ヨーロッパのキッチン周りの話

ヨーロッパに初めてきた日本人の多くは、日曜日に店舗が閉まって街中が閑散とする様子に驚きます。長く住んでいると慣れ過ぎてしまって特に驚くような事にも思えなくなりますが、久し振りに訪れると「そう言えばこういう事もあったな」といろいろと思い出します。

言い換えると、日曜日なので行くところもなければ、特にする事もない訳です。

そんな事情を察してか、あるいはチーズケーキが食べたいと言っていたのを見たのか、友人がチーズケーキを焼いてくれる事になりました。




とは言っても私は見ているだけで特にする事もなく、従って書くべき事もありません。キッチンを触ると怒られるのですもの。




ケーキ美味しいの一言で、このまま終わってしまっても構わないのですが、せっかくなのでヨーロッパのキッチン周りで良くあるネタを幾つか。

まずは水道水ですが普通に飲めます。日本は水道が飲める国という強調表現を見たことがありますが、ドイツ以外でも西ヨーロッパの水道水は飲んでも大丈夫です(おそらく北アメリカやシンガポールでも平気です)。

ただし、金属イオンを多分に含んでいるので、湯を沸かすとカルシウムなどが石になってこびり付いている事が普通です。

よくある事なので気にしてはいけません。

食器用洗剤を洗い流さないのも良くある事です。夏頃に売店の菓子パンに蜂が集っているのも普通なので驚いてはいけません。

ゴミの分別はそこそこ面倒です。

それだけなら日本でも厳しく分別している自治体がありますが、ヨーロッパで最も特徴的なのは予めボトルにお金 (Flaschenpfand / container deposit) を払い、スーパーマーケットなどの特定の場所に「返却」すると返金される仕組みになっている事です。

これを知らずにペットボトルを捨てると損をするので毎回、確実に返金を回収することをお勧めします。

これだけでも旅行者には面倒ですが、さらに面倒なのは一部のボトルには返金がない事です。

傾向としては天然水を含む炭酸飲料は返金される事が多いのですが、フルーツジュース系 (100%オレンジジュースなど) の容器には返金がないものがあります。

最も確実なのは返却マークが付いているかどうかを確認する事です。

ボトルの返却の他にも最寄のスーパーマーケットの位置を把握しておく事は重要で、これ次第で滞在費用が大きく変化します。

水でも食糧でもスーパーマーケットで買うと1ユーロもしないぐらいの安い価格で買えますが、駅の売店やレストランではスーパーマーケットの数倍のお金が必要となります。

東ヨーロッパやロシアに行くとこの傾向はさらに顕著で、少し歩くだけで物価が大きく変わるなんてこともあります。

特にレストランは非常に価格が高いので、よほど行きたい店でなければ私は行きません。

スーパーマーケットで安く購入して、自分でオーブンで焼けるので、キッチンのある家の方がホテルよりも何倍もいいですね。

ルネッサンスの街アウグスブルクへ

スイスでの用事を終えた私は金曜日の夕方に合わせてドイツのミュンヘンに飛んできました。

空港に到着すると同時に目と耳に飛び込んでくるドイツ語が心地よく、ユーロ表記に安心感を覚え、ああ、いいわ、落ち着くわと、しばらく一人で不審者のごとく感慨に耽ります。

結局、スイスではドイツ語が通じたり、通じなかったりと最後までよく分からないままでした。南部のイタリア語地域やアルプスには興味を惹かれますが、スイス・ドイツ語圏のZurichなら個人的にはドイツの方が好きという理由で現地の様子レポは割愛します。どっちにしろ、1日ではよく分かりませんし。

ミュンヘン空港の到着ロビーを出ると出迎えに来てくれていた友人夫婦の顔が見えます。

彼らと一緒に夕食をとって駅まで車で送ってもらった後は、REに乗ってアウグスブルク (Augsburg) を目指します。ドイツの列車は乗降時の段差と走行時の揺れが気になりますが、車体が大きく開放感があるのがとても良いですね。




