普段使いの PC における Linux の使い心地 — そして MacBook と Chromebook

一昔前に Windows から Ubuntu への移行が盛んに唱えられた時期がありました。調べてみると5年前 (2014年) あたりにも Windows XP の延長サポート終了に伴って、そんな意見が盛り上がっていたみたいです。

当時から「正気か?!」と思い続けていますが、定期的に聞かれて消えることのない意見です。 Linux Kernel を用いた OS としては桁違いに普及した Android を除いても、デスクトップ Linux は徐々に PC オペレーティングシステム (OS)の中でのシェアを伸ばしているようです。

と言っても、2018年現在でもデスクトップ OS 全体の約 2% のシェアしかありませんけれども、それでも随分と増えたものです (PCそのものの利用が縮小している中で減少幅が少ないだけかもしれません)。




デスクトップ Linux そのものは大きく変化していないなかで、これだけシェアが増えているのは驚きですね。

なんと言っても Apple iTunes や Adobe Photoshop/Photoshop Lightroom に Microsoft Office などを筆頭に人気の商用ソフトウェアは、デスクトップ Linux では使えない事が普通です。

AMD の CPU や NVIDIA の GPU ドライバと組み合わせると、相性が良くないので頻繁にフリーズします。

いつの時代の計算機なんだよという感じですね。

それでも Apple の Common Unix Printing System (CUPS) のお陰で、プリンタ関係のドライバも充実して、印刷 (とくに日本語などのマルチバイト文字の印刷) に泣かされることは少なくなりました。

スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末から印刷を行うのと同じように、無線LAN対応のプリンタも Linux PC から当たり前のように使えるようになったのは一昔前では考えられなかった環境の変化です。

運良くバイナリパッケージが配布されていても、それを自分のシステム環境に合わせて設定し直してインストールするまでに一苦労。エラーを吐いても何処にも解決法が記載されていないことも珍しくはありませんでした。

さらに昔は日本語の表示や入力すら… と考えると、まさに隔世の感があります。

もう一つの大きな環境の変化は Chromebook の登場です。


ASUS Chromebook Flip C101PA シルバー 10.1型ノートPC OP1 Hexa-core/4GB/eMMC16GB/C101PA-OP1

Chromebook とは ChromeOS を搭載したノートPCです。ChromeOS は Google が Linux Kernel を用いて製作した OS でして、デスクトップ Linux 向けに開発された Gimp や Inkscape といったソフトウェアを動かすこともできます。

つまり Chromebook とは Linux Kernel 向けにPCベンダーが提供するノートPC筐体 (しかも継続販売されるほど普及している) と見なすことができます。

これがどれだけ凄いことかを即座に理解できるのは Linux ユーザーです。

長い間、デスクトップ Linux はユーザーが勝手にインストールする OS であることが一般的であり、ハードウェアメーカーが動作を保証しているのは一部の市販モデルに留まるなど例外的な状況でした。

私もネットブックに当時の流行だった Arch Linux をインストールして CPU の高熱に苦しめられたり、スピーカーの音割れを経験したり、プロジェクターを認識せずに発表で使えなかったりと Linux のダメなところを飽きるぐらい身を以て経験しました。

現在使用しているワークステーションでもフリーズ対策として、安定するまで /etc/default/grub を何箇所 (どうやら Global C-state Control と I/O MMU が鬼門らしく、ここを disable にするとフリーズ頻度が大きく減りますが完全には直りません) も書き換えています (仮想環境で使用しないのは GPU に計算させたい場合があるからです)。

しかし、これでもハードウェアを認識しているだけ、まだ状況としては良い方なのです。

動作も安定していて滅多にフリーズなどせず、人気のソフトウェアも使用できて、一定期間はサポートも期待できる Windows を消去して乗り換えるなど、安易に他人に薦められるものではありません。

とくにラップトップでは Windows OS 用に最適化されたハードウェアを Linux で動かすとバッテリーの消費量が大きくなる可能性があるなど明確なリスクがあります。最近の薄型軽量のノートPCでは仮想環境にインストールしたり、デュアルブートするほど SSD 容量に余裕がないことも多く、そもそも Linux を使おうという気分にすらなりません。

