超小型の超広角レンズ Super Wide Heliar 15mm F4.5 III

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ポケットに収まる超小型の超広角レンズ SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III を衝動買いしたのは記憶に新しいところです。

これを持って今ぐらいの時期に Xiangshan に行こうと考えていたのですけれども、取引先の都合で臺北に行けなくなったので、この辺りで使い心地をメモしておこうかなと思いました。

このレンズは SONY α-Eマウントとライカ VM マウントの2種類があります。私が持っているのは SONY Eマウントの方です。

こんなに超広角レンズばかり集めている人は他にあまりいないと思いますので、せっかくなので同じ超広角単焦点の Batis 2.8 18mm と比較してみようと思います (画像をクリックすると flickr で拡大版をご覧いただけます) 。


VoightLander 単焦点広角レンズ SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount Eマウント対応 ブラック 233034

一応、Batis 18mm の方はオートフォーカスで Super Wide Heliar 15mm はマニュアルフォーカスという違いがあります。

これぐらいの超広角レンズになってくると実質的に常時パンフォーカス状態なので、少なくとも風景撮影においてはマニュアルフォーカスで不便することは一切無いと思われます。

ピントリングを回すことは非常に稀ですので、もしマニュアルフォーカスということで敬遠されていたら、ご心配される必要はないかもしれません。

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ZEISS Batis 2.8/18 ƒ/8.0 1/60

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Voigtlander SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 III ƒ/8.0 1/60

むしろ 15mm の画角のほうが使いこなすのは難しいかもしれません。

18mm でも距離感を強調しすぎていて、現実の高さ以上に建物が遠く、高く見えます。15mm になると、それ以上に距離感が誇張されて現実感がなくなります。

こういうレンズを山の中に持っていくと凄く楽しいのですよ。

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SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 III ƒ/8.0 1/60




標準と言ってしまうと少し語弊があるのですけれども、いま手元にある標準域のレンズが 65mm しかないので、それと比べてみると写せる範囲が分かりやすいかと思います。

下の3枚は同時刻に全く同じ場所から同じ方向を撮ったものです。

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MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical ƒ/5.6 1/250

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ZEISS Batis 2.8/18 ƒ/5.6 18.0 mm 1/200

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SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 III ƒ/5.6 1/160

こういうのは誇張しすぎるぐらいのほうがおもしろいと思います。

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ZEISS Batis 2.8/18 ƒ/8.0 1/60

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SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 III ƒ/5.6 1/160

超広角レンズとしては価格も安いですし、鞄の隙間に入れられるほど小さいので、トレッキングに、ハイキングに、サイクリングにと言った具合に場面を選ばずに使えます。

では Batis 18mm はどうするのかと言えば、こちらは F2.8 の明るさが欲しいときに使えます。

具体的に述べると Pergamon Museum など訪れると、そのありがたさが良く分かります。

あの明るさと大きさで 330g しかないので、実は軽くて便利なんですよね。この焦点距離と明るさと軽さを兼ね備えているという意味では、他に代替できるレンズが思いつかないです。


カールツァイス ZEISS Batis 2.8/18 E-mount

それから ZEISS らしく逆光に強いので、風景写真の中に太陽が入ってもわりと安心感があります。

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SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 III ƒ/8.0 1/13

Wide Heliar は Cosina らしく光条はとても美しいのですが、使い比べていると Batis に比べると逆光に弱い印象があります。

Apo Lanthar も逆光でゴーストが出ることがありますので、傾向はよく似ています。

広角ズームレンズはどれも評判が良いので、16-35mm まで1本でまとめてしまって、50mm とか 85mm と組み合わせて使うのも悪くないかもしれませんけど、小さくて軽い単焦点を持っていると楽しいという話でした。

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SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 III ƒ/8.0 1/100

ズームレンズは不要なのか? F 2.8 通しを保留してコンデジを物色中

私が SONY α7 (ILCE-7) ミラーレス一眼を購入したとき、フルサイズEマウントにはズームレンズがありませんでした。

それどころか、対応するレンズ自体が 35mm と 55mm の単焦点「2つしか」ありませんでした。まあ 55mm の発売日に購入したからなんですけど。

当時は「Eマウントレンズを1本も持っていない」と豪語する人の方が多数派でした。

今のように G Master レンズも、サードパーティ製の選択肢もなかった時代です。その当時の環境に過剰適合したまま、今までズームレンズを1本も持たずにきてしまいました。

