GARMIN ForeAthlete 245 – 普段使いできるスマートウォッチ

GARMIN ForeAthlete 245 の導入をはじめて早くも数週間。この新しいランニングデバイス兼、スマートウォッチについての個人的な評価もようやく定まってきました。

サイクルコンピュータ (サイコン) の GARMIN Edge に対しては割と厳し目な評価を下している私ですが、ランニングウォッチにおける GARMIN 製品に対しては信頼性、防水性、機能性、そして何をおいても稼働時間の点から唯一無二の選択として高く評価しています。

ただ最近は GARMIN のウェアラブルデバイスも数が増えてきて、違いが分かりづらくなってきているのも事実です。

どれを選べばいいの

GARMIN のウェアラブルデバイスにはフラッグシップモデルの fenix のほかに、ライフログデバイスから派生した vivo (vivosmart や vivoactive や vivo VENU) そしてランニングウォッチから進化した ForeAthlete (日本以外では Forerunner) があります。

基本的に上位モデルほど多くの機能を備えていますので、出自は違っても現在の製品ラインナップでは機能が重複しているモデルが数多くあります。

これらは見た目で選んでも構わないのですが、細かく見ていくと製品ラインによって備えている機能や設計思想が微妙に異なっているので、購入に際しては必要な機能を備えているかどうかに気をつける必要があります。

まずは SUICA 機能を備えた GARMIN Pay を使用して、運動後などにウォッチ単体で買い物をしたいかどうかによって選択肢が狭まります。




つぎに運動中にスマートフォンすら持たず、ウォッチ単体で音楽を聞きたいかどうかで選択肢を絞れます。

最後に — もしかしたら一番重要なところかもしれないですが — タッチスクリーンを搭載したスマートウォッチのほうが好きか、ボタン操作のほうが好きかによって購入するモデルを限定できます。

ランニングや登山などのスポーツ用デバイスを出自にもつ fenix や ForeAthlete は濡れた手でも使いやすいようにボタン操作を採用しており、ランやバイクなどのアクティビティ(運動)ログの保存領域も大きい傾向があります。

対して Vivoactive や Vivo VENU などのライフログ用デバイスはタッチスクリーン搭載で、ボタン数が少なくシンプルなケースにスマートウォッチ寄りのインターフェースを備えています。

私はランニングやサイクリング用のアクティビティトラッカーとして利用するつもりなので、たくさんの選択肢のなかから ForeAthlete 245 (音楽再生機能なし) を選択しました。


GARMIN( ForeAthlete 245 Black Slate 010-02120-42

過去モデルとの比較

ForeAthlete 245 を購入する以前は、旧モデルの ForeAthlete 230 J を約3年間ほど使用していました

この旧モデルの 230 J / 235 J (モデルの違いは光学心拍計搭載の有無) と比較して 245 はハードウェアの面でもソフトウェアの面でも大きく改良が加えられています。

ハードウェアとしての変更点は、いかにもスポーツウェア然としていた旧モデルから普段遣いできるデザインに変わった外観だけではなく、旧来の充電クリップから変更された充電ケーブルと柔軟素材に切り替えられたバンドが挙げられます。


GARMIN ForeAthlete 230J【日本正規品】

この充電ケーブルはUSBデータ転送に対応しており、Bluetooth でスマートフォンに接続して専用アプリを利用しなければアクティビティログも見られなかった 230 J / 235 J 時代とは異なり、本体とケーブル単体のみでデバイス中のデータを管理できるようになりました。

サイコンの Edge シリーズでは汎用 Micro USB ケーブルを使用できることと比較すると、この専用ケーブルが必須になる点は全然イケてないと個人的には思ってしまうのですが、ForeAthlete シリーズの利便性が大きく向上したことは間違いありません。

