ロードバイクを他人に貸す時に注意すべきこと

2台目のロードバイクを購入した時から、いつかは試してみたいと思っていた事の一つに「他人に貸し出す」というものがありました。

これまでもロシアの友人が学会で横浜を訪れたりと何度かその機会はあったのですが、体型が違いすぎていたり、天候が悪かったりといった事情により実現できていませんでした。

万年筆は他人に貸すなと言われますが、ロードバイクのようなスポーツ用品の場合、身長や体重、手足の長さがほぼ同じ 相手でないと安全に正しく使用することができませんので、まず貸し出す訳にはいきません。




今回、貸し出した相手は私と身長その他の体格差が ギリギリ 許容範囲内に収まる みかんさん です。

自転車とは無関係に直立した場合には身長差もそれほどないので、サドルの高さを調整するだけで違和感なく乗りこなせるのではないかと楽観的に考えていました。

1. クランク長には要注意

しかし、サドルの高さを調整して乗り出してみると、どうしても漕ぎ出しに違和感が生じるようです。調べてみると彼の常用しているバイクと私のバイクとではクランクに5mmの長さの違いがあり、その為に走り慣れたポジションでは気持ちよくクランクを回せない事が分かりました。

私の体型に合わないクランクも持ち合わせていないので、サドルを可能な限り前側にずらして、今回だけはなるべく遠くからクランクを回す事で対応してもらう事となりました。



シートポストの長さとサドルの位置調整を終えたら、次に話題に上るのはハンドル位置ですが、こちらは大きくは変更していません。

私にとっては当たり前なので気にした事もありませんでしたが、私のバイクでは一般的なコンパクトハンドルではなく、幅42cmの大きなアナトミカルハンドルバーを使用しています。

みかんさんにとって普段と勝手が大きく異なる事は明白なので、細かなポジションの調整は避けて自然に手が届く範囲に位置を定めるのみに留めました。

2. ブレーキの引き具合は人それぞれ

ハンドルのポジションニングは 諦めたので ともかくとして、みかんさんが最も気にしていたのがブレーキレバーの引き具合でした。

自動車でも自転車でも私はどちらかと言うとブレーキは踏まずに、早めに減速してハンドサインやエンジンブレーキを多用する事を好みます。

割り込まれない程度に車間距離を空け、クラッチを踏んだりギアを上げ下げする事を極力避けて一定のペースを維持する走り方が好きなので、山間部を除いてはブレーキは主に速度調整用です。

みかんさんの場合は対照的に自動車でも自転車でも急停止や減速が多いので、ブレーキは車輪がロックするぐらいにクリアランスを無くさないといけません。私の調整では危なくて事故を起こしそうだと忠告されました。

3. ギア比はチェーンリングを考慮して

天候や行き先に応じてホイールやカセットスプロケットを交換する事は快適に走る為には重要ですが、他人に貸し出す場合にはチェーンリング (フロントギア) の歯数も考慮しておかないと目的のギア比に調整できない可能性があります。

一般的な市販車の場合にはミッドコンパクトクランク (mid compact crankset) というアウター52 – インナー36の歯数を持つフロントギアが付いている事が多いのですが、中にはコンパクトクランクといってアウター50 – インナー34の歯数のギアが付いている事もあります。

こちらもクランク同様、或いはそれ以上に交換が大変な部品なので、貸し出す相手がいつも使用しているギア比を予め把握した上で準備した方が間違いがありません。

とは言え、カセットスプロケットの交換で対応できない事もないので、他の部位に比べれば調整の融通が効く部分ではあります。

結論: 貸し出しは上手くいったのか

ほぼ半日に渡る調整を終え、貸し出した私のロードバイクで116km走ってきたみかんさんですが、次回は飛行機輪行で自分のバイクを持ってくるそうです。
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事故も怪我もなく無事に戻ってきたという点では成功と言えますが、ポジションの問題ではどうしても満足できない様子。私も一緒に行って小まめに調整できれば良かったのですが、膝を怪我してろくに歩く事もできなくなっていたので当日は自宅で待機していました。


