退屈な日常から抜け出せなかったアクションカムの行方

アクションカムの定義を調べると、小さくて、丈夫で、防水性をもち、アウトドアスポーツで使われ、しばしばヘルメットやサーフボードに取り付けられるといった説明が続きます。

いわば、エクストリームスポーツの興奮と感動を映像に閉じ込めて、共有するためのツールなのかもしれません。

珊瑚礁の青い海、白銀の雪山、地表から 3,000m上昇した雲の上など、アクションカムが活躍する場面はまさに非日常の世界です。

それでは日常においては全く出番がないかと言えば、そのようなことはなく、耐衝撃性や防滴性能を活かしてロードバイク用のドライブレコーダーの役割を果たしたり、携帯性の良さを活かして発表の練習に用いたり、安価な定点観測カメラとして利用できたりと日々の記録に使用する目的に対しては最適です。




ヘルメットに付けておいても邪魔にならないほどの軽さと小ささ、スキーやトレイルランニングにも使える衝撃耐性から、ポケットに入れて運搬できるという取り回しの良さが最大の利点になっています。

しかし、それでも思うところは有ります。スマートフォンではいけないのかと。

同じように持ち歩いているだけあって、最新のスマートフォンは携帯性も防水性も備えています。機種を選べば広角レンズも使えますし、USB 充電で撮影時間も稼げるので、アクションカムでしか撮れない映像というのは限られます。

手動で詳細な設定を行うスチルカメラであればともかく、スイッチを押したまま、触れることもないアクションカムとスマートフォン内蔵カメラに違いと言えるほどの違いはあるのかと。

一つ挙げるとしたら、手ブレ補正機能に有為な差があるかもしれません。

最近のアクションカムは強力な補正機能を有しており、出力される映像も安定しています。とくに最新の機種は順当に改良されていて、良いものに仕上がっています。

しかし、私の持っている SONY HDR-AS200V(現在は生産中止)のような古い機種や話題の中華アクションカムでは、手ブレ補正もあまり期待できません。

アクションカムの電子式手ブレ補正がどのようなものなのかは、実際に見ていただいた方が速いので、興味をお持ちの方は以下の動画をどうぞ。

これを書きたいがために、わざわざ大嶼山まで試験撮影に行ってきましたよ。何をやっているのだろうなと自分でも思いましたけどね。

もう一つは手ブレや振動に加えて GPS 信号を見失ったり、途中で録画が途切れたりする「アクションカムあるある」動画です。こちらも興味をお持ちの方だけどうぞ。

このようにアクションカムを用いると、悪くないと言えば悪くない、振動が気になると言えば気になる映像を手軽に撮影することが可能です。

ここから手ブレや振動や傾きなどを無くそうと思えば、動かさないように三脚に固定してしまうか (私が記録用に使っているときは主にこうしてます) ギンバルのようなスタビライザーを使用するしかありません。

もしくは電池が持続する限り、映像を取り続けて「使える」部分を切り取って編集することになります。

アクションカムの連続撮影を行う場合、最長で 2 時間程度の長さの映像を撮れます。出力ファイルの大きさは 3GB から 5GB 程度になります。この編集だけでも大変です。

結果的に撮ることが目的となって、撮った映像を見返すことには重点をおかない運用をするようになってしまいました。

ただ、私の場合は1年間に最低 5,000km は自転車に乗っているので、事故や保険対策のために映像を撮ること自体が重要です。その使命を果たしつつ、日々の映像記録にも使える HDR-AS200V には実は満足しています。

記録を残すことが目的なら、古い機種でも、中華アクションカムでも十分です。

体験や感動を誰かと共有するのであれば、スマートフォンとの差別化の意味でも、強力な手ブレ補正を備えた最新の機種の方がよい映像を残せます。

そういう意味ではアクションカムをアクションカムとして使用するのであれば、その時点でもっとも性能の良いフラッグシップモデルこそがお薦めです。

ダイビングに持ち出して海に沈めたり、ロープスライドに括り付けて峡谷を越えたり、体に取り付けて旅の記録を撮ったり、フラッグシップモデルは持っているだけで、いくらでも夢が広がります。

もちろん、それ以外のモデルもアクションカムとして非日常の場面に持ち出すことはできますが、機能がやや制限される分だけ、良い映像を共有するための難易度は少しばかり高くなります。

そうしたアウトドアやスポーツから離れて、ポケットに入れて持ち歩けるビデオカメラとして捉えてみると、アクションカムはとても便利です。

運動時に身につけていても邪魔にならないほど小型ですし、防滴性能もあるので普通のビデオカメラと違って、運搬や取り扱いに気を遣うことはまずありません。

三脚に固定して生き物の観察に使ったり、砂浜のような普通のカメラを使いたくない場所に設置して時間の経過を撮影したり、あるいは敢えて小学生ぐらいの子どもに貸し出して好きに使わせてみたりと、考えてみればいくらでも使いみちはあります。

