィンドパークや安下庄のある東側に下りた方が安全です。


笛吹峠を下って周防大島の南海岸に辿り着いたら、今度はそこから更に南東に浮かぶ沖家室島を目指します。

道中では稀に自動販売機を見かけるものの、コンビニエンスストアや飲食店などは全く見かけません。

景色は相変わらず素晴らしく、車も時折通行するのみで、あたりはとても静かです。

海岸に特有の高低差のある道を走り抜け、切り通しを越えて、沖家室島越しに四国が見えた時には思わず歓声を上げてしまいます。

遠くに霞む松山の街並みを横目にして、次に向かう先は島一番の観光地である片添ケ浜です。

沖家室島の入り口までは上り基調であった分、ここからは下り基調となり、高い視点から白い砂浜を見下ろす機会が多くなります。

道は狭く、車一台がようやく通れるほどの幅しかありません。

下りきった先では椰子の木の街路樹が迎えてくれます。


ふと地元の人と話す機会があったので、かつてはこちら側がロングライドの経路になっていたことを知りました。

確かに片添ケ浜や沖家室島の非日常的な光景は一見の価値ありなので、周防大島の魅力を伝える上で欠かせない場所であることは間違いありません。

その一方、どうして現在の経路には含まれていないのかも、自分で走ってみて良く理解できました。

道路が狭く、やや荒れ気味な上に高低差もあり、1,000人を越える参加者が一度に通れるような場所ではないからです。

調子に乗って島中を走り回っているうちに、肝心のイベント前日だというのに走行距離は 130km を越え、獲得標高もゆうに 1,000m を上回ってしまいました。

厳島海峡を自転車で見に行く!

人生をどこかで間違えて大学院へ進んでしまった影響により、北海道や九州はもとより海外の様々な国に訪れてはトンボ帰りすることが日常となってしまいました。

そんな日常を送っていながらも、これまで山陽や山陰地方には訪れる機会がなく、自転車に乗り始めてから意識的に訪問するまでは無縁の土地でした。

ところが自転車に乗り始め、しまなみ海道の知名度に惹かれて広島県を訪れたところ、その風光明媚な景観と住人の親切さ、食べ物の美味しさに魅了されて虜になってしまいました。

日本三景として名高い安芸の宮島も噂に違わぬ素晴らしい景勝地で、いつかまた必ず再訪したいと日々想い続けてきました。

それも多くの観光客で賑わう厳島神社周辺ではなく、人気の疎らな宮島の東側や南側、厳島海峡に面する細い海岸線の道を走ってみたくなったのです。




訪れる人は多くはありませんが、宮島の東側や南側にも道は通じており舗装もされています。

しかし、わずか 8.5km あまりで行き止まりになってしまうので、純粋なサイクリングを楽しむ場所ではありません。

人気は疎らな分、草陰から鹿が飛び出してくる可能性も高いので、速度を抑えてゆったりと散策する以外の目的には適していません。

その一方で、私のように宮島の景観を楽しんだり、写真撮影に楽しみを見出しているものにとっては訪れる価値は大いにあります。

そもそも宮島に自転車を持ち込んで良いものか気になるところなのですが、フェリー乗り場で訪ねてみたところ特に問題なく持ち込めるようです。

宮島に向かうフェリーへの乗船チケットに 100 円の追加料金を支払えば、難なくフェリーにも自転車を載せられます。

自転車で行けるところまで行って、海に当たったらフェリーに乗るというのが、私にとっての瀬戸内海の楽しみ方になっていますが、宮島もその例外では無いようです。

厳島神社のある島の北側 (大野瀬戸側) を抜けて包ヶ浦自然公園を目指します。

この辺りの景観も最高なので名残惜しくはあるのですが。

包ヶ浦までは平坦と聞いていましたが、杉之浦隧道の前後にほんの僅かばかりの上り下りがあります。

隧道を抜けると直ぐに包ヶ浦が見えてきます。

包ヶ浦の自然公園を最後に自動販売機がなくなりますので、飲料水が必要な場合は早めに調達しておくことをお薦めします。

公園のテニスコートを横目に水路を越えると途端に道幅が狭くなり上り坂が始まります。

この坂は散乱している小枝や小石によるパンクと鹿の飛び出しが恐ろしいだけで、ヒルクライム慣れした人にとっては大したことはありません。

斜度も最高で 11% 程度です。

展望は時折ひらける地点が数ヶ所あるのみで、基本的には木々の間を延々と進みます。

曲がりくねっていて視界が悪いので下り坂は対向車が恐ろしいです。

厳島海峡を本格的に眺めることができるようになるのは、島の東側を通り抜けて南側に到着してからです。

坂を下り切ったところでは一面の白い砂浜が広がります。

ここまで来たら、あと一つ二つ丘を越えると行き止まりに突き当たります。

島の北側は都心の繁華街のように多くの観光客で賑わっているのに、弥山を挟んで対岸では一切の人工音が聞こえず、ただ潮騒の響きだけが静かに聞こえるのは不思議でもあり、魅力的でもあります。

行き止まりまで走り終えての感想は、道という観点から見れば、宮島まで来なくとも似たような道はあると思えました。

翻って宮島の本来の姿を知るという意味では、短くとも非常に満足度の高い散策となりました。

神域とは本来は静謐な空間であり、人が住む場所の近くにありながら遠い存在であったのだろうと感覚的に理解できる気がしたからです。

これが訪れる価値は大いにあると思われた直接的な理由です。