紅葉時の渋峠には要注意!

人生に大事なことがあるとしたら、それは好機を逃さないことです。

時期さえ良ければ驚くほど簡単に物事が上手く進みます。

今回は群馬県を訪れる用事があったので、思いつきで草津温泉に前泊して早朝に渋峠を訪れたところ、終日曇りの事前予報にも関わらず、最高のコンディションを楽しむことができました。

私は天候には恵まれていて 2,000m 超の高山でも展望が望めなかったのは美ヶ原の一回のみ (それも乗鞍岳に向かう途中に立ち寄ったとき) です。

昨年、山口県で行われたライドイベントで晴天だったのは、私が唯一参加したロングライドのみだと聞いたときには自身でも驚きました。

それぐらい天候には恵まれるのですが、交通量に関しては概して正反対のことが言えます。




紅葉時の渋峠には休む間もないほど多くの車が列をなして通り抜けます。

それは平日であっても早朝であっても例外ではありません。

白根山の山頂にほど近いレストハウスでは駐車場に入りきらない車が道路に溢れて、登っている最中から渋滞が見られることもあるほどです。

平日の午前中からこれほど混雑するのであれば、週末の午後などには想像したくもないほどの混雑が予想されます。


平地よりも一足先に秋の訪れを感じられる景色は最高なのですが、車が傍を掠めて行く頻度が高すぎて走行するにも撮影するにも全く楽しくないと言うのが正直なところです。

志賀草津道路と呼ばれる国道292号線は片側一車線の高規格な道路が続きますが、急カーブなどでは車2台が擦れ違うのが精一杯と断言して良いぐらいの狭い区間もいくつか散見されます。

そんなところに大きなカメラを持った歩行者 (登山者) が歩き回り、自転車も数多く走っているのですから、さぞかし運転しづらいだろうと運転手に同情する気持ちも湧いてくるほどです。

その車の運転手も撮影のために一時停止したり、速度を落として走行することも少なくないので、実際にはどっちもどっちと言えます。

ですから、それだけなら構わないのですが、運転手の中には狭い区間で無理やり追い越しにきて当て逃げしたり、下りで急ブレーキを連続で掛けたり、(ときには車内から撮影するためだけに) 威嚇用途でクラクションを鳴らす信じられない輩も存在するので、山道では熊と車にだけは遭いたくないものです。

自転車に乗っているときにしても、自分で運転しているときにしても。


ところで志賀高原の魅力は志賀草津道路に留まりません。

道路が混雑しているときには自転車を降りて登山道を歩けば、いつもとまた違う景色が見えてきます。

2017年10月現在は3年振りに解禁されたという火口付近までの登山道を歩くことも可能です。

ビンディングシューズではやや厳しい石畳の道を進んでいくと、湯釜と呼ばれる火口を見下ろす白根山の山頂近くまでたどり着く事ができます。


火口付近は渋峠や山田峠にも増して風が強く、波打つたびに太陽光を反射して光る湖面がまるで生きている宝石のように様々な表情を見せます。

この景色を眺めているだけでも楽しいのですが、低い気温と風が相俟って体力が奪われやすいので注意が必要です。

特に早朝は10月初旬でも気温が摂氏10度を下回ることも珍しくなく、時には降雪さえ見られます。
紅葉時の渋峠は最高に美しいことに間違いはありませんが、混雑や渋滞に加え、急な天候の悪化や激しい気温の変化、また噴火警戒レベルは下がったとはいえ活動している火山そのもの (特に火山性ガス) に対しての注意が必要とされます。

せっかく訪れるからには訪問時間と天候、火山活動に気をつけて安全に楽しい時間を過ごされることを心から願います。

開通直後の渋峠で雪の壁を見る

冬季の積雪で閉ざされていた志賀高原道路が開通されたと聞いたので訪れてきました。

渋峠には一度も訪れた事がなく、群馬県や長野県にも土地勘がなかったので、東麓の草津温泉まで高速バスで輪行して白根山側を登りました。

よく耳にするロープウェイや殺生河原の硫化水素発生地はこちらにあります。




遠くの山を見下ろしながら、上へ、上へとどこまでも進んで行きそうな道に快感と僅かばかりの恐ろしさを感じる山道です。




恐ろしさの正体は、どこまで行ってしまうのか分からない、未知の領域に足を踏み入れている感覚です。

ロープウェイの駅を越えて、しばしのダウンヒルを経ると横手山に入ります。

白根山が果てしなく上へと登っていくような景色なのに対して、横手山の方は既に空の上にいるような感覚です。





個人的には雄大なこちら側の景色の方が好きになりました。

中央分水嶺を越え、雪の壁を越えると唐突に日本国道最高地点の碑が見えてきます (碑の画像はこちら) 。

東京都の公道最高地点である風張峠でも思った事ですが、ネットでは有名な記念碑も実際に訪れてみると駐車場の傍に申し訳程度に置いてある事が多いですね。



それに対して景色に負けないぐらい存在感を放っているのが、長野県と群馬県の境界に位置する渋峠ホテルです。

晴れていれば景色は最高なのに加えて、峠のパンがとにかく美味しい、建物の雰囲気が良い、可愛い生き物もいっぱいと車でデートに訪れても良さそうな場所です。



今しか見れない景色があるという事で訪れた渋峠でしたが、訪れることを決めて本当に良かったと思います。

渋峠は東京から日帰りできるのか – 思いつきで高速バス輪行

ロードバイクに乗っていると一度は名前を耳にする憧れの場所というものが存在します。

国内であれば『しまなみ海道』や『乗鞍岳』などが有名ですが、国道日本最高地点として名高い『渋峠』もその一つに数えられます。

しかし遠く憧れる存在というだけに多くの人が住む都市部からのアクセスには若干の難があります。

最寄りの大都市である東京から訪れる場合、Google Mapのルート検索では新宿駅から渋峠ホテルまで距離にして209km、移動時間は関越自動車道を利用しても3時間45分ほどと表示されます。

