OpenProリム / FH-9000ハブ 重量計測

ほぼ1年間のライドとローラー台トレーニングによりスポーク切れを起こしてしまった手組ホイールですが、この機会に分解して組み直すことに決めました。

切れたスポークを差し替えて再度テンションを調整してやれば問題なく使い続けることも可能なのですが、オフセットリムを使用して左右のスポークテンション差を是正してやると使い心地はどう変わるのかに興味があるので自分で試してみる事にします。

せっかく分解するからには、今まで不明だった各部品の重量も測定してしまいます。




このホイールの出自ですが私がお世話になっている大阪が本店のショップに依頼して組んで頂いたものです。

自身で購入した部品の持ち込みではなくショップ発注だったので、実は各部位の重量計測を自分で行ったことがありませんでした。

そうした理由から私も知らなかった各部品の重量ですが、まずは再利用が決まっているハブから計測します。

この部品だけでも推定値よりも 5g も軽かったのですね。

続いて、前輪に採用予定のリムです。

こちらは推定値より 1g 重い値が出ました。私の記憶が正しければ、前記事に採用した数値はカタログ値なので精度が良いと言い切って良さそうです。



ライド時にホイールが壊れたらどうなるのか

先日、訪れた高見山に似た峠として一年ぶりに和田峠に行きたくなりました。

和田峠は八王子の西端にある峠の一つで、距離 3.5km 平均斜度 10% となかなかのスペックを持ちながら東京都心方面からのアクセスが良いという魅力があります。

新宿を起点とすると早朝6時ごろに家を出れば、午前中にライドを終えて帰宅する事も可能という事で心理的にもアプローチしやすい峠です。

そうした理由から近所を散策するような軽い気持ちで、ローラー台から久し振りに Raleigh CRN を下ろして出かける事に決めます。

ほぼ毎日、ローラー台の上で乗っているとは言え、ここ最近の外出はもう一台のカーボンバイクが多かったので 100km 超のライドに持ち出すのは数ヵ月ぶりです。




路上に持ち出し、バイクに跨って踏み出すと、すぐに意外なほどに力が逃げている事に気がつきます。

最近、乗り続けていたカーボンバイク FELT F7 はレース仕様の硬いフレームなので、フレームの性格の違いかと最初は特に気にしませんでした。

斜度 2% の坂を下ったり、5% の坂を上がったりしていると違和感はより強くなってきましたが、クランクやホイールを確認してみても特に異常は認められません。

スポークを握ってテンションを確認してみても張り詰めたままなので、ホイールやコンポーネントではなくフレーム側の劣化や寿命を疑います。

そのまま走り続けて 45km ほどが経過したあたりから、今度はクランクに抵抗を感じるようになります。

注意して意識を払ってみると抵抗は周期的に生じる事が確認できます。

周期的に生じるのであれば回転してるホイールに間違いないだろうという事で、後輪を持ち上げてクランクを回してみるとホイールが著しく反フリー側に振れて、左側のブレーキシューにリムが接触しています。

これは不味いと思いながらも、早朝の河川敷では選べる対処も限られているので、ニップルレンチで後輪全体のスポークテンションを緩めて簡易な振れ取りを施します。

このまま持ち堪えてくれれば良かったのですが、再度、走り出してから間も無く後輪から微細な金属音が聞こえるようになります。

とうとうスポークが破断してしまいました。金属音の正体は折れたスポークが他のスポークに接触する時の音です。



壊れるにしても素直にハブ側で首が飛んでくれれば良かったのですが、ニップル側で破断してしまったのでスポークを引き抜こうにも抜く事ができません。

このままでは移動することもできないので、押し歩きの邪魔をしないように適当な位置に巻きつけます。

ホイールに張られている時には、あんなにも硬かったスポークが指先で簡単に曲げられるほど脆く、柔らかくなっているのを直に感じるのには少しばかり寂しいものがありました。


完組ホイールであれば、この時点で帰宅困難や廃棄などの恐ろしい言葉が思い浮かびますが、手組みホイールはスポーク本数が多いので1本が折れたからと言って、必ずしも直ぐに走行不能に直結する訳ではありません。