230 J / 235 J 時代は硬めだったベルトも柔らかいシリコン素材に変更され、長時間装着し続けても違和感を覚えなくなりました。

このベルトはおそらく光学心拍計を利用するためのもので、腕時計を外すとあとが残るほどに皮膚に密着させることを考慮して採用されたことが推定されます。

本体 (ケース) が小型化されたことも相まって、長時間の装着にも違和感がなくなりました。

ランニングウォッチとして

ForeAthlete の旧モデルと比較すると、じつはあまり変化がない点がランニングウォッチとして見た場合の機能です。

たしかにカタログスペック上の稼働時間は約11時間から最大22時間と2倍になり、画面解像度も 215 x 180 から 240 x 240 pixel へと向上しているので、より長時間稼働で画面も見やすくはなっています。

しかしランニングは身体への負荷が大きく、何時間も続けられるスポーツではないので、既に ForeAthlete の旧モデルをお持ちの方が新しく 245 を購入された場合には、本体の軽量化ぐらいしかメリットを実感できないかもしれません。

ForeAthlete の機能は旧モデルの時点で完成しており、245 にモデルチェンジした際に変更された部分はわずかです。

より具体的にはスマートフォン連携時の気温や風速の表示、1日の総移動距離の表示がアクティビティ毎に細分化されたことなどです。

言い換えると旧モデルと比較した場合の機能や操作性はほぼ同一なので、新モデルへの乗り換えも違和感なく行えると思われます。

サイコンとして

従来からウェアラブルデバイスの ForeAthelete とサイクルコンピュータの Edge は機能が重複しており、ForeAthlete をお持ちであれば Edge とほとんど同じことができました。

どちらも ANT+ 規格のバイク・スピードケイデンスセンサと同期し、GPS データを受信して走行ログを FIT 形式で保存することができます。異なるのは Edge では実走のサイクリングとローラー台トレーニングのログのみを記録できるのに対して、ForeAthlete ではそれらに加えて1日の歩数やランニングのログまで記録までできる点です。

Edge と ForeAthlete とで記録できるログデータは全く同一です。それどころか、ForeAthlete では自動で心拍まで計測してくれるため、ログの記録内容は Edge より充実するかもしれません。

このままではサイコン Edge の存在意義が失われると考えられたのか、2020年現在の現行モデル Edge 530 / 830 / 1030 Plus では地図表示とナビゲーション機能が強化され、さながらスポーツバイクにおけるカーナビのように使用できるように改良されました。




しかし、そうした地図表示やナビゲーションが不要であれば、ForeAthlete 245 も Edge 同様にサイコンとして走行距離や時速やケイデンスを表示し、GPS 走行記録をデータとして保存できる機能を備えています。

従来の ForeAthlete 230 / 235 J では走行時の稼働時間が約11時間と走行距離 220km を越えるライドで使用するには不安がありましたが、245 に更新されて稼働時間が約22時間に延長されたことによって 300km 程度のライドでも記録用デバイスとして選択肢に入るようになりました。

ForeAthlete のモデルチェンジの恩恵を正しく実感できるのは、実際にはランニングよりサイクリング用途での利用時なのかもしれません。

スマートウォッチとして

かねてより、いかにもなスポーツウェア形状をしていた ForeAthlete シリーズですが、こと ForeAthlete 245 に関しては普段着に合わせても違和感の少ない形状をしています。

最近では腕時計をしていない人も珍しくはないですが Apple Watch 等の普及によって仕事で使われる時計の選択も自由度が高まってもいます。身近なところでは顧問の弁理士などを見ていても CASIO や TISSOT といったスポーティな時計を着けている専門職も見かけるほどで、時計として GARMIN を使用していても不思議な感じはありません。

245 にモデルチェンジしてからは UTF-8 で定義されている文字はおおよそ全てが表示されるようになったことも特筆すべき点です。

旧モデルでは着信や SNS 通知などが表示される際 ç や ß といったアルファベット26文字に入らない文字は表示されず、そこだけ空白表示されていたところを新モデルでは顔文字まで表示されるように改善され表現力が格段に向上しています。

ただし文字の入力やメッセージへの返信は行うことができませんので、スマートウォッチとしては機能が限定されていると割り切る必要があります。

それでもランニングウォッチのオマケとしては十分過ぎるぐらい高機能ですし、あまり機能が増えてもバッテリの消耗が激しくなるので、ウェアラブルデバイスとしてはこれぐらいが調度いいとも考えられます。

