SIM フリー携帯端末を海外で使用する

海外で自由にインターネットに接続できるととても便利です。

空港から出てホテルに向かう際に現在地を確認するのにも、最寄りのレストランやレンタカーを探すのにも、或いは専用アプリからタクシーを呼ぶのにもインターネットに接続しているのと、していないのとでは、できることに大きな違いがあります。

そこで知人友人が海外に出かける際には、常に海外 Wi-Fi をお勧めしています。

海外 Wi-Fi は誰でも簡単に使うことができる上に、現地に行けば絶対にインターネットに接続できるという大きな利点があります。

その他にも一部のクレジットカードを使用していれば割引されることもある、日本語で領収書も発行されるので会社での出張であれば経費に含めやすいなどの数々の利点があります。

一方で使用には出発前からの事前予約が必要となり、対象となる1つの国でしか使えないなどの短所もあります。

また基本的に専用のネットワーク接続ルータを賃借することになるので、荷物(それも取り扱いの面倒なリチウムイオン電池内蔵機器)も増えるほか、レンタル料金が日数で計算されるので滞在期間が数週間以上に渡る場合には通信費が高額になることもあります。

私の場合ですとスイスからドイツに移動したりすることが少なくないのですが、こうした場合はどちらか一方の国でしかネットワークに接続できないという問題が生じます。

海外で自転車に乗って旅行するときは、モバイルルータのような非防水の持ち物が増えることは余り嬉しくありません。

そこで場合によっては自前の携帯電話に現地のプリペイドSIMを入れ替えて使用することもあります。こうすることで通信費を節約しながらインターネットを利用したり、現地の電話番号を手に入れて利用したりします。

ただし、今まで他の人に聞かれても、どうやるのか余り説明したことはありませんでした。その原因は2つあって、一点目は海外 Wi-Fi のサービスが良いので使わない理由がないからです。通信速度は海外 Wi-Fi でも現地のSIMでも変わりません(そもそも3Gで速度は期待できないことの方が多いです)。

そして、もう一点目は面倒くさいからです。どれくらい面倒くさいからと申しますと、渡航先の無線通信に関する法律を調べ、渡航先の通信事業者をリストアップして利用周波数帯を調べ、お使いの携帯端末の周波数帯を調べ、SIM を用意して現地でアクティベートしなければなりません。

アクティベートにはインターネットの接続が必要なこともあり、例えばミュンヘン空港のように Free Wi-Fi を利用するために最初に E-mail を受信できる環境が必要な場合などに詰みます。




もちろん、こうした法律と周波数帯の問題については、渡航先に到着してから携帯端末を現地調達すれば簡単に解決します。

実際、私も子どもの頃は(毎年、住む場所が変わる転勤族だったので)特定の国でしか使えない安物の Nokia をいくつも持っていました。今も実家に眠っていると思いますが、国内では電波を発しない状態にしておかないと違法になるという厄介きわまりない代物です。

同じところに何度も繰り返し訪れるのでもない限り、そんなものを渡航先ごとに用意するのは無駄も良いところなので、現実的には幅広い周波数帯に対応しており、世界中で認証を受けている iPhone 辺りがあれば良いと思います。

携帯端末のご用意ができましたら、その端末と渡航先の通信事業者の周波数帯を調べてください。

この2つがきちんと対応していることが重要です。対応していない場合には、渡航先で SIM を入れ替えても上手く通信が行えません。

例として国内の事業者と端末で試してみましょう。次に示すのは日本の移動体通信事業者の周波数帯です。

4G LTE Bands 3G Bands 参照
NTT Docomo 1, 3, 9, 19, 21, 28, 42 UMTS 1, 9, 19 SIMロック解除対応機種および対応周波数帯
Softbank 1, 3, 11, 21, 41, 42 UMTS 1, 8, 11 機種別対応周波数一覧
KDDI 1, 11, 18, 26, 28, 41, 42 CDMA2000 800/2100MHz SIMロック解除が可能なau携帯電話などの実装周波数帯一覧