乗り込んでから30分もしないうちにアウグスブルクへと到着しました。

ここに何があるのかと言えば、実は要件の一つすらありません。ただ友人がいるので合間の週末に会いに来たというだけです。

しかし、初めて訪れる街を見物しないのも勿体ないので、彼女と一緒に翌日は市内の中心部を散策します (いつものタイトル詐欺回収)。




西ドイツの街の幾つかはローマに起源を持ちます。アウグスブルクはその中でも特に規模の大きな拠点であった事、中世にはフッカーと共に反映した金/銀細工職人に溢れ、マルティン・ルターが活版印刷を行い、ベルトルト・ブレヒトが生まれた場所で、大規模な空爆で甚大な被害を受けた事など、長い歴史に由来する豊富な歴史遺産に溢れる街だという事が少しの散策からでもよく理解できました。

残念ながら、こうした解説はドイツ語でのみ記されているので、知らずにいると容易に見落としてしまいます。




街自体の歴史だけでも十分な情報量がありますが、アウグスブルクの面白いところは姉妹都市まで誇らしげに展示してしまう点です。

オーストリアやドイツだけでなく、デンマーク、ハンガリー、米国、インドネシア、ヴェトナムと様々な国のいろいろな街を巡りましたが、これだけ力を入れて姉妹都市のPRまでやっているのは今までに目にした事がありません。

新宿御苑の桜でPRされている高遠町 (伊那市) はともかく、ベルリンのTiergarten (Mitte) や北京の东城区は新宿区民ですら言われないと姉妹都市である事に気が付かないというのに、ここでは友好都市の紹介から交流の経緯、寄贈された記念品まで詳細に整理、展示されています。

寄贈品もなかなか凄いものが集まっていて、例えば日本の尼崎市/長浜市からは本物の着物や琴などが贈られています。



一通りの散策を終えたら買い物に出かけます。

最近はそうでもなくなって来たようですが、ドイツの休日は客商売の店舗にとっても定休日となるため、平日や土曜日のうちに買い物に出かける事が一般的です。

この日も翌日の朝食のほか、彼女の好きなアクセサリや書店を見て回ります。

私にとっては文句なしに最高に充実した時間です。

残念ながら楽しい時間は長くは続かず、まもなく食事をとって帰路に着く時間となります。

私は普段は全くビールは飲まないのですが、飲食店で見つけた Cola-Weizen の組み合わせが余りに面白かったので、勢いで注文してしまって呆れられたりしました。

大都会らしさ満点のミュンヘン

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今回、初めてミュンヘンを訪れました。

ウィーンからベルリンまでの高速バス移動やエムス川の河口など、普通の観光客はまず行かないところにばかり行っている私ですが、日本人観光客が最も多く訪れるであろうミュンヘンには一度も行ったことがありませんでした。

居住地がウィーンや旧東ドイツでしたので、とても行きづらかった上に、航空機も安い乗り継ぎ便でアムステルダムやコペンハーゲンを経由する事が多かったので、ミュンヘン空港から東京行きの直行便なんて贅沢すぎて縁がなかったのです。

そんなミュンヘンですが、世界中から人が集まる、まさに贅沢な街でした。

ミュンヘンを形容する際に、しばしば、都会らしくないという言葉が頭に付いているのを見かけますが、とんでもありません。

ベルリンやハンブルクやプラハやウィーンよりも、よっぽど大都会の空気があります。語弊を恐れずに言うと、あまりドイツらしくもありません。




まず気がつくのは駅や地下通路などの公共スペースが清潔で新しく、ヨーロッパにしては照明が明るめで、日本の都市にいるのと近いものを感じます。

街の中心部には、銀座や表参道で見るのと変わらない高級ブランド品やスポーツメーカーのロゴが並び、巨大なショッピングセンターも幾つもあります。

こういったものは他のドイツの都市には全く見られないか、あっても街の中心に1つぐらいしかありません。

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逆にドイツの大都市中心部の多くに見られるThaliaが見当たりません。良く探せば見つかるのかもしれませんが、ミュンヘンでは地元民に聞いても分かりませんでした。

トイレも無料のところがありますし、英語やトルコ語や中国語やロシア語ではない外国語の看板が見られたり、本当にドイツの他の街とは全く異なりました。

中世の雰囲気が色濃く残るバンベルクや中部ドイツらしいニュルンベルクから、いきなり国際的な大都会に来て面食らったと言うのが正直な感想です。

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