そろそろズームも使いたいと思ったので、定番の 24-105mm の導入を試みたものの F 4.0 の明るさと使用環境との相性が良くなかったので、もっと明るいレンズが欲しくなりました。

詳しい経緯は以下に書きましたけど、ボケや表現の問題ではなく、乏しい光源に適合するために明るさが必要という事情があるので切実です。

転居のことも考えて持ち物を少なくしておきたいという個人的な事情もあり、24-70mm の F 2.8 ズームレンズ (SONY FE で言えば G Master) を導入することを本気で考えました。

わりと真剣に導入を考えていて、重複する焦点距離のレンズをあらかた売却しまったのですが、そこで答えを出さずに逡巡しているうちに、ふとズームレンズの代わりにコンパクトカメラを導入すれば、今よりも撮影の機会が増えるのではないかと思い当たりました。




なにしろ、思い立ったところで、日本に戻って SONY Store に直行できるわけでもないので考える時間だけは無駄にあります 35mm フルフレームに対応したズームレンズは、日常生活で使用するにはやや過剰に思えるほど大きく重たくなりがちです。

歴史的に眺めてみると 35mm フルサイズ (36×24 mm) という大きさはフィルムカメラに由来するもので、当初からシネマカメラ用のズームレンズはあったにしても、(およそ一世紀近くも昔の普及期に) 一般的であったであろう単焦点レンズと組み合わせて使うことが自然な大きさに思えてきます。

正確な知識は持ち合わせておりませんので、完全に個人的な妄想ですけどね。

その — 誤解を恐れずに言えば — 古い規格に、現代の価値基準で求められる高倍率ズームや高解像度を詰め込むと、あの大きさになるのはやむを得ないのかもしれません。

何れにしても、せっかく購入したところで、毎日のように持ち出せないのであれば、宝の持ち腐れです。

少なくとも — 私にとっては日常風景となっている — スーツケースを引きずりながらの移動、スポーツ自転車への乗車時などにストラップに吊るしながら大きなズームレンズを持ち運ぶことは考えたくありません。

フルサイズに比較すると APS はズームレンズが一般化された後にできた規格なので、なるほど、携帯性と画質のバランスが絶妙で良い選択肢になります。

かと言って、せっかくのフルサイズセンサーに APS-C のズームレンズを着けるのも勿体なくて気が引けます。

そもそも、ズームレンズに求められるものは利便性であり、予期せぬ出来事に対応できる柔軟性です。

実用性を重視するとフルサイズでなくても良い等、いろいろと条件を考えていたら、コンパクトカメラに行き当たりました。


Canon デジタルカメラ PowerShot G1 X Mark III APS-Cセンサー 2420万画素 PSG1X MARKIII

コンパクトカメラを「いつでも持ち運べる」センサー付きのズームレンズと定義すると、今更ながらにその利便性と可能性に気付かされます。

レンズ交換式カメラのズームレンズを使用していると、明るさや光条や収差などで「単焦点レンズがあれば…」と思う場面が出てくるものですが、コンパクトカメラであればミラーレスや一眼レフカメラと無理なく併用できます。

上着のポケットに入るぐらい小型軽量であることが理想ですが、13インチのノートPCと一緒にブリーフケースに収納できる大きさであれば、実用上は何の問題もありません。

荷物量を減らしたい登山などであっても、頂上や鞍点などの絶景はフルサイズに 16-35mm の広角ズームレンズもしくは超広角の単焦点、24-70mm はコンパクトカメラと併用できるので、持っていても無駄になりません。

それどころか、レンズ交換の手間もないので、普段は互いを補完し、もしもの場合には予備機の役割も果たせると良いことづくめに思えてきました。

具体的に購入を検討しているのは、この辺りです。

センサー 焦点距離 開放絞り 質量 EVF
Canon G1 X M3 APS-C 24-72mm F2.8-5.6 399g
Panasonic LX100 M2 4/3 24-75mm F1.7-2.8 392g
SONY RX100 M3 1インチ 24-70mm F1.8-2.8 290g
Canon G7 X M2 1インチ 24-100mm F1.8-2.8 319g
Canon G9 X M2 1インチ 28-84mm F2-4.9 206g

