東京から「日帰り」できる絶景と火山と温泉の島

東京から日帰りで訪れることのできる日本の絶景と言えば、長野オリンピックの舞台にもなった志賀高原・草津白根山、海と山と富士山が織りなす雄大な景色を楽しめる伊豆・箱根などが有名です。

もう少し滞在時間を伸ばせるのであれば、清流と高山植物を楽しめる尾瀬、日本の屋根と形容される飛騨山脈と上高地、高原リゾートとして名高い裏磐梯など国内有数の名所がずらりと並びます。

そうした数々の名所にも比肩し得る、絶景と火山と温泉の島が東京にあります。竹芝の東京港から 120km ほど南方に浮かぶ伊豆大島です。

伊豆大島は東海道新幹線の熱海からジェット船で約 45 分、東京港からでもわずか2時間弱で到着できる離島です。しかも夜行の大型船を利用すれば、早朝6時から上陸することも可能です。



はじめて伊豆大島に訪れると、まず本州や九州や瀬戸内の島々との違いに驚かされます。

農耕地や河川が見当たらず、島の中心部に立派な火山があり、独特の植生と頻繁に遭遇するイタチやリスなどの小動物に驚かされ、そして、風の強さに圧倒されます。

一年の半分以上は海外に滞在にしている私のような者にとっても、まるで別世界に来たような印象を受けるほど、何もかもが目新しい場所です。

幸いなことに物価は本州とあまり変わりません。島中で見つけられる屋外の自動販売機は 160 円 (本州より10円高い) で、定食屋の料金は 1,000 円前後というところが多かったです。そして意外なことに交通量が多いです。




一周するとおよそ 50km ほどの距離になる島に、ほどほどの大きさの集落が6つ存在するので、島内は完全な車社会になっています。

関東で例えれば、神奈川県の藤野(中央道の渋滞時を除く)、冬季の三浦半島の南部(逗子と葉山を除く)と似たような印象で、混雑するというほどでもありませんが、瀬戸内あたりの島と比べると多く感じます。

離島としてはとても車が多いので、自動車教習所も、信号も普通にあります。島内を一周して 50km ほど走ってみたところ、その間に6回も信号につかまりました。奥多摩(檜原・丹波山)基準で考えると3倍以上も信号が多くて、私の知る他の離島との違いに少しばかり驚きました。

伊豆大島と同じ東京 120km 圏であっても、山梨県の鶴峠や茨城県の北浦沿岸など、これよりも車も信号も少ないところは存在するので、交通量が少ないという言説は正しいとは言えません。

このように本州とも、ほかの離島とも異なる伊豆大島ですが、その最大の特徴は火山島であることです。

伊豆大島の見どころである砂漠、地層の大切断面、巨大な噴火口、相模灘越しに眺める富士山など、伊豆大島の絶景は日本ではここでしか見られない珍しいものばかりです。



島に住む地元住民にとっての生活道路である大島一周道路だけを見ても、空港、港湾、都立公園・動物園、山岳道路、砂漠、噴火湾、漁港、中心市街地と目まぐるしく景色が変わります。

わずか 50km ほどの間に、ここまで個性的な見どころが並んでいる場所は他に思い当たりません。

そのため、来島者も魚釣りの道具を持った釣り人、サーフボードを抱えるサーファー、自分の自転車を持ち込むサイクリスト、ハイキングや温泉に訪れる家族連れ、登山家に写真家と多種多様です。

一度に複数の見どころを楽しめる絶妙な距離感なので、島を一周巡ってから火山に登ってもいいですし、午前中は海で楽しんでから温泉に入りに行くことも可能です。

東京から夜行フェリーを利用して、実質「日帰り」できる見どころ豊富な火山島。それも関東では極めて貴重な渋滞や大行列とは無縁の地という理由で、週末の小旅行に出かけるには凄く良い場所です。

何度も繰り返し訪れる人がいるのも不思議ではないことを、自分で訪れてみて心から実感しました。

今時のマニュアルレンズ – Wide-Heliar という選択

一眼レフに対するミラーレスカメラの優位点として話題になる瞳オートフォーカス(AF)。

人物のポートレート撮影の失敗が格段に少なくなるほか、最近では動物にも対応し表現の幅が広がることが期待されています。この機能がなによりも役に立つのは、観光地などで誰かに写真を撮ってもらう場面においてではないでしょうか。

