長距離ライドに向けて大型サドルバッグを導入

今年こそは環島を達成して、帰りがけに中橫公路から武嶺を目指そうと考えていたのも遠い昔。そのために揃えた装備品がいつでも使える状態になっている一方で、肝心の飛行機が飛ぶ気配もないというのは皮肉なものです。

環島というのは台湾島を(主に自転車をもちいて)一周することで、距離にしておよそ 910km を連日移動しつづけます。Formosa 900 – Tour de Taiwan というイベントにもなっていて、台北から出発する8泊9日の自転車ツアーが頻繁に開催されています。

環島とは、つまり1週間の間、毎日、台湾で自転車に乗り続けるということです。特筆すべきは亜熱帯の現地の気候で、さんざん業務で滞在した経験から言わせてもらえば、山間部はほぼ毎夕ごとに雨が降ります。

言い換えると、雨の中を走り続ける覚悟と準備が必要ということでもあります。そこで、いろいろ検討を重ねて TOPEAK のバックローダー 10L を新たに購入しました。

普通は最初に買うものですって?サドルバッグどころか、ドリンクボトルすら携帯しなくなって久しいぐらい、荷物を持たない主義なんですよ。


TOPEAK(トピーク) Back Loader バックローダー 10L 自転車バッグ カバン サイクルアクセサリー BAG36701

購入に当たっては Apidura Expedition Saddle Pack なり、オルトリーブ(ORTLIEB) サドルバッグ2/4.1L なりと言った定番はすべて実物を見て比較を行いました。

こうした大型サドルバッグの定番は、生地自体が防水仕様で丈夫なところに特徴があります。

使いやすくて長持ちしそうだと感じた一方で、専用のアタッチメントがエアロ形状のシートポストやサドルに使えるのか不安だったり、主張するデザインがバイクよりもバッグのほうが主役になりそうに思えてきたので、結局、一番「主張しない」デザインで安価なバッグローダーに落ち着きました。

台湾を一周するために買うのだから、台湾製のほうが良くないかというのも理由の一つ。




見た目は大人しいですが、同程度の容量の定番品と比べるとやや重たいので、どの点を重視するかによって好みが変わってきそうです。

機能的にも競合製品は同じベルクロ固定でも2点以上で固定しているところを TOPEAK のバックローダーは1点でしか固定していないので、(本体の重さも加わって)もしかしたら左右にバイクを振ったときの振れ幅も大きい部類かもしれません。

このバッグの生地自体には防水性はなく、内側に防水バッグを内包することで防水性を担保しています(この構造が質量増に繋がっているのではないかと)。

自転車用バックパックの定番である deuter は、これとは正反対に外側に防水シートをかぶせて雨天時の浸水を防ぐ仕組みです。両者の差異は地面との距離によるものなのか、身体に密着させるバッグと自転車に固定するバッグとの設計思想の違いによるものなのかは不明です。

両者を並べて比較してみるとバックパックのほうが荷物が入りそうですが、バッグパックには通気用の隙間が設けてあり、またサドルバッグの方は折りたたまれた部分を 30cm 程度まで拡張する幅がありますので、実際の収納力は似たようなものです。

雨天対策のレインジャケット、濃霧対策のマルチポケット反射ベスト、空気入れや輪行袋や予備のタイヤといったロングライド5点セットを入れても、まだサンダルやランニングシューズ程度なら収納できるスペースがあります。

ペダルに SHIMANO の SPD 片側ビンディングペダルを採用すれば、長距離走行時の靴と飛行機や徒歩移動時の靴を一つにまとめて荷物を減らせるので、このスペースには着替えの服を入れても良いですね。

最悪の場合でもサンダルと着替えの服は現地調達できるので、文字通りに最小限の装備であれば、このサドルバッグとツールケースだけでも連日の長距離走行に耐えられるかも知れません(北海道に行ったときもバッグパック1つで行きましたし)。

しかし、移動時間の長さを考慮すると何かしらの書物を持って行きたくなるのが、また難しいところです。入れようとすれば、何でも収納できてしまう可能性が却って持ち物の選別を難しくします。