自家用車で早朝に出発して日没後に帰宅する事を考えれば日帰りできない事もありませんが、始発時刻のある公共交通を利用して輪行する場合には時間的な制約はやや厳しくなります。

鉄道でアクセスする際の最寄駅は渋峠ホテルから約33km離れた『長野原草津口駅』となりますが、土曜休日運転の特急草津号を除いては東京 (上野) からの直行便はなく、しかも、その草津号が人気で混雑するらしいので輪行に向いているとは思えません。

特急を利用しない場合はJR吾妻線を利用することになりますが、吾妻線は単線で列車の運行本数が限られている上に高崎または渋川駅にて乗り換えが必要となる事から、こちらも輪行に適しているとは言い切れません。

そこで遠距離輪行の強い味方である新幹線の利用を考えます。北陸新幹線を利用する場合の渋峠の最寄駅は約50km離れた『長野駅』、または約60km離れた『軽井沢駅』です。

東京からの乗車時間は約2時間と短く、輪行時に面倒な乗り換えもありません。

山道を無理なく60km走れる走力のある方なら新幹線輪行が最もストレスなく「日帰りで渋峠」を実現できる方法かもしれません。




とは言え新幹線は乗車料金も高いですし、駅から目的地までの距離が長いので現地の土地勘がなければ利用を躊躇してしまいます。

長い移動距離の途中でのトラブルや機材の故障、天候の悪化などを考えると気軽にという訳にはいきません。

そこで私は高速バスを利用して渋峠の麓の草津温泉に直接、乗り付けてしまう方法を試験的に採用してみました。

ジェイアールバス関東が運行している『上州ゆめぐり号』は東京の新宿駅から群馬の草津温泉に向かう高速バスですが、2017年4月現在、有料手荷物として500円の追加料金を支払う事で折りたたみ自転車を持ち込むことが可能です。

  • 【おしらせ】折りたたみ自転車等の手回り品取扱いを開始します(有料)3/8 <路線限定>
  • http://www.jrbuskanto.co.jp/topics/38.html

『上州ゆめぐり号』であれば新宿駅を 8:05 に出発して草津温泉バスターミナルに 12:12 に到着できます。

始発電車や新幹線と比べると時間的な余裕は少ないですが、その分、到着地点から目的地までの移動距離が圧倒的に短い、出発時間も遅くする事ができる、運賃も新幹線に比べて割安 (通常期の事前運賃 3,450 + 有料手荷物 500 円)という長所があります。

短所としては、どうしても飛行機輪行のように荷物を預けなければならない事です。

検証のため、私はカーボンフレームの FELT F7 をいつもの輪行袋 ロード220 に包んで預けました。

ただし破損や盗難に対する補償はありませんので、何かあっても自己責任となります。

もちろん、私の場合は特に問題はありませんでした。


私が利用した際には空いていた事から他の乗客のスーツケースとは別のトランクに入れて頂いた事もあり、特に問題はありませんでしたが、坂道などでは少しだけ不安になる事もありました。

利用してみて嬉しかったことは高速バス中にUSB充電器が設置されていた事と終点の草津温泉バスターミナルにコインロッカーが用意されていた事でした。



これで常時携帯している CP-R10S を温存できますし、登山時に輪行袋を持たずに済みます。

帰りの終バスは輪行できる新宿路線が 17:30 が最終便となりますので、新幹線を利用しないで日帰りする際には5時間弱で渋峠に登って草津温泉に戻ってくる必要があります。


それがどれ位の難度かですが、距離20kmにして獲得標高1,000mぐらいの長い峠道を90分ぐらいで登れる実力があれば、国道最高地点や渋峠ホテルまでは時間内に行って帰ってくる事は (機材トラブル等が一切なければ) おそらく可能です。

それが難しい場合には長野側に降りて終電の遅い新幹線で戻ってきたり、自家用車やレンタカーでより早い時間に現地入りした方が無難なことは間違いありません。

私の場合、実は現地でスマートフォンが故障するトラブルがあった影響で、(地図や交通機関の検索ができず、最悪、自走で山越えして帰宅するつもりで脚を温存しながら) ゆっくり登ってきましたが渋峠ホテルまでは余裕を持って到着する事ができました。

実際に実行して見たところ、東京から日帰りで渋峠をヒルクライムして、その日のうちに輪行で帰ってくる事は不可能ではありませんでした。

不可能ではありませんでしたが、草津温泉や榛名山などの名所を全て無視して急いで帰ってくることになった為、本音を言えば1泊2日以上の日程で周辺を巡りたい気持ちになりました。

おすすめできるかと尋ねられれば、「正直、おすすめはしません」と答えますが、憧れの渋峠に輪行でも日帰りで行ける事が分かったのは収穫です。

渋峠の詳細はこちら

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