Ryze Tech Tello とドローンの学習

遅まきながら技術の進展に対応するために トイドローン Ryze Tello Powered by DJI を購入しました。

ところでトイドローンとは何でしょうか。

Toy Drones vs Enthusiast Drones: What’s the Difference? という記事を見てみると、カメラの性能に重きを置いていない、もしくはカメラそのものを搭載していない、極めて安価な手のひらサイズのドローンの総称という理解で良いのでしょうか。

いきなり面倒だと思われたかもしれません。

ドローンは面倒なもので、購入してから飛ばす前に覚えなければならない事柄がたくさんあります。主に航空法と電波法と条例† に関連するドローンを飛ばしてはいけない場所と飛ばしてはいけない条件がその最たるものです。

店舗に足を運べば、技能資格や研修について資料が幾つも並んでいて、敷居がとても高そうに見えます。

そんな面倒で敷居が高そうなドローンの中でも、手軽に始められるエントリーモデルの定番と販売員が薦める Ryze Tech Tello を購入しました。


【国内正規品】 Ryze トイドローン Tello Powered by DJI

トイドローンだから… ではなくて、本体質量が 200g 未満なので航空法の「無人航空機」には該当せずに「模型航空機」と扱われるそうです。

無人航空機になると、人口集中地区の上空や 150m 以上の高さに飛行させる際に予め許可を得る必要があるそうですが、人口集中地区どころか送電線のような人工物がある山中でさえ飛行させるのを躊躇いますし、無線LANで接続するドローンなんて遠距離通信用のアンテナを用意しなければ、条件が良くて 100m ぐらいが通信の限界じゃないのかと考えながら笑顔で頷いていました。

もともと Parrot ANAFI PF728005 の購入を考えていたものとしては、メリットは小型軽量かつ安価 (練習中に安心して墜落させられる) で人気がある (それだけ開発者が多いことが期待できる) ことぐらいです。はい、凄く大きなメリットですね。




実際にコミュニティではネットワークやストリーミングのプロトコルが解析されていて、非公式のライブラリもなかなか充実しています。

加えて公式のダウンロードページから入手できる Python スクリプト (Tello3.py – SDK 1.3.0 バージョン 1/1/2018) だけでも、コマンドライン操作でドローンを離陸させて、移動させて、温度や飛行時間のデータを取るなんてことはプログラミング知識がなくてもできます。

TELLO DOWNLOADS – Ryze Tech
https://www.ryzerobotics.com/tello/downloads

このスクリプトを自身で書き換えて、ビデオの出力を OpenCV や Keras (Tensorflow, CNTK, Theano) に渡して処理みたいなことをするには、さすがに知識と経験が必要になります。個人的には大学の授業の課題で Microsoft Kinect を使ってロボットを作ったことを思い出しました。

適当な Python スクリプトを書いて、取り敢えず動かしてみるのは簡単ですが、きちんと離陸から着陸までの過程を考えてから実機テストを行わないと、スクリプト実行後に操縦不能になって墜落させるしか無くなるのでお気をつけください (私は手で掴もうとして天井まで上昇させた挙句、墜落させました)。

Linux から派生してドローンに興味を持ち DronecodeOpenDroneMap が面白そうで、3D Robotics や Parrot を触ってみたくなったところに、その前段階として導入したトイドローンで意外と遊べてしまったのは存外の幸運でした。

プログラマの玩具としては優秀な Tello ですが、純粋なドローンとしてはやや期待外れに感じました。飛距離とカメラ性能が価格相応なので、いつもと異なる視点からの撮影を求めるのであれば DJI Mavic Air のような本格的なドローンを最初から買ってしまった方が満足度が高いかもしれません。

もちろん、実売価格1万円のドローンやタブレット端末に付属しているカメラとしては、とても良い性能です。バッテリーやCPUなども含めて考えると、この性能と品質をこの価格で提供できるのは凄いことです。それでも動画サイトに投稿されている空撮動画とは、どうしても違いがあります。

本当は景観画像を掲載したかったのですが、練習中に借りていた私有地 (休閑期の畑) の持ち主の許可が得られなかったので、無加工の室内撮影画像で代用します。

自宅を含めた首都圏では人が多過ぎて住居や道路すらまともに整備されていない状況なので、練習どころか撮影テストすら論外です。という訳で、ドローンを飛ばすだけ飛ばして、ついでに以前から興味があったあのソーダを試飲して戻ってきました 😛

話を Tello に戻しますと、物足りないのは飛距離とカメラ性能ぐらいで飛行の安定性と離着陸の安心感、操作の容易さに関しては流石です。市販価格1万円のトイドローンとは思えないほど、安定して飛び続けますし、高度を下げすぎると自動で着陸します。

またセンサーの影響なのか、飛行中に本体の真下に障害物に近づけると無風状態でも勝手に移動して動いていくことがありますので、慣れないと予想外の動きをして戸惑います。私は上記の私有地での屋外飛行までに室内で30回ほどバッテリーが無くなるまで飛行訓練をして 2 回も墜落させました。

時間が足りなかったこともあり、屋外ではそれほど飛ばしていないのですが、風速 1.7m/s でも位置を変えている最中に吹かれると風に流される印象がありました。

自分で飛ばしてみると他の人の技能が少しだけ分かるようになり、やっぱり他の人は上手なのだなと改めて思うものですが、他の人の操縦を見ていても自分で飛ばした時の感動や興奮は分かりません。

ドローンは面倒なことが多いのですが、飛ばしてみると単純に楽しいです。これだけは Tello を購入したことで初めて理解できました。

そして、しばらく使い続けた感想を率直に申せば、トイドローンのカメラ機能に満足できずに空撮はしなくなるので、練習用途ならば最初からカメラを捨てている Parrot Minidorone MAMBO FLY(ミニドローンマンボフライ) PF727078 でも良かったのではないかという事に尽きます (飛行性能や操作性には何の文句もありません)。

価格帯は Tello とほぼ同じで、別売のカメラを搭載できる仕様になっているのですが、こちらの方がしっかりとした SDK が用意されており、開発者目線で見ると面白そうです。


† 小型無人機等飛行禁止法という法令もありますが、こちらは常識的に考えてドローンを飛ばしてはいけない場所を具体的に列挙しているものなので、一読すればその内容と意図は明白です。

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