ところが最初から「Linux」向けに開発されている Chromebook は話が別です。

ChromeOS 上で Linux ソフトウェアを利用しても良いですし、外出先からサーバーに SSH 接続するためのコンソールとしても利用できます。Vim も Git も GCC も Java VM もローカルで動きますし、Chrome なんて名前が付いているぐらいなので、もちろん V8 の node.js も使えます。

今まで UNIX/UNIX ライク OS 搭載のノートPCで使いやすいのは MacBook ぐらいしか選択肢がなかったのですが、ChromeOS にこれだけできることがあるのならば、もうモバイルは Chromebook で良いではないかという気分にもなってきます。

MacBook は iTunes を始めとする人気ソフトウェアの大多数を利用することができ、(コネクタを使えばという条件付きで) プリンタやプロジェクタで悩まされることもなく、高価で高機能なだけあって性能は良いです。由緒正しい UNIX でもあります。

そこまでの性能が必要ない場合に、安定して使える Linux ノートPCとして複数のメーカーから Chromebook が (必要最低限の構成からハイエンドの Pixelbook まで) 用意されている意義は大きいです。

無責任にデスクトップ Linux への乗り換えを勧めるのはどうかと思いますけど、Chromebook は「普通の人」が「普通に使える」PC です。ChromeOS をデスクトップ Linux と見なすと、これがどれだけ画期的なことかご理解いただけるかと思います。

クラウドサービスが一般的になり、ドキュメントやスプレッドシートの作成、画像編集、メール管理などウェブブラウザで可能なことが多くある現在では、動画編集なり、ゲームなり、機械学習なりの特別な意図がない限り、ローカルマシンは (とくにノートPCは) それほど高性能である必要性はありません。

出張や旅行などで持ち歩くには MacBook は CPU などが高性能すぎて稼働時間が短いですし、高価すぎて盗難や故障が痛いです。一方で MacBook は UNIX 環境でありながら、デスクトップ Linux の弱点をほぼ完全に克服しており、これ1台でおおよそ何でもできます。

Chromebook は商用ソフトウェアの少なさと外部ハードウェア対応の弱さという Linux 由来の弱点をそのまま残しているものの、Google のサポートと安定した動作環境に長い稼働時間という利点があります。

実用的な Linux 搭載モバイルPCとして極めて有用だと個人的に思います。

という訳でつづき: 出張や旅行で大活躍する Chromebook

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ロングライドで役に立つかもしれない少し変わったアイテム

舗装の悪い山道を下っていると突然に破裂音が聞こえてハンドルを持っていかれる事があります。

こんな時に限ってタイヤブートも切らしていて、雨天後に使用するためのルブのステッカーをブート替わりにして応急処置を施すことで、なんとか人がいるところまで辿り着けることがあります (※推奨はしていません)。


あるあると思われた方も、どこを走ったらそんな事になるのかと思われた方も、どちらも正しいと私は思います。

豪雪地帯の山道では国道であっても路面が荒れたり、波打っていたりするのは結構あることです。海外に行くと舗装路が途切れたりすることも珍しくありません。

その一方で舗装の綺麗な道路ばかり走っていると、2年以上もパンクとは無縁でチューブの交換時期が分からなくなったりもします (※こちらも推奨はしていません)。

どんな状況であっても確実に役立つのは気温や天候に合わせたサイクルウェアなので、テールライトやパンク修理キットと一緒に真っ先に適切なウェアから揃えるべきですが、それ以外の持ち物については季節や行き先によって変わります。

とくに片道 80km 程度 (渋谷から都民の森、京都七条から金剛トンネル、新大阪駅から和歌山港フェリーターミナル) から 100km 程度 (渋谷から箱根芦ノ湖、京都から敦賀、梅田新道から亀山) のロングライド† になる場合には、それなりに持っていると便利な装備品があります。

ある人にとっては一度も使う機会がないかもしれません。でも他の人にとっては有益かもしれない装備品を備忘録も兼ねてまとめました。




調光レンズのアイウェア

長距離を走る日は必然的に早朝の薄暗い時間に出発して、日没後まで走り続けることになります。とくに視界の悪い早朝未明と夜間に役立つのが調光レンズです。普段は無色透明であり、紫外線に反応して色が変わります。つまり、早朝や夜間と日中とで自動的にレンズの色が変わるアイウェアです。

道路のひび割れ、陥没、黒い服を着た路上の泥酔者の存在など、薄暗い道路は自転車にとって大変危険です。ただでさえ障害物を見落としやすい環境において、さらに光量を減らしてしまう着色レンズの使用はとても危険であり、神経を擦り減らすことにも繋がります。