このうち周波数帯がやや異なる NTT Docomo のネットワークに、SIMロックを解除した KDDI 向けの端末の接続を試みます。

NTT Docomo と KDDI は4G回線でバンド 1, 28, 42 を共有していますが、バンド42は2017年に新しく割り当てが始まった電波帯で、この古い端末の方が対応していないので無いものとして扱ってください。

またバンド28も整備中の比較的新しい帯域なので、こちらも(現時点では)影響があまりないものと考えて良いです。

そうすると、4G回線では NTT Docomo と KDDI の両回線で共有のバンド1は使えるものと仮定して良さそうです。実際の端末側の対応周波数帯を調べてみると4Gバンド 1, 3, 18, 26, 28 は使えるようです。

SIM を入れ替えて起動してみると、もちろん問題なく4G回線に接続できます ※。

東京や大阪で高速通信に使われているバンド3にも対応しているので、例えば朝4時に皇居を3周走って、日比谷公園でランの記録を Strava にアップロードして他の人のワークアウトも閲覧みたいな使い方は問題なくできます。

これで全てが万全かと言えばそのようなことはなく、山の中や屋内、あるいは東京や大阪以外の都市で使用するには若干の不安が残ります。NTT Docomo がそれ専用に割り当てている電波を拾えないからです。

海外のキャリアに接続する場合も、すべきことはこれと全く同一です。

電波はその周波数帯によって役割やカバーする地域が異なるので、それを予め把握して目的に合致した端末を選ぶことが重要です。

そこで、まずは端末の周波数帯 (4G / 3G / 2G のそれぞれ) を確実に把握してください。

周波数帯の情報は多くの場合はメーカーが公表しています。

日本語表記の場合、3G 通信は WCDMA と記載されていることがありますが、これは UMTS と同等と見做して頂いて構いません。ただし CDMA とは別物です。

バンドは周波数帯で記載されていることもありますが、その際は以下の表を使ってに読み替えてください。

お使いの端末の周波数帯を把握されたら、次は渡航先の通信事業者の周波数帯を調べてください。

以下に例として米国の通信事業者を掲載します。

4G LTE Bands 3G UMTS Bands 2G GMS 参照
AT & T 2, 4, 5, 12, 17, 29, 30, 40, 66 2, 5 850 / 1900 MHz AT&T PREPAID℠ SIM Card Kit
T-Mobile 2, 4, 5, 12, 66, 71 4 1900 MHz T-Mobile network bands & technologies

2Gは(もはや今では)日本では使われていません。ただし国内向けに販売されている携帯電話であっても、海外で2Gネットワークに接続できるものは普通にあります。

Verizon Wireless, Sprint, US Cellular などのCDMAキャリアは対応機種を使わないと接続できない可能性があるので省略しました。米国およびカナダの他の通信事業者については以下が詳しいです。

他の渡航先についても同じように Frequency Checker で調べることが可能です。

Frequency Checker は完璧ではありませんが、記載内容はおおよそ信頼できる内容であり、通信事業者の網羅性が高いので利便性は一番です。

気をつけなければならないのは、情報源の記載がなかったり、一部の事業者についての情報が更新されていなかったりするなど、正確性にやや欠ける点があることです。

しかし、実のところ、通信事業者については正確な情報源がある方が少なかったりします。

以下のように公文書を参照できる場合は確実と判断できますが、公的機関や通信事業者自身が使用する電波帯を発表していることは多くはありません。

最も確実なのは渡航先に何度も赴いて試してみることなので、そういった用途のWikiでもあると良いのですけどね。

確実につながる海外 Wi-Fi を使わない理由がないと先に述べたのは、こうした事情があるからです。

現状では iPhone あたりが技術認証と対応する周波数帯の多さから妥当な選択とも述べましたが、今後の数年間で 5G 通信回線が普及が見込まれたり、iPad Proが Lightning port ではなく USB-C を採用している等、アクセサリ類にも変動がありそうなので、しばらくは様子見しているのも悪くないと思います。


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※ SIM を差し替えれば自動的にネットワークを認識するわけではないので、ご自身で端末の Access Point Names を書き換えてから再起動してください。

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