カメラ操作に慣れている人であればともかく、その場にたまたま居合わせた人に自分の記念撮影を依頼すると、もう見事にピントは合っていないわ、手ブレしているわと悲惨なことになっていることが日常的に生じていました。

どうして、こんなことになっているのだろうと設定を見直してみると、自分にとっては当たり前になっていた絞り優先やシャッタースピード優先、もしくはマニュアルモードが原因となっていることが思い当たりました。

それ以降はカメラを他人に貸す場合には積極的にプログラムオートに設定して、カスタム機能で割り当てた瞳AFを使用してもらうようにしたところ、よっぽど距離を離れていない限りは、ピント合わせに失敗することはなくなりました。

そんなオートフォーカス全盛の今日にあっても、マニュアルフォーカスが燦々と輝く分野が2つあります。マクロと超広角です。




精緻なピント合わせが必要なマクロ撮影

マクロとは被写体を大きく写す撮影で、花や昆虫や雪の結晶などがよく被写体となります。

マクロ撮影ではオートフォーカスが(速度的にも、精度的にも)頼りになりませんし、どこを拡大したいのかを最終的には自分の眼で選ぶことになるので、マニュアルフォーカスに最適化されたレンズのほうがオートフォーカス機能を併せ持つレンズよりも使いやすかったりします。

具体的にはピントリングが違います。マニュアルフォーカスレンズは手でリングを回してピントを調整するようにできていますので、物凄く細かいところまで微調整が効きますし、動かしている途中で勝手にピントが動いたりしません。マクロのMFレンズは機能で選べる実用品です。

もう1つの超広角のMFレンズも、また別の理由で極めて実用的です。

パンフォーカスが通常の超広角

マクロレンズの被写体が極端に小さいものなら、超広角の被写体は極端に大きな風景となることが一般的です。

風景撮影に求められるのは、大きく写せるレンズの広さ(画角)、隅々まで写せるレンズの解像度、直線をまっすぐな直線として描写できる歪曲の少なさといったレンズそのものの描画性能であることがほとんどです。

ボケを求められることは多くないので、星空を撮影しない場合には明るささえ問題にならないかもしれません。ピント合わせは無限遠となり、オートフォーカスは有っても無くても、ほとんど変わりません。

Wide-Heliar で言えば、2.0 m 以上も離れていれば無限遠です。ピントリングを回すまでもなく、ほとんどの場合は最初から合焦していますので、いきなり微調整に入れます。

こうした条件であれば、マニュアルフォーカスであることのデメリットを感じることはほとんどなく、むしろ、構造がシンプルであるがゆえの軽量性や携帯性、堅牢性、低価格などのメリットが大きいです。

なにしろ焦点距離 15mm の超広角レンズが(ライカMマウントの場合)たった 247g で実売価格は8万円ほどです。

同じ焦点距離 15mm あたりのレンズでは、質量 500g から 600g ほどになることが通常で、価格も15万円から20万円超になることが珍しくありません。


VoightLander 単焦点レンズ SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical III VM フルサイズ対応 130135 SWヘリアー15F4.5VM3

オートフォーカスを使えないという、超広角ではデメリットにならないほどのデメリットを甘受するだけで、こんなに簡単に超広角を楽しむことができるのかと衝撃を受けました。

Wide-Heliar を知って超広角レンズに対する認識が大きく変わりました。

それまでは望遠レンズの次ぐらいに大きくて重たいこと(そして高価格)が当たり前だと思っていた(フルサイズの)超広角レンズが、パンケーキレンズと同じ感覚でポケットに入れて持ち運べるなんて、最初は意味が分かりませんでした。

焦点距離 15mm という広さは、どんな山でも活躍できるぐらいの十分な広さを持っています。

この焦点距離(と 35mm までを1本で使いたくて)Nikon 広角ズームレンズ AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR をボディごと購入したことがあるぐらいです。

ところが実際にはズーム機能はあまり使わず、後から見返しても(最も広角の換算)15mm と(最も望遠の換算)35mm しか使っていないことが分かったので、あまり普段は常用することのない超広角の 15mm を簡単に持ち運べることは、私にとっては大きな意味があります。

