朝霧を抜けて天龍を登れ

天竜は浜松市の中心部から、およそ 20km から 60km ほど北方にある山間地です。

愛知県の北設楽郡、長野県の下伊那郡に近接しており、絶景に魅せられて奥地まで進んでいくと、自然と県境を越えていることも珍しくはありません。

その静謐な雰囲気といい、奥行きを感じさせる圧倒的なスケール感といい、湧水量の豊富さといい、天竜の山道は省道臺八線こと中部橫貫公路によく似ています。

浜松名物の餃子が台湾滞在中の日々を思い出させることも相まって、気分は完全に台湾自転車旅行です。

そんな天竜川渓谷が最高の表情を見せるのは、何を差し置いても晴天時の早朝です。




水量豊富な天竜川の蒸気霧が窪地を覆い、月にでも行けてしまえそうなほど神秘的な光景を目にすることができます。

やがて夜が明けて、太陽が昇ると濃霧は雲海となって、地表を覆い隠しながら青と白と緑のコントラストを作り上げます。

視界がぼやけて何もかもが曖昧だった早朝から、雲海の朝を経て、陽の光によって全てが明瞭になっていく過程はあまりに鮮烈で、たった一度の訪問で天竜の虜になってしまいました。

これだからロードバイクは辞められません。

そして、この天竜渓谷の中央に控える秋葉山こそ『遠州一の激坂』と名高いヒルクライムスポットであり、南アルプス・赤石山脈の南端です。

全長 50km 超のスーパー林道天竜線もここにあります。

決して全容を知れない奥深さ、天候や時間帯によって刻々と移り変わる表情、険しい山道に美しい渓谷と、何度くりかえし訪れても感動します。

本気で浜松に移住しようかなと思えるぐらいには楽しめるので、機会がありましたら晴天時の早朝未明を選んで訪れてみてください。

続き 「遠州一の激坂」秋葉山を登る

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