香港の切手は自販機で買おう!カルチャーショックいろいろ

香港観光に一切の興味がなく基本的に湾仔を離れることのない私ですが、自ら率先して訪れる場所は幾つか存在します。

現地の図書館と書店、スーパーマーケット、服飾専門店、自転車屋、そして郵便局です (時間があれば大学のキャンパスも)。

これは香港に限らず世界中どこを訪れても変わる事はありません。

訪れる理由は現地の生活や流行が垣間見えるのが単純に面白いからであり、後半に行くに従って自身の趣味が強く反映されています。




一言で要約すると私は知らない土地を訪れたら、その土地の書店やブティックや自転車ショップを訪れたり、現地からポストカードを送るのが好きなのです。

特にポストカードについては10代の頃から互いに送り合っている相手が20人近くおり、一番付き合いが長い友人とは12年も続けていたりします(幼い時から転勤族で1年毎に居住地が変わっていたため)。

そうした理由から自由時間ができると習慣的に郵便局へと足が向きます。

今回も例外ではなく、湾仔の域内に位置する Gloucester Road Post Office にやってきました。Revenue Tower という高層オフィスビルの2階にあります。

香港では初めて訪れる郵便局ですが、初見では窓口が3つに分かれている事に驚きました。そこに東京の新宿郵便局はおろか、待ち行列の長かったニューヨークシティの Canal Street post office よりも多くの利用者が列を成して待機しています。

幸い最も行列の長かった支払窓口と比較して、切手や郵便物の専用窓口の行列はその時点での利用者の3分の1程度でしたが、香港の郵便局は一人当たりの対応時間がとにかく長く、待てども待てども一向に行列は短くなりません。

窓口の約10m手前には「ここからの待ち時間25分」と言った内容の立て看板がありますが、たかだか10mぐらいの人数にそんなに掛かる訳がないでしょうと高を括っていたら、実際には窓口に到着するまでに40分以上もの時間を要しました。



待ち草臥れてようやく到達した窓口では Octopus Card での支払が可能でした。

日本への郵便料金はアメリカ、カナダ、ドイツまでと同一。ロシアがそれよりも10セントばかり高かったのですが、郵送距離としてはカナダやドイツよりも短くなるはずなので理由はよく分かりません。逆に台湾は他の宛先よりも低料金でした。

日本の郵便局では窓口で預かってもらえますが、香港では切手だけを渡されるので自分で貼り付けてポストに投函しないといけません。この辺りは台北と変わりません。

台北の場合と違うのは、香港の郵便局ではポストの横に自動販売機があって切手が売られている事です。

1時間近くも並ぶ必要性なかったのか… 比較的珍しい切手の自動販売機に驚くよりも、互いにメリットがあるにも関わらず、訪ねても教えてくれなかった香港人に失望して撮影する気持ちになれませんでした。

自分で訪れた後だから言える事ですが、ポストに入らない大きな荷物でないのであれば Postage Calculator で予め料金を計算してから、郵便局の外にある自動販売機で切手を買って自分で貼って出した方が懸命です。

場所は変わって地下鉄の駅構内でも、現地の生活が垣間見える面白いものが見つかります。

1月中旬の夜でも当然のように気温が20℃もある香港では、猛烈に寒い日は気温が14℃まで下がります (という注意を促す広告が地下鉄の駅構内に張り出されています)。

この時期の東京においては一番暖かい日になれそうですが、私の短い滞在期間中にも日中に26℃なんて表示がでる香港では考えられないほど寒いという評価になります。

この他にはイギリスを始め、アメリカ、カナダ、オーストラリアと英語圏の国々への留学を促す広告が至るところに貼られているのが、香港らしくて興味深いです。

それも語学学校や旅行会社の広告ではなく、よく眺めてみると広告主はなんと British Council でした。日本ではほとんど見かけませんが、香港ではそれだけ海外留学が当たり前なのかもしれません。



日本から来るとさらに不思議に思うのは、普及価格帯のショッピングモールが見当たらない事です。

ハノイやジャカルタなどの東南アジアの諸都市には海外旅行者を対象とした高級ショッピングモールがあったりしますが、香港にあるのはそうしたモールをより一層高級化させたようなショッピングセンターです。

展示された商品を眺めてみると、当たり前のように千ドルを超えるプライスタグが付いています。

そうした高級ショッピングセンターや Central (中環) のブティックには本物のブランド品がある一方で、街中の個人商店では本物とは思えない、しかし、堂々とブランドマークが付けられた靴などが平然と売られています。

そのどちらもが観光客の方を向いているようで、現地の住人が何処で何を買っているのかが未だに不明瞭なままです。

香港で美味しい燒臘を食べよう

宿泊先の九龍と業務地区の湾仔を往復するだけの香港生活も1週間に差し掛かろうとしていた頃、余りにも湾仔から離れない私の生活に呆れた台湾の友人が「香港で訪れるべき店リスト」を作成してくれました。