RICOH GR や SONY RX0 II は、個人的には大好きなのですけれども、ズームレンズの代替を考えているので今回は除外しています。

センサーサイズは 1インチのほうが小さくて、 APS-C や 4/3 (フォーサーズ) の方が大きいです。

APS-C と 4/3 (フォーサーズ) では APS-C の方が大きいのですが、両者の間では決定的と言える程の違いはありません。フルサイズと APS-C の違いと比べれば誤差みたいなものです。

大きいセンサーのほうが暗所に強かったり、表現力が高い傾向にあるので、携帯性よりも画質を優先するのであれば一般的には大きい方が良いですが、1インチでも大きなセンサーに分類されますし、用途を選べば十分にきれいな写真が残せます。

焦点距離は短いほうが広く、絞り値は数字が小さいほど明るくなります。絞り値が変動するのは、焦点距離が短いほうが明るく、長い方が暗くなることが一般的です。

EVFは屋外撮影などで重宝します。

実物を触っての主観的に評価では LX100 M2 はファインダーがとても良かったほか、シャッタースピードを変えられるダイアルなどが直感的で使いやすかったです。


パナソニック コンパクトデジタルカメラ ルミックス LX100M2 4/3型センサー搭載 4K動画対応 DC-LX100M2

質感も非常に良好で、これに事故保証プランをつけて壊れるまで使い倒すのも有りだなと本気で思いました。


カメラ・ビデオカメラ 3年 事故保証プラン (落下・水濡れ等にも対応 / 対象製品税込価格 50,000円~54,999円)

より携帯性を重視するのであれば、SONY RX100 M3 も魅力的です。

コンパクトカメラやミラーレスカメラで画質を優先すると、ポケットにギリギリ入らない大きさになってしまうことが多いですが、RX100 は文字通りにポケットに収納できる可搬性が魅力です。

中途半端に小型化すると、ミラーレスカメラと取り回し (運搬方法や使用用途) が同じになって、結局、フルサイズや APS-C にパンケーキレンズで良いとなってしまうので、ここでは思い切って小型化するのも間違いとは思えません。

スマートフォンのカメラでは記録に残す気にすらなりませんけど、1インチセンサーのカメラは落とし所としては悪くない気がしています。

過去のモデルと最新の Mark 6 までが併売されており、個人的に魅力を感じるのは高倍率ズームを搭載した M6 と、明るい標準ズームとして使える M3 です。

とくに M6 はポケットに収まる便利ズーム (24-200mm) として単体で運用しても良いですし、どんなレンズと組み合わせても相性が良いです。

初代と比較すると M3 から焦点距離が変わって広角側が広くなり、M4 以降はセンサーが変わってオートフォーカススピードが上がっています。

M6 でまた焦点距離が変わり、明るさと引き換えにズーム倍率も上がりました。

ファインダーはあまり使いやすくはありませんけれども、この小さい軽量ボディにそこまで機能が付属していること自体が驚きです。使おうと思えば、普通に使えること自体が凄いことです。

最大の長所は α7 シリーズと操作系が同じで、この大きさながら絞り値、露出、シャッタースピードを違和感なく設定できます。


ソニー SONY コンパクトデジタルカメラ サイバーショット Cyber-shot DSC-RX100M6

ファインダーも、可動式液晶も、広角側 24mm も不要ということであれば、Canon G9 X M2 は更に割り切っていて小型軽量です。

ここまで来るとズームレンズの代替というよりも携帯性の追求になっていますけれども、使用用途が明確なので使い勝手が非常に良さそうに思えます。

最終的には 24-70mm F2.8 のズームレンズも後から購入することになるのかもしれませんけど、普段は単焦点レンズしか使用せず、使用頻度も高くなる見込みが薄いのであれば、その代替としてコンパクトカメラを併用するのも悪くない考えかもしれません。

レンズフィルターは必要か — メリットとデメリット

レンズ交換式のカメラを購入したら、取り敢えず着けておけば安心のレンズ保護フィルター。

私はフィルターが好きで、レンズ本体よりも多くのフィルターを有しています。

風景撮影に通行人を写り込ませない用途に使える ND フィルター、反射光などの不要な光を除去するのに便利な PL フィルターなど、フィルターの交換だけで写真表現の幅が大きく広がります。

