電動コンポの真価と機械式を積極的に選ぶ理由

電子制御により簡潔な動作で確実な変速を行う電動変速システムは、自費でバイクを購入する一般の消費者すべてが恩恵を受けられる画期的な発明だと私は考えます。

変速に関する一切の懸念が払拭される走行時はもちろん、整備時においても調整時間の短縮が可能となり、絶妙な変速調整を再現するための熟練を機械式ほど必要としない事から、どこの誰であっても安全で快適な変速を享受でき、11速のギアを効率的に利用できるようになります。

絶妙な変速調整と言えば、リア変速機のディレイラーハンガーの修正等と並んで、腕の良い整備士に任せたい難易度の高い作業です。

学習意欲と注意力と根気さえあれば、(性能の追求は別として) 安全に走れる形にはなるホイール組みや振れ取りよりも、よほど難しいだと個人的には思います。

専属の整備士がいるプロのライダーであるならともかく、私のような一般の消費者にとって、その絶妙な変速調整を実現できるようになるまでの学習費用、調整を依頼する為に店舗に通う時間的費用、安全で確実な変速が保証されている事の意味は大きいです。

腕の良い熟練の整備士の技能を機械的にほぼ再現してくれる電動変速システムは、それに用いられているセンサー等の部品や技術以上に、技能の再現という視点から捉えた場合に安過ぎるぐらいに安価です。

ロードバイクに限らず、新しくバイクを購入する際には真っ先に導入を検討する価値があります。

もちろん、使用者の不満も耳にしない訳ではありません。

突き上げるような激しい振動の中で長時間使用するとジャンクションパーツが飛び出たり、冬のカナディアン・ロッキーのような極端な低温環境で使用していると電池の動きが悪くなるなどの他者の体験も間接的に知っています。

ホイールでも何でもそうですが、私が何か新しいものを導入する際に下調べも何もしない事はありません (不必要なものを所有したり生活に無駄が出るのが大嫌いなので)。

ただ使用環境や使用用途が異なるので、他人の意見は他人の意見として参考に留めているだけに過ぎません。

反対に他者の意見では余り指摘されていない内容で、私が個人的に気になる点もあります。変速機そのものではなく、そこに用いられるリチウムイオン電池です。

携帯式のモバイル端末や電子機器に当たり前のように使用されている事から、意識される機会自体は少ないのですが、本来は輸送などに法令の規制を受ける危険物です。

プロの激しいレースでも用いられているぐらいなので、注意事項を守って通常使用している分には安全性の問題はないと思われますが、充電や運送や保管などの取扱いについては細心の注意が求められます。

それを最も顕著に見て取れる事例は飛行機輪行です。

ご存知の通り、ロードバイク等のスポーツ自転車は航空会社の定める規定に従って旅客機輸送 (輪行) する事が可能ですが、発火の危険性のあるリチウムイオン電池は温度変化や振動の少ない客室に持ち込まなければ荷物として携行できません※。

自転車のフレーム内に電池を内装する電動コンポーネントとの相性は率直に言って良くありません (その点、変速機そのものに着脱が容易な充電池を搭載する eTap は、飛行機輪行に限定して述べれば便利な構造をしています) 。

また機械装置と電子工学技術を応用させた変速機自体も機械式の変速機と比較して複雑な構造をしています。

電動コンポーネントではシフトケーブルの本数を減らす事が可能なので、自転車の見た目はシンプルにする事ができる反面、コンポーネントの機械としての構造は複雑になります。

それがそのままユーザーがあれこれできる範囲を狭めることと同義にはならないものの、(特に海外の山奥での) 故障や損耗時の対処を考えると機械式コンポーネントの構造の単純さの方が有難い場面もないとは言い切れません。




翻って私の使用環境を確認してみますと、飛行機輪行は日常の光景です。

行きたい場所もかつて住んでいたオーストリアの舗装路最高地点 (2,829m)、親友の故郷の南フランスの田舎町、何かと縁のある台湾やベトナムの山奥と言った具合にコンポーネントの修理や交換部品の調達に困難を伴う事が予想される土地が大半となります。