好きで来ている観光客とは異なり、自分の意思で訪れた訳でもない私には特に行きたいところや見たいものはありません。

幼少期に一度訪れた事がある為に初訪問でもなく、ましてや外出を控えるように警告を受けるほど大気汚染が深刻な状態で、スモッグで景色もろくに見えないのでは散歩に出かける気も湧きません。



私らしからぬ引き篭もり生活に異常を感じて友人が作ってくれたのが、先述の訪れるべき店リストという訳です。正直、どこで何を見るべきなのか、考えもしなかったので大変助かりました。

リストの最初に含まれていたのは、Wellington Street にある Yung Kee (鏞記)というレストランです。台湾人の彼女によると「香港で最も有名なレストランよ」との事。

訪れてみると、確かにただの一レストランではなく、香港文化の一部を形成しているような威厳と雰囲気があります。

残念ながら私は粤菜に詳しくないので、彼女に勧められた通りに À la carte のメニュー roasted dish (燒臘) に含まれる barbecued pork を注文しました。

一緒に来ていた連れの二人はセットメニューを選択したので、幸運にも味見と称して signature charcoal roasted goose も一緒に頂く機会にも恵まれました。



豚肉の方は外側が甘塩っぱいソースで味付けされており、繊細でとても上品に仕上げられておりながら、内側は豚肉本来の味がよく活かされています。

その味わいは、中華料理はこれほど控えめなに、素材の良さを引き立てる事もあるのかと感心したほどです。

ガチョウの方は反対に肉の奥から滲み出てくる旨味がジューシーで濃厚です。深い味の層が幾つも重なりながら調和しているのは本当に見事です。

どちらかと言うと、こちらの方が万人向けかもしれませんが、細い骨が含まれているので食べるときは注意が必要となります。



訪れるべき店リストの2つ目は Hennessy Road にある Honolulu Coffee Shop です。

ここのミルクティーとエッグタルトが中国語圏では非常に有名で、香港に訪れたら誰もが一度は行くらしいです。

「さすが女の子だね」と茶化すと「本当に有名なのよ(原文ママ)」と日本語で返してくるぐらい憤慨した様子。

どうやら Wikipedia にも記事があるぐらいの有名店のようです。


こちらもとても美味しいお店には間違いありませんでしたが、香港のこの喫茶店にしかない特別な点が見出せませんでした。

湾仔に位置していて美味しい紅茶が飲める事に価値があるのは間違いありませんが。

リストによると他にも Jaffe Road にある Macau Restaurant のアイスレモンティーと pineapple bun (菠蘿油) 、檸七こと lemon seven up (詳細は不明) などのたくさんの名物が香港にはあるようです。

何れ、時間があるときに訪れてみようと思います。

クレジットカードが使えない?香港ドルは多めに持つべし

ランニングしようとウェアやシューズを用意したのに、大気汚染が予想以上に酷くて目論見が外れたのは前述の通りですが、大誤算はまだまだ始まったばかりです。

同じ中国語圏の台北や台中、国際都市として同列に評価されているニューヨークシティやベルリン、そして (もちろん) 東京での滞在経験から推測して、香港での滞在に現地通貨はそれほど必要ではないと考えていました。

Krone という独自通貨を保持し続けているデンマークにおいてさえ Euro が使える場面が多々あるのだから、名高い国際金融都市であり、中国本土も含めて世界中から多くの訪問者が訪れる事で成立している香港において、現地通貨が必要となる場面などそれほどないだろうと。

そのため支払いはクレジットカードを中心に用いる事に決め、クレジットカードが使えない場面では OCTOPUS というプリペイドカードを使用するつもりでいました。



ところが現地を訪れてみると、クレジットカードが使えるレストランや商店は一部に限られており、使えるという表示のあるレストランにおいても多くは一定の支払額以上に達した場合のみとなっている事が判明しました。

さすがに Central (中環) の高級レストランや有名ブランド店では問題なく使用できますが、中環や湾仔の高層ビルに入居しているレストランであっても支払いは香港ドルで現金のみの場合もあります。

こうなると通常以上に財布の紐が堅くなりますが、香港の食べ物は安くて量が多い上に美味しい事が非常に多いので、予算を絞っても食事の満足度は高いままです。



食事そのものに関する不満は 基本的に中国産の素材しかない事を除いては ほぼありませんが、支払い方法が1都市内でしか使用できない現地通貨に限定される事については不満しかありません。

しかし、一部の人にとって更に問題となる事が、香港での支払いには付いて回ります。

驚愕すべき事に、そして出張で来ている方にとって困る事に、香港での精算ではレシートや領収書が基本的にもらえません。

イタリアとは正反対の慣習に最初は何が起きているのか理解できませんでしたが、発効して欲しいと頼んでももらえない事が結構な頻度で生じるので、発効してもらえたら運が良いぐらいの気持ちで臨んだ方が気が楽です。



クレジットカードは基本的に使わないので支払い記録は残らず、現金でやり取りでもレシートが残らないので、どうやって収支の記録を取っているのか不思議で仕方がありませんが、香港での生活とはこういうものらしいと理解するようになりました。

日を追う毎に香港の事を全く知らない事を思い知らされます。

続く

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