また1日に10時間近くも歩き続ける登山などでは、保護フィルターがレンズキャップの替わりに便利に使えることもあります。

長時間の移動途中の撮影において、片手が塞がっていたりすると、いちいちレンズキャップを付けたり、外したりしていられなくなります。

そんな時はレンズ保護フィルターを着けっぱなしにしておくと、泥はねや花粉、土埃などからレンズを保護してくれます。

新しいレンズを購入したら、開封して最初にすべきことは保護フィルターを装着することといった具合に、フィルターを着けることは当たり前だと考えてきました。

ところが、先日購入した新しいレンズにはフィルターを着けていません。

このレンズはフードがねじ込み式であり、レンズ本体とレンズフードの間にフィルターを挟むとフィルターも一緒に動いてしまいます。

フードの先にフィルターを着けると、今度は装着が良すぎて取り外しが容易ではありません。

結局、フィルターの使い勝手が悪すぎて、このレンズにフィルターを着けることはやめようと考えるようになってしまいました。

そうして、しばらくの間、フィルターなしでの運用が続きます。

新しいレンズの透明感と解像度に惚れ惚れしていたところで、あるとき、ふと考えました。

どうして、ほかの手持ちのレンズとこんなに違うのだろうと。

もともと解像感が特色のレンズなのですが、もしかしたらフィルターを使用していない影響もあるのではないかと思い当たりました。




あらためて考えてみると、今までフィルターなしでレンズを運用したことはありません。

高級コンパクトカメラだって普通はレンズフィルターなんて着けないのに、常時、フィルターを装着しておく必要があるのかどうかが疑問に思えてきました。

そこで全てのフィルターを外して1ヶ月ほど、今までどおりにカメラを使用してみました。

結論から述べると、チリや(あの忌々しい)黃沙がレンズに付着するので、頻繁にブロワーで掃除しなくてはならなくなりました。撥水・防汚コーティングには宣伝通りの効果があるみたいです。

何かしらの事情がない限りは、フィルターを装着したまま運用したほうが良いのではないかと、装着しないまま運用していて痛感しました。

事情というのは、もちろん、画質への影響です。

せっかく高解像度で高コントラストなレンズに高いお金を支払っているのに、フィルターを装着することで特色が失われてしまったら、何のために良いレンズを購入しているのか分かりません。

フィルターを装着することで出力に影響が出るのか、実際に何度か試してみました。

本当は新聞紙などを使うと良いらしいのですけど、もらいに行くのが面倒だったので、その辺りにあった本棚で代用しました。

細かな文字とかで比較できれば何でも良いのではないかと。私はこういう性格で興味が長続きしないのですよ。

比較に使用したのは SONY α7 RIII に MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical (通称あぽたん) です。

このレンズは条件が良いところで、きちんと撮影すると文字に使われているインクの質感まで写せます。今回は面倒なので(略)

ISOとシャッタースピードと絞り値は固定で (室内が暗いので) フラッシュを強制発光しています。

こんな手抜きの比較でフィルター装着の有無による画質への影響が分かるのかと最初は思っていたのですが、意外にもしっかりと影響が出ていて自分でも驚きました。

出力された RAW ファイルのカラーヒストグラムが明確に違います(左側だけに寄っているのは別問題として)。

フィルターなし

レンズ保護フィルター装着

PLフィルター装着

少し暗かったので露光 (exposure) だけを 1EV 上げて、ほかの設定をいじらないままの状態で細部を切り取ってみました。

フィルターなし

レンズ保護フィルター装着

PLフィルター装着

違うと言えば違うのですけれども、これぐらいだったら影響を気にしなくても良いのではないかなと個人的には思えます。

晴天時の屋外で比較すると似ているようで異なる結果が得られますので、気になられた方はご自身で試されてみることをお勧めします。撮影条件とファイル番号を付箋にメモして置くと簡単です。

画質については、人によって許容できたり、できなかったりする微妙なところだと思われますが、ひとつだけ、逆光に関してはフィルターを装着すると目に見えて弱くなります。

そればかりは仕方がないので、一時的にフィルターを外すなりして、運用面で対応していくしかありません。

フィルターの画質への影響は「ほぼ無い」と言われているとは言え、「まったく無い」わけではないことは何度か条件(撮影場所や時刻や被写体)を変えて自分で試してみて実感しました。

それを許容できるかどうかは個々人によって異なりますので、最終的にはご自身で比較されてみることが一番だと思います。

自分で比較していて、これは自分が納得できるかどうかが全てなので、個々の比較結果を誰かに伝えても仕方がないなと心から思いました。

フィルターを着けずに持ち歩いていると、外出する度にブロワーと掃除機でチリを取っても、また直ぐに汚れるので着けっぱなしで運用するのも一つの正解だと思います。