世界最広角

ところで、この Wide-Heliar には 15mm のほか、12mm と 10mm というバリエーションがあります。

このうち、10mm には世界最広角という魅力的な肩書があります。すなわち 35mm フルサイズのセンサーにおいて、フィッシュアイなどの特殊なレンズを除いて、もっとも広い範囲を写せるレンズということです。

超広角でおなじみの SONY ウエアラブルカメラ アクションカム HDR-AS300 だって 35mm フルサイズに換算すると焦点距離 17mm 相当ですから、凄すぎて意味が分かりません。


VoightLander 単焦点広角レンズ HELIAR-HYPER WIDE 10mm F5.6 ASPHERICAL VM VMマウント対応 ブラック 130142

ただし、10mm と 12mm はドーム型にレンズが飛び出しているので ND フィルターや PL フィルターを使用することができないほか、開放 F/5.6 とレンズとしては暗い方になります。

むしろ、この小ささ、軽さで F/4.5 の明るさがあり、フィルターも装着できる 15mm の方が特殊なのかもしれません。

どれを選んでよいのか、物凄く迷うところですが、私の場合はコガネムシと衝突することがあるのでフィルターを使用したいこと、なるべく荷物を軽量にしたいことなどから 15mm を選択しました。

しかし、そうした事情さえなければ、世界最広角の 10mm が極めて魅力的に見えます。聞いたところでは 10mm が一番人気があるみたいです。

超広角でも、どれぐらいの差があるのか、どの距離がもっとも使いやすいのかは、下のサイトを見てみるのが最もわかりやすいです。

Voigtlander 10mm vs 12mm vs 15mm: Wide-Angle Lenses for Sony E-mount – The complete comparison
https://mirrorlesscomparison.com/e-mount-lenses/voigtlander-10mm-vs-12mm-vs-15mm/

アダプター使用を前提とした VM マウントだけに、どのカメラでも使える小型軽量の超広角レンズ Wide-Heliar。その使いやすさと表現力を知ってしまうと、文字通りに視野が広がります。

実質、ほぼいつもパンフォーカスでピントリングを大きく動かすことはあまりないので、マニュアルフォーカスという一言で敬遠してしまうのは余りにも勿体ないです。

語ると長くなるのと、言論の自由のない共産国では使用機会が乏しいので、使用感は来月あたりに海峡の反対側にでも行った際に書くかもしれません。

Canon と SONY と 新型フルサイズミラーレスへの期待

フルサイズのミラーレスカメラ α7 の発売以来、私はずっと SONY Eマウントのカメラやレンズを使い続けてきました。

とにかく携帯性重視の Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA や超広角で単焦点の ZEISS Batis 2.8/18、色収差の抑制に振り切った MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical のような強烈な個性を持つ単焦点レンズを集めて楽しんでいます。

それはそれで最高なのですけれども、誰にでも使いやすい標準ズームレンズは SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G の1本しか持っていません。

フルサイズEマウント以外のレンズは全部手放してしまってから久しいので、そもそもズームレンズはこれしか持っていないのですけどね。

この SONY の 24-105mm F4 ミラーレス用ズームレンズの Canon 版である RF24-105mm F4L IS USM を眺めていたら SONY との思想の違いが反映されていておもしろかったので、Canon ミラーレス一眼 カメラ EOS RP に興味が湧いてきました。



Canon 中望遠ズームレンズ RF24-105mm F4L IS USM EOSR対応 RF24-10540LIS


この2本のレンズはフルサイズ・ミラーレスカメラ用のレンズでありフォーマットは同じです。

ほぼ同じ時期に同じ用途で発売されたレンズであり、撮影できる広さの範囲を決める焦点距離 (24mm – 105mm) も、レンズの明るさを決める開放F値 (F/4.0) も、本体の大きさに影響するフィルター径 (77mm) も同じです。

MTF を見るとコントラストや解像度もほとんど同じです。

厳密に言うと SONY の方が、ほんの少しだけコントラストも解像度も良い数字が出ていますが、実用上で有為な差がでる場面がどれくらいあるのかは分からないぐらいの差なので、ほとんど同じと言ってしまっても語弊はないと思います。