おまけ 自身で用意してもらう必要があるもの

体型にあったサイクリングジャージとビンディングシューズ、ヘルメットだけは、現地調達で購入してもらう場合を除いては持参してもらうしかありません。

アイウェアもレンズの明るさが気になる場合や度付きが必要な場合には、持参して頂く事が必須となります。

他にはドリンクボトルはいつも使用しているものを持ってきてもらった方が良いと思われました。

冬場の朝練のジレンマ

ロードバイクで気持ちよく走るためには信号と混雑を避け、車を追い抜いたり、追い抜かれたりする頻度を極力下げる努力をする事が肝要です。

そのためライドにとって理想的な時間と言えるのは早朝を置いて他にありません。

道路のまだ空いている早朝に家を出て、通勤ラッシュの混雑が始まるよりも前に帰宅するように時間を調整できれば、最高の気分で一日のスタートを切れる事は保証されたようなものです。

しかし、日の出の遅い冬場に自転車に乗るのに十分な明るさを待っていては、道路が混み始めて快適とは言い難い状況に変わってしまう事が問題です。

快適に走ることを考えるのであれば、道路が混み始める6時過ぎぐらいには朝練を終えて帰宅途中であるぐらいが望ましいのですが、12月の東京では早朝6時以前に路面状況が見通せるぐらいの明るさを期待する事はできません。

ただでさえ工事による継ぎ接ぎで舗装状況が悪く、落葉や凍結の危険に加えて路上駐車や飛び出しの危険もある都内では前照灯2本でも心細いので、自然と自転車を屋外に持ち出す頻度が下がってしまいます。とは言え、せっかく積雪もなく晴天が続くにも関わらず、屋内でローラー台を回しているばかりでも気が滅入ります。

そこで私は朝練のライドをランニングに置き換えて外を走る頻度を増やす事を選択しました。

思い立ったところで夏場向けの薄着しか持っていなかったので、冬季用のウェアを揃えるところから始めました。

デザインで選んでいた夏季とは異なり、冬季は体力の消耗が激しいので保温性と機能性を重視して候補を絞り込んでから、試着時点で最も自分の体型に合致したNIKE スウェットパンツ THERMA-FIT を最終的に選択しました。

0℃から7℃ぐらいの外気温で何度か使用していますが、動きやすい上に寒すぎず暑すぎずで重宝しています。




ランニングを取り入れて最初の週は、走り始めの5kmぐらいから気持ちよくなり過ぎ、後先を考えずに2日で30km以上も走った挙句、筋肉痛で階段も降りられなくなりました。

ローラー台をゆっくりと回しながら筋肉痛を解して行ったところ、その2日後にはまた走れるぐらいにまで回復したので、今後はローラー台練習と交互に取り入れながら無理なく長く続けられる方向性を模索していきます。

工具は15cmまで・飛行機輪行の工夫いろいろ

初の国内輪行が飛行機というぐらい飛行機輪行と縁のある私ですが、まだまだ知識不足によるトラブルに遭遇することがあります。


工具は危険物


今回、気になったのは、折りたたみ式の六角レンチとドライバーです。

ロードバイクに乗る人であれば、サドルバッグやツール缶の中に入れっぱなしになっている事が多いかと思われます。

このタイプの携帯式工具ですが「お預け手荷物」として預けない限り、ほとんどの製品は大きさ制限を超過するために飛行機内には持ち込めません。

測り方の規定により「一番長くした状態で」15cm以下の物を除いては、危険物として持ち込みを制限されます。

  • 国土交通省・機内持込・お預け手荷物における危険物について
  • http://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr2_000007.html

–引用開始–

全体の長さ15cm以下かつシャフトの長さ6cm以下のものは持込可能(グリップ部分とシャフト部分が外せるタイプの場合は装着して計測する)

–引用終了–

こちらの方が持ち込み拒否されそうに見える六角レンチセットの方は、長さが15cm未満なので規定としては問題なさそうです(航空会社の判断で拒否される可能性はあります)。

どちらにしましても、目的地に到着して自転車を受け取るまでは不要なものなので、輪行時にペダルやハンドルを外した後に、自転車本体に縛り付けて、預け手荷物の中に収納してしまった方が無難です。