強力な手ブレ補正や防水性能を備えた最新のフラッグシップモデル以外は、そういった日常の一場面を切り取る道具としての使用のほうが、本来の性能を発揮できるというのは言いすぎでしょうか。

映像の質を追求すれば、センサーサイズの大きなミラーレスカメラとの競合になり、携帯性を追求すればスマートフォンとの競合になる難しいところで、なんとか生き残ってくれないかと強く願います。

SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G の実写と使用感

レビューと言うほど大したものではありませんが、しばらく使用していて気が付いたことをいくつか備忘録的にメモしていこうと思います。


ソニー SONY ズームレンズ FE 24-105mm F4 G OSS Eマウント35mmフルサイズ対応 SEL24105G

このところ、そんな記事ばかりですが、健康に悪影響がありそうなほどに空気が悪いのでランニングに行くこともできず、自宅のデスクトップPCにアクセスできないので LibreCAD にも触れず、そもそも東京のほうの家には久しく帰っていないので自転車にも乗れずという具合に、撮影ぐらいしか楽しみがないのですよ。

そのうえ景気が冷え込んで生産活動は落ち込んでいるはずなのに、昨冬に比べて今季は霞んでいて視界が悪い日が多いです。必然的に写真映えもしなくなってしまいますが仕方ないですね。

そんな憂鬱な環境で何となく使っていた SONY ズームレンズ FE 24-105mm F4 G OSS ですけど、使い込んでいくほどにその性能の高さに驚かされています。




第一印象では、どんな場面でも使える便利なレンズだと思っていました。広角側は 24㎜ から望遠側は 105㎜ までの広い範囲に対応しており、オートフォーカスも速いです。

15mm や 18mm のような超広角と比較してしまうと派手さには欠けるものの、風景にも十分に使えますし、被写体に寄れて綺麗にボケるので、室内でモノやヒトを写すには最高です。

単焦点レンズに足りない画角を補う目的で使うつもりでいましたが、これ一本だけでも満足できる場面は多々あります。

私の場合、第一印象から大きく認識が変わっていくことはあまりないので、こんなに良い方に認識が変わったレンズというのは珍しいです。

ILCE-7RM3 SEL24105G f/6.3 1/250 sec. 24.0 mm

ILCE-7RM3 SEL24105G f/9.0 1/6 sec. 54.0 mm

ILCE-7RM3 SEL24105G f/6.3 1/13 sec. 82.0 mm

ただし、購入時から述べていたとおり、何時間も持って歩く場合は大きさと重さはこの辺りが限界ですね。鞄の3分の2ぐらいを占拠してしまいますので、単焦点レンズを追加する余裕もありません。

これに携帯電話を3つ (会社支給品・香港SIM・日本の電話回線維持) 持っているだけで重くて仕方がありません。

知人の FE 24-70mm F2.8 GM を眺めていると、その出力の立体感に驚かされこそはすれ、私には使いこなせないなと思ってしまいます。

SEL24105G も凄く良いです。でも良く見ると SEL2470GM は (少しだけ) さらに良くて、G-Master だけで運用していくのも有りだなと思わせるものがあります。

どちらも大きくて重いので、単焦点レンズをいくつも併せ持つことに不適な点は同じですし。

ILCE-7RM3 SEL24105G f/6.3 1/15 sec. 24.0 mm

ILCE-7M2 ZEISS Batis 2.8/18 f/2.8 1/25 sec. 18.0 mm

参考に掲載しているのは全て JPEG 撮って出しの無加工画像です。

私は明るく加工するのが好きなので、いつもの掲載画像と比較すると暗いものが多いかもしれません。

ImageMagick で縮小だけしています。ImageMagick は複数の画像をまとめてサイズ変更するのに便利です※。

それから、いつもは ExifTool で習慣的にメタデータを削除してしまうのですが、今回は敢えて情報を消さずに残しておきます。

複数の画像の拡大や縮小と違って、こちらはブログに写真を掲載したり、画像認識用のデータを配布したりするとき以外には出番はないかもしれませんが、使えるものは便利に使いましょう。

これも1行で Exif ファイルを全て消去できますが、普通のディレクトリで実行すると大事なデータまで破壊しかねないので、テンポラリ・ディレクトリに画像を複製してから実行してください。


※ ImageMagick の mogrify や convert などの処理中に convert-im6.q16: cache resources exhausted といったエラーメッセージが表示される場合には、資源不足によりプロセスが途中で失敗しています。

具体的には Disk 容量が足りていません。

初期設定では <policy domain=”resource” name=”disk” value=”1GiB”/> になっているので、多くの人が引っ掛かるのはこれです。

解決するには /etc/ImageMagick-6/policy.xml にある設定ファイルを書き換える必要があります。環境に応じて書き換えてください。

DSC03952
ILCE-7RM3 FE 24-105mm F4 G OSS ƒ/5.6 36.0 mm 1/1250

DSC04815
ILCE-7RM3 FE 24-105mm F4 G OSS ƒ/4.0 65.0 mm 1/60 ƒ/8.0 64.0 mm 1/80

DSC04036
ILCE-7RM3 FE 24-105mm F4 G OSS ƒ/8.0 26.0 mm 1/30

香港で PC を購入するメリット・デメリット

近いように見えて意外と遠い香港。年末年始から気温 20℃ 前後の日が続きます。同時刻の東京の気温を調べてみると 10℃ 未満なので、気候だけでも生活環境は大きく異なります。

