回復走・大垂水峠に初挑戦

先月はランニング中に膝を痛めて、一時期は自立することも困難となり、止むを得ずに杖をついて歩く日々を過ごしていました。

その後の経過は良好で、まず自立してゆっくりと歩いても痛みが生じる事がなくなり、次第に階段も普通に降りる事ができるようになりました。そうなると日常生活で杖を使う必要性もありません。



しかし、依然として重い荷物を持ったり、早歩きで左脚に体重を掛けると膝の周辺に痛みや違和感が生じます。とにかく歩く事が最も大変だという理解を得られずに苦労しました。

2週間ほど悶々とそんな日々を過ごし、痛みが引いて日常生活に差し支えがなくなった頃、試験的にローラー台を30kmほど回してみました。

これで痛みが再発したら直ぐに止めようと思ったところですが、特に問題が生じる気配もありません。炎症が起こると後から痛みが出てくる事が分かっていたので、念の為、次の日は静養して様子を見ました。

早歩きとは異なり、こちらの方は何の問題もなさそうだったので、近所を30kmほど走る事を2日連続で試験的に続けて見ました。

膝は相変わらず大丈夫でしたが、久しぶりに外を走ると向かい風の強さに直ぐに息が上がってしまいました。


延べ100kmほど自転車で走っても大丈夫ならば、軽いヒルクライムぐらいはできるだろうと見込んだ私は大垂水峠を越えて相模湖を目指すことに決めました。

私にとって最も走り慣れているのは檜原村にある奥多摩周遊道路ですが、新宿の自宅から向かうと最短経路でも往復で150km近い距離になってしまいます。徒歩の登山者であれば入山届けを出して向かうような場所なので、もしもの場合を考えると無茶はできません。

それに加えて年末年始は都民の森も営業していないので、いつも以上に入念なロングライドへの準備と怪我や野生動物に対する注意が必要となります。

都民の森と道の駅こすげという魅力的な補給ポイント (特に安心してロードバイクを置ける駐輪場) がないので疎遠でしたが、大垂水峠は八王子の市街地にほど近く、膝が動かなくなった時にも並走する中央線や京王線に乗って直ぐに帰る事ができる点が決め手となりました。

道の駅こすげ 源流レストラン

チャーちゃんまんじゅう (山梨県小菅村)

和田峠に向かう際などに何度も走り慣れている八王子ですが、武蔵野陵や高尾駅を越えて高尾山口駅の前まで自転車で行くのは実は初めてだったりします。秋川や五日市方面と比べて市街地は比較にならないほど大きいのに、あちらの睦橋通りより信号ストップが気にならずに走りやすい点が意外でした。

高尾山口駅に至る京王線の陸橋を潜り、補給ポイントのコンビニを越えて、高速道路の入り口の交差点を左折すると、間も無く大垂水峠に入ります。

少し北側の高尾山は自然が豊かな山奥に見えるのに街道沿いは民家や病院などの建造物が途切れず、いつ峠越えが始まるのか緊張しました。両側を山に挟まれて視界が悪く、気がつくと登り坂が始まっているような不意に現れる峠です。

そして入り込んでしまうと登り切るまでが長いです。彼方此方で序の口と評されていたので、直ぐに終わるものかと思っていたら意外な程に頂上が見えてきません。確かに斜度の厳しい急坂はありませんので、ゆっくり登る分には悪くない坂ですが、速く登り切ろうとすると途端にキツくなる印象です。



山中にポツンと立っているバス停の標識と歩道橋が見えたら間もなく登りは終わりますが、登り切っても頂上が何処にあるのか良く分からない峠ですね。峠あたりにある都県境を越えると 相模湖町 もとい相模原市側の九十九折が始まります。

降りた時はこちら側の方がキツそうな印象を受けましたが、折り返して登り直して見たらそんな事はありませんでした。

見通しが悪く景色が良くない、車の交通量が多いと余り良い評判を聞かない大垂水峠ですが、アクセスの良さも含めて私は割と気に入りました。ただし、どうしても都民の森のような補給ポイントや手を洗える公衆トイレなどは欲しくなりますね。

ロードバイクを他人に貸す時に注意すべきこと

2台目のロードバイクを購入した時から、いつかは試してみたいと思っていた事の一つに「他人に貸し出す」というものがありました。

これまでもロシアの友人が学会で横浜を訪れたりと何度かその機会はあったのですが、体型が違いすぎていたり、天候が悪かったりといった事情により実現できていませんでした。

万年筆は他人に貸すなと言われますが、ロードバイクのようなスポーツ用品の場合、身長や体重、手足の長さがほぼ同じ 相手でないと安全に正しく使用することができませんので、まず貸し出す訳にはいきません。




今回、貸し出した相手は私と身長その他の体格差が ギリギリ 許容範囲内に収まる みかんさん です。

自転車とは無関係に直立した場合には身長差もそれほどないので、サドルの高さを調整するだけで違和感なく乗りこなせるのではないかと楽観的に考えていました。

1. クランク長には要注意

しかし、サドルの高さを調整して乗り出してみると、どうしても漕ぎ出しに違和感が生じるようです。調べてみると彼の常用しているバイクと私のバイクとではクランクに5mmの長さの違いがあり、その為に走り慣れたポジションでは気持ちよくクランクを回せない事が分かりました。