そもそも最初のロードバイクを購入した動機からして、1年間の期限付きの国際免許証に縛られずに自由に旅に持ち出せる自転車が良いというものでした。そこで電池の取扱いで制約を受けるのも何か違う気がします。

極めつけは私は複雑なものが嫌いで、機能的で単純なものが好きです。

これまでの話をまとめますと、電動コンポーネントのもたらす機能的な恩恵はとても魅力的で、視覚的にも自転車の設計の自由度を向上させるだけでなく、外見をシンプルに美しく見せる事ができるようになります。

普通に使用する分には約1,000kmの走行距離あたりに1回の充電が必要になるなど、デメリットにならないぐらいのデメリットしか有りません。

機械式と比較すると割高に見える価格設定も、熟練の技能 (の再現) を誰でも、世界中の何処にいても継続的に受けられると考えれば格安です。

導入を考えない理由など思いつきません。

それでも機械式コンポーネントを私が選択した理由は、構造の単純さ、トラブルへの強さ、取扱いの容易さに強い価値を見出したからに他なりません。

たとえ、内装ケーブル交換の手間と (電動コンポーネントモデルと比較して) ケーブルが邪魔に見える外見を甘受したとしても。

何の話かと申しますと、

また機材が増えた (それも機械式コンポーネントの)

という単純な話です。

増えた機材の話はこちら


※ リチウム含有量や電力量が基準値を超える場合は持ち込みそのものができません

私的ロードバイク 絶景スポット ランキング 2017


2017年9月の落石事故を重く受け止め、太魯閣渓谷と山道の危険性について記述しました (2017年9月17日追記)。


カメラに連れられてという表現がありますが、大学院生活の運動不足を解消する目的で購入したロードバイクに連れ出されて、見知らぬ土地を巡ることも最近では珍しくなくなりました。

その訪問記録を書き始めたのが昨年の春から夏頃なので、書き続けてほぼ1年になります。

1年も続けていると、それなりに魅力的な土地を巡るようになり、印象に残る景色も数えられないほど挙げられるようになります。

その中でも特に素晴らしい、また訪れたいと感じたスポットを独断と偏見で10ほど選んでみました (率直に言い換えると、記事中には貼り切れなかった過去の写真をまとめて公開するアイデアを思いつきました) 。

選考基準は2016年から2017年の上半期の期間内に訪れた場所のうち、自転車で訪れたもの、ロードバイクで走行できるもの、かつ景色や展望に優れていたり、そこでしか見れない独自の要素を持つものです。

期間内に訪れた場所であっても自転車以外の目的で訪れたもの (例:チューリヒや香港など) は含めません。




第1位 角島 (山口県・2016年10月)

響灘の透き通った水や開放感は、瀬戸内海とも日本海とも異なります。

その美しい海の真上を自転車で駆け抜ける快感は筆舌に尽くし難いものがあります。

まさにここにしかない絶景という点を高く評価しての1位です。

角島大橋は横風が強いことで有名なので、ロードバイクで訪れる際はディープリムは避けた方が良いです。

周辺は山がちな地形なので、ルート次第では登りが好きな人でも十分に満足できます。

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第2位 阿里山 (台湾 嘉義縣・2017年6月)

(亜) 熱帯の季候と標高2,000m超の急峻な山脈、高地での生活を偲ばせる山岳鉄道や茶畑、目紛しく移り変わる天候に名物の雲海と、何度も登っても決して飽きさせない魅力が阿里山にはあります。

道路環境があまり良くないところが欠点ですが、それを含めてもまた訪れたくなるほどに多くの見どころがあります。

そして、実際に何度も登らなければ巡りきれないほど、広い範囲が阿里山と総称されています。

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第3位 渋峠 (群馬県/長野県・2017年4月)

日本における国道最高地点です。ここも標高は2,000mを超えます。

群馬県側の白根山では眼前に山が迫ってくるような迫力を楽しむことができ、横手山の長野県境まで登りきれば、周辺の山々すべてを眼下に一望する最高の展望を拝むことができます。

天気が変わりやすい上に、初夏の頃まで降雪があるほど気温が下がることがありますので、ヒルクライムに負けない基礎体力と走力、登山の心得を十分に身に付け、専用の防寒ウェアを整えてから訪れることをお勧めします。