荷物量の都合でどうしても止むを得ない場合、手荷物検査で長さを測定することになると思われるので、電池等と一緒にまとめて予めカバンとは別個に分けておくと検査官の負担を減らせます。

私は飛行機に乗る際はリチウムイオン充電池とパソコン、スマートフォンなどの電子機器は、まとめてカバンの外に出しておく事を習慣にしています (Amazonベーシック キャリングケースを使用すると便利です) 。

そうする事により、荷物の再検査の必要がなくなります。


パンク修理用のCO2インフレータはガスシリンダー


以前の記事で少しだけ触れたパンク修理用のCO2インフレータですが、ガスシリンダー(一容器あたり50ml以下のもの)という名目で、国土交通省の規定では一人当たり4本までは持ち込めるようです。

空港の荷物検査の際に「CO2インフレータ」と言うと熱帯魚用品などと混同されて面倒な事になるので「競技用自転車に用いるCO2ボンベ」と申告した方が誤解がありません。

形が形ですので日本で国内輪行する際は日本語の表示があるもの、海外で飛行機輪行する際には、現地の言葉で内容物と使用用途が直ぐに理解されるものを選んで持って行きます。

最良の手段は機内に持ち込まずに、なるべく現地調達を心掛けることです。


預け入れ手荷物・3辺の合計は203cm以内


「お預け手荷物」として輸送してもらう自転車についても、多くの航空会社では「3辺の合計が203cm以内」という制限が付いている事が多いです。

私がソフトケースにクロモリフレームを入れて輪行している直接の理由がこれになります。

サイズを超過した場合、超過料金を支払う事になったり、最悪の場合、持ち込みを拒否される可能性もあります。

対策としてはバイクポータースマートサイズなどの203cmに収まるケースを利用する事ですが、私の場合はエントリーグレードのクロモリフレームなので、傷や破損などは一切気にせず、普通の輪行袋に包んで規定サイズ内に収めてしまいます。



QBICLE (キュービクル) バイクポーター PRO コンパクトサイズ ブラック


予備のボルトがあると安心


飛行機輪行を20回以上も経験してきて、今までに一度しか発生したことがないほど稀なことなのですが、自転車から外したボルトを紛失することがあります。

シートクランプやアヘッドステム、ステムとハンドルを固定するボルトなど、輪行時に一度はずして仮止めしておいたボルトは何れも行方不明になる可能性があります。

ダンボールで梱包した預け手荷物では、目的地に到着した際に外箱のガムテープが破れていることは日常茶飯事です。

飛行機での輸送だけに限らず、空港でのベルトコンベアでの搬送、タクシーでの移動のさなかに小さな部品を落としていることもあります。

気がつくのはいつもホテルに到着して自転車を組み立て始める時です。

足りない部品は現地のショップで調達できることもありますが、どうせならば紛失することを見越してケースに入れておいたり、ディレイラーハンガーやミッシングリンクのように予備のスペアを携帯しておいた方が安心です。


ビンディングシューズでも飛行機に搭乗


私はSPD-SLのビンディングペダルを使用しているので、履物は自然とビンディングシューズとなります。

飛行機に乗る際も、別の履物を用意していない場合は、ビンディングシューズで手荷物検査を受けます。

検査時にシューズを脱ぎさえすれば、問題なく旅客機に搭乗できます。

ただし滑りやすく歩きにくいので、渡航先での滞在時間が長いのであれば、別途サンダルを持参しても良いかもしれません。


日焼け止めクリームは液体物


ロードバイクには直接関係ないものですが、ライド時に使用する日焼け止めクリームや歯磨き粉などのペーストは液体物として扱われます。

持ち込み量に制限を受けますので、予め容量や成分を確認しておいた方が無難です。


電動コンポーネントには注意が必要


コンポーネントそのものは問題ないのですが、そこで用いられているリチウムイオン充電池が問題です。

発火の危険性があるので預け入れ荷物として持ち込むことは禁止されています。

重大事故につながりかねないので、梱包前に絶対に取り外して手荷物として客室に持ち込んでください。

私個人としては、この一点が受け入れられなくて電動コンポーネントの使用を諦めました。

詳細はこちら:電動コンポの真価と機械式を積極的に選ぶ理由