どれだけ薄い色のレンズを付けても、黄色やオレンジなどの明るい色のレンズに変えても、暗所では色付きのアイウェアを着けると視界が悪くなります。

暗所では無色透明となる調光レンズであれば比較にならないほど視界が良くなるので、安全であることはもちろん、身につけていて楽でもあります。

変色にも気が付かないことが普通であるほど自然です。外してみた際に初めて変色していることに気が付くぐらいです。

しかし、この色の変化は緩慢なので自転車の走行速度でトンネルに入る際には調光は頼りにならず、通常の着色レンズ同様に視界は悪くなります。したがってトンネルの多い山間地での使用を期待して購入するものではありません。

あくまで早朝や夜間の風除け、眼球保護に役立つものであり、その用途では十二分に効果を発揮してくれます。

無色透明のレンズさえあれば、レンズ交換式のアイウェアでも同様に使用することは可能ですが、レンズを持ち運ぶ分の荷物が増える、交換する手間が増えるなどのデメリットもあるので使用頻度が多いと億劫になってきます。

レンズを交換する度にフレームに負荷が掛かり、耐久性が下がってしまう点も見逃せません。長距離を走り続けていると集中力も下がってきて、休憩中に机から物を落としたりすることが増えるからです。その程度の衝撃でも、経年使用で傷んだフレームは簡単に割れてしまいます。

私は調光レンズ付きのアイウェアを1本、色付きのアイウェアを (濃度ごとに) 3本持っていて、その日の天候や行き先ごとに使い分けています。


uvex sportstyle 104 vario 調光レンズサングラス

日焼け止めマスク

ロングライドに出かける際、直射日光に長時間さらされ続けることは避けられません。日焼け止めクリームを塗っても間に合わないぐらい日に焼けますし、皮はむけますし、痛みが出てきます。

日焼けに悩まされずに自転車を楽しむのに最善の方法は物理的に肌を覆ってしまうことです。

私も試行錯誤の末に幾つもフェイスカバーを購入して、最終的に ホワイトビューティー C型 PEARL IZUMI FA-3 UV フェイスカバー の2つを使い分ける形式に落ち着きました。

どこが違うのかと言うとカバーを止める構造と肌への密着性が商品ごとに異なります。ホワイトビューティー C型 はマジックテープで余裕を持って装着できるのに対して、PEARL IZUMI FA-3 UV フェイスカバー はボタンで装着するので風の抵抗が増えないなどの特徴があります。

前者が顔の周りにマフラーを巻きつけるような格好になるのに対して、後者は顔の輪郭が分かるぐらいに無駄なスペースがなくなります。そうした装着感の違いからなのか肌触りも異なります。

装着感が緩くて楽なのは ホワイトビューティー C型 ですが、速乾性が高いのは体感では PEARL IZUMI FA-3 UV フェイスカバー の方です。重さはほぼ同じで、前者が実測 34g 後者が実測 30g です。

これらのフェイスカバーの素晴らしい点は日焼け止めだけでなく、冬場のダウンヒルの寒さを幾分か軽減してくれる効果もあることです。そうした理由もあり、私は季節と行き先と目的ごとに両者を使い分けています。


ホワイトビューティー UVカットフェイスカバーC型

LEDクリップライト

一日のヒルクライムを終えて河川敷を走っていると、暗闇の中を走っているランナーが見えなくて前照灯を上げたり下げたりすることがあります。

こんな時間に人がいるのかと思う深夜でも、ランナーに、釣り人に、直江津に向かう自転車乗りにと驚くほど人の往来があります。

しかし夕暮れ時を過ぎると河川敷はとても暗くなります。周辺に人工光源が少ないことに加えて堤防に囲まれているからです。

ランナーは周りから見えなくて危険だという事実に衝撃を受けて、自分が早朝に走るときにはクリップライトを身につけるようにしました (私の家は川から遠いので河川敷を走ることはありませんが) 。


Zhaozhe LEDテールライト セーフティライト クリップ式 安全警告灯

このクリップライト、自転車に乗る時に着けても良いじゃないかと考えて、一泊二日以上の自転車旅に出かける時には携帯するようになりました。

着替えなどを詰めたリュックサックに着けておけば、自転車を降りた際にも利用することができます。もともとポケットに着けていたものなので、そのままジャージのポケットに着けても良いですし、チェストベルトなどに挟んでおいても支障はありません。