複数日にわたる長距離ライドは目的地に赴くまでの渡航時間も長く、イベントの制限時間さえ無ければ悪天候などで外出したくない日というのも現実にあるものです。そうでなくても飛行機や列車など目的地に到着するまでの移動というのは非生産的な行為です。

この不毛な時間を基礎知識の獲得や定着に当てられれば、結果的に自由時間を増やせて幸せになれます。ところが走行中には重くて邪魔な荷物にしかなりませんので、余計なものを持っていくと捨てたくなるのが困ったところです。

薄い書籍でも 300g 程度の質量がありますので、バッグと合わせると 800g から 1kg 程度の増量になります。これだけ質量が増えるとさすがに軽快さがなくなってきますので、フライト時間などの「乗らない時間」がどれだけあるかを考慮して、本当に必要かを吟味しなければ無駄に重くなって苦労することになるのは自分です。

この辺りは大きなサドルバッグの宿命かも知れませんが、野宿でもしない限り、1泊2日程度であれば明らかに不要な量の荷物を携行できてしまいますので、持ち物を増やしたい誘惑に駆られます。

持てるからと言って荷物を増やすのではなく、減らしていく努力というのは難しいものですね。

ロードバイクに使えるゴムじゃない輪ゴム

先日、とある画像を掲載したときに思わぬを反応をいただきました。このセーフティライトをどうやって固定しているのか、と。

正解はポリウレタン製バンドです。


S日清紡 モビロンバンド55X2X0.3透明/洗浄タイプ100G MB55023TA100G

その性質は「ゴムじゃない輪ゴム」というキャッチコピーそのままで、カーボンフレームやステム、クランクなどへの攻撃性はそれほど高くないので、ライトだけではなくセンサーやサイコンの固定などに利用できます。

硫黄成分も含まれていないので、自作の電子工作品(計測機器やGPS発信機など)をフレームに巻きつけたりするときにも使用できます。

私がロードバイクにサイコンなどを搭載しはじめた頃には、既に一般的に見かけるほど普及している印象があったので、誰もが使っているものだと無意識的に思いこんでいましたが、もしかしたら私の周辺の人の間だけで流行していたのかも知れません。




透明なので目立ちにくい反面、本体の中を光が透過しますので紫外線による劣化も早いですし、柔らかいので引き伸ばして使っていると疲労で切れたりもしますが、複数個をまとめて巻いておけば全部が同時に切れることはほとんどありません。

それでも2ヶ月間ぐらい継続使用していると数本が劣化して切れてきますので、そのタイミングで新品に交換してやれば、大切なライトやサイコンなどを紛失することもありません。少なくとも5年ぐらい使用してきた間に、バンドが切れて何かを紛失した経験は私には一度もありません。

1つのライトやセンサーなどを固定するのに豪快に何本も巻いていますが、1袋購入すると 1,100 本以上も手に入りますので早々にストックが尽きることもないです。

私も5年も昔に購入したものが、まだ半分以上も残っています。

基本的には何にでも利用できる反面、固定力はそれほど強くないため、地面からの衝撃や振動で固定しているライトやカメラなどの向きが変わったり、サイコンのボタンを押したときに位置がズレたりすることはあります。

まあ、これを使ってカーボンエアロハンドルにサイコンを固定しているのは、私の知り合いぐらいだと思いますけれども、「不可能ではない」ぐらいに考えておいたほうが無難です。

その一方で簡単に取り外せるということは、自転車を洗車したり、小物を外して撮影する時には大きなメリットになります。固定力が弱いということは、気軽に付け外しができるということで、意識していると使い道が広がります(ただし、取り外しを繰り返していると劣化も早くなります)。

安価で大量に入手できますので、マルト(MARUTO) 車輪固定フック や結束バンドと一緒にツール缶やサドルバッグに入れて予備バンドをいくつも携帯しておくと、思わぬところで役に立ってくれることがあります。


TRUSCO(トラスコ) ナイロン結束バンド(耐候性タイプ) 3.6×203 100本入

いまさら、これを敢えて取り上げる必要があるのかなとも思うほど有名だとは思いますけれども、物自体はとても良いので、持っていると様々な場面で便利に使えます。良いものはやっぱり良いです。