総合すると ForeAthlete の旧モデルをお持ちのランナーの方で、お使いのモデルが重いと感じていない人であれば急いで買い換える必要性は低いかも知れませんが、ランニングだけでなく普段遣いやサイクリングでも使用される方なら満足できるモデルだと言えそうです。

Ubuntu Linux で BROTHER 複合機のスキャナを使う

Linux を使っていて困るところは多くの人に共通しています。

無線通信を筆頭に商用ソフトウェア、オフィススイート、ファイル転送、エンコーディング(と言うよりも CP932 とフォント)などに陥穽があります。

このうち多言語(日本語)と印刷については、先人のお陰で比較的簡単に利用できるようになりました。しかしプリンタ複合機に付属しているスキャナについては、プリンタとは別の設定が必要となります。

ここでは SANE (のグラフィカルフロントエンド Xsane) を使って、ネットワーク接続された Linux (Ubuntu) からスキャナの画像を取り込むことを目指します。使用するスキャナはブラザー工業の DCP-J983N です。


(旧モデル) Brother 大容量インクモデル インクジェットプリンター複合機 DCP-J983N

実行環境は以下のようになります。実際に試してはいませんが、Ubuntu 系の Raspbian OS でも同じように使用できると思われます。

ブラザー工業は以下のサポートページから Linux 用のドライバを配布してくださっているので、リンク先のソフトウェアダウンロードリンクからお使いの機種を選択してファイルを入手します。


目的から選ぶ – サポート | ブラザー
https://www.brother.co.jp/support/index.aspx


リンク先をたどっていくと brscan から始まるファイルがダウンロードされますので、このファイルからドライバをインストールします。

無事にインストールが完了すると brsaneconfig というコマンドを使用できるようになります。このヘルプどおりに brsaneconfig を使ってスキャナのモデルとIPアドレスを指定すると Xsane からスキャナを認識できるようになります。




複合機のIPアドレスが分からない場合にはローカルネットワーク (192.168.1.0) に対してネットワークスキャンを掛けると、接続されている機器の MAC アドレスと IP アドレスを調べることができます。

アドレス末尾の /24 は CIDR notation と言うやつで IP (IPv4) アドレス 32 ビット中の最初の 24 ビットをマスクするという区切りを表しています。

複合機の製造者なのか、もしくは、そこで使用されている無線ネットワークモジュールの製造者なのかは知りませんけれども、MAC Address から台湾の鴻海精密工業の機器があることが分かります。

これが DCP-J983N ですので、ここで表示されている IP アドレスを brsaneconfig に入力すれば良いわけです。

ここまで準備が整ったら Xsane の起動時にスキャナデバイスを選択できるようになりますので、ターミナルから Xsane を実行すればスキャナから画像を取り込むことが可能になります。

初期状態の Ubuntu では Xsane がインストールされていないかもしれませんので、コマンドが見当たらない場合は新たにインストールしてください。

Xsane が使いにくければ、Linux Magazine でほかのオプションも取り上げられているので、目を通してみると良いかも知れません。


Scan It » Linux Magazine
http://www.linux-magazine.com/Issues/2018/211/Scanners-in-Linux


大容量ポータブル電源を購入する前に

防災用品として注目を集めているポータブル電源。

内蔵充電池を使用して停電時に電化製品を使用したり、照明を維持するのに重宝します。

もちろん、キャンプや釣りなどのアウトドアでも大活躍しますので、一つ持っているだけで調理にも音楽再生にもゲームにも使用できます。

基本的な使い方は USB モバイル充電池と同様です。専用の充電器を使用してコンセントから充電を行い、必要なときに電化製品の電源プラグをつなげて給電を行います。

利便性のためか、実店舗で在庫品を見かける機会は稀であるにも関わらず、市場にはいくつものベストセラー商品が溢れています。以下はその一例です。


Jackery ポータブル電源 400 大容量110000mAh/400Wh 家庭用蓄電池 PSE認証済

こうした人気商品を見ていきますと「機能全部入り」の大型ポータブル電源が目立つことに気がつきます。

電源プラグを2つ以上も同時に使用でき、大容量で給電時間も長く、そのうえ、一つにまとまっていているので1台で多くの場面に対応できます。

こうした大型のポータブル電源は確かに利便性が高く、所有していることで得られる安心感も大きいように思われます。しかし、私個人は容量の少ない小型のポータブル電源を敢えて選択するようにしています。