テールランプが切れた際には予備のライトにも使えますし、小さくて軽いので一つ持っておくと安心感が増します。

乾電池式モバイルバッテリー

私はモバイルバッテリーを5本ぐらい持っています。その中で最も使いやすいのは、重さと容量のバランスの良い 2000mAh から 3000mAh 程度のリチウムイオン電池です。

軽くて持ち運びやすく、必要最低限の容量もあり、充電速度も早いからです。容量が大きい物は自転車で持ち運ぶには重すぎます。

乾電池式のモバイルバッテリーは容量も小さく、充電速度も遅いので使い勝手は良くありません。普段は Arduino を外出先で動かしたいときにしか出番がないほど使用頻度は低いです。

ただし、それは (少なくとも出発時点では) 充電がいつでもできる環境にいるからであって、そうではない時に頼りになるのは乾電池式です。

東南アジアに出張に出かけたりすると当然のように停電したり、そもそも送電線が通っていないことも珍しくはありません。山中やキャンプ場にも充電設備はありません。

そこまで行かなくても、夜通し走り続けたり、緊急時にだけ使いたい時には乾電池式は便利です。値段も安いので紛失しても痛くありませんし、あらかじめ充電しておく必要性もありません。

決して使い勝手は良くありませんが、持っていてよかったと思うことが少なくない不思議なアイテムです。


GREEN HOUSE モバイルバッテリー 乾電池式 ホワイト GH-BTB34A-WH

充電式モバイルバッテリー

さきに述べたとおり、通常時の使用において最も使いやすいのは、重さと容量のバランスの良い 2000mAh から 3000mAh 程度のリチウムイオン電池です。

それはロングライドにおいても変わるところはありません。

使いやすいのに乾電池式よりも優先度が低い理由は、冬場はあまり信用できないからです。特定の製品がどうこうというわけではなく、リチウムイオン電池自体が低温に弱く、使用条件次第で電池残量が大きく異なったります。もちろん、アルカリ乾電池でも見られる減少ですが、リチウムイオン電池ほど顕著ではないので、同じ環境で使用していても信頼性が大きく異なります。

私が出張でよく行くミュンヘンでは冬場の夜の外気温は -5℃ ぐらいになったりします。そんな環境でスマートフォンで通話をしていたら、いきなり電源が切れてしまうことが稀にありました。

電源ボタンを押しても、SIMカードを抜き差ししても反応はなく、詳しく調べてみたら直前まで 60% 以上もあったバッテリーが瞬間的に 0% になっていました。

都市部であれば大した問題ではないかもしれません。しかし、ロングライドで好んで訪れるような無人の山中や過疎地においては話が違います。行き先によっては便利さよりも信頼性が重要です。

チーズ用クラッカー

一緒に出かけたことのある方は、ほとんどがご存知なのですが、私は魚介類が食べられません。

エビだけは10年ぐらい訓練して食べられるようになったものの、未だに魚は吐き出しそうになるほど苦手です。燻製にしても、揚げ物にしても、つみれにしても、かまぼこにしても全く効果がなくて困っています。

お好み焼きにかける鰹節や煮干醤油のラーメンは大丈夫なのでアレルギーではないと思うのですが、それ以外は体が受け付けない感じの吐き気を覚えます。

淡水であろうが、汽水であろうが、海水であろうが、生であろうが、焼いていようが、いくら挑戦を繰り返しても食べれるようにはならず、ブラインドテストしてみても魚が入ったものだけが的確にダメなので、半ばもう諦めています。

蟹はさらに苦手で真剣にアレルギーを疑っています。魚とは異なり、出汁や蟹クリームコロッケに含まれているのを口にだけで、本当に蟹が原因で体調が悪くなります。

かろうじて貝は食べられますが、食べられることと好みであるか否かは別問題です。いつも食生活には悩まされ続けており、自転車で出かけるときも例外ではありません。

これだけ食べられるものがないと補給食でも宿でも困るのです。自転車で行きたいような名所や山間地や離島には旅館しかない場合も多く、食べられるものが冗談抜きで白米だけになることも多々あります。

