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6分 更新: 2026/09/22

「遠州一の激坂」秋葉山を登る

神秘的な朝霧の天竜を遡ること、およそ1時間、気田川と天竜川の交わる地点に秋葉山はあります。 赤石山脈の南端に相当するこの秋葉山が、何をもって「遠州一」と呼ばれているのかは分かりかねますが、知名度の点で言えば間違いなく遠州一と断言してしまっても良いでしょう。 もちろん、名前だけではなく平均斜度も 10% と強烈です。距離と獲得標高に至っては 7.2km に 700m 超と何かの冗談のような数値が出ています。 東京都内でもっともキツイと言われる和田峠でも距離 3.5km に 平均斜度 10.3% ですから、秋葉山は単体でおよそ和田峠2つ分という恐ろしいスペックを誇ります。 あの林道風張線でも全長 4.2km に獲得標高 490m 程度しかありませんので、全長 7km に獲得標高 700m 超というのが、どれぐらい凄いのか分かります。 そもそも比較対象が林道な時点で並大抵の坂ではありません… と思っていたら、こちらも列記とした林道でした。 全長 53km の天竜スーパー林道 - その最初の 7km こそが秋葉山本宮の参道であり、今回のライドの目的地でもあります。 私は車両進入禁止の森林作業道には立ち入りませんので、公道や廃道ではない意味での「林道」には登山(徒歩)以外では訪れることはないのですが、自由に通行して良いのであれば話は別です。 秋葉神社までは通行して良いのであれば、ありがたく通らせていただくまでです。

その一方で空気は澄み切っていて、人の気配は微塵もなく、緊張感を感じられるほど、森の中は静かです。 時折、木立が途切れて、青空と山並みの間を覆う雲海が視界に飛び込んできます。 しかし、基本的には展望は開けず、鬱蒼とした森林の合間を縫って延々と登坂が続きます。 勾配の強烈さといい、長さといい山梨県の大弛峠によく似ています。体力が尽きる前に登坂が終わってほしいと願ったのも大弛峠以来でしょうか。 秋葉山も大弛峠のように厳しい坂道から始まって、一時的に傾斜が弱まり、また険しくなることを繰り返します。 距離を示す道路横の案内看板も正確で「あと和田峠1つ分」と数えているうちは余裕がありますが、後半になってくると登りきったつもりになっても「まだあと 1.5km もあるのか」と、しっかりと落胆できます。 大弛峠を含む他のヒルクライムスポットとの違いは、ここは赤石山脈の南端ではあっても鞍点や峠ではないということです。 足を攣りそうな思いをしながら秋葉山本宮まで登っても、林道としてはまだまだ奥まで続いていきます(ただし現在は全面通行止めです)。 登り始めた頃には朝霧に包まれて全てが曖昧に見えた光景も、到着する頃には朝の光に照らされて、いつの間にか細部まで明瞭に見えるようになっていました。 あらためてよく見てみると、厳かで緊迫した空気といい、細部まで見事な意匠を施された建築といい、樹齢 650 年の古木といい、フクロウが住む境内といい、秋葉山神社だけでも数え切れないほどの魅力があります。 この素晴らしい光景を眺めているのは自分一人なのかなと考えていたら、なぜか場違いな若い女性が一人だけいて、背後から話しかけられました。 林道に入ってから、ここに至るまで車一台すら通りかからなかったので、少しばかり驚きましたけど、本格的な登山靴にソフトシェルのジャケットという出で立ちだったので、伊那の方から稜線でも歩いてきたのかも知れません。 残念ながら、現状、ここより先には自転車では進めませんので、登ってきた道を引き返すことになります。 斜度 10% を 7km 登るのは嫌ですが、それを降るのはもっと嫌です。 最近は碌でもない山道ばかり走っていたので耐性が付きましたけど、洗い越しのように水が流れている急坂をカーボンリムで降るなんて、どうかしていると思います。 幸いにも路面はそれほど荒れておらず、交通量も文字通りに皆無だったので、コース取りと速度にだけ気をつけていれば、距離と斜度のわりには安全に降ることが可能でした。 降り切った先の景色は、モノクロだった早朝とは打って変わって、青と緑の世界に変化していました。

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