クロモリのエントリーモデルを軽量化したらコスパ最高の楽しい自転車になった

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私が改造して普段使いしている Raleigh CRN Carlton-N は、メーカー希望小売価格110,000円、カタログ重量 9.5kg のクロモリのエントリーモデルです。

購入した時点では最も価格が抑えられた文字通りの入門車でした。

頑丈で扱いが容易な反面、クランクを回すのが重くて異様に疲れる自転車という印象で、初めてスポーツ自転車を購入した時に感じるという「軽い」や「速い」という感想とは無縁でした。

それどころか、32Cのホイールを履いた後輩のクロスバイクの方が重量が軽い事が分かり、「ロードバイクなのに… 」と衝撃を受けたぐらいです。

あまりの衝撃から、走行性能については完全に諦めて、3本ローラー用のトレーニング機材に転身させる事も考えました。

しかし、オーバーホールに合わせて、ボトムブラケットをグレードアップし、軽量な手組みホイールを履かせたら、まるで別物の様に俊敏で、軽快な自転車に生まれ変わりました。


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ブレーキ・シフトワイヤー換装と一緒に交換したチェーンリング

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700 × 23C のタイヤを履いた手組みホイール


まず、手に持ってみると軽いです。

これ以上の軽量化(サドルやペダルやシートポストの交換)なんて考えなくても、これなら十分に輪行やヒルクライムに持ち出せます。

完成車に付属してきた Tiagra のクランクが重たいので、ここもグレードアップすると更に軽量化と走行性能の向上が見込まれますが、後述するエントリーモデルならではの楽しさと使い勝手の良さが失われるので、しばらくはこのままの予定です。


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跨って、踏み出してみると非常に加速が良いです。

これが「リムが軽い」という事なのか、重いギアで踏んで行くよりも軽いギアで加速していくのが楽しいです。

納車したばかりの頃のように踏み込んでいて疲れると感じる事がないので、新宿から甲州街道と奥多摩街道、陸橋通りを経由して、70km先の檜原村まで走ってきました。

そういう事が無理なくできる自転車になっています。


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タイムさえ考えなければ、この坂を登りきって檜原きのこセンターまで辿り着けると言えば、どれぐらい走れる自転車になったのか、具体的にお分かりになるかと思われます。

貴重な休日の時間を費やして、登ることに挑戦してもいい、行けると思わせるだけの走行性能があります。

という訳で、きのこセンター前まで登ってきました。


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ここまでなら、ULTEGRA組みのフルカーボンのロードバイクにレーシングゼロでも履かせれば良いのですが、クロモリのエントリーモデルの長所は取り回しの良さにあります。

カーボンフレームのFELT F7に乗っていると、どうしても盗難や段差、降雨などによるバイクの消耗を意識します。

乗っている時は楽しいのですが、ひとたび自転車を降りると、転倒対策や管理などに神経を使うのは避けられません。

今夏以降に予定しているレース出場を前に、繊細な決戦用機材で練習するのも如何なものだろうというのが、今回の改修の直接の動機です。

その点、クロモリなら素材の特質上、疲労限度がありますので、グラベルの振動や段差の衝撃などは全く気になりません。

飛行機輪行する際にもリアディレイラーの保護にさえ気をつければ普通の輪行袋を使用することも可能 (※当然ですが推奨はされていません) で、コンビニ休憩の際も駐輪場所に悩まされる事はほとんどありません。
雨に降られたら水抜きしてグリスアップ、傷が入ったら自動車用のタッチアップペンで補修するだけです。




もとより頑丈さが売りなので、走行性能が改善されれば、クロモリ自体の使い勝手は悪くありません。

またエントリーモデルという事で、高価なモデルと比較して、盗難被害に遭いにくい事が期待されます。

仮に被害にあっても、「既に○万km以上も乗ったから…」とギリギリ諦められる価格範囲にあります。

地味で、高性能・高耐久で、安価な手組みホイールの組み合わせも、この方向性にピッタリで、どんどん走り込んでフレームと一緒に使い倒そうという気分になってきます。
以下は実際の換装部品です。

換装部位 換装部品 優先度
ブレーキキャリパー Shimano BR-5800 最高
ホイール 手組みホイール
ボトムブラケット Shimano SM-BBR60
チェーン Shimano CN-6701
チェーンリング Shimano FC-5750-L
スプロケット Shimano CR-5700



クロモリCarlton N 再生計画 03

計画から部品調達を経て、今回から、いよいよ自転車再生に取り掛かります。
これまで20日あまりも手をつけなかったのは、個人輸入したボトムブラケットが到着していなかったからです。
昨日、小雨が降る中、仕事帰りに新宿郵便局までBBを受け取りに行ってきましたので、早速、取り掛かります。



まずは万能ツール、DuraグリスことSHIMANOプレミアムグリス水拭き雑巾掛けシートを用意して、古くなったチェーンを切ります。


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チェーンを切るのは日常的すぎて、写真を撮るのを忘れるぐらいなので、今回は割愛。
アーレンレンチとクランク取付工具を使って、クランクを外していきます。
取り掛かる前から想像していましたが、恐ろしく汚いです。さすが、雨水や汚れの溜まりやすい部位といったところ。


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ロードバイクのオーバーホールでは、このクランク部位を清掃したり、ボトムブラケットにグリスアップを行いますが、今回はBBは部品ごと新品に交換してしまいます。
狙いは可動部位の性能アップです。
副次的な効果で少々の軽量化にもつながります。