そこで私が補給食として持ち歩いているのがチーズ用クラッカーです。


チェスコ チーズONクラッカー 5枚×4袋

このチーズ用のクラッカーは5枚ごとに包装されており、補給食として持ち歩くのに最適なサイズです。おおよそ 55mm × 50mm × 25mm の表面積に 21g の質量です。ジャージのポケットに入ります。

本当はこれに常用のポケットナイフがあるとなお良いのですけれども、キャンプ場以外でナイフを持ち歩いているのはただの不審者なので、試行錯誤の上に KIRI (児童向けのクリームチーズ) をセットで持ち出すようになりました。

これならナイフを用意しなくても塗ることができますし、持ち運びにも適しています。


■コストコ■kiri キリ クリームチーズ24ピース

何しろ 18g ごとに個別包装されており 37mm × 37mm × 13mm とポケットに入れておくのに調度いい大きさになっています。

わりと頻繁にセール対象品になり、チーズの中では賞味期限が極めて長いので、割引価格でまとめ買いしてストックしておくと優秀な補給食 (兼、夕食) になります。

レンズクリーニングティッシュ

長時間、走り続けていると雨に降られたり、泥が跳ねたり、汗で曇ったりと何かとアイウェアが汚れます。サイクルコンピュータもスマートフォンも汚れて見えづらくなります。

道中にお手洗があったりすれば水道水で丸洗いできるのですが、山道ではそうも行かないことが多くて地味にストレスになります。

そういう時に使い捨てのレンズクリーニングティッシュがあると役立ちます。


HAKUBA レンズクリーニングティッシュ 個装 100枚入り 速乾 除菌 ウェットタイプ KMC-78

個別包装で小さく、荷物にもならないので、3つぐらいツールケースに入れっぱなしにしておくと便利です。

ポリエチ手袋

走っていると駆動系に落枝やゴミが絡まったり、チェーンが落ちることがあります。直そうとチェーンを掴むと手が油まみれになって黒く汚れます。

その手で補給食を食べなければならないときは最悪です。

ツールケースの中にポリエチ手袋を3枚程度、入れっぱなしにしておけば、それを回避できるかもしれません。小さく畳んで収納することができることと使い捨てできることが最大の魅力です。


ポリエチ手袋 No.826 Mサイズ

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† と言っても東京では最も近所にある峠の1つへの最短距離に相当するわけですが

SONY E-Mount FE 24-105mm F4 G OSS と FE 24-70mm F2.8 GM と TAMRON A036

SONY α7 ILCE-7 を購入して以来、4年近くも単焦点レンズだけで運用してきた SONY フルサイズ Eマウントにようやく加えたいズームレンズが販売され始めました。

利用者からの評判が高く市場でも品薄な TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036) です。


TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)

扱える焦点距離が近いためか、店頭販売員さんの話では SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G と (驚いたことに) SONY FE 24-70mm F2.8 GM SEL2470GM とも比較されているようです。

モデル名 焦点距離 絞り値 質量
Tamron Model A036 28-75mm f/2.8 550g
SONY SEL24105G 24-105mm f/4.0 663g
SONY SEL2470GM 24-70mm f/2.8 886g

驚いたことにと付け加えたのは、この3本のレンズに対する私の認識は全く別物だからです。もちろん、それぞれの価格帯はまったく違いますが、性格にも大きな違いがあるのではないかと思っているわけです。

Tamron Model A036 は私の認識では画質重視の寄れる (最短撮影距離の短い) 軽量なレンズです。

同じく画質重視なのが SONY SEL2470GM で、こちらは広角側が (設計が難しいと言われている) 24mm 始まりなのにどの焦点距離でも画質が良くて SONY 凄いなというのを体感するレンズだと勝手に思っています。

MTF チャートを見てみると「単焦点並み」という評価は誇張ではないことが分かります。そこで改めて SONY 凄いなと思うわけですが、常用するには少し重たいですし、Φ82mm のフィルター系は大きいですし、価格も凄いことになっています。




そして、同じく広角側 24mm 始まりの SONY SEL24105G は、焦点距離の範囲が広くて便利な割に画質も良くて使いやすいレンズという認識です。

GMレンズに比べれば軽量ですし、α7RM3 ILCE-7RM3 ボディ 本体 (572g) と合わせて何時間も持ち歩くなら、この辺りが限界な気がします。実際、この組み合わせに電池やSDカードなどを加えると、ノートパソコンと充電アダプタを合わせたぐらいの重さ (約 1.4kg) になります。