防災と趣味のためにアルコールバーナーを購入

キャンプやアウトドアにおいて、湯沸かしや調理を行う際につかうものがバーナーです。

バーナーにはカセットコンロでお馴染みのカセットボンベを用いるものや、アウトドアショップなどで購入できる丸いガス缶を用いるものなどがありますが、ブタンなどを主成分とする液化石油ガスを燃料とするものが一般的です。


イワタニ カセットガス 専用ボックス入り 12本組 CB-250-OR-12BOX

アルコールバーナー、スピリットバーナー、もしくはアルコールストーブと呼ばれるバーナーは、こうした調理器具の一種であり、メチルアルコールなどを燃料にするところに特徴があります。

同じバーナーと言えども、ガスバーナーとアルコールバーナーでは燃料の保存容器などの違いなどから形状には大きな違いがあります。極言するとアルコールバーナーは「空き缶」です。

ただ、それゆえに信頼性や耐久性は折り紙付きでもあります。数週間は誰も通らないような海外の山奥に出かけるような場合でも、安心して持っていくことができます。

また液体燃料を用いるので燃料の携帯性も高いという利点があります。




このバーナー自体もカタログ上の大きさは、直径 75mm x 高さ 45mm とかなり小型です。質量もカタログスペックで 110g しかありません。

これだけ小型軽量なのに、タンク容積の 2/3 の燃料で 25 分間の燃焼時間があると説明書に書かれています(※おそらく理想的な環境において)。なお 2/3 までが適正容量ですので、燃料を継ぎ足さずに一度に使用できる時間は 25 分間までということになります。

ここで問題になるのが燃料タンク容積ですが、本体の大きさがそのまま燃料タンクの大きさに相当するわけではありません。

私も購入前は勘違いしていましたが実際には違います。

キャップを開けたときに目視できる部分の容積を V=πr^2h に当てはめてみると r=2cm かつ h=4.5cm x 2/3 として 37.7 cm3 ぐらいになるはずなのですが、これもカタログ値 (記載では約100cm3) と違いすぎますので、燃料タンクの大きさとは異なるようです。

そこで、ねじ込み式キャップの下側の部分全体の容積を外側からの実測値で大雑把に試算してみます。

直径 7cm x 高さ 3cm x 2/3 として V=πr^2h に当てはめると 76.97 cm3 という値が得られますが、これぐらいが 25 分間の燃焼に必要とされる容量の実際のところなのではないかと思われます。

バーナー本体も小型ですが、燃料も少量で済み、しかも液体なので気体のガスよりも扱いはいくらか容易です。燃料を小分けして必要分だけを持ち歩くこともできます。これが私がガスバーナーではなく、アルコールバーナーを選択した理由です。

お茶を淹れて、カップラーメンを作れるぐらいで私には十分です。ガス缶を持っていても使い切れずに持て余す未来が見えます。

燃料が液体なので好きな分量だけを持ち歩けることがアルコールバーナーの利点です。その反対にアルコールバーナーの欠点は、燃料がアルコールであることです。

アルコールバーナーを薦めている記事で、きちんと書かれているところを見たことがないのですが、燃料用アルコールは気化すると爆発する可能性があるので保管と取扱の両方を適切にできないと非常に危険です。誰も書いていないので敢えて書きます。

また安価なメチルアルコールは失明の可能性がある毒劇物でもあります。容器のラベルから誤飲される危険性もありますので、いろいろな意味で取扱に気を遣わなければなりません(念の為に追記しておきますが、プラスチック容器の多くはアルコールに溶けますので、燃料の持ち運び容器の素材にも気を遣う必要があります)。

必ずしもガスバーナーの方が安全とは言い切れませんが、ガスのほうが主流になっている現状にはそれだけの理由があります。引火の危険性も少ないですし、火力の調整も容易です。

それでもアルコールバーナーを使いたいのは燃料の調達が容易で、使用量も自分で決められ、持っていても荷物にならない携帯性の良さと信頼性に大きな魅力を感じるからです。


trangia (トランギア) アルコールバーナー 【日本正規品】 TRB25