ほかに目に見える違いと言えば、重さと撮影距離です。

SONY SEL24105G Canon RF24-10540LIS
発売日 2017年11月25日 2018年10月25日
質量 663g 700g
最短撮影距離 38cm 45cm
最大撮影倍率 31% 24%
防塵・防滴

カタログスペックで見比べると SONY の方が被写体に近づけて、写したいものを強調することができます。Canon の方は公式が防塵・防滴を謳っているので海辺や山頂などの絶景シーンで使用する際に安心感があります。

これだけの情報で比べると、両者はほとんど同じで、一見すると SONY の方が少し良さそうです。しかし、カタログスペックでは見えないところは結構違います。




SONY 24-105mm F4 の設計ではレンズを通して歪んでしまった像をそのまま残して、出力のデジタルデータを修正することで歪みを解消する方針を取っているように見えます。

どんなレンズでも大なり小なり像の歪みや色のズレは出ますので、大きさや重さや解像度などの各要素とのバランスを考えながら、どれだけ歪みを解消していくのかという点にレンズの個性があります。

このレンズの設計者はソフトウェアで補正できる部分には敢えて手を付けずに、より高い解像度の獲得や本体の小型化などに注力しているのかもしれません。

その反対に Canon の (少なくとも) RFマウントの 24-105mm F4 レンズでは光学的に歪みを解消しようとしている努力が見られます。

ここで一応述べておきますと、私の場合は大学(院)の専攻からして通信と言うか情報なので、電子補正には全く抵抗がありません。

入力は何であれ、標本化、量子化されている時点でデジタルデータです。データは加工して利用するものなので、当然ながら補正も画像データという出力を得るためのプロセスの一つに見えます。

標本化以前にレンズを通して入ってきた光を光検出素子で電荷に変換してる時点で、まず最初の段階からして変換を行っているのに何を今更という気分ですね。

もちろん、いくら電子補正に抵抗がないとは言え、歪みは少ないほうが良いに決まっています。補正は大雑把にいうと画像の編集や加工のようなものなので、補正量が大きくなるほどデジタルデータとしての画像は劣化します。

よく効く強い薬のほうが副作用が大きいのと同じ意味で、補正ありきで歪みが大きいのもどうかなと言う気がします。

ただし SONY の E 24-105 F4 に限ったことではなく、FUJIFILM 標準ズームレンズ XF16-55mm F2.8 R LM WR や Zマウントの NIKKOR Z 24-70mm f/4S も似た傾向にあります。

その点、Canon RF 24-105 F4 は光学的に歪みを少なくして、減光や色の滲みの方をより積極的に電子補正しているように見えます。

まあ、専用の編集ソフトウェアを利用して確認しようと思わなければ、普通は目にすることさえない「中間出力」について、あれこれ言ったところで実用性の面では何の影響もないのですけど、数字やグラフを眺めているのが楽しい機材マニアなので仕方がありません。

どこかに書いたかどうか覚えていませんけれども、私は Canon を選択するならフルサイズの一眼レフが最も良い (メーカーの個性が最大限に発揮されている) と考えているんですよ。

そう考えている上に一眼レフを使いこなせないので、今まで縁がありませんでしたけど、ミラーレスカメラに一眼レフと同じぐらい注力するのであれば、真剣に使ってみたいと思いました。

こんなことを書き続けているのは、未だに趣味の自転車用途のカメラが決まらないからです。

ホテルを一歩出た瞬間に湿気でレンズが曇るような亜熱帯、砂埃が舞う海岸、雲の中に突っ込む高山の上など、自転車で走って楽しいところはカメラにとって非常に悪い場所ばかりなので、たった2年間で水没2回に結露1回なんてことになります。

カメラを持って転んだことはありませんけど、仮に落車すれば全損のリスクまであります。撮影するためには止まらないといけないので、自転車的に見ても面倒です。カメラと自転車って本当に相性最悪だと思います。

それでも自転車でしか行けないところもたくさんあって、そういうところほど撮影するのが楽しかったりするものです。

Canon の新型ミラーレスカメラが良さそうだったら、将来的にこの枠で Canon を使ってみたいと期待が膨らみます。一年後、二年後あたりがどうなっているのか今からとても楽しみですね。