SEL2470GM や Tamron A036 ほど画質に重きを置いているわけでないものの、高い画質で広角から中望遠までの距離をカバーできる器用なレンズだという印象があります。また他の2本と違って、レンズ側に手ブレ補正機構が付いているので α6000 系などのサブカメラでも使いまわせるのが特徴的です。

私の用途では広角側の 24mm は必要なかったので、その分、小型で軽量にしてくれた方がもっと嬉しかったというのが偽らざる本音ですが。

私はどちらかと言うと (中) 望遠よりも広角が好きで、24mm 付近であれば (好きな焦点距離だからこそ) 単焦点の ZEISS Batis 2/25 を使いたいです。

人によっては広角ズームレンズ SONY FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM の方が良いかもしれません。

せっかくレンズ交換式なのだから、特定の用途は専用に設計されたレンズに任せてしまえば良いのではないかと思うのですが、外出先で頻繁にレンズを交換するのは流行らない考え方なのかもしれません。

広角 (24mm) と中望遠 (85mm や 105mm) は単焦点に任せてしまえば良いと考えると、その間を埋めてくれる軽量ズームの Tamron Model A036 はとても使いやすそうに見えます。

しかし、このレンズは何処にも売っていないので、販売店でしか触ったことがないんですよね。

私は発売日には東南アジアに出張中で、その2ヶ月後に帰国したときには既に欠品状態になっていました。予約しようにも入荷日と海外出張が重なると最悪で数週間は取りに行けない旨を伝えると店舗に断られてしまう始末です。

入荷連絡を受けて、終業後に店舗まで足を運んでみると在庫なしという状況を複数店舗で10数回ほど繰り返して、疲れてしまいました。

そんな折に「海外仕様の1本だけ在庫が残っている」と紹介されたレンズが SEL24105G です。

使い方が分からないので最初は眼中になかったこのレンズ、延べ100時間ぐらい着けっぱなしにしてみたら、何にでも使える万能レンズなのだと気がつきました。

これ以上、重く、大きくなると鞄に収めるのが厳しいという限界に近いサイズ感、広角から中望遠まで使える焦点距離、広角側でも望遠側でも悪くない描写は、まさに常用レンズといったところです。

唯一、欠点があるとしたら、室内ではISO感度を上げないと厳しいときもあるので、どちらかというとメインで使うというよりサブカメラに着けっぱなしにして、予備で持っておきたいと思いました。

それも解像度重視の α7RM3 ILCE-7RM3 ではなく、より高感度に強い SONY α7 III ILCE-7M3 で使いたくなるので、サブにもう一台フルサイズαを欲しくなります。

もちろん、何にでも使える SEL24105G があれば、せっかく集めた単焦点レンズ群を使う機会はなくなってしまうのではないかと最初は危惧しました。

SEL24105G よりも Tamron A036 の方に興味があったのは、単焦点レンズに足りない焦点距離をズームで補完したかったからです。

しばらく使ってみると手持ちの単焦点レンズ群を活用することを考えるのであれば、むしろ Tamron A036 よりも SEL24105G の方が適しているのではないかとさえ思えてきました。

Tamron A036 の場合は 28-75 mm に足りない部分を他のレンズで埋めていくという考え方になるところを SEL24105G は何にでも使えるため、用途に合わせた単焦点を主に使いつつ困ったときは SEL24105G に任せるという考え方ができるからです。

つまり、前者は Tamron A036 が運用の主役になるのに対して、後者は単焦点が主役になります。

SEL24105G は開放しても F/4.0 までしか明るくならないので、何れにしても明るい単焦点は必要になりますし。

すべてを1本のレンズだけで済ませたい人には SEL2470GM という間違いのない選択もありますし、改めて見直してみると隙のない見事なレンズラインナップですね。あとは供給さえしっかりとしていれば。

続き: SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G の実写と使用感

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ILCE-7RM3 FE 24-105mm F4 G OSS ƒ/4.0 65.0 mm 1/60

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ILCE-7RM3 FE 24-105mm F4 G OSS ƒ/6.3 105.0 mm 1/125

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ILCE-7RM3 FE 24-105mm F4 G OSS ƒ/8.0 105.0 mm 1/125

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ILCE-7RM3E TAMRON 28-75mm F2.8-2.8 (A036) ƒ/6.3 75.0 mm 1/80