クランクを外して見ると、内部は思っていたよりも汚れていませんでした。
とりあえずは一安心ですが、部品単体で見た時に異様に重いのが気になりました。
余りに重いので計測してみると、ペダル付きで左が 476g 、ペダルとチェーンリング付きで右が 792g もありました。
これは…早く何とかしないと…
とりあえずは、このまま、ボトムブラケットも一緒に外してしまいます。


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相変わらず汚れが溜まっていますが、幸いにしてサビは出ていません。
この機会に汚れを落として、パイプの溶接部を目掛けて防錆スプレーを吹きかけます。



防錆スプレーが効いているのか、ボトルケージやワイヤーを固定するネジは何度も錆びて茶色に変色しますが、フレームやフォーク内部には今のところ異変はありません。


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取り外したのと同じ要領で、ボトムブラケットを取り付けます。
最初の頃は取り付けに失敗して走行中に外れたら…と妄想していましたが、クランクやボトムブラケットの付け外しは初心者が自分で挑戦してみても失敗する事が少ないので、見かけ程、難易度は高くありません。
もちろん、きちんとした手順を踏まえて、念入りに安全確認(の依頼)を行う必要があるのは、言うまでもありません。


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逆にホイールのハブやブレーキなどは、調整が上手くいっていないと即座に事故につながるので、一切触らずに最初からプロショップの自転車技士、自転車安全整備士にメンテナンスを依頼します。
今回、クランクにアウターチェーンリングが固着していたので、そちらの交換もショップに依頼することにしました。
続く



手組みホイールを購入しました

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ロードバイクにおける練習用(或いは普段から履きっぱなしの日用)ホイールには、リムが軽く耐久性が高いという条件を満たすアルミクリンチャーホイールが良いと述べました。

その考えを自ら実践すべく、Mavic Open Pro のリムと SHIMANO Dura-Ace ハブ を用いた手組みホイールを新規に購入しました。

手組みホイールの良さはリムやスポーク (消耗品) の価格を抑えながら、回転性能に大きな影響を与えるリム重量を少なくできる事にあります。

逆に短所としては専用設計の完組ホイールよりも空力やバランスが悪くなる事が多く、剛性を求めれば重量が犠牲になる等のトレードオフが顕著に現れます。




その点を考慮しても汎用部品を使用する事によるメンテナンス性の高さとコストパフォーマンス、スポークの多さからくる耐久性とトラブルへの強さは、距離を走る練習用ホイールだからこそ利点となるのではないかというのが本記事の趣旨となります。

手組ホイールと言えども Fast Forward – F6R のようなレース使用を前提としたハイエンドモデルも存在しますが、あくまでも練習用ホイールなのでリムの材質は安価な上に天候を選ばないアルミニウム合金に限定し、タイヤは入手性の良い23Cのクリンチャータイヤを使用する事を前提とします。


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とは言え、ハブについてはスポークやリムよりも耐久性が高い事を考慮して Dura-Ace を選択しました。

スポーク本数さえ対応していればカーボンディープリムでも組み合わせられる事を踏まえた上での将来的な拡張を見越した選択です。

練習用ホイールに使用するのであれば、Ultegra ハブでも十分な性能を有している事は間違いありません。後述の様にDura-Aceハブを選択しても極端に軽量化ができる訳ではないからです。

リムについてはアルミリムで最も実績のある Mavic の OpenPro を採用しました。手組のクリンチャーリムとしては定番となります。

左右のテンションバランスを重視するなら DT Swissの RR 440 Asymmetric という選択も考えられますが、OpenProの方が軽量かつ採用実績が豊富なので、先ずはリムはリム屋という事で試験的に導入しました。

スポークはスポーク屋に任せるという考えから、DT Swiss の Competition 1.8mm を採用しています。


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迷ったのはスポーク本数です。本数が増えるほど耐久性が増すと同時に剛性も上げられるようになりますが、重量が増えて空力も悪くなります。

完組ホイールはスポークを減らす事で軽量化と空力の改善を行っている事が多いだけに最も頭を使わなくてはいけないポイントです。

私の用途では剛性の高い反応性の良いホイールが理想ですので、ホイール全体の重量が多少増える事を厭わずに剛性を重視する事を考えます。完組ホイールがスポーク本数を前20/後24H程度に抑えるのに対し、手組ホイールでは32Hものスポーク本数が張られる事が一般的です (頑丈なディープリムでは例外的にスポーク本数が減らされる事も多いですが)。

そこで標準的な 32H を検討したところ、懇意にしていたショップの店長から「重くなり過ぎるので (これだけヒルクライム頻度が高いなら) 不満が出るだろう」という貴重なご意見を頂き、最終的に1段階スポークを減らした 28H の2クロス組みで組んで頂く事となりました。

これらの部品の組み合わせにより、完成したホイールの重量はリムテープ込みで前後で 1,647g となりました。

前輪 760g に対して後輪 887g は (部品の合計) 市販価格7万円台のホイールとしては一般的ですが、ランニングコストを含めた長期的な使用で真価が発揮される事が期待されます。


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前述のように走行性能、耐久性、価格、(汎用市販品を用いる事による)整備性のバランスから選択した手組みホイールですが、所有欲を満たさないかと問われれば、そんな事はありません。

フランス製の高精度部品などを自由に組み合わせて用いる事ができ、組み方や配色まで指定する事が可能です。

そのように乗り手の好みに合わせて調整されたホイールが使い難い訳がありません。




この新ホイールを用いて、次回以降の「クロモリCarlton N 再生計画」では、具体的な改修作業に取り掛かります。