おおよそ、いつも空が曇っていたり、空気が悪かったり、狭い部屋が多かったり、あまり嬉しくないことが目に付きますが、チーズやピザが安かったり、英語だけで生活できたり、日本を含めた海外の流行りの商品が選び放題だったりと良いところも数多くあります。

高スペックな最新の PC を安く購入できるのも香港の魅力の一つです。




香港のパソコンは本当に安い

日本で日本車を購入したり、ドイツでドイツ車を購入するよりも、米国の方が日本車やドイツ車を安価に購入できるのは有名な話です。

米国では車の価格が低い傾向があるのと同じように、香港では PC の価格が低い傾向があります。

と言っても、日本もコンピュータや電化製品をとても安価に購入できる国の一つなので、実際には「1割から2割ぐらい安いかな」と感じることが多いです。

これだけでは本当に安いとは言い切れません。

しかし、香港には消費税がありませんので、PC などの高額商品になると実際の支払額の比較では無視できないほどの差ができることもあります。これに円高が加わると凄まじいです。

さらに香港の店舗は無料で3年の保証を付けてくれる (ただし香港域内限定) こともありますので、内容を考えると本当に安いと思えてきます。

もちろん、Dell や HP などの International Warranty / Global Warranty 付きのモデルを選択すれば、1年間は世界中のどこでも保証を受けられるのは日本で購入する場合と変わりありません。

部品を確認しながら購入できる

香港の PC 販売店は安いだけではなく、どこに行っても大抵は PC 内部の構造を見せてくれます。

デスクトップだけではなく、最新の薄型ノートパソコンに対してまで商品の分解画像から部品の種類まで、何でも見せてくれる店舗が多いです。

店主が自分自身で商品を分解して、部品単位で構成を把握しているので、RAM や SSD の増設の可否や電池やキーボードなどの消耗品の入手性をいくらでも教えてくれます。

しかも、話し込んでいて相手に気に入られると、値引き交渉をしなくても向こうから値引き価格を提示されたり、アクセサリを追加してくれたりして、さらに安くなる場合もあります。

日本で購入するほうが良い場合も

これまで述べてきたとおり、香港で PC を購入する利点は数多くあります。ただし、その多くを享受するには英語 (もしくは広東語) を不自由なく使えることが前提になります。

店舗に行って選択するだけでお終いというよりは、店主とスペックや使用用途を話し合うことでモデルや追加オプション (SSD増設など) や保証が決まります。

最初に提示されている価格もモデルに対しての最高価格であることが多く、話していると価格が安くなったり、日本や米国、カナダ向けの type A ケーブルに交換してくれたりといったサービスを受けられることが多いです。

香港で購入する PC は、当然、香港仕様となるわけなので、電源はイギリスやアイルランド でしか使われていない と同じ BF / G という特殊なプラグに、北米仕様の US キーボードというユニークな組み合わせになります。


それから重要なことですが、Windows PC を購入しても Microsoft Office は付属しません。

実のところ、最初からソフトウェアが付属している日本仕様の方が特殊なので、香港版だからという訳ではありません。

上述の「1割から2割ぐらい安い」という感想も、日本仕様モデルからソフトウェア価格を除外したハードウェア単体での比較なので、見かけ上は日本の方がもっと高額な値が表示されていることに注意が必要です。

したがって日本語 OS 、使い慣れた JIS キーボード、プレインストールされた Microsoft Office が欲しいという方が、安価だからというだけで香港で PC を購入してしまうと、おそらく不幸になります。

PCや電化製品の価格が高い国 (ヨーロッパや西アジア) に住まれているならともかく、十分に PC が安くて保証も充実している日本市場を差し置いて、無理に香港で PC を購入する必要はありません。

そうした注意点とは対照的に、日本で見かけるベンダーの商品であれば、ほぼ全ての PC に電波法のマークが付属していますので、香港で購入した PC の多くは日本在住の方でも安心して日本国内でもお使いいただけます。

分解写真を見てみると、香港仕様の中国製であるにも拘わらず、驚くほどの日本製部品が使われていて、日本語表記の注意書きが溢れかえっていることに笑ってしまうほどですし、購入時にも本体外装を見て電波法マークの有無を確認できます。

おまけに米国の FCC や欧州の CE 承認、さらには日本のPCリサイクルマークの付いた PC が普通に香港モデルとして流通しています。

日本仕様と全く同じという訳ではありませんが、使う人によっては嬉しい (とくにソフトウェア開発に重宝する) 英語 OS と US キーボードを搭載モデルを割安に購入できるので、もし円高の際にこちらに来られることがあったら PC を見てみるのも良いかもしれません。

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