私の体型に合わないクランクも持ち合わせていないので、サドルを可能な限り前側にずらして、今回だけはなるべく遠くからクランクを回す事で対応してもらう事となりました。



シートポストの長さとサドルの位置調整を終えたら、次に話題に上るのはハンドル位置ですが、こちらは大きくは変更していません。

私にとっては当たり前なので気にした事もありませんでしたが、私のバイクでは一般的なコンパクトハンドルではなく、幅42cmの大きなアナトミカルハンドルバーを使用しています。

みかんさんにとって普段と勝手が大きく異なる事は明白なので、細かなポジションの調整は避けて自然に手が届く範囲に位置を定めるのみに留めました。

2. ブレーキの引き具合は人それぞれ

ハンドルのポジションニングは 諦めたので ともかくとして、みかんさんが最も気にしていたのがブレーキレバーの引き具合でした。

自動車でも自転車でも私はどちらかと言うとブレーキは踏まずに、早めに減速してハンドサインやエンジンブレーキを多用する事を好みます。

割り込まれない程度に車間距離を空け、クラッチを踏んだりギアを上げ下げする事を極力避けて一定のペースを維持する走り方が好きなので、山間部を除いてはブレーキは主に速度調整用です。

みかんさんの場合は対照的に自動車でも自転車でも急停止や減速が多いので、ブレーキは車輪がロックするぐらいにクリアランスを無くさないといけません。私の調整では危なくて事故を起こしそうだと忠告されました。

3. ギア比はチェーンリングを考慮して

天候や行き先に応じてホイールやカセットスプロケットを交換する事は快適に走る為には重要ですが、他人に貸し出す場合にはチェーンリング (フロントギア) の歯数も考慮しておかないと目的のギア比に調整できない可能性があります。

一般的な市販車の場合にはミッドコンパクトクランク (mid compact crankset) というアウター52 – インナー36の歯数を持つフロントギアが付いている事が多いのですが、中にはコンパクトクランクといってアウター50 – インナー34の歯数のギアが付いている事もあります。

こちらもクランク同様、或いはそれ以上に交換が大変な部品なので、貸し出す相手がいつも使用しているギア比を予め把握した上で準備した方が間違いがありません。

とは言え、カセットスプロケットの交換で対応できない事もないので、他の部位に比べれば調整の融通が効く部分ではあります。

結論: 貸し出しは上手くいったのか

ほぼ半日に渡る調整を終え、貸し出した私のロードバイクで116km走ってきたみかんさんですが、次回は飛行機輪行で自分のバイクを持ってくるそうです。
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事故も怪我もなく無事に戻ってきたという点では成功と言えますが、ポジションの問題ではどうしても満足できない様子。私も一緒に行って小まめに調整できれば良かったのですが、膝を怪我してろくに歩く事もできなくなっていたので当日は自宅で待機していました。


おまけ 自身で用意してもらう必要があるもの

体型にあったサイクリングジャージとビンディングシューズ、ヘルメットだけは、現地調達で購入してもらう場合を除いては持参してもらうしかありません。

アイウェアもレンズの明るさが気になる場合や度付きが必要な場合には、持参して頂く事が必須となります。

他にはドリンクボトルはいつも使用しているものを持ってきてもらった方が良いと思われました。

Ossenberg 伸縮式ステッキ OS-15

本記事は 膝を痛めて分かった3つのこと の続きです。


ランニングで痛めた膝の養生のために補助用の杖を購入しました。

先述の通り、直立するだけでも膝下の内側が痛み出して大変だったので、形状よりも入手性の良さを考慮して以下のモデルを選択しました。


ドイツ オッセンベルグ社 伸縮式ステッキ OS-15 レザーブラック[適応身長 144~184cm]

素材はアルミ合金でカタログ重量は約380gとなっていますが、私の購入したモデルは実測で383gでした。

10日以上も使用していますが特に重いと感じた事はありません。

シャフト部位がアルミ合金なので板厚を稼いで剛性過剰になりそうなものですが、構造のためか地面からの反動が気になるという事もないので、特に歩行時に重宝しています。

伸縮式ステッキの名称の通り、内側のシャフトを外側のシャフトが包み込むような構造になっており、調節ボタンを用いて長さを75cmから95cmの範囲で調整できます。



ここまでは説明書に書いてある通りですが、調節ボタンに負荷が集中する構造が気になる 長さ調節用の穴は 約2.5cm 毎に9つほど切ってあります。

この辺りが杖の強度と調整幅の均衡が取れる範囲なのでしょうか。おそらくヨーロッパ人向けの設計ですが、日本人の体格でも違和感なく使用できます。


足元はグリップ性を重視してかゴム製で設置面積も広めです。

手で握る部位にはシリコンのような柔らかい素材を使用しているのに対して、こちらのゴムは弾力性の高いものを使用しているところに拘りを感じます。

ゴムである以上、地面との接触で磨耗したり、道路上の飛散物などを拾って傷んでくるのは避けられない気がしますが、雨天時などの悪環境で使用しても想定よりも磨耗しなかった事から、使い方次第では長く使えるのかもしれません (なぜ説明書に耐用年数が書いていないのだろう)。