草津温泉からの山道自体は登りに慣れた人からすると物足りないぐらいですが、高山の気候は舐めてはいけません。

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第4位 太魯閣峡谷 (台湾 花蓮縣・2016年6月)

台湾における国道最高地点へと至る渓谷です。最高地点の標高はなんと3,200mを超えます。

私はその10kmほど手前の關原までしか訪れていないため、峡谷に限定しての評価ですが、全線を含めれば更に順位が上がるかもしれません。

大理石が侵食されてでき上がった大峡谷が、50km近くも続く様は圧巻の一言です。

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第5位 周防大島 (山口県・2016年10月)

中国地方におけるロードバイク乗りにとって有名なスポットなのだとか。地図上では屋代島という表記ですが、そう呼んでいる人を見たことがありません。

島の周囲を巡る道路は一周が約100km。舗装状態の良好な道路、穏やかな瀬戸内海の海岸と風光明媚な景色を存分に楽しめます。

しかし、この島の本当の魅力は笛吹峠や白木山、沖家室島など、人があまり訪れないところにこそ有るのではないかと密かに再訪問を計画しています。

注意点は大島大橋と橘を除いては補給地点が限られる事です。オレンジロードに入られるなら、その手前でドリンクや補給食を補充しておいた方が無難です。

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第6位 しまなみ海道 (広島県/愛媛県・2017年3月)

海峡を自転車で渡れるという世界的にも珍しい特徴を備えた「サイクリストの聖地」。

瀬戸内海の青い海と多島美を堪能でき、少しルートを外れれば豊富な激坂や白い砂浜、ダムまで満喫できるという「何でもあり」な贅沢な土地です。

周辺には石鎚山やとびしま海道、やまなみ街道、上述の周防大島など魅力的なスポットも多いので、時間と体力と走力さえ許すなら、組み合わせて一緒に楽しむことも夢ではありません。

メインルートは生活道路と重複している区間があったり、人が多かったりするので、次回以降は大三島の西側や村上水軍エリアの方を周りたいですね。

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第7位 三浦半島 (神奈川県・2017年4月)

東京都市圏随一の絶景スポットと言えば、個人的には奥多摩や宮ヶ瀬や秩父の存在を視野に入れても、なお横須賀・三浦半島を挙げたくなります。

海峡 (浦賀水道)、無人島、軍港、海橋 (城ヶ島大橋)、海岸段丘、砂浜に加えて、少し自転車を降りて足を伸ばせば歴史的な史跡まで巡ることができます。

海水も東京湾とは思えないほど透明度が高く、半島だけに海に囲まれて開放感に溢れています。

それでも滅多に訪れない理由は、混雑が甚だしい上に道路環境が劣悪だからというのが惜しまれます。

行かれる場合には必ず連休を避け、車や人の通行の少ない季節や早朝の時間帯を選ぶなどの工夫が求められます。

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第8位 秋吉台 (山口県・2016年9月)

絶景度と実際の標高が全く噛み合っていない不思議な土地です。

並みの標高1,500mの山よりも遥かに良好な展望とダウンヒルを楽しめます。幻想的な秋芳洞内の光景も一見の価値ありです。

道路の舗装状態は最高で、観光シーズンを外せば混雑とも無縁という羨ましい限りの環境ですが、ルートによっては斜度9%以上の登り坂が出てきます。

もう少し面積が広ければ、もっと順位を上げてもいいぐらいなのですが。

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第9位 國姓鄉 (台湾 南投縣・2017年6月)

台中から見た南投縣の入り口にあたります。

同じく南投縣内に位置する日月潭ほどの知名度はありませんが、平日休日を問わずロードバイク乗りがたくさん行き交います。

北隣の新社區と併せて客家由来の住人が多く、独特の雰囲気があるものの、私の語学力では細かい事情までは分からず。

四方を山に囲まれており、どこに登っても絶景と巡り会うことができます。

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第10位 出雲 (島根県・2016年5月)