その理由はポータブル電源は使い捨ての消耗品であるためです。

正確には最近のポータブル電源に搭載されているリチウムイオン二次電池が消耗品であり、その取り扱いも難しいためです(※鉛蓄電池を使用しているものもあります)。




リチウムイオン二次電池は基本的には製造者の指定する専用の充電器を用いて充電するもので、規格の異なる充電器の使用などの誤った取り扱いによってセルを破損させた場合、異常発熱や破裂、発火する可能性もある危険物です。

使用者が安易に分解修理(部品交換)できるものではありません。

日立ポータブルパワーソース PS-64000(自動車整備用品)のように信頼性の高い日本製の商品である場合はともかく、防災時にも使用することを考えると商品の信頼性やアフターサービスも期待できるのかどうかを一考されたほうが間違いがありません。


日立[HITACHI] ポータブルパワーソース PS-64000

小型のポータブル電源においても同様のことが言えますが、これらは小型・軽量・小容量であるために価格も安く、大型のポータブル電源を1つ購入するのと同じ金額で複数個を購入できます。つまり冗長性で信頼性を補えるとも考えられます。

また携帯性を活かして日常生活でもノートパソコンの予備電源としての役割をもたせることが可能です。

いくらポータブル電源のなかでは小容量とは言え、カタログ値 83Wh もの容量がありますので、これ1つだけでも一般的なノートパソコン(※消費電力 20 – 30 Whと仮定)を 2.5 時間から 4 時間ぐらいは動かせる計算になります。

2つ以上を用意することで複数の電子機器を同時に稼働させることができるようになりますし、容量の問題も克服することが可能となります。

しかしながら、当然ながら1つの電源ごとに個別に充電が必要となりますし、数が増えてくると持ち運びに難がありますので、運用の面では大容量ポータブル電源のほうに利がある場面が多々あります。

週末ごとに登山に出かけて、照明を灯しつつ、音楽を流し、トラベルクッカーで調理される場合などには大型のポータブル電源を一つだけ持っていくほうが便利で現実的かも知れません。

具体的な使用場面と使用頻度を考えられてから選ばれると失敗を避けられます。




最後に防災用電源として画期的なマキタ (Makita) に触れずに本記事を終わらせることはできません。

市販品にセンサやスイッチを組み込んで利便性を向上させることを日常的に行っている人たちには有名な電動工具の会社です。

一般的にはコードレス掃除機が有名ですが、個人的に重宝しているのはデスクトップPCやキーボードの清掃に使えるブロワーです。

こうした電動工具や清掃器具に搭載される大容量リチウムイオン電池を防災時には非常用電源として活用できることがマキタの強みです。


ASCII.jp:なぜマキタのリチウムイオンバッテリーは災害時に最高なのか (1/3)
https://ascii.jp/elem/000/001/749/1749802/


災害時や外出時だけではなく、日常的に充電・使用する電源であること、充電時間が短いこと、入手性が良く信頼性も高いことなどに特徴があります。

惜しむらくは現状では外部出力が USB 充電のみで、一般的な電源プラグには対応していないこと、またポータブル電源としては電池がやや割高なので、マキタの電動工具や清掃器具を愛用している人でなければ導入の魅力が薄まってしまうことが弱点とも言えます。

幸いにしてマキタ製品は信頼性と耐久性に優れた実用品なので、防災用品と一緒に揃えられても無駄になることはありません。

防災用品を検討されるなかで、日常での使用頻度も考慮されますと現実的で合理的な選択肢とも言えるのではないでしょうか。


マキタ(Makita) 防災用コンボキット CK1008

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