自転車乗りでトンネルが好きな人は、あまりいないかと思われます。
たしかに夏は涼しいのですが、暗くて視界は悪いですし、狭くて逃げ場がありません。
降雨や漏水などで路面状況がよく見えない時などは、トンネル走行に恐怖しか感じません。
しかも、わざわざ費用と時間を掛けてトンネルを通すようなところは、基本的に交通量が多いところばかりです。
「峠道を登ってでもトンネルなんか通りたくない」と思うのは、自転車に乗り慣れてくると良くあることです(乗り始めたばかりで、上り坂が苦手なときは信じられないでしょうけれども)。
北海道の積丹半島は、地図で眺めているだけでも嫌になってくるぐらいトンネルだらけなのですが、北海道の内外から数多の自転車乗りを引き寄せます。
それだけ、魅力的だという証左なのでしょうが、2019年現在、道外から社会人が訪れようとすると難易度が高い土地でもあります。
2019年と限定しているのは、北海道新幹線が倶知安や新小樽まで延伸されれば、劇的にアクセスが改善されて訪れやすくなるからです。
また、本州の社会人にとっては困難ですが、たとえば長期休暇をとれる学生にとっては、日数さえ掛ければ無理なく到着できますので、それほど難易度は高くないかもしれません。
難易度をあげている要素は主に3つありまして、具体的には以下のようになります。
- 北海道自体の遠さ (それによって生じる) 現地到着時間の遅さ
- 出発地点から積丹半島までのアクセス
- 活動時間の短さ
ご存知の通り、東京や大洗から自転車を持って北海道に行こうとすると、北斗(新函館)や苫小牧といった都市が出発地点になります。
この時点で積丹半島から 150km から 200km 近く離れています。しかも、(まあ良くあることなのですが)公共交通機関はあまり頼りになりません。
それは (よくあることなので) まだ良いとしても、経路のほとんどが山間地なので、小樽や定山渓温泉(札幌市南部)、倶知安など決まった地点にしか宿泊施設がありません。
道北や道央を目指す場合とは異なり、到着後、その日のうちに「行けるところまで行って距離を稼いでおく」という旅程を考えることが極めて難しいです。
しかも、北海道に到着した時点で昼または午後なので、出発時間を早めることもできません。
新幹線で新函館駅に到着した場合も 90km 先の長万部はともかく、倶知安までは約 165km も距離がありますので、正午から走り出して同日中に到着するのは難しいです。
「多少は暗くなっても」と思われても、この辺りはヒグマの生息地なので、夜間走行はあまり推奨されません。
ヒグマの生態・行動習性/札幌市
https://www.city.sapporo.jp/kurashi/animal/choju/kuma/seitai/index.html
結果として、実際の距離以上に遠くて、アクセスが難しく感じるわけです。
苫小牧に到着した日の深夜に倶知安まで行けると楽なのですが…
| 行き先 | 出発時刻 | 到着時刻 | |
|---|---|---|---|
| 北海道新幹線 | 東京 -> 新函館 | 6:32 (始発) | 10:53 |
| 商船三井フェリー | 大洗 -> 苫小牧 | 19:45 | 翌日 13:30 |
これがオロロンラインであれば、休日1日目の夜にフェリーに乗り込み、2日目の午後に苫小牧に到着、そのまま、美唄や砂川まで北上して3日目から道北入りも検討できます。
ところが積丹の場合、2日目に北海道に到着した後は宿泊施設がある地点で足止めを受け、3日目にようやく積丹半島の入り口に辿り着き、時間的に一周が難しければ、そこでまた足止めです。
もしくは「何のために北海道に来たのだ…」という気持ちを抑えつつ、2日目は石狩平野の市街地を走って札幌に宿泊し、3日目の朝に JR で輪行することが現実的でしょうか。
快速を使って約 80 分間の輪行で余市まで辿り着けますので、そこからの積丹半島一周なら当日中に達成できそうです。
もはやフェリーと列車を乗りに行くことが目的のようになってしまうことが難点ですね。
こうした積丹半島のアクセスの救世主になりそうなのが、新潟発の新日本海フェリーです。
| 行き先 | 出発時刻 | 到着時刻 | |
|---|---|---|---|
| 新日本海フェリー | 新潟 -> 小樽 | 12:00 | 翌日 4:30 |
休日1日目の朝に新幹線で新潟まで行き、昼からフェリーに乗り込んで、2日目の早朝に小樽に到着。これなら余市、稲穂峠、泊を経由して小樽から約 200km の積丹半島一周が達成できそうです。
3日目に南下して新函館を目指されても良いですし、もう少し休日が続くようなら道央も選択肢に入ります。
気をつけないといけないのは、現状では倶知安から長万部方面 (函館本線という名前でありながら函館まで行かないので…)には 1日に7本しか列車が来ません ので、新函館までのほぼ全区間を自走する覚悟で予定を組まないと厳しいかもしれません。
最後の手段として飛行機輪行を解禁したとしても、この地域の最寄りの空港は 200km 近く離れた新千歳空港、つまり、苫小牧のすぐ隣ですので往路のときと同じ問題が立ちはだかります。
いろいろ考えていると「積丹半島は新幹線が開通してからでいいや」と思えてきますので、長万部までで良いので早く新幹線を通してください。
もちろん、倶知安まで先行開業なら最高です(輪行的に)。
以下は倶知安までの先行開業を主張する北海道商工会議所連合会の関連サイトです。ガイドブックが凄く良くできていて一見の価値があります。
サイクル・ツーリズム北海道推進連絡会
https://www.hokkaido.cci.or.jp/cycletourism-hokkaido/