とは言え、まともに走行できなくなっている事は否定できませんので、早急に修理が必要となる事に変わりはありません。

今回の反省として

  • クランクに踏み込んだ力が逃げている感覚があったら外見上は異常がなくても要注意
  • 段差の衝撃などを与えていないのに急にホイールが振れるようになったら既に異常が生じている
  • 使用する予定はなくてもニップルレンチや輪行袋は携帯しておいた方が無難

という教訓をよく噛みしてまとめとしたいと思います。

続く

DT Swiss RR21 – 練習と本番の両方で使えるホイール

毎日の練習と台湾ヒルクライム遠征により常用ホイールが著しく損傷した事は先に述べた通りですが、修理に出して嘆いている間に無情にも短い夏は過ぎ去りました。

ロードバイクというスポーツにとってのピークシーズン。旅行にもうってつけの緑の美しい期間中、ひたすら東京に引きこもってプログラムを書いているうちに新しいホイールの購入を検討するようになりました。




手組ホイールは丈夫でランニングコストは良いのですが「決戦」あるいは「本番」の場面では少しばかり重過ぎます。一人のソロライドでは良いですが、自分よりも速い人との集団走行では迷惑になりかねません。

ディープリムホイールは性能は十分なのですが、チューブラータイヤとカーボン素材の取り扱いの難しさから性能を発揮できる場面が限定されます。

そこで目を付けたのが両者の中間的な性格を持つ軽量アルミニウム完組ホイールです。

普通はこちらを最初に購入するのかもしれませんが、私の場合はアルミニウムに不信感を持っていたり運用コストを試算したりする悪癖があるので、この選択に辿り着くまでに少しばかりの時間を要しました。

もちろん軽量であれば何でも良いという訳ではなく、

  • スポークはステンレスである事
  • 消耗品の交換が容易である事
  • 構造的に単純で故障が少ない事

と言ったいつもの選択基準は何ら変わるところはありません。

軽量ホイールを探しておきながら矛盾するようですが、上の条件が満たされていて価格が抑えられているのであれば、軽量と剛性のどちらかは捨てても良いとさえ思っています。

そうした経緯から選択したのが DT Swiss RR21 Dicut というホイールです。

Dicut というのはハブに切り込みを入れるアイデアらしいですが、私にとって重要なのはそこではなくステンレススポーク (DT aerolite, aero comp) でありながらカタログ重量 1,415g とアルミホイールの中では相当に軽量である事です。

フロント・リムテープ付き: 640g

リア・リムテープ、10速対応リング付き: 805g

ここで用いられているスポークは一般に市販されているものであり将来的な供給体制も不安がないという点も見逃せません。それは DT Swiss という会社はスポーク製造業を出自とするスポークの専門企業だからです。

ホイールにおける代表的な消耗品はスポークとベアリングですが、前述のようにスポークの入手は容易でベアリングもカートリッジごと交換できるのでメンテナンス性が高いというわけです。

その上に構造的に故障が極めて少ないスターラチェットを採用しているのが RR21 というホイールの特徴です。

実はこのスターラチェット目当てで RR21 を購入したと言っても過言ではありません。DT Swiss の価格に対して高性能なホイールには R20 DicutR23 Spline といったモデルがありますが、これらのモデルでは “Pawl System” とDTが呼ぶハブ構造をしています。

そこで使われるスプリングはもちろんポールスプリング、稀にラチェットスプリングと呼ばれます。

私は個人的にこの部品があまり好きではないのです。アルミニウム合金にも通じるところがありますが、前兆なく割れることがある (しかも、割れると大変なことになる) からです。

ドイツ語圏で Klinkenfeder と検索すると DT の物も市販されているのが見つかりますが、交換部品が販売されているという事はやっぱり消耗品なのでしょうね…

ハブの種類ごとにサイズが異なるので割愛しますが、同じく消耗品のベアリングも Kugellager 6802 (240s向け) などで検索すると販売ページに行き着きます。

他の付属品にはチューブレスタイヤ用のバルブやレバーの倒せない(むしろ起こせない)クイックレリーズなどユニークな物がたくさんあります。

ナットを握ったままレリーズを締めるとフレームに固定できるのですが、こうすると軽量化に役立つのでしょうか?


実走記事:


DT Swiss – RR 21 Dicut アロイクリンチャーホイールセット (Shimano)

Contact Us