私のような東京在住者が山陰地方を訪れる場合、中国山地を巡るよりも海岸沿いを走る方が満足度が高いです (関東近郊の山と中国山地とではそれほど景色が変わらないため)。

白い砂浜が続く出雲平野と急峻な島根半島との対比、少し走るだけで大きく変わる地形とは対照的に、どこから見ても美しい日本海という構図が楽しいです。

晴れて透き通った穏やかな海も、雨の日の荒れた海も、水平線に沈む夕日も、どこを切り取っても絵になります。

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改めて眺めてみると色々なところに訪れているものですが、横須賀以外は自転車がなければ一生訪れることもなかったかもしれないと考えると不思議なものです。

次は既に屋久島と阿蘇と八ヶ岳に行くつもりになっています。

ロングライド時のカメラの運搬に HAKUBA プラスシェル メッセンジャーS

自転車でのカメラの運搬方法として、私は長らくカメラ本体を剥き出しのままストラップで吊るす運搬方法を採用してきました。

この運搬法は速写性が高く、走行中の振動に伴う故障の可能性を軽減でき、持ち運び荷物の点数を減らす事で遺失を予防できるなどの長所があります。

その反面、落下による故障の可能性が高く、汗や日焼け止めクリームや直射日光による本体の損耗やレンズの汚染に弱く、雨の影響を直に受けるという短所も目立ちます。

防塵防滴仕様でないミラーレスカメラを豪雨の中で使用した場合、勝手に電源が ON になったり、レンズに結露が生じたり、ローパスフィルタに汚れが付着したりすることがありますので、普段から汗水に晒されているカメラのダイアルやシャッターユニットの内側がどうなっているのかは、想像することさえも憚られます。




そんな事を今さら気にするようになったという訳ではありませんが、画角の異なるレンズ2本を持ち運べるという利点が気になったこともあり、HAKUBA カメラバッグ プラスシェル シティ03 メッセンジャー 1.6L S グレー SP-CT03-MBSGY という小さなメッセンジャーバッグを購入して 500km ほど試用してみました。



自転車で使用する目的において小型で軽量であることは持ち物の必須条件です。

このバッグは荷物を収納したサコッシュとほぼ同じ大きさに、内装のしきりと4つのポケットがあります。つまり、ミラーレスなどの小型なカメラであれば、ボディとレンズ2本、小型の三脚、レンズペン、ブロワ、予備の電池などを相互に干渉させずに収納することが可能です。

質量は公称で185gですが、肩紐の幅が実測で25mmと幅広で運搬しやすいので、使っていてバッグ自体の重さが気になることはありません。

バッグ本体の大きさに対して肩紐の幅が広いというのは重要な特徴で、このお陰で肩から吊り下げて走行した際にバッグの位置が安定します。

私は SONY 純正品を含めて似たような大きさのポーチやバッグを複数所有しているのですが、紐が細かったり、吊り下げて走行した際に安定しなかったりと、これほど自転車用途に適したものは他に見当がつきません。

加えて重要なのが、吊り下げていて音鳴りしない構造になっていることです。

バッグの使用において私が個人的に最も許せないのは音鳴りで、樹脂製の部品が擦れ合う際に発する不快な音を聞いただけで、そのバッグを投げ捨てたくなります。

最低限のクッション機能もあり、AMEDAS アメダスのような防水スプレーを予め吹き掛けておけば、剥き出しで持ち運ぶよりも遥かに安全にカメラを運搬することができます。

速写性は剥き出しのままよりは落ちるものの、リュックに背負うよりも遥かに良いです。私の使用環境においては、東京の中心部にある自宅を起点にして、半径60kmから70kmほどの市街地区間では撮影機会はほぼ皆無なので、この区間で特に大活躍します。

撮影しないのにカメラを持ち運ぶことは、自転車走行の質を落とすという意味でも、カメラ本体に対して不要なダメージを与えるという意味でもデメリットしかありません。

そう考えたことがバッグでの運搬を検討し始めた最初の要因ですが、突発的な降雨に遭遇しても走り続けなければならないロングライドの場合においても、或いはフラッシュライトや焦点距離の異なるレンズなどの機材を持ち運びたい場合などにおいても有用なのではないかと使用していて強く感じました。